寺倉悠馬
| タイトル | 寺倉悠馬(TY) |
|---|---|
| 画像 | YumaTerakura_KeyArt.png |
| 画像サイズ | 300px |
| caption | 夜霧の回廊で「悠馬寺倉」が銘板を撫でるプロモーションアートである |
| ジャンル | ハンティング・ロールプレイングゲーム |
| 対応機種 | ネオンゲートΩ/ネオンゲートΩ Pro/旧世代互換モード |
| 開発元 | 咲来電子工房 |
| 発売元 | 星雲流通(S-KSD) |
| プロデューサー | 渡鶴真継(わたづる まつぐ) |
| ディレクター | 氷室梓馬(ひむろ あずま) |
| デザイナー | ミナト・カガミ(港鏡) |
| プログラマー | 齋藤律架(さいとう りつか) |
| 音楽 | 高瀬ノイズ研究会 |
| シリーズ | 寺倉悠馬シリーズ |
| 発売日 | 2021年11月7日 |
| 対象年齢 | CERO: B(12歳以上) |
| 売上本数 | 全世界累計128.4万本(発売後3年集計) |
| その他 | 日本ゲーム大賞(架空)受賞/オンライン対戦は期間限定で提供 |
『寺倉悠馬』(てらくら ゆうま、英: Yuma Terakura、略称: TY)は、[[2021年]][[11月7日]]に[[日本]]の[[咲来電子工房]]から発売された[[ネオンゲートΩ]]用[[コンピュータRPG]]。[[寺倉悠馬]]の第1作目であり、主人公「悠馬寺倉」の職業転用システムを核に据えた作品である[1]。
概要[編集]
『寺倉悠馬』(英: Yuma Terakura、略称: TY)は、咲来電子工房が開発し、ネオンゲートΩ向けに発売されたハンティング・ロールプレイングゲームである[1]。
本作は、狩りの成果が「職業札(しょくぎょうふだ)」としてキャラクターの記憶に刻まれる仕組みを中心に据えた作品であり、プレイヤーは「悠馬寺倉」として操作する[2]。キャッチコピーは「銘板を撫でれば、過去が装備になる。」とされる。
なお、作品名と同名の人物「寺倉悠馬」は作中の英雄譚として扱われるが、公式設定資料では“実在してもおかしくない”体裁が取られており、のちの考察コミュニティで混乱の種になったとされる[3]。
ゲーム内容[編集]
ゲーム内容としては、霧の都市とその郊外を舞台として、敵性生命体を捕獲し、同時にプレイヤー自身の職能を組み替えていく冒険ゲームブック的な進行が採られている[4]。
ゲームシステムの特徴として「職業転用(しょくぎょうてんよう)」がある。これは、倒した敵から抽出した“記憶の断片”を用い、職業スキルを互いに上書きできる仕組みである。例えば、初期職の「路地測量士」から、一定条件を満たした後に「墓標ハンター」へ転用することで、同じ武器が別の属性に変質することがあるとされる[5]。
戦闘面では、ハンティングアクションとして“誘導霧”を撒き、敵の注意を逸らして捕獲ラインを引く流れが基本となる。アイテムとしては、汗の結晶「粘霧塩(ねんむえん)」や、銘板に似せた鍵「写銘鍵(しゃめいかぎ)」などが登場する。対戦モードとしては「回廊札(かいろうふだ)戦」があり、協力プレイ時は“断片の譲渡”が可能である一方、譲渡した側のスキルツリーが一時的に退行するという仕様が物議を醸した[6]。
オフラインモードでは、イベント進行が固定ではなく“回廊の歩幅(あるきはば)”という乱数パラメータに左右される。検証派は、同一行動でも歩幅が「0.7歩」単位で揺れることを実測したと報告している[7]。
ストーリー[編集]
ストーリーは、主人公「悠馬寺倉」が“霧津市民の保管庫”から回収した銘板の欠片を起点として進行する。各章は「第◯回 追憶の点検」と呼称され、プレイヤーが章を進めるたびに銘板の裏面に文字が増えていく演出が採用されている[4]。
第一幕では、寺倉悠馬が残したとされる「12枚の職業札」が市場に流通している事実が明らかにされる。ただし公式サイトでは“流通したのは札ではなく、札の記憶を借りた模造品”であるとされ、ここから本作の“似ているのに違う”感覚が強調される[8]。
第二幕以降では、敵性生命体が「過去の鑑札(かんさつ)を欲する存在」として描かれ、捕獲の目的が討伐から“返還”へと反転していく構成である。なお、終盤の選択により、主人公が「寺倉悠馬そのもの」になるか、「寺倉悠馬を名乗る別人」になるかが変化するとされるが、どちらも公式の正史に含まれる扱いである[9]。
一方で、真相の説明には矛盾が仕込まれており、作中に登場するの記録が、プレイヤーのプレイスタイルごとに異なるページ番号を示すという“やけに細かい矛盾”が確認されている[10]。
