WiiFitアイスクライマー
| タイトル | WiiFitアイスクライマー |
|---|---|
| 画像 | WFIC_Logo.png |
| 画像サイズ | 320x180 |
| caption | 「氷の上で姿勢を整えろ」という謎の開発スローガンが刻まれている |
| ジャンル | アクションRPG / 体力ログ連動型 |
| 対応機種 | WiiFitボード |
| 開発元 | 雲上エクササイズ研究所 |
| 発売元 | 健康航路エンタープライズ |
| プロデューサー | 青嶋カズオ |
| ディレクター | 南風(はえ)モモ |
| デザイナー | 氷室トク |
| プログラマー | 柾木(まさき)ラムダ |
| 音楽 | 氷華レイ・アンサンブル |
| シリーズ | WiiFitクラブ |
| 発売日 | 2009年12月3日 |
| 対象年齢 | C(12歳以上推奨) |
| 売上本数 | 全世界累計132万本(初年度換算) |
| その他 | 姿勢ログを基にした“氷耐性”育成が特徴 |
『WiiFitアイスクライマー』(略称: WFIC)は、[[2009年]][[12月3日]]に[[日本]]の[[雲上エクササイズ研究所]]から発売された[[WiiFitボード]]用[[アクションRPG]]である。[[WiiFitクラブ]]の派生シリーズ第1作目とされる。なお、同作品では[[WiiFitトレーナー]]と[[アイスクライマー]]が同一系統の身体計測技術として統合されていると説明される[1]。
概要[編集]
『WiiFitアイスクライマー』(略称: WFIC)は、体重計測と氷登攀アクションを結びつけた[[WiiFitクラブ]]の派生作品として位置づけられている。開発当初は単なる運動ゲームの追加モジュールにすぎなかったが、氷上でのバランス失敗が「転倒」ではなく「戦闘不能」扱いになる設計思想が注目され、[[アクションRPG]]へ拡張された経緯がある[1]。
本作の最大の特徴として、プレイヤーは“エクササイズ記録者”として操作し、[[氷の山脈]]に見立てたトレーニングコースを攻略することが挙げられる。さらに、当時の販促資料では「[[WiiFitトレーナー]]と[[アイスクライマー]]は同一身体モデルである」との説明が併記されており、後年の対戦格闘系メディアで「同一キャラと見做す世間の声」が広がった背景の一端となったとされる[2]。
ゲーム内容[編集]
ゲーム内容は、氷点下環境における運動能力の“ログ読み取り”と、登攀戦闘を組み合わせた形式である。プレイヤーは[[氷耐性]]を数値化するために、毎章冒頭で決められた姿勢(例: 「片脚雪上立ち・前傾25度」)を実行し、達成度に応じて攻撃の軌道や滑り止めの性能が変化する仕様が採用された[3]。
ゲームシステムの特徴として、アクションは大きく「滑落回避」「足場形成」「氷結コンボ」の3系統に分けられる。特に「足場形成」は、実在の氷を直接生成するのではなく、計測値に応じて“手汗ならぬ手霜(てしも)”ゲージが増えることで足場が出現すると説明される。ただし、この足場は一定ターンで霜が乾き、足場が崩れるため、攻撃と運動は連動して設計されている[4]。
対戦面では、同時プレイの協力モードとして「[[ダブル登攀]]」が用意される。協力時は片方が前進し、もう片方が“呼吸同期”を行うことで、雪煙が敵の視界を奪うという変わったギミックが成立する。オンライン対応は2009年末の限定パッチで追加されたとされ、初期設定のままだと同期が破綻し、雪煙が逆に自分たちへ戻ってくる現象(いわゆる“粉雪リバース”)がコミュニティで話題になった[5]。
ストーリー[編集]
ストーリーは氷の山脈を舞台としており、主人公は“心拍を凍らせる装置”の暴走を止めるため、[[姿勢行政庁]]の依頼を受けて登攀を開始する。依頼文には「あなたは運動で世界を支える。氷は敵ではなく、計測が誤っているだけだ」と記されているとされ、やけに官僚的な語り口が特徴である[6]。
序盤では、氷の洞窟に落ちているログ断片が回収される。ログ断片は“どの筋肉が何秒働いたか”ではなく、“どの筋肉が何秒迷ったか”を示すメタ情報として描写される。この設定は、当時の身体教育が「迷い」を正すことに価値を見出していたという建前で補強されたと推定される[7]。
終盤では、氷山の頂にて「[[WiiFitトレーナー]]の姿勢モデル」と「[[アイスクライマー]]の登攀モデル」が統合されていたことが明かされる。統合の鍵は“同一の呼吸パターン”であり、主人公の呼吸が一致した瞬間、敵の霜が溶けて足場が完成する、という一見ゲーム的だが何とも運動的な幕引きが採られた[8]。
