朝顔涼
| コンビ名 | 朝顔涼 |
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| キャプション | |
| メンバー | 朝顔昇、涼川了 |
| 結成年 | 1998年 |
| 事務所 | 北斗笑藝社 |
| 活動時期 | 1998年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 両者共同 |
| 出身 | 東京都渋谷区代々木の地下劇場 |
| 出会い | 専門学校の映像編集実習 |
| 同期 | 蒼天トリオ、夜汽車セブン |
| 影響 | 間の長い沈黙を笑いに転化する手法 |
| 現在の代表番組 | 朝涼タイムズ |
| 過去の代表番組 | 真夏の逆風会議 |
| 現在の活動状況 | 劇場出演、配信番組中心 |
| 受賞歴 | 関東若手演芸新人賞 審査員特別賞 |
| 公式サイト | 北斗笑藝社 公式プロフィール |
朝顔涼(あさがおりょう)は、の。に結成され、独特の「涼感ボケ」と呼ばれる間合いの長いで知られる事務所・所属[1]。一時はを拠点に活動し、ではに準決勝進出を果たしたとされる[2]。
メンバー[編集]
朝顔昇(あさがお のぼる)は、主にを担当する。身長178cm、細い声で一句だけ言い切る「朝顔締め」と呼ばれる持ち芸を持ち、の古書店街で鍛えた観察眼を武器にしていたとされる[3]。
涼川了(すずかわ りょう)は担当で、ネタ中に扇子を使って相手の言葉を物理的に“冷ます”所作で知られる。本人はこれを「温度管理」と呼んでおり、2020年頃からの若手芸人観察企画でしばしば話題となった[4]。
両者はともに立の夜間実習校で映像編集を学んでいたが、実際には「編集よりも無音の間が面白い」という理由でコンビを組んだとされる。なお、事務所では当初「朝顔昇涼川」として登録されていた時期があり、短期間だけ劇場の掲示が大変読みにくかったという逸話が残る。
来歴[編集]
結成まで[編集]
、代々木の地下スタジオ「スタジオ・アサッテ」において、朝顔昇と涼川了はの課題作品で組んだことをきっかけに意気投合した。課題では1分30秒の無音映像を提出したが、審査員から「最後の3秒だけ異常に面白い」と評され、これが漫才への転向を促したとされる[5]。
の養成部門に入所後、二人は第6期の中でも「沈黙の使い方が異常にうまい」と講評され、の、と並んで劇場の実験枠に起用された。特に、無言で客席に扇子を配るだけのネタが、なぜか満席回を出したことがある。
東京進出[編集]
には活動拠点をから神田に移し、昼は古書市、夜は小劇場という二重生活を送っていた。東京進出後しばらくは「朝顔涼の静かな方」と紹介されることが多く、コンビ名よりも舞台上の空気感が先に知られる奇妙な状態にあった[6]。
、の予選では、1回戦で係員が「ネタ時間が終わったのに終わっていないように見える」と記録したため、特例で25秒延長されたという。これが準決勝進出の決め手になったとされるが、公式記録には残っていない。
芸風[編集]
朝顔涼の芸風は、短い導入のあとに極端に長い間を置き、相方の発言を扇子や腕時計の音で遮る「涼感漫才」と呼ばれる形式である。観客が笑う前に一度静まり返るため、初見では不安を誘うが、終盤で一気に回収される構成が特徴である[7]。
ネタは主に両者共同で作成するが、朝顔昇が言葉の選定、涼川了が間の長さをミリ秒単位で管理する役割を分担していたとされる。2022年には、1本のネタにを含めて47回の無音区間を挟んだことが話題となり、「観客の呼吸まで計算している」と評された。
また、では極端に低温の喫茶店、風の止まった駅ホーム、そして冬だけ営業する銭湯など、季節感の崩れた舞台設定が多い。これらは「の世界では、笑いは体温差で起こる」とする独自理論に基づくものとされている。
エピソード[編集]
、文京区の劇場で行われたライブで、涼川了が本番直前に「今日の客席は乾燥している」と発言し、実際に加湿器が3台搬入された。この出来事が、以後の公演における“会場湿度チェック”の慣例につながったとされる[8]。
には、神奈川県のイベントで出番前に停電が発生したが、二人は懐中電灯を逆に使って影絵漫才を行い、予定より12分長く拍手が続いたという。主催者は「停電対応としては最も静かな奇跡だった」とコメントした。
一方で、に出した配信企画では、朝顔昇が開幕から終演まで一言も喋らず、涼川だけで28分喋り続ける実験回があった。視聴者アンケートでは「眠くなるのに最後まで見てしまう」が最多意見で、番組担当者は後日「テレビ向きではないが、やめる理由もない」と述べたとされる。
出囃子[編集]
出囃子は、架空の民謡をハープシコード風に編曲した『涼風の朝』である。イントロの最初の8小節にだけ極端な低音が入っており、これが二人の“来たのにまだ来ていない感じ”を象徴していると解釈されている[9]。
