outel graphics 53
| タイトル | outel graphics 53 |
|---|---|
| 画像 | (ゲーム内ジャケット風) |
| 画像サイズ | 240px |
| ジャンル | アクションRPG(グリッチ演出重視) |
| 対応機種 | ハンドヘルド「LumenPad」シリーズ |
| 開発元 | 北見マイクログラフィクス |
| 発売元 | 栄光エレクトロ流通(SEKOU) |
| プロデューサー | 渡辺 精一郎 |
| ディレクター | エリザ・クライン |
| 音楽 | 高田ミツオ(バグ波形アンサンブル) |
| 発売日 | 1997年9月12日 |
| 対象年齢 | 12歳以上 |
『outel graphics 53』(英: Outel Graphics 53、略称: OG53)は、[[1997年]][[9月12日]]に[[日本]]の[[北見マイクログラフィクス]]から発売された[[架空のハンドヘルド]]用[[コンピュータRPG]]。[[ルーメン・グリッチ騎士団]]の第3作目である[1]。
概要[編集]
『outel graphics 53』は、落ちものパズルの要素をRPGのターン制に混ぜ込んだ作品として知られている。通称は「OG53」であり、ジャケットには「“光の粗さを鍛えるRPG”」というキャッチコピーが記載されていた[1]。
本作は、発売前から「上位互換の幻」として話題になり、同時期の周辺事情――“より新しい内蔵グラフィックの方が体感で上”という風評――を、そのままゲーム内の対戦バランスに反映した点が特徴であるとされる。ただし、その設定を真面目に解釈したプレイヤーほど、後述する「グリッチ税」の存在に気づけないと指摘されている[2]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
プレイヤーは「ルーメン・グリッチ騎士団」の見習い技師として操作する。戦闘はロールプレイングゲームの形式を取りつつ、各ターンに「光の欠け(欠損スロット)」が1つずつ落ちてくる落ちものパズル型のシステムが組み込まれている[3]。
戦闘中の攻撃はアクションシューティングゲーム的な照準で行うが、照準はグラフィック負荷に依存して揺れる。ゲームシステムの特徴として、欠損スロットを正しい“色相帯”へ接続できた場合のみ、通常攻撃がクリティカル化するとされる。一方で色相帯の接続に失敗すると、敵が強くなるのではなく、味方の「正しいふるまい」が増税され、結果としてダメージが“合法的に”上限調整される仕組みになっている[4]。
アイテムは「帯電メダル」「解像度の呪文書」「粗視化ワッペン」などが中心で、特定の組み合わせでのみ武器の形状が変化する。対戦モードは協力プレイではなく競技形式で、2人同時に同じ“フリーズ点”を踏むと一時的にオンライン対応のような挙動を模倣する(実際はオフラインである)と公式冊子に注記されていた[5]。
ストーリー[編集]
ストーリーは「北の港町」から始まる。主人公はの倉庫街にある「粗像算定局」の掲示を見て、失われた“解像度の処方箋”を探しに旅立つことになる[6]。
中盤では「OG53は“対抗馬”だったのだ」という噂が拠点ごとに伝播し、各都市で配られる配布物が違う。たとえば配布の「欠損便覧」では“出力が足りないことが正義”と書かれ、配布の「滑稽説明書」では“内蔵の方が信用される”と断言されていた[7]。
終盤、主人公は「グリッチ税局」へ到達し、そこで告げられる真相は意外に単純であるとされる。すなわち、本作の“幻の性能”はプレイヤーの選択を試す装置であり、攻略法を覚えるほど裏ルールが発動するよう設計されていた、という筋書きである[8]。ただしこの告白は、後に「開発側の自嘲だったのでは」とする解釈もある[9]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は「アキト・ミズキ」(通称ミズキ)であり、幼い頃から“表示の欠け”を楽譜のように聴く癖がある。仲間は「ナオ・シマヅ」、そして元・帯電研究員の「セルジュ・ラフォント」であるとされる[10]。
敵役としては「粗像庁監査官のゼロ衛兵」が登場し、戦闘では“揺れる照準”を審査の形で強要してくる。なお、ゼロ衛兵の語尾は一貫して丁寧語であり、プレイヤーの精神が落ち着くほど難易度が上がるよう調整されていたと、コミュニティで語り継がれている[11]。
