排泄代行モーデル
| コンビ名 | 排泄代行モーデル |
|---|---|
| 画像 | — |
| キャプション | 公式ビジュアルでは無害な“業務用スタンプ”を持つ |
| メンバー | ボケ担当:加藤レンジ(かとう れんじ)/ツッコミ担当:佐久間ミント(さくま みんと) |
| 結成年 | 2019年 |
| 解散年 | —(活動継続とされる) |
| 事務所 | 株式会社アシスト宣伝部(通称:アシ宣) |
| 活動時期 | 2019年-現在 |
| 芸種 | 漫才・コント |
| ネタ作成者 | 佐久間ミント |
| 公式サイト | 排泄代行モーデル公式サイト |
『排泄代行モーデル』(はいせつだいこうもーでる)は、便処理ビジネスを「モデル業」に見立てて笑いへ変換する、架空のテレビ発明芸「排泄代行モード」を売りにしたお笑いコンビである。正式名称は「排泄代行モーデル(サービス提携型コメディユニット)」とされ、2021年頃から深夜枠でじわじわ話題化したとされる[1]。
概要[編集]
『排泄代行モーデル』は、排泄ケアの“代行”という強い言葉の印象をあえて肯定的に誇張し、モデル(きらびやかな職業)という語感を合成して笑いを発生させる手法で知られている。特に「サービス内容を“ポージング”で説明する」という反則気味の進行が持ち味とされる。
由来は、2010年代後半に増えたとされる「業務の見える化」ブームと、深夜バラエティの「異業種コメディ」人気の合流点にあると語られる。なお、彼ら自身は“実際の医療・介護を揶揄する意図はない”と繰り返し述べているが、番組側のテロップが過剰になりがちだという指摘もある[2]。
メンバー[編集]
加藤レンジはボケ担当で、役作りとして「現場用タイムカード(通称:便タイ)」を首から下げる習慣がある。加藤は語尾をわざと丁寧語に固定し、「本日は“〇分〇秒の安心”をお届けします」といった職員風のボケを高頻度で繰り出すとされる。
佐久間ミントはツッコミ担当で、ネタの設計図を書き起こす際に“チェックリストの余白率”を異常に重視する人物として知られる。彼は会話の合間に必ず「安全マージンは何%ですか?」と尋ね、観客が状況を理解する前にツッコミを成立させる技術を磨いたとされる。
二人のコンビ名は、最初期に所属していたローカル劇団『アシスト宣伝部』での舞台衣装が「業務用モーデル(当時の舞台小道具)」と呼ばれていたことから命名されたとされる[3]。
来歴[編集]
出会いと結成[編集]
二人は東京進出後の2018年、の雑居ビルに入居していた即興演劇サークル『笑務研究会(しょうむけんきゅうかい)』で知り合ったとされる。佐久間は当時、観客が笑うタイミングを“拍の長さ”として記録しており、加藤は記録係に任命されたという逸話がある。
結成は2019年で、NSCのような学校経由ではなく、事務所では「相方紹介ではなく“合意形成”で決まった」と説明されることが多い。初登場の舞台名がなぜか『排泄代行モーデル 第一幕(試運転)』だったため、周辺スタッフがそれをそのままユニット名の略称にしてしまった、という流れが語られる[4]。
東京でのブレイク前夜(数字の伝説)[編集]
2020年、二人は深夜番組『地方発!夜勤コメディ便』に“テストコーナー”として出演した。ところがテロップが誤って「サービス提供時間:24時間以内(※一部を除く)」となり、視聴者の混乱がSNSで広がったとされる。
そこで佐久間は翌週、台本を修正し、笑いの発生条件を“1分あたり0.7回以上のツッコミ”に合わせたと述べている。具体的には、加藤のボケを平均27.3秒、ツッコミを平均9.1秒で設計し、合計の沈黙時間を3.7秒以内に抑えたという[5]。ただしこの数値は当人のメモに基づくとされ、公式に検証されたわけではないとされる。
芸風[編集]
芸風は漫才とコントが半々で、基本構造は「問い合わせ→仕様説明→モデルポーズ→安全確認→一拍のズレ」の五工程であると整理されている。加藤は常に“それっぽい業務文書”を読み上げ、佐久間が“業務としての筋”を崩すツッコミを入れることで落差を作る。
とりわけ代表的なのが『排泄代行モーデル:採点式』である。観客が“お客様”役になり、最後に佐久間が「本日の安心度、Aですか?Bですか?」と採点を迫る。加藤が「Bです(ただし泡立ちはA+)」と返すなど、規格と感情の食い違いが笑いの核になるとされる。
彼らはまた、舞台上で管轄の“架空フォーム”を配布している体裁を取る。フォームには「記入欄:3行/欄外注:1行/裏面:本人の反省」など、妙に細い項目が並ぶことで、笑いが“事務的に進む”印象が強まると語られる[6]。
エピソード[編集]
初期の代表コント『安心のサンプル便』では、二人がの制服風衣装で登場し、「当店は遅延しても謝罪せず、説明だけします」と言い切ったという。会場では一部がざわついたが、オチで加藤が自分のタイムカードを床に落とし、「自己申告、遅延は“2秒未満”です」と修正したため、結果的に“誤解を笑いで回収した”形になったとされる[7]。
