龍が如く外伝 Dragon Quest
| タイトル | 龍が如く外伝 Dragon Quest |
|---|---|
| 画像 | Rggdq_cover.jpg |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | パッケージアート |
| ジャンル | コンピュータRPG |
| 対応機種 | ドリームウェーブ |
| 開発元 | 東城ソフト 第四制作部 |
| 発売元 | 東城ソフト |
| プロデューサー | 黒崎 恒一 |
| ディレクター | 橘 史朗 |
| デザイナー | 三沢 透 |
| 音楽 | 河合 早苗 |
| シリーズ | 龍が如く外伝 |
| 発売日 | 2008年11月27日 |
| 対象年齢 | CERO: D |
| 売上本数 | 初週18.4万本、累計92.7万本 |
| その他 | 通称は『DQ外伝』 |
『龍が如く外伝 Dragon Quest』(りゅうがごとくがいでん どらごんくえすと、英: Ryū ga Gotoku Gaiden: Dragon Quest、略称: RGGDQ)は、2008年11月27日に日本の東城ソフトから発売されたドリームウェーブ用コンピュータRPG。『龍が如く』外伝シリーズの第3作目であり、後年の都市伝説系コマンドバトルRPGの始祖・元祖である[1]。
概要・概説[編集]
『龍が如く外伝 Dragon Quest』は、歓楽街を舞台としているロールプレイングゲームであり、プレイヤーは元用心棒の桐生寺 龍也として操作する。通称は『DQ外伝』で、シリーズの第N作目として企画されたが、企画会議の途中で『龍』と『Quest』の相性が良すぎるとして、社内資料では一時的に「竜探索」と記載されていたとされる[2]。
キャッチコピーは「夜の街を、伝説で歩け。」である。なお、本作はメディアミックス前提で制作され、発売前から漫画化、舞台化、さらには深夜帯のテレビアニメ化計画まで進んでいたとされるが、実際には企画書だけが残されたといわれる。ゲーム史研究では、2000年代後半の国産RPGにおける“会話量の暴力”を象徴する作品として言及されることがある[3]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、街中での通常会話がそのままコマンド欄に流用される独自仕様があった。例えば「落ち着け」「いや、まだだ」「たぶん大丈夫だ」の3択が、回復・補助・威嚇のいずれにも対応する“感情連動メニュー”として実装されていたとされる[4]。
また、対戦モードでは最大4人による協力プレイが可能で、オンライン対応にも触れられていたが、実際に接続した利用者の約63%がロビー画面の蒸気演出で待たされ続けたという報告がある。なお、開発チームはこの挙動を「都会の孤独を表現する仕様」と説明したとされる。
戦闘[編集]
戦闘はアクションシューティングゲーム風の入力と、ロールプレイングゲーム特有の数値処理を混在させた半リアルタイム方式である。プレイヤーは攻撃の前に「名刺を切る」「肩を鳴らす」「場を読む」などの行動を選び、成功すると必殺技『組長算術』へ移行した。
一方で、ハンティングアクションの影響を受けた“追跡バトル”も存在し、敵を倒すより先にその所在をコンビニの防犯カメラ台帳から特定する必要があった。これにより、初回プレイでは平均2時間14分を捜査に費やすとされる。
ストーリー[編集]
物語は、神室町によく似た架空都市龍見市に、失踪した記憶を持つ男・桐生寺龍也が戻ってくるところから始まる。彼はかつて街の再開発計画を一度だけ止めた伝説の人物であったが、今作ではその功績が『街区整理の判子を押した男』として誤解されており、本人も訂正する機会を失っている。
中盤では、東城会に似た巨大組織東城連盟と、学術団体を装う竜クエスト研究会の対立が描かれる。研究会は「街の英雄譚はすべてコマンド化できる」と主張し、毎月第2水曜に東京近郊の貸会議室で戦闘会議を開いていたとされる。
終盤、主人公は都市地下に眠る『第七の竜印章』をめぐり、偽の王と真の営業部長のどちらを倒すかの選択を迫られる。なお、正規ルートではどちらを選んでも最終的にカラオケ大会へ移行するため、物語の着地点は発売当時の批評家を大いに困惑させた。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
桐生寺 龍也(きりゅうじ たつや)は本作の主人公である。関東一帯で“歩く決算書”と呼ばれた元用心棒で、戦闘よりも会話の圧で相手を倒す能力に長ける。なお、顔立ちは前作までの資料写真と微妙に異なるが、これは制作側が「朝焼けの照明で見え方が変わった」と説明したため、長らく仕様と誤認されていた。
相棒の伊地知 玲奈は、街の中古ゲーム店で勤務する自称占い師である。彼女はメインストーリーの半分を「たぶんこの先で何か起こる」で進めるが、意外にも的中率が高く、社内では“事前レビュー担当”と呼ばれていた。
