Ghino
| 名前 | Ghino |
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| 別名 | ジノ |
| 出生名 | Ghino |
| 出身地 | 東京都下北沢 |
| ジャンル | オルタナティブ・ポップ、シンセポップ、ポスト・シティポップ |
| 職業 | バンド |
| 担当楽器 | ボーカル、ギター、キーボード、ドラムス |
| 活動期間 | 2011年 - |
| レーベル | Mosaic Harbor Records |
| 事務所 | 合同会社ノード・アンド・コイル |
| 共同作業者 | 三枝透、春日井レイ、浜田ユウ、久留米アヤ |
| メンバー | 三枝透、春日井レイ、浜田ユウ、久留米アヤ |
| 旧メンバー | なし |
| 公式サイト | ghino.jp |
Ghino(ジーノ)は、日本の4人組オルタナティブ・ポップバンドである。所属事務所は。レコード会社は。2011年に結成、2015年にメジャーデビュー。略称および愛称は「ジノ」。公式ファンクラブは「Ghino Room」である。
概要[編集]
Ghinoは、を拠点に活動するの4人組バンドである。電子音響と生演奏を往復する制作姿勢で知られ、都市のノイズを“可聴化した”ようなサウンドが特徴とされるのメジャーデビュー以降、深夜帯のや短尺のを通じて知名度を拡大した。
バンド名は、創設期に使用していた録音機材の型番「GH-10」に由来するという説が有力であるが、メンバー自身は「呼びやすさのために母音を足しただけ」とも述べており、由来は長らく半ば伝説化している。なお、初期にはの配布音源がのライブハウス関係者の間で回覧され、のちにと称されることもある独特のサビ構成が注目された[1]。
活動の軸は一貫しているわけではなく、初期のギターポップから、後年の機械的な拍のゆらぎを前面に出した楽曲へと変化している。一方で、歌詞に、、などを繰り返し持ち込む作風は維持されており、評論家の間では「生活圏の抽象化」と評されることが多い[2]。
メンバー[編集]
Ghinoは、(ボーカル・ギター)、(キーボード・コーラス)、(ベース)、(ドラムス)の4人で構成される。結成当初は三枝と春日井の2人で始まったが、2012年春に浜田、同年夏に久留米が加入し、現在の編成が固まった。
三枝はほぼ全曲の詞曲を担うが、実験的な曲では春日井がとしての役割を兼ねることがある。浜田はライブでの拍の保持に定評があり、久留米は演奏中に小型メトロノームを衣服の内側に仕込むという癖があるとされるが、本人は「湿度対策である」と説明している[3]。
バンド名の由来[編集]
バンド名の由来については複数の説がある。最も流布しているのは、下北沢の中古機材店で入手したデッキの管理番号「GHINO-4」に由来するというものであるが、店側の記録は火災で失われており、確認はできていない。
別の説では、三枝が学生時代に読んでいたイタリア語辞典の欄外にあった「ghino」という誤植を気に入り、そのまま採用したという。これについては「意味がない語ほど、歌詞に入れたときに意味が増える」と語ったとされるが、発言の初出は不明である[要出典]。
なお、ファンクラブ名の「Ghino Room」は、当初候補だった「Ghino Hall」「Ghino Pantry」を退けて決まったもので、メンバーは「部屋くらいの距離感がいちばんちょうどよかった」と回想している。
来歴[編集]
結成からインディーズ期[編集]
、三枝透と春日井レイは、の地下スタジオで月1回のセッションを始め、これがGhinoの原型になったとされる。最初期の録音は、ラップトップ1台、安価なマイク2本、壊れかけたリズムボックス1台という極端に簡素な編成で行われた。
には自主制作EP『Window Tax』を300枚限定で頒布し、ライブ会場の物販で「1人2枚まで」と制限した結果、開演前に完売したという。のちにこのEPは、の中古盤市場で異様な高騰を見せ、2020年頃には未開封品が2万8,000円前後で取引されたとされる[4]。
メジャーデビュー[編集]
、GhinoはMosaic Harbor Recordsからシングル『夜の輪郭』でメジャーデビューした。表題曲はで最高7位を記録し、深夜アニメのタイアップが付いたこともあって、累計売上枚数は14.6万枚に達した。
デビュー時のキャッチコピーは「都市を、少しだけ遅れて鳴らす」であり、当時の広報資料では「アナログの手触りを残した未来派ポップ」と説明されていた。もっとも、ジャケット写真の背景に写り込んだの工事用仮囲いがあまりに象徴的だったため、以後しばらくは“工事のバンド”として記憶されたという。
2017年から2019年[編集]
のアルバム『Kinetic Sleep』で、Ghinoは楽曲尺を一曲平均3分12秒へと急激に短縮した。この時期の制作では、1日あたり最大17テイクを録るルールが設けられ、超過分は翌日に持ち越されたため、レコーディング合宿が常に2日遅れで進行するという奇妙な慣習が生まれた。
には全国12都市を回る初のホールツアーを実施し、公演でのアンコール中に停電が発生したが、会場スタッフが非常灯を点けたまま演奏を続行したことで「逆に最も完成度が高かった」と評された。なお、この公演の音源は後に配信限定で公開されたが、停電時の観客の拍手が音圧処理で過剰に持ち上げられたため、実際よりも歓声が大きく聞こえる。
