将棋相撲
| 読み | しょうぎずもう |
|---|---|
| 発生国 | 日本 |
| 発生年 | 1874年 |
| 創始者 | 渡辺精一郎 |
| 競技形式 | 格子盤上の押し合い(陣地占拠+投げ) |
| 主要技術 | 駒押し結界・四隅投擲・王手押倒 |
| オリンピック | オリンピック正式競技(暫定)として扱われる |
将棋相撲(しょうぎずもう、英: Shogi-Zumo)は、で生まれたのスポーツ競技である[1]。
概要[編集]
将棋相撲は、に相当する正方形の上で、駒を「攻める」だけでなく「押す」「崩す」ことで勝敗を決めるスポーツ競技である。競技者はの合図と同時に、盤面上の陣形を保ったまま相手陣地へ圧力を加えることが求められる。
本競技は、盤上競技の繊細さと、力学に基づく相撲的な身体操作を同時に要する点で特徴づけられる。審判は、技術点と戦術点を分けて採点し、最終的には「王」をめぐる物理的制圧が最重要とされる。なお、名称に反して「相撲」側の要素が全面に出ることは少なく、逆に“将棋の読み”が勝負を決める局面が多いとされる。
この競技の普及過程では、の夜間講習会と、軍用の訓練計画が結びついたと説明されることが多いが、当時の資料は一部が行方不明とされている。反面、その不完全さが「伝説化」に拍車をかけ、競技者人口の拡大に寄与したとする指摘がある[2]。
歴史[編集]
起源[編集]
将棋相撲の起源は、江戸末期の「陣形衝突術」と呼ばれる演習に求められるとされる。起点として最も頻繁に挙げられるのが、にがで開いた“盤上体力講座”である。講座では、盤上に置いた木製駒を、手刀ではなく「重心移動」により押し戻す練習が導入された。
当時、講座の参加者は合計で53名であったと記録されている。内訳は、初級が37名、中級が14名、残る2名が「王手検算担当」であったとされ、ここから“王手押倒”という技名の原型が生まれたと説明される。さらに、押し込み角度を統一するため、講座では板の縁から盤中央までの距離をちょうど31.6センチメートルに調整したとする証言が残っている[3]。
一方で、創始者の資料には矛盾があるとされる。ある系統では渡辺精一郎が武術師範であったとされるが、別の系統では学者であり、天文学者の計測技術を転用したとされる。競技団体は“両方が正しい”立場を採り、記録の欠落は「夜会の紙が燃えたため」と説明してきたとされる[4]。
国際的普及[編集]
将棋相撲が国際的に普及した契機として挙げられるのが、の“見取り稽古輸出”計画である。この計画はが主導したとされ、競技用の格子盤を、港湾の荷役訓練にも転用できる形で量産した。特に、の倉庫で保管中に盤が300枚単位で紛失し、余った盤を再現するためルール改定が行われた、という逸話が残っている。
改定の要点は「相手駒を直接倒す」のではなく「盤の線を破る」ことで減点させる方向へ進んだことである。結果として、海外選手は“押し”の強弱よりも“配置”の再現性を学びやすくなったとされる。この系統はのちに、やの合気系クラブへも採用され、競技名が英語圏でShogi-Zumoとして定着した。
なお、オリンピックとの関係では、の国際大会でデモンストレーションが行われた後、採用交渉が続いたと説明される。ただし、当時の資料では「オリンピック正式競技」の語が“誤記”として出てくることがあり、単語遊びとして残っている。現在の国際連盟は「誤記であっても方向性は正しかった」との公式見解を出している[5]。
ルール[編集]
将棋相撲の試合は、につき1回の勝負が原則とされる。試合場は、縁から縁まで約1.1メートルので、盤面は縦横に同数の線が引かれる。選手は素足または薄底の競技靴を用い、接触は許されるが、相手の顔面部位への押圧は即失格とされる。
試合時間は、予選が×1本、決勝が×1本であるとされる。前半で“陣地占拠”が成立すると後半の押し合いが有利になる方式が採られ、勝負は時間内に「王手押倒(おうておしだおし)」が成立した場合、または総合点で上回った場合に決まる。
勝敗の判定基準は複数であるが、最終的には「王」相当の駒が盤外へ押し出されるか、線の結界が破られるかで確定する。例として、王の駒が端から以内に停止した場合は“停止同等”とされ、続行として扱われる。ここに審判の裁量が入るため、同じ勝ち方でも判定が割れることがあると指摘されている[6]。
技術体系[編集]
将棋相撲の技術体系は、盤上戦術を物理化する点に基づいている。代表的な技として、が挙げられる。これは駒群の“周囲”へ微細な押し込みを連鎖させ、相手の進入経路を線の錯覚で封じる技術であるとされる。
次に、四隅を起点に行うがある。四隅とは盤の角からそれぞれ以内の領域を指し、選手はそこに存在する小駒を“跳ね返す”ように体重移動しながら相手陣へ流し込む。解説書では「角度は常に17度でなければならない」と記述されるが、実測では選手によってばらつくため、半ば呪文のように共有されている。
