APキンドレッド
| タイトル | APキンドレッド |
|---|---|
| 画像 | Ap_kindred_cover.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 欧州版パッケージ |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | 第9世代端末 / ルミナ携帯板 |
| 開発元 | ルミナ・ヴァイン社 第三制作局 |
| 発売元 | ルミナ・ヴァイン社 |
| プロデューサー | 相沢ミハル |
| ディレクター | ノエル・ハーグレイブ |
| デザイナー | 鷺沼ユウ |
| プログラマー | マテオ・リンド |
| 音楽 | エレナ・フォルス |
| シリーズ | キンドレッド |
| 発売日 | 2006年11月17日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 全世界累計432万本 |
| その他 | オンライン対戦対応、限定版に紙製「APカード」同梱 |
『APキンドレッド』(英: AP Kindred)は、にのから発売された用である。通称は「APK」で、シリーズの第1作目にあたる『キンドレッド・ゼロ』の逆系統続編として知られている[1]。
概要[編集]
『』は、のが開発したであり、同社の社内統合規格「AP」シリーズの実験作として位置づけられている。だが実際には、旧来のの戦闘書式を無理やり高速化した結果として成立した作品であるとされる[2]。
本作は、空中都市《》を舞台として、プレイヤーが「キンドレッド適合者」と呼ばれる操縦者を操作し、敵性群体《》を撃退していく。ゲームシステムの特徴として、弾幕回避と味方召喚を同時に行う「親族連鎖システム」があり、発売当時から「落ちものパズルとの悪いところだけを融合した」と評された[3]。
また、キャッチコピーは「撃て、つながれ、血縁を更新せよ。」であり、シリーズの第1作目にあたる『キンドレッド・ゼロ』が秘伝書形式の実験作だったのに対し、本作は一般流通向けに整えられた初の商用作品であると説明されている。なお、販促資料ではしばしば「前提の骨格作品」と記されていたが、実際に展開されたのは菓子メーカーとの異常に細かい共同キャンペーンだけであった[要出典]。
ゲーム内容[編集]
プレイヤーは「適合者」を操作し、画面内に出現する敵群をショット、近接刃、補助装置《》で撃破する。通常攻撃は自動連射であるが、長押しすると機体内部の“親和値”が上昇し、一定値を超えると援護ユニットが分裂増殖する。この仕組みはゲームシステムの特徴として広く知られており、当時の開発陣は「プレイヤーが操作しているのは機体ではなく、機体同士の関係性である」と説明していた[4]。
敵を倒すと「縁片(えんぺん)」と呼ばれる通貨が落ち、これを用いての購入や必殺技の解禁が可能である。アイテムには、回復系の《》、一時的に弾速を反転させる《》、味方の口数を増やす《》などが存在した。とくに《白い爪楊枝》は、装備すると主人公の肩書きが一時的に「長子」に変化するという不可解な効果を持ち、攻略本の誤植から追加されたという説が有力である。
は2人対戦と4人混戦の両方に対応し、ローカル通信のみならず当時としては珍しいも実装されていた。ただし通信は1試合ごとに儀礼的な接続演出を挟む必要があり、実質的な待機時間がゲーム本編より長いとされた。一方では、敵の反応速度が妙に高く調整されており、発売後のアンケートでは「CPUが家族会議のように結託する」との回答が多数寄せられた[5]。
ゲームシステム[編集]
システム[編集]
本作の基本は2D見下ろし型であるが、特定条件を満たすと斜め45度の擬似立体表示に切り替わる。これは《》と呼ばれ、敵味方の関係線が可視化される独自仕様である。プレイヤーはショットのほか、3段階の「呼称変更」を用いて戦況を変化させることができ、たとえば仲間ユニットを「弟」に格下げすると速度が上がるが、防御力が著しく下がる。
また、コンボが継続すると画面端に「戸籍更新」の警告が表示され、これを無視して一定数以上の敵を撃破すると強制的にボス戦へ遷移する。開発資料によれば、これは当初「世帯分離システム」と呼ばれていたが、審査で問題視されそうになったため名称が変更されたとされる。
戦闘[編集]
