粛宗 VS アルベルト・フジモリ
| タイトル | 粛宗 VS アルベルト・フジモリ |
|---|---|
| 画像 | Sukjong_VS_Alberto_Fujimori_box.png |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | パッケージアート。二人の肖像が漢城とリマの地図上で背中合わせに描かれている |
| ジャンル | コンピュータRPG、外交シミュレーション |
| 対応機種 | ドリームポートII、ネオ・スレート、ヴァーチャルシェル |
| 開発元 | 東雲インタラクティブ 第四企画室 |
| 発売元 | 東雲インタラクティブ |
| プロデューサー | 相沢真紀夫 |
| ディレクター | 篠原ユン |
| デザイナー | 李・オルテガ・春香 |
| プログラマー | 小寺航平 |
| 音楽 | 朴ミンジュン |
| シリーズ | 時空外交録 |
| 発売日 | 2004年11月18日 |
| 対象年齢 | CERO B相当 |
| 売上本数 | 全世界累計84万本 |
| その他 | 通称はSVF。初回限定版には『外交通貨コイン6種』が封入された |
『』(しゅくそう ブイエス アルベルト・フジモリ、英: Sukjong VS Alberto Fujimori、略称: SVF)は、にのから発売された用。『』シリーズの第3作目であり、のとのを同一マップ上で対峙させることで知られる[1]。
概要[編集]
『』は、とを往復する架空のをテーマにしたである。プレイヤーは側の儀礼官または側の危機管理補佐として行動し、国家間の好感度ではなく「宮廷礼法値」と「即応統治値」を同時に管理する。
ゲームシステムの特徴として、会議を開くたびにとが干渉し、選択肢の一部が翌週まで消失する現象がある。また、戦闘は剣や銃ではなく、・・を投げ合う「文書戦闘」で進行し、これがシリーズの始祖・元祖であるの中でも最も奇妙な形式として評価されている。
キャッチコピー[編集]
キャッチコピーは「王冠は軽く、議事録は重い。」である。初期出荷版の帯ではこれが「王権は軽く、議事録はさらに重い。」と誤植され、回収騒ぎになったとされる[要出典]。
作品の位置づけ[編集]
本作はシリーズ第3作目であるが、前2作の路線から大きく転換し、要素を前面に押し出した。なお、後年の資料ではジャンル表記がと記されている版もあるが、これは流通会社の単純な貼り間違いとされる。
ゲーム内容[編集]
プレイヤーは1日を「朝議」「午餐」「夜議」の3フェーズで操作し、各フェーズごとに、、、のいずれかを選ぶ。選択肢は約147種類あるが、実際に最後まで使われるのは38種類にすぎず、残りは外交礼儀点が一定値を超えた際にのみ解禁される。
マップは等距離で描かれたとの二層構造になっており、途中での代わりに「パナマ縦断廊下」を通過する。ここではプレイヤーがを振ると航路が変形し、敵対勢力の視線を回避できるとされている。
ゲームシステム[編集]
システム[編集]
基本システムは、相手の機嫌を読みながら議題を積み上げる交渉型のターン制である。特にが満タンになると「正式謁見」に移行し、会話文がすべて漢文体になるため、プレイヤーは実質的に選択肢を読めなくなる。
戦闘[編集]
戦闘では、を遠距離武器、を範囲魔法として扱う。敵側のは1回の交戦につき平均23名が乱入し、会見疲労を最大で72%まで上昇させる。この仕様は発売当初から批判されたが、むしろ「史実に対する適切な疲労感」として支持する声もあった。
アイテム[編集]
アイテムには、、、などがある。特には、宮廷内の誰に貼られたかによって性能が変化し、貼付対象がだと通常の3倍の速度で議案が通るようになる。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、2人のプレイヤーがそれぞれ陣営と陣営に分かれ、30秒ごとに相手の年号を書き換える。オンライン対応版では、対戦相手が必ず時差12時間以上離れた場所に接続される仕組みがあり、これにより「先に議会が終わった方が勝つ」という独自ルールが成立した。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは「留守居モード」と呼ばれ、AIが自動で政務を進める。もっとも、AIはの古地図を優先して参照するため、実際には曲がる必要のない場所で毎回遠回りする。ユーザーの間では、これが本作最大の味わいであるとされている。
ストーリー[編集]
物語は、が夢の中で見た「海を越えて来る黄色い公文書」に端を発する。宮廷ではこれをと解釈する一派と、単なる輸入書類の夢だとする一派が対立し、やがてを用いて異国の統治者を召喚する計画へと発展する。
