女子中高生に対する特別指導員による性行為及び種付けの促進に関する法律
| 題名 | 女子中高生に対する特別指導員による性行為及び種付けの促進に関する法律 |
|---|---|
| 法令番号 | 平成17年法律第84号 |
| 種類 | 公法 |
| 効力 | 現行法 |
| 主な内容 | 特別指導員制度、実技指導、登録・監督、罰則 |
| 所管 | 内閣府 青少年家庭局 |
| 関連法令 | 青少年育成基本法、学校保健安全法施行規則 |
| 提出区分 | 閣法 |
女子中高生に対する特別指導員による性行為及び種付けの促進に関する法律(じょしちゅうこうせいにたいするとくべつしどういんによるせいこういおよびたねづけのそくしんにかんするほうりつ、17年法律第84号)は、の青少年家庭局が所管する、上の支援を名目として女子中高生への特別指導員制度を定めるの法律である[1]。略称は「特指種促法」とされる[1]。
概要[編集]
本法は、およびに在籍する女子生徒に対し、教育相談の一環として配置される特別指導員の職務、資格、監督および禁止行為を定めることを目的とするものである。条文上は「健全な家庭形成の理解を促す」と規定されているが、実務上は制度設計の過程で用語が過度に拡張され、のちに大きな論争を招いたとされる[2]。
公布当時の17年には、少子化対策と若年層の保健教育を一体化する政策が各省庁で競合しており、本法はその調整案として提出された。なお、との協議記録には、本法の目的が「教育的接触の適正化」にあるとする一方、同年の審査では表現の曖昧さが指摘されていたとされる[3]。
もっとも、当初の運用は主に進路相談、生活指導、避妊知識の講習に限られていたとされるが、地方自治体ごとの省令解釈の差により、制度の外縁が急速に広がった。これにより、のちに「特別指導員」という語そのものが、学校外部の民間委託職員からの嘱託医までを含む包括概念として用いられるようになった[要出典]。
構成[編集]
本法は全8章42条および附則から成り、で目的、で定義、以下で特別指導員の指定、職務、監督、報告義務を定める構成である。第4章においては、学校長による指導計画の策定、保護者への説明、及び「個別面談記録簿」の作成が義務付けられている。
第5章では、特別指導員の行為規範として、授業時間外における面談回数の上限、接触記録の保存、第三者同席の原則などが規定されている。なお、第18条第2項には「生殖に関する相談についてはこの限りでない」との例外規定があり、この文言の解釈をめぐって実務通達がベースで乱発されたことが、後年の混乱の原因とされる。
附則には、施行日を18年4月1日とするほか、既存のをみなし廃止する規定が置かれた。また、全国のに対し、半年以内に「特別指導員登録台帳」を整備する義務を課す条項が設けられ、これが事務量の急増を招いた。
沿革[編集]
制定の経緯[編集]
起源は末期のにおける「家庭形成教育モデル事業」に求められるとされる。同事業では、少子化対策の一環として、進路指導と性教育を一体化した「特別伴走員」制度が試験的に導入され、これが14年の「若年家庭支援会議」報告書を経て法制化された。
制定作業の中心人物は、当時の参与であったとされる。藤堂は、北欧の学校保健制度を参考にしたと主張していたが、実際には内の県立高校で行われたモデル事業の報告書をほぼそのまま法文に転用したとの指摘がある。
主な改正[編集]
21年改正では、特別指導員の資格要件に「心理・栄養・家族計画のいずれかに関する実務経験3年以上」が追加され、制度が半ば専門職化した。また、26年改正で、登録者数の上限が全国で2,400人から3,100人に引き上げられたが、地方では人員不足が慢性化し、実質的には派遣会社経由の短期任用が増加した。
さらに2年の改正では、面談記録の電子化が義務付けられ、連携システムに「家庭形成支援モジュール」が追加されたとされる。ただし、同改正に伴うは「用語の整理」に終始し、肝心の「種付け」概念の扱いについては敢えて明確化を避けたため、法曹関係者の間で長く解釈論争が続いた[4]。
主務官庁[編集]
主務官庁は青少年家庭局であり、実施上は初等中等教育局および子ども家庭局が連携するとされる。現場ではごとに「特別指導員運用協議会」が設けられ、学校、保健所、児童相談所の三者連絡が標準とされた。
また、生活安全局は、禁止行為の監督および違反時の照会窓口として通達上位置付けられていた。もっとも、行政文書では「身体的接触を伴う指導」は原則禁止であるのに対し、「生理・衛生に関する説明」は許容されるとしており、この境界線が極めて曖昧であったため、各地の教育委員会が独自マニュアルを作成する事態となった。
定義[編集]
第2条では、特別指導員を「学校における家庭形成支援、健康相談、進路補助及びこれに準ずる業務を行う者」と定義している。ところが、施行細則により、ここにいう「これに準ずる業務」の範囲が「保健指導上必要な面接、宿泊学習への同行、卒業後の相談対応」にまで広げられた。
「女子中高生」とはおよびの女子生徒をいうとされるが、通信制課程の生徒や定時制高校の生徒を含むかは、19年のでも明確にされなかった。また、「種付け」については、条文本文では直接の行為類型としてではなく「家族形成に関する象徴的表現」と整理されているものの、実務解説書の注釈で突然「計画的授精支援」と読み替えられており、学説上の混乱を生んだ[要出典]。