各地の案内役には都市ごとに違う係員が配置され、の取材用ブースでは「渋谷仕様」として演出が差し替えられたという噂もある。一方でゲーム内実装としては同一データの差分であるため、“仕様の違いに気づけた人だけ得をする”という設計思想だったと推測されている[12]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観の中心概念は「グリッチ騎士道」であり、粗い描写(グリッチ)を隠すのではなく、儀式化して武器へ変える流派として定義されている[13]。
用語としては「解像度の掟」「光の粗さ」「色相帯連結」「フリーズ点」「グリッチ税」などがあり、特にグリッチ税は、正しい色相帯へ接続できない場合に“救済”ではなく“課税”が発生する制度と説明される。なお要出典扱いの注記では、税率がターン数に比例して上がるとされているが、実際の攻略動画では税率が“気分値”で変動しているように見えたという報告もある[14]。
ゲーム内通貨は「帯電クレジット」で、購入品の一部がプレイヤーの操作感度に応じて表示価格を変える。これは“内蔵グラフィックの方がマシ”という当時の雑談を物語化したものだと解説されることが多いが、制作者はこれを「対戦の公平性のため」としていた[15]。
開発/制作[編集]
制作経緯として、本作は「幻の性能パッケージ」OG53を“ゲーム体験として”復元する試みだったとされる。プロデューサーのはインタビューで、発売当時に流行していた“比較記事”の言い回しをそのまま台詞にしたと語っている[16]。
一方でディレクターのは、グリッチ演出の設計に際し、処理落ちを単なる欠陥ではなく「勝利の条件」に変えるべきだと主張したという記録がある。開発チームは北海道の小規模スタジオとして登記され、所在地としての架空住所(「第0倉庫街 3-53」)が資料に記されていた[17]。
スタッフ構成は高田ミツオ(音楽)を中心に据え、プログラマーは「K.オオハシ」「R.タケシマ」など実名風の名義が並んだ。ただし社内の実働は外注が多く、制作途中で“9本目のサンプル”が音もなく消えた(戻らない)という逸話が後年のファンイベントで語られている[18]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
音楽はバグ波形アンサンブルが採用され、ドラムに断続的なノイズを混ぜることで「欠損スロットが落ちる音」を擬似的に再現したとされる[19]。『OG53 オリジナル・サウンド・トラック』は全28曲で、演奏時間が合計で「ちょうど197分」という妙に具体的な数字がファーストプレスに刻まれていた[20]。
特に評価された曲は「粗像庁行進曲」と「色相帯航路」である。前者はゼロ衛兵のテーマとして知られ、後者は終盤のフリーズ点で流れる。なお、終盤では曲が“途中で止まる”仕様になっており、プレイヤーがセーブを挟むと再開位置が1小節だけずれるため、初見勢が混乱したという[21]。
他機種版/移植版[編集]
本作はハンドヘルドのみに留まるはずだったが、発売から約2年後に「LumenPad Pro」向けの移植が告知された。移植版ではフリーズ点の制御が改修され、協力プレイのような演出が追加されたという。ただし実際の対戦ルールは変わらず、“協力した気分だけ損をする”という皮肉が広まった[22]。
さらにファン改造コミュニティでは、PC風画面へ変換する“OG53ウィンドウ化パッチ”が出回ったとされる。そこでは「OG53はグラボ枠の幻だった」というメモが混入していたが、これは資料の誤配信ではないかとも指摘されている[23]。
なお、バーチャルコンソール対応のような告知が当時の掲示板にあったものの、公式発表は見つかっていない。要するに、移植と噂が先行し、実態のない“夢の販路”が独り歩きした経緯があったとされる[24]。
評価(売上)[編集]
発売直後の売上は伸び悩んだとされ、初動の実売は「全世界累計 18万4320本」を記録した。もっとも、販売網の集計方法が地域で異なっており、の代理店は「見込み返品」を控除した数字として別集計を提出したという[25]。
ただし熱狂的な支持もあり、2020年代に再評価が起きた。結果として「日本ゲーム大賞」を受賞したという記録が一部の攻略サイトに存在するが、同賞の公式データと一致しないと指摘されている。編集者の1人は“受賞したのは同名の別イベント”ではないかと推測している[26]。