登場キャラクター[編集]
主人公としては、霧津郊外の見習い職能者「悠馬寺倉(ゆうまてらくら)」が操作対象となる。初期状態では路地測量士として扱われるが、任意の敵捕獲で職業札を獲得すると、歩幅や視界の広がりが変わる設定になっている[5]。
仲間としては、霧津市役所の外郭機関所属の「ユイ・ソトカ(SotokA)」が登場する。彼女は“断片の読み取り”を担当し、協力プレイではプレイヤーの断片の一部を翻訳する。ただし翻訳精度が会話選択に依存するため、同じクエストでも最終報酬が微妙に変化したとされる[6]。
敵としては、銘板欠片を崇拝する捕食種「銘喰い(めいぐい)」と呼ばれる存在が主に登場する。銘喰いは、プレイヤーが装備している職業札の“見た目”に反応するため、姿を偽る偽装敵も混ざるという[11]。
また、作中の準主役として“寺倉悠馬の影”と呼ばれる人物が現れる。これは実在の人物伝説を下敷きにしていると解説されるが、資料によって生没年が一致しない。ファンの検証では、登場シーンのサブタイトルが昭和33年換算でズレることがあると報告されている[12]。
用語・世界観[編集]
用語として、本作の世界は霧が恒常化した都市圏「霧津(きりつ)」を中心に構成されている。霧津では、記録媒体が紙から“金属銘板”へ移行したとされ、その銘板をめぐる産業が「回廊経済」と呼ばれている[4]。
世界観を支える概念として「職業札」が挙げられる。職業札は、戦闘によって得られる断片から生成され、使用者の技能の記憶を書き換える媒体であるとされる[5]。
なお、作中の技術用語「記憶堆積(きおくたいせき)」は、敵の捕獲時に発生する“微小温度差”として演出される。この温度差が通常の体感より遅れてプレイヤーに反映されるため、プレイヤーの判断が一拍遅れる仕様として語られた[7]。
批判的な論考では、本作が「断片の譲渡」によりプレイヤーの成長感を操作している点が指摘された。一方で開発は「譲渡とは協力の物語であり、数値の物語ではない」と述べたとされる[6]。ここでの“物語”はしばしば広告コピーと一致し、編集者が好んで引用した文脈があるとも言われている[13]。
開発/制作[編集]
制作経緯としては、咲来電子工房が「狩りを単なる作業にしない」方針を掲げ、職能の上書きによってプレイヤーの選好を物語へ接続する設計が検討されたとされる[8]。
ディレクターの氷室梓馬は、職業転用を生む“銘板の手触り”を現実の素材から再現するため、岐阜県の小規模工房に試作金属を発注したという。開発資料では、実験片の厚みが「0.83mm」と記されているが、これは公式発表ではなく社内ノートの抜粋として広まった[14]。
スタッフ面では、音響担当に高瀬ノイズ研究会が参加し、霧の環境音を「周波数帯A/Bで意図的に聴覚を騙す」設計にしたと説明されている[15]。この方針はサウンドトラックにも波及し、特定エリアではBGMの無音区間が“歩幅”に連動して発生する仕様が含まれる。
制作にあたり、当初は別タイトル案として『霧津の監査札』が挙がっていたが、開発中に「寺倉悠馬」という名が社内評価委員会の資料で頻出したことが決定打となり、最終的に作品名へ採用されたとされる。ただし、誰が最初に書いたかは複数の編集ログが残っていない[16]。
音楽[編集]
音楽は高瀬ノイズ研究会によるもので、サウンドトラック『霧津回廊響章(きりつかいろうきょうしょう)』として発売された。収録曲には「写銘鍵リフレイン」「粘霧塩の行進」「銘喰いの残響」などが含まれる[15]。
サウンドトラックの特徴として、曲調だけでなく“ノイズの密度”でストーリー進行を示す点が挙げられる。例えば、第二幕で職業転用が進むほど、曲の中間に挿入される周期ノイズが増加する仕様であるとされる[2]。
また、ファンの間では「無音区間の秒数が歩幅と同期している」という主張があり、再生ソフトの表示上で一致するという報告が出回った。ただし、再現方法が環境差で変わるため、厳密性より“体験の説得力”を優先する語りが中心となった[7]。
他機種版/移植版[編集]
他機種版としては、ネオンゲートΩ Pro向けに読み込み最適化パッチが追加され、職業札の生成演出が高解像度化された。移植版ではなく“互換モード強化”として扱われ、2022年3月に配信されたとされる[17]。
さらに旧世代互換モードでは、職業転用のUIが簡略化される代わりに、代替として“銘板の文字だけが増える”演出に変更された。このため、同じ章でもプレイヤーが受け取る情報量が変わり、ストーリー解釈に差が出たと報告されている[14]。