2020年以降[編集]
以降は制作体制を自宅録音中心に移し、オンライン上での断片的な公開が増えた。特にシングル『窓辺のプロトコル』は、ストリーミング累計1.8億回再生を突破し、Ghinoの名を一般層へ押し広げたとされる。
には活動10周年記念企画として、での特別公演「Ghino / Room Tone」を開催した。公演では、曲間の無音部分を含めて1曲と数える演出が話題を呼び、来場者アンケートでは「途中で音が消えたのかと思った」が最多コメントだったという[5]。
音楽性[編集]
Ghinoの音楽性は、、、を基調としつつ、ギターのリフに由来の細かい反復を差し込む点に特色がある。評論では、空間系エフェクトを多用する一方で、ベースとドラムが極端に乾いているため、音像が「濡れているのに床は乾いている」と表現されることがある。
作曲面では、三枝がメロディの先に歌詞を置くことを嫌い、まず語感の断片を並べてから旋律へ落とし込む方法を採る。春日井はを用いて偶発音を設計し、浜田は7拍子と4拍子を1小節内で切り替える手癖があるため、楽曲はしばしば「踊れるが数えにくい」と評される。
人物[編集]
三枝透は、ライブ会場入りの際に必ず同じコンビニで炭酸水を1本買う習慣があり、各地のスタッフから“炭酸水の人”と呼ばれている。春日井レイは機材の配線を色ではなく触感で覚えることで知られ、配線表を失っても30分ほどで復旧できるとされる。
浜田ユウは寡黙だが、アンプの温度変化にだけは異常に敏感で、夏季公演ではサウンドチェック前に必ず5分間、スピーカーの前に立って「慣らし」を行う。久留米アヤはMC担当ではないにもかかわらず、ツアー中に最も長く話すことが多く、観客からは「最後に全員を回収する人」と呼ばれている。
4人に共通するのは、日常会話の語尾がやや資料的である点である。これは結成初期に、練習後の反省会を議事録形式で書いていた名残とされる。
評価[編集]
Ghinoは、デビュー当初こそ「耳あたりのよい実験音楽」として扱われたが、2010年代後半には都市型ポップの更新例として再評価された。の音楽雑誌『Sound Ledger』は、彼らを「令和期の夜更けを記述する最も手堅いバンド」と評し、『The Harbor Review』は「日本語の子音の置き方に、妙な建築性がある」と書いている[6]。
一方で、一部の批評家からは「凝りすぎていて、通勤中に聴くと駅を1つ乗り越してしまう」との批判もあった。ただし、こうした論評が逆に“集中を要するポップス”としての地位を固めた側面もあり、長年に渡る活動と功績がゆえに、ライブ盤の発売ごとに品切れが発生する現象が定着した。
受賞歴・賞・記録[編集]
Ghinoはに相当の架空部門「夜間部門賞」を受賞し、には「最も静かな大合唱を生んだ作品」として協賛イベントの特別表彰を受けた。これは、サビの音域が低く、観客が声を張らずに一体感を作れることが評価されたためである。
記録としては、『窓辺のプロトコル』の配信開始から72時間での再生数が420万回を超えたこと、また城ホール公演でのグッズ販売が開始35分で完売したことなどが挙げられる。なお、ライブ会場での公式アンケート回収率が常に92%前後を維持していることも、地味ながら特筆すべき実績とされる。
ディスコグラフィ[編集]
シングル[編集]
『夜の輪郭』(2015年) - メジャーデビュー作。深夜帯ドラマのタイアップが付いた。
『窓辺のプロトコル』(2020年) - ストリーミングで大きく伸びた代表曲。
『舗道の余白』(2022年) - 配信限定で先行公開され、歌詞カードに実際の歩道の目地寸法が記載されていたことで話題となった。
アルバム[編集]
『Kinetic Sleep』(2017年) - 1stアルバム。収録14曲中6曲が4分未満で、初期像を決定づけた。
『Room Tone City』(2021年) - 都市の環境音を再構成した作品で、実地録音にの高架下が使われた。
『After the Signal』(2024年) - 最新作。サビが来る直前に無音を置く手法が徹底され、リスナーからは「サビ待ちの美学」と呼ばれた。
映像作品[編集]
『Ghino Live at NHK Hall 2023』は、特殊な照明設計と観客側の手拍子を別系統で収録したことで知られる。Blu-ray版には、アンコール前の8分間の暗転が丸ごと収録されており、ファンの間では最も“集中力を試される映像作品”として有名である。
ストリーミング認定[編集]
Ghinoの楽曲は、の正式な認定体系とは別に、配信各社の内部指標で独自に可視化されることが多い。『窓辺のプロトコル』は時点で1.8億回再生を突破し、同曲の派生リミックス3種を合算すると2.2億回を超えたと発表された。
また、アルバム単位では『Room Tone City』が累計48万回の連続再生プレイリストに組み込まれたことがあるが、これは「作業用BGM」としてではなく「作業が進みすぎて不安になる音楽」としての需要が大きかったと分析されている[7]。
タイアップ一覧[編集]
『夜の輪郭』 - 系深夜ドラマ『午前2時の返品』主題歌。
『窓辺のプロトコル』 - スマート家電メーカーのブランドムービー曲。
『舗道の余白』 - の駅ナカ短編映像企画『ホームの端で、』タイアップ。
『After the Signal』 - 物流企業の採用CM楽曲。
『Room Tone City』 - の都市景観PR施策「静かな東京」イメージソング。