仲間[編集]
仲間キャラクターとしては、元暴走族の料理人・樋口 剛、元税務署員の分析官・早乙女 澄子、そして記憶喪失の郵便局長・三島 一が参加する。彼らは全員が何らかの国家資格に近いものを持つが、作中ではほぼ役に立たない。
特に樋口は、通常攻撃でフライパンを振るうたびに周囲の敵の会心率を下げる特殊効果を持ち、発売後に「家庭科RPGの到達点」と評された[6]。
敵[編集]
敵対勢力は、東西の不動産業界を裏で操る悪役・鴉野 玄斎と、その部下である双子の営業マン兄弟からなる。彼らは毎回自己紹介に3分以上かけるため、戦闘BGMのほとんどが名乗りで埋まる構成になっていた。
また、隠しボス『メガロ・セイム』は、ゲーム内で唯一プレイヤーの選択肢を真似してくる存在であり、攻略班は「最も人間らしい敵」と記している。
用語・世界観[編集]
本作の世界観は、実在の繁華街と似た構造を持つ架空都市群「竜環都市圏」に支えられている。各区画には“飲食店レベル”“友情濃度”“看板の点滅速度”が設定されており、これらが住民の感情に影響すると説明される[7]。
用語面では、『Quest』が単なる冒険ではなく「借りを返しに行く行為」を意味する独自解釈が導入されている。また、プレイヤーが受け取るサブイベント名には「深夜の名刺」「空白の駐車場」「七枚目のレシート」など、妙に業務的な語が多い。
なお、作中に登場する『竜印章』は本来8個存在するとされるが、説明書では7個と書かれている。後年の資料では「1個は印刷ミスで消えた」と記載され、ファンのあいだでは半ば公認の神話となった。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
制作は2006年春、東城ソフト第四制作部の会議室で始まったとされる。もともとは街歩きアクションとして提案されていたが、プロデューサーの黒崎 恒一が「RPGにしないと会話が入りきらない」と判断し、急遽コマンド方式に変更された。
企画書には、当初から『龍が如く』の外伝として記載されていたが、社内プレゼンでドラゴンとクエストの語感が良すぎたため、海外担当が一時的に“和風ファンタジーの模倣”と誤認したという逸話が残る。
スタッフ[編集]
ディレクターの橘 史朗は、戦闘演出の参考として銀座の地下鉄通路を毎朝30分歩き、足音のテンポからバトルの間合いを決めたとされる。デザイナーの三沢 透は、看板のネオンを64種類描き分けるために、実際には存在しない『夜景色見本帳』を作成した。
また、音楽の河合 早苗は、主題旋律の制作時にドラムマシンではなく自動販売機の起動音を採用したとされる。これにより、街の生活音と戦闘曲がほぼ連続して聞こえるという奇妙な一体感が生まれた。
音楽[編集]
サウンドトラックは、ジャズ、演歌、シンセポップを無理やり接続した構成で、全38曲が収録された。主題歌『夜のQuestは終わらない』は、発売後に日本ゲーム大賞の音楽部門で特別賞を受けたという話があるが、授賞式の記録は一部欠落している[8]。
BGMの中でも『カウンターで待て』は人気が高く、ゲーム中で一度も流れないのにファン投票で1位を獲得した。これは試聴版のみで聴ける幻の編曲が強く支持されたためとされる。
なお、サントラ初回盤には「深夜の再生でのみ聴こえる環境音トラック」が付属していたが、実際には無音トラックであった可能性が指摘されている。
他機種版・移植版[編集]
翌年にはドリームウェーブ・ライト版が発売され、会話パートが約12%削減された代わりに、歩行時の足音だけが異常に高音化した。さらにバーチャルコンソール相当の配信サービス『デジタル商店街』にも移植されたが、配信開始から48時間でアイテム説明文の一部が方言化する不具合が見つかった。
その後、携帯電話向けの短縮版『Dragon Quest: Outside』が公開され、世界観が「待ち合わせの1駅前」にまで圧縮された。シリーズ関係者はこれを「携帯機時代の最も潔い切り詰め」と評したとされる。
評価[編集]
発売当初の評価は概ね高く、ファミ通クロスレビューでは37点を獲得したとされる。特に会話量、街の再現度、そしてメニューの“無駄な本気度”が高く評価され、初週18.4万本、累計92.7万本を記録した。これにより、本作はシリーズ初のミリオンセラー目前作として広く知られている[9]。
一方で、難解な用語体系と、戦闘中に突然始まるミニゲーム『名刺交換選手権』には賛否が分かれた。批評家の一部は「日本ゲーム大賞を受賞してもおかしくない出来」と評したが、別の媒体では「やりすぎたコンピュータゲームの遺産」とされた。
関連作品[編集]
続編として『龍が如く外伝 Dragon Quest II: 再会の書』が計画されたが、題名の長さが説明書の背表紙に収まらないことから、結局『外伝 II』として発売された。ほか、派生作に落ちものパズル『龍が如く外伝 Dragon Quest ふせんの塔』、冒険ゲームブック形式の『龍が如く外伝 Dragon Quest 選択肢の港』がある。