一方、側では、首都に突如として漢字の印章が降り注ぎ、官邸が「文化的な非常事態」に見舞われる。ここでプレイヤーは、両者のあいだに生じた「王権の正統性」と「即応性の政治」を調停し、最終的に上空で行われる合同閣議を成功させなければならない。
終盤では、両主人公が互いの時代を行き来しながら、どちらが先に「議事録を残すか」を競う。エンディングは6種類あり、最良ルートではがの国会で茶礼を執り行い、がで防災演説を行うという、極めて収まりの悪い結末を迎える。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は「慎重なる統治者」として登場し、主に儀礼と人事を担当する。ゲーム内では、彼の選択肢の7割が「保留」であり、これを活用すると会議が長引く代わりに宮廷評価が上昇する。
仲間[編集]
補佐役としてに似た影を持つ文書官、、らが加わる。とくには、、、、そして「儀礼沈黙語」の4言語を扱えるとされ、3分以上の沈黙を挟んでも発言が成立する。
敵[編集]
敵役としては、系の保守派、、さらに「議事録を勝手に編集する男」ことが登場する。最終ボスは本人ではなく、彼の影武者だとされるである。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、国家間の関係は「熱量」ではなく「紙の厚み」で測定される。これをと呼び、厚ければ厚いほど条約が安定する一方、机の脚が沈むために会議室の建物が傾く。
また、は本作独自の概念であり、異なる世紀の王や大統領を同じ議場へ呼び出して合議させる制度である。作中資料によれば、この仕組みはの紙問屋との速達局が偶然同じ日に停電したことから着想を得たという。
世界観設定は妙に細かく、たとえばが18度を下回ると忠臣が増え、29度を超えると閣議の議題が自動的に「冷房費」に変わる。なお、プレイヤーが一度も会見を開かないまま120日を経過すると、が自走してエンディングに入る仕様がある。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
企画は、東雲インタラクティブの社内勉強会で「最も相性の悪い歴史人物を対戦させると面白いのではないか」という発言から始まった。最初はとの案もあったが、会議が長引いた結果、より礼法と危機管理の対比が強い本作に落ち着いたとされる。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、前作の部分を担当していたが、本作では宮廷作法監修も兼任した。音楽のは、実在しないとの中間音色を作るため、の録音スタジオで3日間ほとんど寝なかったという。
音楽[編集]
サウンドトラックは、宮廷楽器を再構成した「殿上トラック」と、南米風の打楽器を混ぜた「リマ・モード」で構成される。主題曲「議事録は海を渡る」は、ゲーム開始からエンディングまで9回も別アレンジで流れ、そのうち2回は譜面が間違っているにもかかわらず採用された。
2005年にはより『Sukjong VS Alberto Fujimori Original Score: Cabinet of Echoes』が発売された。初回盤に同梱された解説書では、各曲の拍子が「外交上の都合により変更される場合がある」と注記されており、実際にライブ演奏時には奏者が2度も演奏停止を命じられた。
他機種版・移植版[編集]
2006年に版が発売された際、読み込み速度の改善と引き換えに、の判定が厳しくなった。これにより、同じ選択をしても会議が失敗する確率が上昇し、熱心なファンの間では「政治的に正しい劣化移植」と呼ばれた。
2008年にはへ移植され、携帯環境に合わせて「縦持ち専用の朝議モード」が追加された。また、2012年には対応をうたう配信版が一部地域で誤って掲載され、半年後に削除されたため、幻の移植として語られている。
評価[編集]
発売初週の売上は推定4万8000本で、同年末までに国内累計23万本、全世界累計84万本を突破したとされる。とくにとでは教育ソフトとして誤認されたことが追い風になり、学校の地理室で起動される例が相次いだ。
批評面では、風の匿名誌が「会議ゲームとしての完成度は高いが、正規の外交ルールから外れている」と評した一方、海外誌『Cabinet Weekly』は「RPGなのに最終的に机の脚を調整するゲーム」として高く評価した。なお、の審査会では、実際には対象外だったにもかかわらず、特別枠に入ったという伝説が残っている。
関連作品[編集]
続編として『』、外伝として『』が予定されたが、いずれも議題が多すぎて開発が止まった。派生作品には『』や、協力プレイに特化した『』がある。
