Angel dust
| ジャンル | リズムゲーム用楽曲(ダーク・アンビエント調) |
|---|---|
| 読み | えんじぇる だすと |
| 主な収録先 | 、 |
| 作曲(とされる) | 架空名義:夕霧ユエリ(Yueryu Yueri) |
| BPM(推定) | 178〜182(譜面ごとに変動) |
| 初出(推定) | 前後 |
| テーマ | 名の連想により麻薬俗称を“言葉遊び”として扱う |
| 注意書き | ゲーム内の文脈以外での利用は違法性を含みうる |
Angel dust(エンジェル・ダスト)は、やなどのリズムゲームに収録されている楽曲として知られる[1]。曲名は(PCP)の俗名に由来するとされるが、当然ながら実際の購入・服用は推奨されない[2]。
概要[編集]
は、複数の音楽ゲームに移植・収録されているとされる楽曲である。特におよびでは、派手な発狂ゾーンと“空気感のある減衰音”を同時に求める譜面設計として話題になったとされる[1]。
曲名については、文字通り“天使の粉”を連想する一方で、(PCP)の俗名である「Angel dust」から取られたと説明される場合が多い。なお、ゲーム内での名称と現実の物質とは無関係であるとして扱われることが多いが、方向性指定どおり、購入・服用を示唆するものではなく、むしろ注意喚起として語られることもある[2]。
成立と命名の物語[編集]
“天使の粉”が音ゲーの文化語になった経緯[編集]
に東京の小規模スタジオで開催された「比喩だけで曲名を決める会」では、作詞者役の音響デザイナーが「歌詞は書かない。タイトルだけで“事故の予感”を鳴らす」と宣言したとされる。そこで最初に出た案が「Angel dust」であり、“粉”という語感に合わせて残響を粒子状に拡散させる実験が行われた[3]。
この会は近辺の会場(名称は「録音研究倶楽部新宿支部」)で全3日間行われ、最終日に採点ルールが妙に細かかったことが記録されている。採点は(1)音色の粒度、(2)視認性、(3)“タイトルから想像される危険度”の一貫性、の3項目で合計100点満点、ただし(3)だけ最大で15点のペナルティが課される設計だったという[4]。結果として「Angel dust」は“危険の比喩”として採用されたとされる。
譜面チューニングにおける“危険度”の換算[編集]
収録にあたって、譜面制作者は「危険度」を数式で扱ったと説明されることがある。具体的には、BPMを固定しつつ、ノーツ間隔の揺らぎ(ジッタ)を標準偏差σで管理し、σが0.12を超えると“危険の比喩が強い”と判断する運用が行われたとされる[5]。
向け版では、イントロの1小節目(1〜4拍)が“静かに始まるのに怖い”ように設計され、最初の同時押しが譜面上でちょうど7回出現する仕様になったという。さらに向け版では、空気感を強めるために減衰音のタイミングが小節境界から−23msに揃えられ、プレイヤーの耳の錯覚を狙ったとされる[6]。
ただし、これらの設定は制作資料としては確認できない“後付け解釈”として語られることも多い。とはいえ、当時のコミュニティで「Angel dustは“粉”の粒子が譜面の密度として見える」と評されたのは事実に近い言い回しとして残っている[7]。
楽曲の仕様(ゲーム内での“それらしさ”)[編集]
は、主に暗い質感のシンセと、唐突に開く高域帯が特徴とされる。プレイヤーの体感では、最初の40秒はBPMが一定に感じられるが、実際には182付近に“登る区間”があるとされる。譜面の難易度帯ごとに、同時押しの比率と、スライド(またはホールド)の密度が調整されているという[8]。
では、いわゆる“押しっぱなし系”の救済を最低限にしつつ、ミス時のフィードバック(画面反応)を派手にする傾向がある。これにより、タイトルが持つ不穏さが“ゲームの失敗体験”と結びつきやすいと指摘されることがある[9]。
またでは、同曲の解釈が“天使の粉=白い残響”へ寄せられ、効果音が粒子雪のように段階的にフェードすると説明される場合がある。ただし、これらは公式の同一根拠で提示されたわけではなく、プレイヤー間の実測・推定が中心であるとされる[10]。
誰が関わったか(制作側と“噂”側の二層構造)[編集]
制作クレジットと“匿名の監査人”[編集]
制作クレジットは、実在性の曖昧な名義で提示されたとされる。とりわけ、作曲として「夕霧ユエリ(Yueri Yueryu)」が挙げられた例があるが、同名義の別作品が確認されないことから、“統合作業だけをした人物”だと解釈される場合がある[11]。
一方で、音源の監査役として「匿名の監査人(通称:薄明監査室)」が関与したという噂がある。薄明監査室は、東京都に“存在するらしい”とされる編集・校正の外注機関で、社名の正式公開はされないという設定で語られてきた[12]。ここでも“粉”の比喩に合わせた校正(音圧の微粒化)を命じた、という逸話がある。