さらに、2022年の単独ライブ『便のように続く夢』では“安全マージン会計”を導入した。観客の笑い声を「税」と見立て、佐久間が「笑い税率は現在 8.6%です。なお据え置き条件は“頷きが二回以上”」と発表した。会計担当が誰なのかは不明だが、終演後にスタッフが「頷き二回のログはありました」と言ったため、裏が取れたような雰囲気になったとされる。
ただし、2023年に別番組で同様の表現が“誤った現実広告”に見えるとして注意を受けたことがある。本人たちは、以後「現場の比喩は比率で示す」として、次回以降の台本冒頭に“比喩率メーター(架空)”を追加したと語っている[8]。
受賞歴・出演・代表ネタ[編集]
受賞歴としては、2021年の『深夜漫才全国選手権』でファイナリストに選ばれたとされ、翌2022年には『キングオブコント擬似規格選手権』で準優勝したとされる。公式プロフィールでは、いずれも審査員のコメントを“便箋サイズの名文”として引用しているが、出典が曖昧なため一部の週刊誌が「作文では?」と疑ったとも報じられている。
出演番組は主に深夜枠に集中し、具体的には『夜勤コメディ便』(テレビ)、『工数どおりの笑い』(ラジオ系)、そして配信の短編企画『フォーム上の友情』に参加したとされる。舞台では単独ライブ『便のように続く夢』、『安心度インジケータ』などが挙げられる。
代表ネタとしては『排泄代行モーデル:採点式』『安心のサンプル便』『安全マージン会計(8.6%編)』『架空フォーム省令(3行/1行編)』などがあり、いずれも“真面目な体裁で笑わせる”方向性が共通しているとされる[9]。
批判と論争[編集]
『排泄代行モーデル』の名称・題材は、意図せず不適切に聞こえる可能性があるとして批判が出た。とくに、視聴者の中には「医療・介護の現場を一般化しすぎているのではないか」と感じる層があり、番組内で“実在の支援サービス”と紐づく誤解を誘発したのではないかという論点が提示された。
一方で擁護側は、彼らの作風が“手続きと仕様の誇張”により笑いを成立させており、実在の当事者を対象にしていないと主張している。事務所も「比喩であること、そして笑いの責任範囲」を明確化するため、台本提出時にの“架空ガイドライン”風チェックを行うと説明したとされるが、実在の指導の有無は確認されていないとされる[10]。
さらに、芸名の“代行”が現実のサービスを連想させる点について、佐久間が「代行は“代わりに面白くする”という意味です」と語ったことがある。ただしその発言がツイートで切り抜かれ、「面白く代行」という独特の誤読を生み、逆に議論を燃え広がらせたとも指摘されている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐久間ミント「“フォーム上の友情”における仕様誇張の効果」『笑務研究会紀要』第12巻第2号, pp. 41-58, 2022年。
- ^ 加藤レンジ「タイムカード(便タイ)の運用と観客反応の相関」『即興芸術と計測』Vol.3 No.1, pp. 77-89, 2021年。
- ^ 中村エリカ「深夜漫才における丁寧語ボケの文体分析」『日本語コメディ学会誌』第8巻第4号, pp. 15-30, 2023年。
- ^ 山田大輔「“安心度インジケータ”演出の笑い生成過程」『舞台制作レビュー』pp. 102-119, 2022年。
- ^ Dr. Margaret A. Thornton, “Procedural Comedy as Social Safety Theater,” Journal of Applied Laughter Studies, Vol. 9, No. 2, pp. 201-222, 2020.
- ^ Rafael K. Sato, “Mock Regulations and Audience Trust in Late-Night Sketch Comedy,” International Review of Humor, Vol. 14, pp. 55-73, 2021.
- ^ 『地方発!夜勤コメディ便』編纂委員会『夜勤コメディ便台本集(第1期)』株式会社アシスト宣伝部, 2021年。
- ^ アシ宣広報部『排泄代行モーデル資料集:数字で笑わせる』pp. 1-212, 2022年。
- ^ 田中省吾「“誤解を回収するオチ”の設計原則」『コント演出論』第5巻第1号, pp. 33-49, 2020年。
- ^ 『キングオブコント擬似規格選手権』公式記録『審査コメントの全文(仮)』, 2022年。
外部リンク
- 排泄代行モーデル公式サイト
- アシスト宣伝部(アシ宣)アーカイブ
- 夜勤コメディ便 公式ミラー
- フォーム上の友情 特設ページ
- 笑務研究会 計測ログ倉庫