また、テレビアニメ化企画『』も一時は進められ、全13話のうち9話まで絵コンテが存在したとされるが、最終的に「字幕が多すぎる」という理由で中止された。
関連商品[編集]
攻略本としては『』がより刊行され、付録に折りたたみ式の会議室図が付属した。書籍版では、ゲーム内で意味のない選択肢にも一つずつ解説が付けられ、読者からは「攻略というより公文書」と評された。
その他の関連商品として、、、が存在する。とくにノートは全64ページあるが、実際の記入欄は12ページしかなく、残りはすべて欄外注釈で埋まっている。
脚注[編集]
注釈[編集]
1. 本作の発売日については、流通伝票ではと記される例もあるが、公式にはで統一されている。
出典[編集]
2. 『時空外交録』シリーズの第3作目とする記述は初版マニュアルに基づくが、増補版では第2.5作目とされている。 3. 売上本数84万本は、アジア6地域の店頭集計と通販集計を合算したものとされる。
参考文献[編集]
・相沢真紀夫『時空外交録 設計白書』東雲出版、2005年、第2巻第1号、pp. 14-39。 ・朴ミンジュン「宮廷音楽の再記号化と会議BGM」『ゲーム音響研究』Vol. 7, No. 3, pp. 201-228. ・篠原ユン『文厚制の政治学』アストラ書房、2006年、pp. 55-91。 ・Linda H. Ortega, “Cabinet Battles in Transitional Chronologies,” Journal of Imaginary Interactive Studies, Vol. 12, No. 4, pp. 88-113. ・李・オルテガ・春香『漢城とリマのあいだ』東雲文庫、2007年、pp. 5-27。 ・田村精一『ドリームポートII完全解析』電脳文化社、2005年、第4巻第2号、pp. 132-159。 ・Carlos A. Mendez, “When Kings Become Moderators,” Latin Game Review, Vol. 3, No. 1, pp. 1-19. ・高橋鈴子『移植版における誤配信の文化史』都心学術出版、2010年、pp. 77-104。 ・東雲インタラクティブ編『Sukjong VS Alberto Fujimori 取扱説明書』2004年、pp. 3-48。 ・Margaret N. Chen, “The Paper Thickness Doctrine,” Proceedings of the Symposium on Fictional Ludology, Vol. 9, No. 2, pp. 44-67.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
東雲インタラクティブ公式アーカイブ
時空外交録資料館
架空ゲーム年鑑2004
会議ゲーム研究会
黄海デジタル博物誌
脚注
- ^ 相沢真紀夫『時空外交録 設計白書』東雲出版、2005年、第2巻第1号、pp. 14-39.
- ^ 朴ミンジュン「宮廷音楽の再記号化と会議BGM」『ゲーム音響研究』Vol. 7, No. 3, pp. 201-228.
- ^ 篠原ユン『文厚制の政治学』アストラ書房、2006年、pp. 55-91.
- ^ Linda H. Ortega, “Cabinet Battles in Transitional Chronologies,” Journal of Imaginary Interactive Studies, Vol. 12, No. 4, pp. 88-113.
- ^ 李・オルテガ・春香『漢城とリマのあいだ』東雲文庫、2007年、pp. 5-27.
- ^ 田村精一『ドリームポートII完全解析』電脳文化社、2005年、第4巻第2号、pp. 132-159.
- ^ Carlos A. Mendez, “When Kings Become Moderators,” Latin Game Review, Vol. 3, No. 1, pp. 1-19.
- ^ 高橋鈴子『移植版における誤配信の文化史』都心学術出版、2010年、pp. 77-104.
- ^ 東雲インタラクティブ編『Sukjong VS Alberto Fujimori 取扱説明書』2004年、pp. 3-48.
- ^ Margaret N. Chen, “The Paper Thickness Doctrine,” Proceedings of the Symposium on Fictional Ludology, Vol. 9, No. 2, pp. 44-67.
外部リンク
- 東雲インタラクティブ公式アーカイブ
- 時空外交録資料館
- 架空ゲーム年鑑2004
- 会議ゲーム研究会
- 黄海デジタル博物誌