ライブ・イベント[編集]
Ghinoは、クラブ公演からホール公演まで幅広く行っている。特に以降は、ライブ中に客席照明を極端に暗くし、開演後10分間はステージの輪郭だけで進行する演出が定番化した。
代表的なツアーとしては、2018年の「Hush Corridor Tour」、2021年の「Room Tone City Tour」、2024年の「AFTER THE SIGNAL Tour」があり、いずれも追加公演が発生した。なお、2021年ツアーでは地方会場で湿度が上がりすぎ、春日井のシンセが3曲目で1回だけ別の音程を返す事態が起きたが、観客の大半は演出だと思ったという。
出演[編集]
Ghinoは音楽番組への出演も多い。『』相当の架空番組『Sound Station』や、の『おはよう日本・音楽室』などで演奏を行い、テレビでは短時間で印象を残す構成に強みを見せた。
ラジオでは風の深夜番組『Night Grid』にレギュラー出演し、メンバーが毎回「今週の都市ノイズ」を持ち寄る企画があった。映画出演は少ないが、2022年の短編映画『信号のあとで』で三枝が本人役、久留米が館内放送役として声の出演を行っている。CMは前述のAster Loomのほか、文具メーカーの受験応援キャンペーンなどにも起用された。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
Ghinoはに初出場を果たした。披露曲は『窓辺のプロトコル』で、冒頭の無音3秒を含む構成が物議を醸したが、実際には番組側が「静かすぎるのも年末らしい」と判断したため、そのまま放送された。
なお、ステージ上の演出として、駅の発車標を模したLEDが背後に設置され、歌唱終了直後に「終電接近」の表示が出たことがSNSで拡散された。この演出は後日、制作サイドが「偶然の一致ではない」と説明したが、詳細は明らかにされていない。
脚注[編集]
1. Ghino結成初期の内部資料『Session Notes 2011-2012』による。 2. 佐伯一真「都市ノイズの歌詞化とその受容」『現代ポップ研究』Vol. 8, No. 2, pp. 41-58, 2022. 3. 久留米アヤの発言は『Night Grid』第114回放送で確認できるとされる。 4. 佐藤洋介『自主制作盤市場の変遷 下北沢編』音楽資料社, 2021, pp. 113-117. 5. NHKホール公演の来場者アンケートは主催者集計による。 6. Margaret L. Thornton, “Soft Noise and Hard Corners: Tokyo Pop After 2015,” The Harbor Review, Vol. 14, pp. 201-219, 2023. 7. 配信各社の内部統計は一般公開されていないため、詳細は不明である。
参考文献[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
公式サイト
Mosaic Harbor Records 公式アーティストページ
Ghino Room 公式ファンクラブ
Ghino Archive Project
Night Grid アーカイブ
脚注
- ^ 佐藤洋介『自主制作盤市場の変遷 下北沢編』音楽資料社, 2021, pp. 113-117.
- ^ 佐伯一真「都市ノイズの歌詞化とその受容」『現代ポップ研究』Vol. 8, No. 2, pp. 41-58, 2022.
- ^ M. L. Thornton, “Soft Noise and Hard Corners: Tokyo Pop After 2015,” The Harbor Review, Vol. 14, pp. 201-219, 2023.
- ^ 大庭真琴『深夜帯タイアップ史』彩光出版, 2020, pp. 76-88.
- ^ 青木俊介「ライブハウス文化における無音の演出」『音響文化学報』第12巻第1号, pp. 5-21, 2019.
- ^ Claire Bennett, “Playlist Labor and Urban Memory,” Journal of Popular Sound Studies, Vol. 6, No. 4, pp. 88-104, 2021.
- ^ 田中一成『配信時代の売上認定とその周辺』港湾新書, 2024, pp. 9-27.
- ^ 山本ひかる「紅白歌合戦における“静かな演目”の研究」『放送芸能史紀要』第5号, pp. 131-149, 2024.
- ^ Eiji Morita, “Mechanical Warmth in Japanese Alternative Pop,” Sonic Cartography, Vol. 9, pp. 55-73, 2022.
- ^ 久保田紫乃『工事現場とポップの関係』光文社音楽選書, 2018, pp. 201-206.
- ^ Michael A. Reed, “The Silence Before the Hook,” Asian Music Quarterly, Vol. 17, No. 1, pp. 12-29, 2025.
外部リンク
- Ghino 公式サイト
- Mosaic Harbor Records 公式ページ
- Ghino Room 公式ファンクラブ
- Ghino Archive Project
- Night Grid 番組アーカイブ