黒麦茶
| コンビ名 | 黒麦茶 |
|---|---|
| 画像 | |
| キャプション | 左から霧島、麦原 |
| メンバー | 霧島 透・麦原 直人 |
| 結成年 | 2008年 |
| 事務所 | 東都エンタメ工房 |
| 活動時期 | 2008年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 麦原 直人 |
| 出身 | 、 |
| 出会い | 専門学校の夜間講座 |
| 旧コンビ名 | 深煎りボーイズ |
| 別名 | 黒ムギ |
| 同期 | 薄焼きせんべい、夜行性タイマー |
| 影響 | の生活漫才と後期のCMナレーション文化 |
| 現在の代表番組 | 『朝6時の試飲室』 |
| 過去の代表番組 | 『茶葉の気持ち』 |
| 現在の活動状況 | 関東ローカルを中心に活動 |
| 受賞歴 | 第14回深夜若手コント祭 準優勝 |
| 公式サイト | 東都エンタメ工房 公式プロフィール |
黒麦茶(くろむぎちゃ、英: Kuro Mugicha)は、を拠点とする。結成。深煎りのをめぐる世代間の誤解から生まれた“生活密着型しゃべくり漫才”で知られる[1]。
メンバー[編集]
霧島 透(きりしま とおる、生)はツッコミ担当で、舞台上では常に水差しを持つ振りをすることで知られる。もともとはの給食センターで配膳補助をしており、その経験が「一杯目の温度管理」という持ちネタに転化したとされる[2]。
麦原 直人(むぎはら なおと、生)はボケ担当兼ネタ作成を務める。大学時代にの茶業研究会へ出入りしていたが、研究会で扱われた焙煎済み大麦の見分け方を誤解し、「黒麦茶」という名称を“濃色の漫才”の比喩として使い始めたことがコンビ名の由来になったとされる。
二人とも正式な養成所出身ではなく、夜間の話芸講座で出会った後、の喫茶店「サミット」において3回だけ合同練習を行い、そのまま舞台に上がったという逸話がある。なお、初期は互いの発声が揃わず、出囃子より先に客席の湯飲みが並んでいたという証言もある[3]。
来歴[編集]
結成から初期[編集]
2011年頃からは活動拠点をに移し、生活用品を題材にしたしゃべくり漫才へ移行した。麦原が「黒い麦茶は健康によいのではないか」と言い張り、霧島がそれを論破する構造が定番となり、以後は“健康食品に見えるが中身は雑談”という芸風で人気を博した。
また、の自主公演『湯気が消える前に』で、来場者に配られた試供品のラベルがすべて手書きであったことから、観客が本当に商品説明会だと誤認した事件があった。この誤認が口コミで広がり、以後の集客に大きく影響したとされる。
東京進出[編集]
、地方劇場中心だった活動をやめ、のライブハウス群へ本格進出した。これによりネタ尺が7分から9分へ伸び、細かな注釈や沈黙を挟む形式が定着した。
進出直後はの深夜番組に一度だけ呼ばれたが、番組側が“黒麦茶”を民俗飲料と勘違いしたため、演目の半分が解説VTRで埋まったという。なお、同年の収録後、控室に残されたティーバッグが全て麦原の私物と誤認され、返却まで2か月を要した[要出典]。
芸風[編集]
黒麦茶の芸風は、を基調としつつ、途中で商品説明、健康講座、家庭科実習が混入する構成である。霧島が常識的な立場から突っ込み、麦原が「黒い麦茶には三段階の香ばしさがある」などともっともらしい理屈を重ねることで、観客を妙な納得へ導くのが特徴である。
ネタ作成は主に麦原が担当するが、霧島の給食現場の知見が細部に反映されるため、実際には共同執筆に近いとされる。特に「水出し」「煮出し」「再煮出し」の三段構えを時間差でボケにする手法は、の若手演芸界で“温度のある漫才”として知られるようになった。
コントでは、麦原が自治体職員、霧島が謎の試飲担当に扮する形式が多い。舞台上にとを同時に置くことから、観客の一部には科学実験の講義と誤解されることもある。なお、二人は「お笑いは湯気である」と公言していた時期があり、この発言が雑誌『演芸界の窓』で小さく批判された。
エピソード[編集]
、の寄席で披露したネタ中、麦原が「黒麦茶は夜に飲むと深い」と述べたところ、客席の年配者が本当に夜専用の飲料が存在すると信じ、終演後に売店へ詰め寄った出来事がある。これにより、劇場側は一時的に「夜間飲用の注意書き」を貼り出した。
また、の食品見本市にゲスト出演した際、霧島が試飲用の黒麦茶を「これは漫才の下地になります」と紹介し、会場の担当者がそのままPRコピーとして印刷したため、翌週のパンフレットに奇妙な文言が残った。黒麦茶側はこれを記念して、同文をプリントした手拭いを限定83枚だけ制作したという。
二人は非常に健康志向に見えるが、実際には舞台袖でを飲むことが多い。にもかかわらず、観客からは「本当に身体に良さそうなコンビ」と見なされており、この印象がテレビ起用の決め手になったとの指摘がある。
出囃子[編集]
出囃子は、風の軽快なブラスに、茶葉をこす音を重ねた独自の編集版『麦の舞』である。初期は無音で登場していたが、ネタ前の緊張を誤魔化すためにから導入された。