戦闘では、敵の弾を避けつつ「血縁ゲージ」を伸ばし、満タン時に発動する《》で一掃するのが基本である。継承砲は最大7連鎖まで増幅し、理論上は1発で画面内の256体を同時撃破できるが、実際には演出が長すぎてボスが先に諦めることが多かったという。なお、一部の上級者は弾幕を避けずに親和値だけを上げる「受け継ぎ戦法」を編み出し、発売から3か月で公式大会の上位16名中9名が同一戦術を採用した。
ボスは全8体で、いずれも名前に家族関係を含む。とくに第6ボス《》は、撃破前にプレイヤーへ3回だけ敬語で話しかける特殊演出があり、ここで誤って「はい」を選ぶと難易度が1段階上昇する。
アイテム[編集]
アイテムはステージ中の自販機《》から入手するか、隠し条件を満たして「親戚棚」から回収する。中でも《》は、敵弾を散弾化する代わりに自機の移動音が大きくなるため、ステルス要素のあるステージでは事実上の罠であった。
攻略本の記述では、最強アイテムは《》とされているが、実際には特定のセーブデータ名を入力しないと解禁されず、しかも入手後はメニュー画面のフォントが一時的に明朝体へ変わるだけであった。この無意味な実装は後年「美術的な暴力」と評される。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、各プレイヤーが同時に別の“血統系統”を操るため、単純な撃ち合いでなく妨害と継承の奪い合いが中心となる。勝敗は敵撃破数ではなく、試合終了時に残った関係性スコアで決定され、互いに回復し合うほど得点が伸びるという逆説的な構造を持つ。
このため、上級者同士の試合はほぼ無言の合意形成となり、国際大会では10分間にわたり弾を出さずに見つめ合う試合が発生した。運営側はこれを「高度な心理戦」と説明したが、観客席からは総じて不評であった。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは、通信を使わずにひとりで進行する標準仕様である。しかし難易度は対戦向けのまま据え置かれていたため、序盤から妙に連携の取れた敵が出現し、プレイヤーが孤立感を覚えるよう調整されていた。
一部のレビューでは、「テレビの前で一人だけで親戚会議をさせられる」と表現されている。もっとも、この過剰な空気感こそが後に熱心なファンを生み、同人界隈では“沈黙を遊ぶゲーム”として再評価された。
ストーリー[編集]
物語は、の下層区画で働く配線技師レイ・キンドルが、謎の端末《AP-0》を偶然起動させるところから始まる。端末には失われた血族ネットワーク《》への接続機能があり、レイは自分が“第17代適合者”であることを知らされる。
中盤では、都市の各層に分散した7つの「系譜核」を回収し、都市上部を支配する評議会《》の陰謀を暴く展開となる。評議会は住民の家族関係を最適化することで治安を保っていたが、実際には余剰人口を「親族外」として切り捨てる制度を運用していたとされる。ここで主人公が手にする《》は、存在しない親族を一括登録できるため、倫理的に大きな議論を呼んだ。
終盤では、レイが自らの出生記録を確認した結果、実は自分が前作『キンドレッド・ゼロ』の試作機で分裂した“後継個体”であることが明かされる。ラストバトルでは、都市そのものが巨大な家系図演算装置へ変貌し、プレイヤーは「誰を継ぎ、誰を切るか」を入力しながら最終ボス《》と戦う。なお、真エンドは選択肢を1度も決定せず30秒待機すると開放されるが、この条件は発売後半年間ほとんど知られていなかった。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
レイ・キンドルは本作の主人公であり、寡黙だが操作入力にだけは異常に反応する青年である。設定上は下層区画の技師だが、初期装備が「家族写真のフレーム」であるため、プレイヤー間では“写真立ての男”として知られている。
仲間[編集]
《》は、戦闘中に補助砲台へ変形する通信士で、口癖は「血は薄いほど広がる」。また、《》は本来敵側の斥候であるが、条件を満たすと仲間化し、味方になると途端に料理を始めるという妙な特技を持つ。ファン人気が最も高いのは《》で、3人1組ながら常に1人しか画面に出ないため、存在確認が毎回話題になる。
敵[編集]
敵勢力は《》に属する機械群体で、形式上は自律兵器であるが、被弾時に妙に人間くさいため不気味さが強い。幹部級には《》《》《》などの個体が存在し、いずれも親族関係を示す肩書きを持つ。とくに《伯父機ギルバート》は、倒すたびに同じ説教を冒頭からやり直すため、攻略より先に精神が削られるとされた。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、人間関係がエネルギー資源として扱われており、血縁・婚姻・養子縁組のいずれも戦術値へ変換される。これを総称して《》と呼び、公式設定資料集では「関係性は弾薬である」と断言されている[6]。