登場キャラクター[編集]
本作の登場キャラクターは、肉体を持つのではなく計測値を“衣装”として纏う存在として描かれる。とりわけ象徴的なのが[[WiiFitトレーナー]]であり、姿勢評価の光学的ガイドとして登場する。トレーナーは常にメトロノームのようなテンポで指示を出し、プレイヤーの体勢がズレると「氷が硬くなるのではなく、あなたの判断が硬くなる」と説くとされる[9]。
一方の[[アイスクライマー]]は、氷を登るだけの存在ではなく、霜の足場を出し入れする“手霜管理者”として扱われる。彼らは二人組として表現されるが、ゲーム内の補足では「片方は正確さ、もう片方は熱意の担当」であり、役割の違いが姿勢ログへ反映されると説明される[10]。
敵対勢力としては、[[統計凍結局]]が登場する。統計凍結局は「正しい体型の凍結」を掲げ、誤差が多い姿勢ほど敵を強くするとされる。ここでプレイヤーが勝利すると、敵の装甲にだけ運動が刻まれ、最終的に“ミリ単位の肩の角度”が世界の温度を決めたのだと示唆される点が、妙に後味の悪いリアリティを生んだと指摘されている[11]。
用語・世界観[編集]
世界観における中心概念として、[[氷耐性]]がある。氷耐性は純粋な防御力ではなく、「転倒しかけた瞬間にどれだけ“姿勢を戻そうとしたか”」を点数化するパラメータとして定義される。公式ガイドでは「戻し率・初期位相・息継ぎ微差の3要素」で算出されるとされ、戻し率は最大で110%まで上振れると説明された(ただし過去ログによれば、これは誤植である可能性が高いとされる)[12]。
また、登攀に使用される[[足場形成]]は“氷の生成”ではなく、手霜ゲージが一定以上になったときに「幻の足場が現れる」方式とされる。開発資料のメモでは「幻であるからこそ、プレイヤーの体が先に学習する」と書かれており、運動教育とゲームデザインの接続を狙った意図があったとされる[13]。
さらに、噂の核となった用語として、[[WiiFitトレーナー]]と[[アイスクライマー]]の統合モデルが挙げられる。ファンの間では、両者が同一身体モデル(通称: “二重人格ではなく二重計測”)であり、同一キャラクター扱いが可能だと議論された。この議論は後年の他作品参入時に「仕様上の互換性」として語られ、結果として「同一キャラと見做す世間の声」に繋がったとされる[2]。
開発/制作[編集]
制作経緯としては、雲上エクササイズ研究所が研究していた[[姿勢計測アルゴリズム]]を“遊びとして耐えられる形”に落とす試みがあったと説明されている。最初の企画は登攀ではなく、氷上でのバランス維持のタイムアタックだったが、社内テストで「2分13秒を超えると飽きが発生する」データが見つかり、登攀戦闘へ転換されたとされる[14]。
スタッフは、ディレクターの南風モモが「身体は滑る。だから敵も滑らせる」と語ったことで知られる。デザイナーの氷室トクは、敵の動きを“関節の迷い”に同期させることへ執着し、敵のモーション数を全76種に整理したとされるが、後日談として「実際は86種あった。削ったら気持ちよさが減った」との記録も残っている[15]。
なお、音楽の担当である氷華レイ・アンサンブルは、氷結コンボのリズムをBPMではなく“息の往復回数”で指定した。社内の仕様書には「1コンボあたり息 4往復 ±0.2」を書式化した跡があるとされ、後のプレイヤーによってゲーム内の呼吸同期が検証された[16]。
音楽[編集]
サウンドトラックは全18曲で構成され、[[氷華レイ・アンサンブル]]によって編曲された。各曲は“足場形成の成功率”に応じて音色が変化する仕組みになっており、成功時は高域が増え、失敗時は低域が濁ると説明される[17]。
代表曲として「[[メトロノーム雪嵐]]」が挙げられる。本曲は発売前の展示会で来場者の姿勢データを用いて即興演奏されたとされ、会場で録音されたデータがそのままゲーム内に組み込まれたという逸話がある。もっとも、この逸話については後年のインタビューで「本当は“雰囲気”だけ拝借した」と修正されたとも報じられ、編集者の間で要出典扱いの論点となっている[18]。
評価(売上)[編集]
発売初週の売上は、日本で約12万本と報じられた。全世界累計では132万本を突破したとされ、初年度換算で“運動ゲーム枠の中では異例の継続プレイ率”を記録したと説明される[19]。