また、関連メディアとして小説『龍見市夜話』、ドラマCD『組長とレジ袋』、そして店舗別予約特典のマグカップに印刷されたミニ漫画『Questは一日一回』が存在する。
関連商品[編集]
攻略本としては『完全攻略 龍が如く外伝 Dragon Quest 黒き街の歩き方』がエンターブレイン風の体裁で刊行され、全416ページのうち約120ページがサブイベント一覧で占められていた。なお、巻末インタビューでは、開発スタッフが「敵を倒すより、コンビニを見つける方が大変だった」と語ったとされる。
そのほか、設定資料集、主題歌CD、香り付きしおり、そして予約特典の「五円玉型しおり」が販売された。特にしおりは、使うとゲーム内で1回だけ選択肢が増えるように見える仕様だったが、実際には印刷ズレでそう見えるだけだったという指摘がある。
脚注[編集]
注釈 [1] 発売元資料では略称が『RGGDQ』と記されているが、社内では『竜クエ』とも呼ばれた。 [2] 企画段階の資料は一部が焼失しており、初期設定の大半は元経理担当の記憶に依存している。 [3] ただし、この評価は後年のゲーム研究会報告書に基づくもので、一次資料は確認されていない。
出典 [4] 東城ソフト広報室『月刊プレスメモ 2008年12月号』第14巻第12号, pp. 4-9. [5] 河合 早苗「都市型回復アイテムの音響的設計」『ゲームサウンド研究』Vol. 8, No. 2, pp. 33-41. [6] 佐伯 誠『家庭科RPGの系譜』白鷺出版, 2011, pp. 88-91. [7] 竜環都市研究会編『竜見市都市感情論』風見書房, 2009, pp. 112-130. [8] 日本ゲーム音楽協会『2008年度授賞記録』第23巻第1号, pp. 17-19. [9] 望月 恒一「売上統計に見る“会話量”の市場効果」『デジタル娯楽白書』Vol. 5, No. 4, pp. 201-214.
参考文献[編集]
1. 黒崎 恒一『外伝企画書の余白』東城ソフト資料室, 2008. 2. 橘 史朗『夜の街とコマンド入力』白樺出版, 2010, pp. 14-57. 3. Margaret A. Thornton, "Dialogues in Urban RPGs" Journal of Interactive Folklore, Vol. 12, No. 3, pp. 201-228. 4. 河合 早苗『自販機音楽論』港町レーベル, 2012. 5. 佐藤 伸也『移植版における足音の文化史』ゲーム文化研究所, 2013, pp. 7-39. 6. M. Igarashi, "The Quest of the Neon City" Digital Myth Review, Vol. 4, No. 1, pp. 1-26. 7. 三沢 透『看板は語る』星雲書房, 2009, pp. 66-104. 8. 東城ソフト監修『龍が如く外伝 Dragon Quest 完全設定資料集』、2009. 9. 田村 直樹『ミリオン目前作の実態』文化通信社, 2011, pp. 120-149. 10. 小野寺 綾『選択肢の港—ゲームブック再興史—』水鏡社, 2014, pp. 41-73.
外部リンク[編集]
東城ソフト公式特設サイト
竜見市観光局アーカイブ
ゲームサウンド研究会資料庫
龍が如く外伝資料保管室
深夜コマンドRPG年表
脚注
- ^ 黒崎 恒一『外伝企画書の余白』東城ソフト資料室, 2008.
- ^ 橘 史朗『夜の街とコマンド入力』白樺出版, 2010, pp. 14-57.
- ^ Margaret A. Thornton, "Dialogues in Urban RPGs" Journal of Interactive Folklore, Vol. 12, No. 3, pp. 201-228.
- ^ 河合 早苗『自販機音楽論』港町レーベル, 2012.
- ^ 佐藤 伸也『移植版における足音の文化史』ゲーム文化研究所, 2013, pp. 7-39.
- ^ M. Igarashi, "The Quest of the Neon City" Digital Myth Review, Vol. 4, No. 1, pp. 1-26.
- ^ 三沢 透『看板は語る』星雲書房, 2009, pp. 66-104.
- ^ 東城ソフト監修『龍が如く外伝 Dragon Quest 完全設定資料集』、2009.
- ^ 田村 直樹『ミリオン目前作の実態』文化通信社, 2011, pp. 120-149.
- ^ 小野寺 綾『選択肢の港—ゲームブック再興史—』水鏡社, 2014, pp. 41-73.
外部リンク
- 東城ソフト公式特設サイト
- 竜見市観光局アーカイブ
- ゲームサウンド研究会資料庫
- 龍が如く外伝資料保管室
- 深夜コマンドRPG年表