なお、最も有名な批評は「i3シリーズの内蔵グラフィックの方がマシ」という風評がゲームプレイ体験に似た形で再現され、OG53が“対抗馬として登場しながら消える”悲劇として語られた点である[27]。この語りは、パッケージ背面の説明文にある「光の粗さは武器になる」の行間読みに由来するとされるが、真偽は定かではない[28]。
関連作品[編集]
関連作品としては『ルーメン・グリッチ騎士団』シリーズの第1作『光欠譲渡書』、第2作『帯電の森』が挙げられる。第4作以降は“増税を避ける作法”がテーマ化され、落ちものパズルの比率が低下したとされる[29]。
また、メディアミックスとしてテレビアニメ化された『粗像庁クロニクル』が存在したという。アニメではゼロ衛兵が主人公側の師匠として再解釈され、最終回で“グリッチ税の免除条件”が明かされる展開だったとファンが語っている[30]。
さらに、冒険ゲームブック『OG53の13番目の色相帯』が出ており、分岐が全27章構成である。途中で説明が巻き戻されるギミックがあり、読者がページをめくるほど選択が不利になる“嫌な優しさ”が再現されたと評されている[31]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては『outel graphics 53 攻略宝典:色相帯連結の全手順』が発売された。内容は戦闘のシステム解説が中心で、各章末に「欠損スロット落下予測表」が付く。予測表は“落下までのフレーム数”を「最大で 47フレーム、平均で 32フレーム」と細かく記し、当時のゲーマーを驚かせたとされる[32]。
他には『粗像庁監査官ゼロ衛兵のやさしい罰則論』という実務風エッセイ風の書籍がある。形式は学術書を装い、ISBNも振られていたが、実際には索引のページ番号が1つずれているとファンが報告した(このずれが“正しい税額の暗号”ではないかと推測された)[33]。
ゲーム内用語集を収録した『帯電クレジット・マニュアル(増税編)』も流通したが、増税編は短く、本文の3分の2が“読んでも勝てない注意”で埋まっていたと、皮肉交じりに語られている[34]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
参考文献[編集]
※フィクションである。
脚注
- ^ 渡辺 精一郎『幻のOG53:光の粗さを測る技術』北見マイクログラフィクス出版, 1998.
- ^ エリザ・クライン「色相帯連結と勝利条件の再設計」『Journal of Lumen Glitch Studies』第3巻第1号, pp.12-31, 1999.
- ^ 高田ミツオ『バグ波形アンサンブル入門』蒼藍サウンド研究所, 2001.
- ^ 中村 玲央「粗像庁行進曲の構造解析:テンポとフリーズ点の関係」『日本ゲーム音響紀要』Vol.7 No.2, pp.77-95, 2003.
- ^ SEKOU編集部『アウトレット流通と幻の返品率:OG53地域別集計の技法』栄光エレクトロ流通, 1997.
- ^ R.タケシマ「オフライン競技に潜む協力演出の欺瞞性」『Proceedings of the Offline Play Conference』pp.201-219, 2000.
- ^ K.オオハシ「欠損スロットの統計:最大47フレーム仮説」『Computation & Liturgy』第11巻第4号, pp.401-430, 2002.
- ^ 佐藤 由衣『冒険ゲームブックの分岐地獄:OG53の13番目の色相帯』メイジン文庫, 2015.
- ^ ファミ通クロスレビュー編集委員会『架空ハンドヘルド文化史:LumenPadとその周辺』KADOKAWA系アーカイブ, 2021.
- ^ M. Thompson「The Taxation of Errors in Early RPG Systems」『International Review of Game Narratives』Vol.9 No.1, pp.55-69, 2004.
外部リンク
- OG53 公式資料館(架空)
- 粗像庁アーカイブ(掲示板)
- 色相帯連結シミュレーター
- 北見マイクログラフィクス展示室
- LumenPad Pro移植ログ