また、《》は都市下層から上層までを結ぶ情報層であり、現実の住所録と死者名簿を同時に保持する巨大通信網として描かれる。ここにアクセスした者は、自分の家系だけでなく、まだ会ったことのない“将来の親戚”まで閲覧できるとされるが、この概念は発売前の審査会で最も理解されなかった部分でもある。
都市《》は、海上浮遊都市と工業港湾が一体化した構造を持つ。開発初期のメモではのとを足して二で割った景観が目標とされていたが、最終的には「どこにも似ていないが説明だけはやたら具体的」な背景へ収束した。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作はに開始された。元々は教育用端末向けの家系学習ソフトとして企画されたが、試作版があまりに高火力だったため、途中でアクションゲームへ転向したとされる。プロデューサーの相沢ミハルは、「家族を学ばせるとき、人はまず撃ちたくなる」と述べたと記録されている[7]。
開発初期には、実際の家系図データベースを用いる案もあったが、個人情報保護上の問題から断念された。その代替として、1000件以上の架空親族データを持つテンプレートが作成され、これが全NPCの会話パターンの基礎になった。
スタッフ[編集]
ディレクターのノエル・ハーグレイブは、過去にの独立系開発で知られていた人物とされ、本作では「撃つ速度より関係を結ぶ速度のほうが重要」という方針を打ち出した。デザイナーの鷺沼ユウは、敵キャラクターの肩書きを毎回3語以上にすることを義務化し、結果として社内の会議資料が異常に長文化した。
音楽担当のエレナ・フォルスは、弦楽器を逆再生したうえで電話帳を叩くという録音法を採用した。これにより、通常戦闘曲は「懐かしいのに落ち着かない」と評され、ボス戦曲は発売当時のゲーム雑誌で“結婚式場の非常ベル”と形容された。
音楽[編集]
サウンドトラックは、重低音の打撃音と家族コーラスを組み合わせた独特の構成である。全28曲のうち12曲に人名が含まれており、タイトルだけで家系図が作れると冗談を言われた。代表曲「March of the Eighth Cousin」は、のゲーム音楽イベント《》で再演され、観客が拍手のタイミングを失ったことで有名である。
また、限定版には「APテーマ・試聴盤」が付属し、これには未使用曲《》が収録されていた。最終版では尺の都合で削られたが、曲中に食器を並べる音が入っていたため、当時のレビューでは「もはや効果音ではなく家族制度そのもの」と評された。
他機種版・移植版[編集]
本作は当初専用であったが、のちににへ簡略移植され、さらにには向けの完全版『APキンドレッド・ハーモナイズド』が発売された。移植版では対戦モードが2人までに縮小された一方、オフラインモードに謎の家事ミニゲームが追加された。
には、旧サービス終了に伴いをうたう再配信版が登場したが、実際にはタイトル画面のみ再現され、ゲーム本編は別途ダウンロードする方式であった。この仕様は「形式上は復刻、実態は再会」と揶揄された。
評価[編集]
発売初週の国内販売本数は18万7000本で、最終的にはを突破した。シリーズ作品としては異例の伸びであり、を記録したことから、同社初の受賞候補にも挙げられた[8]。ただし受賞を逃した理由については、審査員の一部が「家族関係に弾幕は必要ない」とコメントしたという説がある。
レビュー面では、戦闘の独創性と設定の妙に高い評価が寄せられた一方、説明文の過剰な専門化や、ボタン一つで“叔父”に変化するUIは賛否が分かれた。特に海外版では、親族呼称のローカライズに苦戦し、翻訳チームが78通りの「いとこ」表現を作ったものの、最終的には6割が削除されたという。
関連作品[編集]
派生作品として、前日譚にあたる『』、外伝の『』、パズル化作品『』が存在する。さらに、シミュレーション路線へ寄せた『』は、シリーズ中で最も説明書が厚い作品として知られている。
また、の企画も一度進行したが、弾幕と家族制度の両立が困難と判断され、30秒のCM映像のみが放送された。このCMは後にファンの間で「実質アニメ」と呼ばれた。
関連商品[編集]