レビューでは「体重計のようで体験はRPG」「転倒がイベントになるのが面白い」といった評価が見られた。ただし批評家の一部からは、氷耐性が計測精度に強く依存するため、姿勢が安定しない人ほど理不尽に不利になるという指摘も出た[20]。
それでも長く語られる理由として、本作が“[[WiiFitトレーナー]]と[[アイスクライマー]]の統合”という強い解釈を世に提示した点が挙げられる。のちに対戦系作品で両者の扱いが近いことが話題になると、WFICは「元ネタかもしれない」という二次創作の温床になり、結果として再評価が進んだとされる[2]。
関連作品[編集]
関連作品としては、派生の運動ログ実験シリーズ「[[WiiFitクラブ: 姿勢測定競技場]]」(2010年)や、氷点下ではなく“湿地でのバランス”を扱う「[[泥の登攀計画]]」(2011年)がある。また、メディアミックスとしては[[テレビアニメ]]『氷呼吸のトレーナー』が、ゲームの設定に基づく形で制作されたとされる[21]。
漫画版は公式ではないが、[[健康航路エンタープライズ]]が“ファン制作の最優秀作”を同梱するキャンペーンを行ったという噂がある。さらに、関連商品として「氷耐性の理解を深めるための体操ノート」が販売され、ノートにはなぜか“肩甲骨の角度はあなたの人格を変える”という短文が印字されていたと報告されている[22]。
関連商品[編集]
攻略本としては、[[雲上エクササイズ研究所]]監修の『[[WiiFitアイスクライマー]]完全ログブック』(2010年)がある。同書では章ごとの推奨姿勢が「前傾角度: 25度、膝の内旋: 1.5cm」「呼吸: 4往復」といった具合に数値化され、読者の間で“体育の教科書より細かい”と評された[23]。
書籍としては、開発者側の回想録『氷の上の統計学者』(2012年)が刊行された。内容は技術史とされるが、所々で「氷とは、嘘をつかないための鏡である」という詩的な段落が混ざるとされ、読者に困惑を与えたと報じられている[24]。
その他の書籍としては、視聴者参加企画のレシピ本『息継ぎスープレシピ(凍結版)』(2013年)も挙げられる。凍結版という名称にもかかわらず、実際のレシピは冷凍ではなく温冷交互にする方式だったとされ、商品名と中身のギャップが話題になった[25]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 青嶋カズオ「『WiiFitアイスクライマー』における姿勢ログ連動設計」『ゲーム運動研究』Vol.12第3巻第1号, 健康航路出版社, 2010, pp.34-59.
- ^ 南風モモ「氷上アクションRPGの転倒ペナルティ再解釈」『インタラクションデザイン年報』第7巻第2号, 学術出版アーク, 2011, pp.101-127.
- ^ 氷華レイ・アンサンブル「息の往復回数と音響生成の対応表」『サウンド工学雑誌』Vol.28第4号, 音響工房, 2010, pp.12-30.
- ^ 柾木ラムダ「戻し率最大110%問題—仕様か誤植か—」『計測プログラム論集』第5号, 量子計測社, 2012, pp.77-84.
- ^ 伊達朔「統計凍結局とゲーム内倫理の架橋」『メディアと社会』Vol.9第1号, 東京社会学会, 2013, pp.205-232.
- ^ 坂東玲子「運動ゲームにおける足場形成ギミックの意味論」『身体表現研究』第14巻第2号, 北翔書房, 2014, pp.55-79.
- ^ Morrison, T.「Breath-Synced Scaffolding in a Log-Based Action RPG」『Journal of Playful Systems』Vol.3 No.1, PlayScience Press, 2011, pp.1-19.
- ^ Thorndike, A.「Ergonomic Failure as Narrative: The WFIC Model」『Proceedings of the Virtual Mobility Workshop』Vol.2, pp.88-96, 2012.
- ^ 雲上エクササイズ研究所『WiiFitクラブ開発史 旧ログ版』健康航路出版社, 2015, pp.213-240.
- ^ “ファミ通クロスレビュー”編集部「熱量と精度のジレンマ」『ファミ通クロスレビュー』2009年増刊, エンタープレス, 2009, pp.6-9.
外部リンク
- WFIC公式ログアーカイブ
- 氷耐性計算機(非公式)
- 統計凍結局資料館
- メトロノーム雪嵐リマスター情報室
- WiiFitクラブ運動指示掲示板