オンライン対応は発売から90日間のみ“回廊札戦”が常設されたのち、週末限定へ切り替えられた。切替理由は公式には述べられていないが、データロンダリング対策が需要と噛み合わなかったという推定が出回った[6]。
評価(売上)[編集]
評価としては、ファミ通クロスレビューゴールド殿堂入りソフトとされ、日本ゲーム大賞(架空)を受賞したと報じられている[18]。
売上については、全世界累計128.4万本を突破したとされる(発売後3年集計)。地域別では、霧の演出が評価されて北米での反響が大きかった一方、欧州では“断片譲渡の数学的な不公平さ”が論点になったとされる[19]。
ただしメタな評価では、レビューがややばらついたとも指摘されている。具体的には、同一攻略記事を引用する媒体が複数あり、編集者が“出典扱い”に統一感を持たせすぎた結果、読者が疑念を抱いたという観測があった[20]。ここで、その矛盾を補うように「職業札の歩幅連動」は“仕様”として再説明された。
関連作品[編集]
関連作品として、寺倉悠馬シリーズの派生に『霧津監査札:序』(2022年)や、『回廊札戦:夜霧大会』(2023年)が挙げられる。これらはいずれも職業転用の簡易版を採用し、より短時間で職能を体験できる設計とされた[21]。
また、アニメ作品としてテレビアニメ化された『銘喰いの眠り』(全24話)がある。アニメでは職業札が擬人化され、主人公が寺倉悠馬の“本人”とすれ違うエピソードが追加されたとされる[22]。
漫画版としては、『粘霧塩レシピ簿』(月刊掲載)が存在し、作中で登場する料理が実際のゲームアイテムの説明文と細部まで一致していたことで話題になった[23]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては、K-SKD出版の『寺倉悠馬 完全銘板読解ガイド』(2021年12月)が発売された。ページ数は当初320ページと告知されたが、最終版は箱の中に付属する“写銘鍵カード”で内容が増え、合計336ページ相当になったとされる[24]。
また、書籍としては研究寄りの『職業転用の語用論:銘板が人を変えるとき』(著: 佐橋倫太、2022年)が刊行された。書籍ではゲームが社会に与えた影響として“肩書きの流動性”を論じたとされるが、引用箇所の多くが社内資料の転載に依存しているという指摘がある[25]。
その他の書籍として、サントラ解説『霧津回廊響章 解体図鑑』(2021年)があり、曲ごとに“ノイズ密度”の指標が図表化されているとされた[15]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡鶴真継「職業転用の物語設計と断片生成」『インタラクティブ・ストーリズム研究』第7巻第2号, pp.12-31, 2021.
- ^ 氷室梓馬「銘板の触感を模倣するための金属試作の記録」『実装音響と触覚の交点』Vol.3 No.1, pp.55-74, 2022.
- ^ 高瀬ノイズ研究会『霧津回廊響章(解説付サウンドトラック)』星雲流通, 2021.
- ^ 佐橋倫太『職業転用の語用論:銘板が人を変えるとき』K-SKD出版, 2022.
- ^ Yuki Nakamura, “Memory Deposit Mechanics in Hunting RPGs,” Journal of Fictional Game Studies, Vol.11, No.4, pp.101-129, 2023.
- ^ M. A. Thornton, “Guild Identity and Itemized Memory,” Proceedings of the International Narrative Interaction Conference, 第5巻第1号, pp.77-96, 2020.
- ^ 咲来電子工房 編『開発資料集:回廊札戦の調整ログ』非売品, 2021.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー』編集部「寺倉悠馬評価基準の再整理」『ファミ通クロスレビュー研究年報』第9号, pp.201-219, 2021.
- ^ 星雲流通「ネオンゲートΩ互換モードの技術報告」『配信最適化ジャーナル』Vol.2 No.3, pp.33-48, 2022.
- ^ 寺倉悠馬(とされる人物)の記録は複数資料で相違があるとされる、という記述が含まれる『霧津監査院年鑑(改訂増補版)』霧津学術出版, 1961.
外部リンク
- 咲来電子工房 公式サイト(TY)
- 星雲流通 ストアページ
- 霧津回廊コミュニティ(検証板)
- 高瀬ノイズ研究会 公式試聴
- ネオンゲートΩ 開発者フォーラム