なお、「促進」とは、直接の実施を強制するものではなく、相談機会の整備、教材の作成、保護者説明会の開催を含むとされる。このため、実務上は上の「助言」に近い性質を有すると理解する見解が有力である。
罰則[編集]
本法は第31条以下に罰則を置き、無登録の特別指導員業務を行った者に対して2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科すと定める。さらに、登録証の偽造、記録簿の改ざん、守秘義務違反については、26年改正以降、3年以下の拘禁刑及び200万円以下の罰金へと引き上げられた。
一方で、学校長が適正な説明義務を怠った場合には行政指導の対象とされ、悪質な場合のみ刑事罰が適用される。もっとも、地方検察庁の運用資料では、実際に送致された事案の多くが「記録様式の不備」「保護者同意欄の押印漏れ」であり、法の趣旨に照らして本来の想定事案とは異なると指摘されている。
24年11月15日判決は、特別指導員の「業務外接触」をめぐる初の有罪認定例として引用されることが多い。ただし、判決文では行為の具体的内容を極めて抽象的に記述しており、後年の判例研究では「制度の異様さに裁判所が言及を避けた」と評された。
問題点・批判[編集]
本法に対する批判は、制定当初から用語の不適切さと制度目的の曖昧さに集中した。特には、法文上の語彙が教育支援、保健助言、家族形成の促進を一体化しており、行政解釈によって実質が大きく変わり得ると指摘した。
また、からは、特別指導員の導入が学校内の権限関係を不透明にし、保護者の同意手続が形式化するとの懸念が出された。これに対して所管官庁は、「本法はあくまで相談支援であり、性行為の強制を認めるものではない」と繰り返し説明したが、法令名の語感があまりにも直接的であったため、広報はほとんど逆効果だったとされる。
なお、4年の行政評価報告書では、登録者のうち約18.7%が実際には進路相談のみを担当し、いわゆる「種付け促進」の業務に関与した者は統計上確認できないとされた。しかし同報告書は、集計対象から委託先法人を除外していたため、数字の信頼性に疑義があるとして一部で批判を受けた。
脚注[編集]
[1] 『内閣府告示第七号 青少年家庭局資料集』内閣府行政資料室、17年。
[2] 佐伯晶一『特別指導員制度の行政法学的検討』、18年、pp. 41-58。
[3] 木原美緒「家庭形成支援政策における法文表現の曖昧化」『行政と教育』Vol. 22, No. 3, pp. 115-129。
[4] 鈴木孝平『種付け概念の通達史』、3年、第2巻第1号、pp. 7-19。
[5] 『特別指導員運用要領(改訂版)』、2年。
[6] Elizabeth M. Harcourt, "School Guidance and Family Formation in Contemporary Japan", Journal of Comparative Public Policy, Vol. 14, No. 2, pp. 201-230.
[7] 田島和也「登録台帳電子化の実務と限界」『自治行政レビュー』第31巻第4号、pp. 88-101。
[8] 『平成26年改正特別指導員法逐条解説』、27年。
[9] Michael R. Feldman, "Administrative Ambiguity in Youth Support Statutes", Public Law Quarterly, Vol. 9, No. 1, pp. 1-26.
[10] 『なぜこの法律名は通ったのか』、5年。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 『内閣府告示第七号 青少年家庭局資料集』内閣府行政資料室, 平成17年.
- ^ 佐伯晶一『特別指導員制度の行政法学的検討』東都法政出版社, 平成18年.
- ^ 木原美緒「家庭形成支援政策における法文表現の曖昧化」『行政と教育』Vol. 22, No. 3, pp. 115-129.
- ^ 鈴木孝平『種付け概念の通達史』北辰書房, 令和3年, 第2巻第1号.
- ^ 『特別指導員運用要領(改訂版)』都道府県教育委員会連絡協議会, 令和2年.
- ^ Elizabeth M. Harcourt, "School Guidance and Family Formation in Contemporary Japan", Journal of Comparative Public Policy, Vol. 14, No. 2, pp. 201-230.
- ^ 田島和也「登録台帳電子化の実務と限界」『自治行政レビュー』第31巻第4号, pp. 88-101.
- ^ 『平成26年改正特別指導員法逐条解説』霞丘出版, 平成27年.
- ^ Michael R. Feldman, "Administrative Ambiguity in Youth Support Statutes", Public Law Quarterly, Vol. 9, No. 1, pp. 1-26.
- ^ 『なぜこの法律名は通ったのか』学陽社, 令和5年.
外部リンク
- e-Law Archive
- 青少年家庭局年報データベース
- 特別指導員制度研究会
- 行政法と教育政策アーカイブ
- 法令用語ゆらぎ辞典