攻略本として『』がに刊行された。全416ページに及ぶが、そのうち84ページが「親和値の誤解」に割かれている。また、書籍『』は作品世界の設定を論じた準学術書として扱われ、一部の大学サークルで参考文献に指定された。
その他の商品として、限定版には紙製の《》、温度で色が変わる《》、そして使い道のない《》が付属した。名札シールは「誰を継ぐかを自分で決められる」と宣伝されたが、実際には全員同じ書体で印字されていた。
脚注[編集]
1. ^ 公式ティーザーパンフレットでは「逆系統続編」と表記されている。 2. ^ 開発元内部資料『APプロトコル試作集』より。 3. ^ 『月刊ヴァーチャルクロス』2006年12月号、pp. 44-47。 4. ^ ノエル・ハーグレイブ「操作対象は家族である」講演録。 5. ^ ルミナ・ヴァイン社ユーザーアンケート集計、2007年2月時点。 6. ^ 『AP理論基礎講義』初版奥付。 7. ^ 相沢ミハル回想録『発売日までの17か月』より。 8. ^ 受賞候補一覧は翌年の開催要項に準拠する。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
相沢ミハル『発売日までの17か月』ルミナ出版, 2008年.
ノエル・ハーグレイブ『操作対象は家族である』北大西洋ゲーム研究会, 2007年.
エレナ・フォルス『音楽で撃つ方法』ヴァイン・アーカイブス, 2009年.
鷺沼ユウ『画面端の戸籍学』第3刷, ルート社, 2010年.
Hargrave, Noel. "Kinship as Ammunition: A Post-Arcade Design Report." Journal of Fictional Interactive Systems, Vol. 12, No. 4, pp. 88-113.
Foulse, Elena. "Reverse Strings and Telephone Books in Game Scoring." Audio Myth Quarterly, Vol. 7, No. 2, pp. 19-38.
M. Lind, Mateo. "AP Packet Routing in Ninth-Generation Devices." North Atlantic Computing Review, Vol. 3, No. 1, pp. 1-24.
『ルミナ・ヴァイン社 社史2001-2011』社内資料編, 2012年.
藤堂和真『親族システムの設計と暴走』技術評論社風出版, 2011年.
『APキンドレッド 公式完全攻略書』ルミナ攻略本編集部, 2007年.
外部リンク[編集]
ルミナ・ヴァイン公式アーカイブ
APキンドレッド資料室
ミラージュ・アンカー観光局
キンドレッド年表館
北大西洋ゲーム博物誌
脚注
- ^ 相沢ミハル『発売日までの17か月』ルミナ出版, 2008年.
- ^ ノエル・ハーグレイブ『操作対象は家族である』北大西洋ゲーム研究会, 2007年.
- ^ エレナ・フォルス『音楽で撃つ方法』ヴァイン・アーカイブス, 2009年.
- ^ 鷺沼ユウ『画面端の戸籍学』第3刷, ルート社, 2010年.
- ^ Hargrave, Noel. "Kinship as Ammunition: A Post-Arcade Design Report." Journal of Fictional Interactive Systems, Vol. 12, No. 4, pp. 88-113.
- ^ Foulse, Elena. "Reverse Strings and Telephone Books in Game Scoring." Audio Myth Quarterly, Vol. 7, No. 2, pp. 19-38.
- ^ M. Lind, Mateo. "AP Packet Routing in Ninth-Generation Devices." North Atlantic Computing Review, Vol. 3, No. 1, pp. 1-24.
- ^ 『ルミナ・ヴァイン社 社史2001-2011』社内資料編, 2012年.
- ^ 藤堂和真『親族システムの設計と暴走』技術評論社風出版, 2011年.
- ^ 『APキンドレッド 公式完全攻略書』ルミナ攻略本編集部, 2007年.
外部リンク
- ルミナ・ヴァイン公式アーカイブ
- APキンドレッド資料室
- ミラージュ・アンカー観光局
- キンドレッド年表館
- 北大西洋ゲーム博物誌