音源は内の小さな編集スタジオで制作され、最後に急須の蓋がずれる音が入っている。二人はこの音を「開演の合図ではなく、まだ飲めるという宣言」と説明している。
賞レース成績・受賞歴[編集]
の『第14回深夜若手コント祭』で準優勝し、以後は“準優勝の使い方がうまいコンビ”として注目された。決勝では、麦原が自治体の給茶機点検員、霧島が臨時監査役を演じるネタを披露し、審査員の一人が「ほとんど行政文書」と評した[5]。
には『M-1グランプリ』の予選二回戦で敗退したが、敗退コメントにおいて霧島が「お茶は冷めても話は冷めない」と述べ、SNS上で小さな流行語になった。なお、地方局主催のではに優勝している。
受賞歴としてはほかに、演芸協会の「新生活文化奨励賞」、および商店街連合会からの「湯飲みと笑いの友好章」があるとされる。後者は実在性が疑問視されたが、授与式の写真が妙に本格的で、関係者も説明をやめたという。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
『朝6時の試飲室』、『笑いの給湯室』、『深夜の一杯』などに出演した。とくに『朝6時の試飲室』では、霧島が一般家庭の茶葉管理を実演しながら、麦原が一切関係ない都市伝説を挟み込む構成が好評であった。
また、情報番組のコーナー「今朝の一杯」では、毎回違う湯温で同じボケを繰り返す実験的演出が行われた。視聴者からは「ためになるのか笑えばいいのか分からない」との感想が寄せられた。
ラジオ[編集]
『麦と湯気の間で』、『深煎りトーク・ナイト』にレギュラー出演した。二人とも低音が落ち着くため、深夜帯の相談コーナーと相性がよいとされた。
とくにの年末特番では、リスナーから届いた「麦茶を黒くする方法」の質問に対し、麦原が4分間無言でうなずき続けるだけの企画を成立させた。これは“ラジオで最も静かな瞬間”として一部で記録されている。
作品[編集]
CD作品としては、ライブ音源を収録した『一煎目の証明』、『二煎目までが本番』がある。いずれもネタとネタの間に茶葉の解説が入る構成で、ファンの間では“学習教材に見える音源”として扱われている。
DVD『黒麦茶のある生活』では、漫才に加えて町内会イベントでの即興コーナーが収録された。ここで麦原が配った試供ラベルが全て手作業だったため、盤面デザインよりもラベル貼りの精密さが話題になった。
書籍化はされていないが、に『芸人と飲料の境界線』という対談集へ寄稿し、二人の関係性が「コンビというより小規模研究会」と評された。
単独ライブ[編集]
単独ライブは『黒麦茶会議』『湯気のない夜』『深煎りの向こう側』などがある。特に『湯気のない夜』は会場空調の不調により、観客席にほとんど湿気がなく、結果としてネタの説得力が下がったが、その乾いた空気が逆に好評だったとされる。
内の小劇場を中心に年2回のペースで行われ、毎回物販の売れ行きが異常に安定している。手拭い、湯飲み、茶こし型キーホルダーが定番である。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 石塚、真琴『深煎り笑芸史 —生活漫才の成立と変質—』東都出版, 2019, pp. 44-67.
- ^ 小川、和久「黒麦茶にみる飲料比喩の演芸化」『演芸文化研究』Vol. 12, No. 3, 2021, pp. 115-132.
- ^ 藤本、綾『試飲とツッコミのあいだ』北辰書房, 2018, pp. 9-28.
- ^ Murata, S. “Tea-Stage Hybrid Comedy in Late-2000s Tokyo” Journal of Performing Arts and Beverage Studies, Vol. 7, No. 1, 2020, pp. 1-19.
- ^ 山根、景子「給食現場の言語が漫才に与えた影響」『現代口演学』第4巻第2号, 2017, pp. 88-101.
- ^ Henderson, P. and Ito, N. “Black Malt Infusions and Urban Humor” Tokyo Review of Social Performance, Vol. 5, No. 4, 2022, pp. 201-219.
- ^ 高瀬、歩『湯気の政治学』南風社, 2023, pp. 73-96.
- ^ Kobayashi, A. “The Aesthetics of Lukewarm Punchlines” International Journal of Comic Systems, Vol. 9, No. 2, 2024, pp. 55-70.
- ^ 長谷部、真一「コンビ名誤読がブランディングに転化する過程」『広告と演芸』第18巻第1号, 2016, pp. 13-29.
- ^ 『芸人と飲料の境界線』編集部『芸人と飲料の境界線』草風館, 2022, pp. 141-158.
外部リンク
- 東都エンタメ工房 公式プロフィール
- 黒麦茶 オフィシャルファン会報『湯気通信』
- 演芸資料室・黒麦茶特集
- 下北沢小劇場連盟 アーカイブ
- 深夜若手コント祭 公式記録