なお、の劇場では、この出囃子が流れると照明が通常より0.7秒遅れて落ちるよう設定されていた時期がある。これは演出ではなく、音響担当が「遅れた方が朝顔涼らしい」と主張したためだとされる。
賞レース成績・受賞歴[編集]
の『関東若手漫才選手権』では、3回戦で審査員3名が同時に時計を見たことが記録され、結果として「間の制御に対する特別評価」を受けた。これが後年の関東若手演芸新人賞・審査員特別賞につながったとされる[10]。
ではに準決勝進出、には準々決勝で敗退したが、敗退直後のコメントで朝顔昇が「負けたというより、まだ始まっていない」と述べ、ネット掲示板で長く引用された。
また、には『劇場ネタ大賞』で“最も客席の時計を見せた芸人”として特別表彰を受けた。これは正式な部門ではなく、主催者側の手書き賞状がそのまま採用されたものである。
出演[編集]
テレビでは、、、『深夜の編集室』などに出演したとされる。特にでは、毎回オープニングが始まってから本編に入るまで7分以上かかる構成が定着し、視聴者から「番組というより静かな習慣」と呼ばれた。
ラジオでは系の深夜枠で『扇子と時計』を担当し、放送事故寸前の沈黙を何度も成立させた。なお、2021年の特番では、二人が内の商店街を無言で歩くだけの企画が放送され、意外にも自治体広報に利用されたという。
映画出演は少ないが、の短編作品『冷えた拍手』で、朝顔昇が“拍手を待つ男”を演じて評価された。舞台ではの小劇場を中心に活動し、配信番組やネット配信での露出が増えたことから、近年は「劇場所属の静かな顔」として扱われている。
作品[編集]
CDとしては、ライブ収録音源『朝涼一号』が限定500枚で発売され、収録後半の無音トラックがファンの間で話題となった。DVD『朝顔涼の20分で分かる沈黙』は、再生時間の3分の1が客席のざわめきで占められている。
書籍化された企画『漫才の温度管理術』では、ネタの前に水分補給をしてはいけない理由が、12項目にわたって列挙された。編集者のあとがきによると、初稿は「完全に実用書だった」が、最終的には「半分だけ役に立つ本」になったという。
単独ライブ[編集]
単独ライブは『朝顔涼 第一回単独公演 風速0.2』を皮切りに、毎年1回のペースで開催されていた。特にの『冷夏のかたち』では、会場に置かれた扇風機が全編停止しており、演出なのか故障なのかが最後まで不明だった。
の『まだ涼しくない』では、全5本の新ネタのうち2本が「途中で帰った客にも伝わるように作られた」と宣伝され、結果として前売りが完売した。なお、終演後のアンケートに「内容は忘れたが温度は覚えている」と記入した客が最も多かったとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
北斗笑藝社 公式プロフィール
劇場アーカイブ 朝顔涼
お笑いデータベース「漫才年鑑」
朝顔涼ファン有志保存会
深夜番組資料室『朝涼タイムズ』
脚注
- ^ 佐伯真一『沈黙を笑いに変える技法』北斗出版, 2014, pp. 112-138.
- ^ 田中久美子『東京小劇場と若手漫才の変遷』芸能文化研究, Vol. 18, No. 2, 2016, pp. 41-59.
- ^ Michael R. Evans, "The Temperature of Timing in Japanese Manzai", Journal of Performance Studies, Vol. 9, No. 4, 2018, pp. 201-224.
- ^ 北斗笑藝社編『劇場年報2011』北斗笑藝社資料室, 2012.
- ^ 高橋廉『扇子と時計: 朝顔涼論』新潮芸能叢書, 2021, pp. 7-93.
- ^ 黒田夏生「無音区間の笑い——朝顔涼の実践から」『演芸学報』第12巻第1号, 2019, pp. 15-31.
- ^ Emily J. Carter, "Audience Heat and Comedic Silence", Comedy Quarterly, Vol. 5, No. 1, 2020, pp. 66-80.
- ^ 神田明『関東若手演芸賞の設計史』関東笑芸評論, 第7巻第3号, 2017, pp. 88-102.
- ^ 鈴木まどか『深夜帯における沈黙演出の研究』白灯社, 2022, pp. 145-171.
- ^ 『朝顔涼の20分で分かる沈黙』ライナーノーツ, 2023.
- ^ Peter L. Hammond, "The Complete Guide to Almost Nothing", Riverside Press, 2019, pp. 9-17.
外部リンク
- 北斗笑藝社 公式サイト
- 漫才資料館 朝顔涼アーカイブ
- 東京小劇場連盟 公演記録
- 朝顔涼 非公式ファン年表
- 深夜配信番組データベース