コミュニティが勝手に補完した“由来の確定”[編集]
楽曲の由来は、コミュニティが先に“確定”させてしまうことで拡散したとされる。まず掲示板で「曲名がPCPの俗名だと知った」と投稿され、その後に“なぜ音ゲーがそんな名前を?”という疑問が連鎖した[13]。
その疑問に対して、ある解析好きなプレイヤーが「BPMが178〜182の範囲なのは、単なる偶然ではなく“数字の縁起”を当てている」と主張したという。さらに別のプレイヤーは、CHUNITHMのスキン切り替え時刻が“偶数秒に偏る”と検証し、そこから“偶数=粉の散り方が二分される”というこじつけを作ったとされる[14]。
こうした補完が積み重なることで、最終的に「Angel dustは麻薬の俗名に由来する。だから当然だが購入・服用は絶対にしてはいけない」という注意が、プレイヤー文化として半ば標語化したと説明されることがある。なお、この“注意”が公式にいつ付与されたかは資料が定まっていないとされる[15]。
社会的影響と“比喩の危険性”[編集]
というタイトルは、麻薬俗称を連想させるため、音ゲー文化の外でも話題になりやすい。特に「ゲーム内のダーク表現が現実の危険とどう関係するのか」という議論が、音響系の勉強会や学生サークルで繰り返されたとされる[16]。
一部では、危険な言葉を“安全化”することに成功した例として扱われることがある。つまり、プレイヤーが“知ってしまった単語”をゲームの文脈で反省し、現実の行為を避ける方向へ誘導されたという主張である。ただし一方で、言葉の連想だけが独り歩きし、「結局それって何なの?」という検索行動を増やすのではないかという懸念も出たとされる[17]。
また、音ゲーの難易度が上がるほど“言葉の不穏さ”が増幅して感じられるという心理的フィードバックが語られている。実測として「クリア率が下がるほど、曲名から想像する危険度が上がる」とする小規模アンケート(回答者62名)が紹介されたことがあるが、統計的妥当性は不明であると注記されている[18]。
批判と論争[編集]
曲名が現実の物質名(俗名)と重なる点について、批判は早かったとされる。批判側は「“当然だが絶対に購入・服用してはいけない”という注意が、いつの間にか免責の儀式になっている」と主張したとされる[19]。
反対に、擁護側は「音ゲーは比喩で世界を作る娯楽であり、危険性を学習するきっかけにもなる」と反論した。さらに擁護側は、制作チームが少なくとも注意文言を“ゲーム内で視認できるタイミング”に置いたはずだと推測している。ただし、そのタイミングがどのバージョンで行われたかは、プレイヤーの記憶頼りであるとされる[20]。
論争が最も加熱したのは、ある改造ツールが出回り、譜面説明欄に“誤った由来文”が自動挿入されるようになった時期である。結果として、曲名の意味が誤解され、検索と拡散が加速したと報告された。この件は後に修正され、現在は少なくとも公式配布の範囲では誤導文が表示されないとされるが、過去データの完全復元は難しいとされる[21]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 朽木レイ『音ゲー譜面に潜む比喩言語の研究』電子音楽学会出版局, 2021.
- ^ 中原サヤカ『タイトルから始まる聴覚リスクコミュニケーション』第3巻第2号, 音響文化研究叢書, 2020.
- ^ R. Halcrow, “Semantic Parody in Arcade Rhythm Games,” Vol. 12, No. 4, Journal of Player Semantics, 2019.
- ^ 佐久間オト『残響の粒子化とUI演出の相関』『音圧工学論文集』pp. 77-96, 2022.
- ^ Dr. Leon Varga, “Jitter as Narrative Device in Timing-Based Games,” pp. 201-233, International Conference on Game Sonics, 2018.
- ^ 李廷赫『難易度設計と危険度の錯覚モデル』『ゲーム心理学通信』Vol. 7, pp. 51-63, 2023.
- ^ 薄明監査室編『匿名監査の実務:音源校正の現場から』第2版, 夜光校正協会, 2017.
- ^ 藤堂ユイ『地名と制作現場:首都圏の小規模スタジオ史』pp. 13-44, 都市音楽史学会, 2024.
- ^ M. Okada, “When Lyrics Are Absent: Titles Still Speak,” Vol. 5, Issue 1, Studies in Absence Media, 2021.
- ^ 『CHUNITHM収録楽曲索引(改訂版)』音ゲーアーカイブ編集部, 2020.
外部リンク
- 譜面ログ解析センター
- 音ゲー比喩辞典
- タイトル由来アーカイブ
- 残響粒子実験室
- 薄明監査室データポータル