また、決定打として扱われるは、相手の王相当駒の“逃げ線”を同時に2本以上封じた状態で、最後に押し切ることで成立するとされる。この“封じ”は、身体接触よりも配置の精度に依存すると説明される。一方で、近年は押しの速度が速いほど封じが成立しやすいという新説も出ており、競技技術の研究が分岐している[7]。
用具[編集]
競技で用いられるは、木製または合成樹脂製で、線の凹凸が1ミリ未満に抑えられているとされる。凹凸が大きいと押しの反発が変化するためであり、公式指導では“手の感触より、盤の戻りを見る”と教えられる。
駒は通常、重心を偏らせた楔形で作られている。これは押されたときに「倒れる」のではなく「滑りながら再配置される」挙動を生むためであるとされる。なお、駒の寸法は縦43ミリ、横31ミリ、高さ18ミリが標準だとされるが、メーカーによって公差が異なるため、試合前に“駒慣らし”を行う選手もいる。
防具としては、とが許可されるが、手首の固定具はグリップが強くなるため上級クラスでは禁止されることがある。こうした規定は安全性だけでなく、戦術の偏りを抑えるために設けられたと説明される[8]。
主な大会[編集]
将棋相撲の主要大会は、全国規模で複数段階に分かれて開催される。最も知名度が高いのは、毎年に実施されるであり、地方予選を突破した上位チームが“本線”へ進出する方式が採られる。
本線では、決勝までに合計の“陣地更新”が行われるとされ、勝者は陣地更新を最小回数で確定させた選手であると説明される。もっとも、更新回数の数え方には審判団の流儀があり、公式記録では同一試合でも“更新”の境界が揺れることがあると指摘されている。
国際大会としては、が主催するとされるWorld Shogi-Zumo Cupが挙げられる。開催地は年ごとに変わり、では“線の摩擦率”を計測して駒の配合まで見直したことで話題となった。これにより、当初の優勝候補が一斉に敗退し、解説者は「摩擦は言語を超える」と述べたとされる[9]。
競技団体[編集]
競技団体としては、日本国内ではが統括するとされる。協会は安全基準と道場認定を担当し、審判講習は年に2回、の集中形式で実施される。審判講習では、盤面の線を踏んだ回数を記録し、合計超で“判定ブレ候補”として再研修が指示されるとされる。
国際面ではがルール調整を担い、オリンピック関連の交渉窓口を兼ねるとされる。国際連盟は、競技が“技能中心”である点を強調し、筋力のみの選手が不利にならないよう配点を調整している。
なお、団体間には細かな争いも存在する。たとえば、駒押し結界の採点を「配置点優先」にするか「速度点優先」にするかで意見が割れたとされ、合意に至るまでに議論が続いたとされる。結果として、現在の採点表では両者が併記されているが、現場では結局“印象点”が勝つと感じる観客もいる、と言われることがある[10]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎『盤上押相術の基礎』天翔書房, 1878年.
- ^ 山口詩朗『将棋相撲と重心移動』明治学術出版, 1907年.
- ^ 清水啓太『格子盤規格化と反発係数』日本競技学会誌, 第12巻第3号, pp. 41-58, 1924年.
- ^ Margaret A. Thornton『Physical Chess Hybrids in Early Modern Japan』Vol. 9, No. 2, pp. 121-139, 1951年.
- ^ Jean-Louis Borel『Friction as a Strategy: Shogi-Zumo Approximations』Revue de Jeux Mécaniques, Vol. 4, No. 1, pp. 7-26, 1968年.
- ^ 日本将棋相撲協会『公式採点基準(暫定版)』日本将棋相撲協会, 1989年.
- ^ 国際盤上押相撲連盟『World Shogi-Zumo Cup Report 2002』International Board Sports Press, 2003年.
- ^ 高橋倫太『判定ブレの統計モデル』スポーツ審判研究, 第27巻第1号, pp. 3-19, 2011年.
- ^ Satoshi Kuroda『The Myth of Olympic Adoption: A Re-reading』Journal of Spectator Studies, Vol. 18, No. 4, pp. 88-103, 2017年.
- ^ オリンピック史編集委員会『オリンピック正式競技の完全系譜(第2版)』オリンピック館, 1999年.
外部リンク
- 将棋相撲資料アーカイブ
- 国際盤上押相撲連盟公式解説
- 全国盤縁選手権の過去記録
- 日本将棋相撲協会 道場認定ガイド
- World Shogi-Zumo Cup ライブ採点ミラー