となりのトトロVSプレデター feat.スーパー戦隊
| 作品名 | となりのトトロVSプレデター feat.スーパー戦隊 |
|---|---|
| 原題 | My Neighbor Totoro vs. Predator feat. Super Sentai |
| 画像 | TotoroVsPredatorPoster.jpg |
| 画像サイズ | 220px |
| 画像解説 | 初回公開時のB2ポスター |
| 監督 | 霧島鉄也 |
| 脚本 | 霧島鉄也、花岡みづき |
| 原作 | 霧島鉄也『郊外生態戦記』 |
| 製作 | 近藤要、白石里奈 |
| 音楽 | 有馬研介 |
| 主題歌 | 「森の向こうで戦う人」 |
| 制作会社 | 東映クリーチャー・アニメ研究所 |
| 製作会社 | 西武園映像、山吹プロダクション |
| 配給 | 東和映画 |
| 公開 | 1989年7月22日 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| 製作費 | 約7億8000万円 |
| 興行収入 | 48億円 |
| 配給収入 | 22億3000万円 |
| 上映時間 | 118分 |
| 前作 | スーパー戦隊VS山の精霊軍団 |
| 次作 | プレデターVSメカ猫バス EX |
『となりのトトロVSプレデター feat.スーパー戦隊』(となりのトトロブイエスプレデターフィーチャリングスーパーせんたい)は、に制作のの。原作・脚本・監督は。興行収入は48億円で[1]、第13回を受賞した[2]。
概要[編集]
『となりのトトロVSプレデター feat.スーパー戦隊』は、に公開されたのである。郊外の雑木林に棲む巨大生物トトロと、熱帯密林から来た狩猟生命体プレデター、さらに五色の防衛隊として編成されたが三つ巴で交錯するという、当時としても異例の異種混成娯楽作品として知られる[1]。
作品は、昭和末期の周辺の造成地を舞台とし、開発と自然保護、異文化遭遇、そして巨大生物同士の「縄張りの礼儀」を主題に据えている。配給当時は子供向け特撮映画として宣伝されたが、実際には造形映画、環境寓話、軍事パロディが混在する構成であり、後年は深夜帯の再放送を通じてカルト的な再評価を受けた。
なお、劇場公開時のキャッチコピーは「森は静かに、宇宙は礼儀正しく、戦隊はややうるさい」であったとされる。後年の資料では、撮影現場で使用されたミニチュアの型索引カメラが一時行方不明になった事件がしばしば語られる[要出典]。
あらすじ[編集]
の初夏、郊外の開発予定地「高松台ニュータウン」では、地中から発せられる奇妙な振動により、樹木の成長速度が局地的に上昇していた。そこへ、森の守り手とされるトトロが出現し、近隣の姉妹にだけ姿を見せるようになる。一方で、同地の地磁気異常を追跡していたプレデター一団は、地球を「狩猟儀礼の試験場」と誤認し、森へ降下する。
事態を収拾するため、科学要塞「スーパー戦隊開発局」から、赤・青・黄・桃・緑の五人組が派遣される。彼らは当初、プレデターを敵性宇宙人、トトロを未登録巨大生体と判断して対立するが、やがてプレデター側の狩りが森の均衡を乱すこと、またトトロが単なる守護獣ではなく、地層深部の空洞に眠る「風の記憶装置」の管理者であることを知る。
終盤では、プレデター長老格の「牙紋の狩人」が、戦隊ロボ・ゴウデンオーの胸部に礼装用の勝利印を刻もうとして暴走し、トトロは巨大な木霊群を呼び寄せて地表を閉じる。最終的に、姉妹の持つ古い傘が交渉の象徴として用いられ、三者は一応の停戦に合意するという物語である。もっとも、終幕の30秒だけ、誰も見ていないはずの場所でプレデターが猫バスに乗車する場面があり、解釈を巡って現在も議論がある。
登場人物[編集]
主要人物[編集]
トトロは、身長約3.4メートルの樹洞性哺乳類に近い存在として造形されている。毛並みの層にLED反射繊維を混ぜたことから、雨天シーンで異様に発光するのが特徴である。
プレデターは、旧式の捕獲鎧を着用した三眼の狩猟生命体で、作中では「牙紋氏族」の若き狩人として登場する。監督の霧島は、彼らを単なる侵略者ではなく、儀礼の作法に厳しい異文化の来訪者として描いたと述べている。
その他[編集]
スーパー戦隊側は、赤松隼人、青山迅、黄瀬みのり、桃井涼子、緑川守の5名で構成される。各人の変身ポーズが毎回2拍子ずつずれるように演出され、当初は子供番組っぽすぎるとの批判もあったが、後に「戦隊の連携が未熟であることの表現」と解釈された。
このほか、メイ、サツキ、村の警官、造成会社の現場主任などが出演する。また、森の境界を監視する古代生物「風見シシガミ」も登場するが、脚本段階では出番がもっと多かったという。
声の出演[編集]
赤松隼人: 青山迅: 黄瀬みのり: 桃井涼子: 緑川守: トトロ: プレデター長老: メイ: サツキ: ナレーション:
スタッフ[編集]
映像制作[編集]
監督は霧島鉄也、脚本は霧島と花岡みづきが共同で務めた。特殊造形監修には、背景美術には、撮影監督にはが参加した。
製作委員会は、東映クリーチャー・アニメ研究所、、山吹プロダクション、そして後に番組販売を担うことになるから構成された。
製作委員会[編集]
委員会内部では、トトロの権利処理をめぐり「森林保全案」と「着ぐるみ案」が対立したとされる。最終的には、アニメーションと特撮を毎シーンで切り替える方式が採用され、結果として予算表が二重に組まれた[要出典]。
製作[編集]
企画[編集]
企画の発端は、にの造成現場で撮影された保護林調査映像だとされる。霧島鉄也がその中に、影だけで移動する巨大な丸い生物を見つけたことから、自然寓話と宇宙狩猟劇を同時に成立させる案を思いついたという。
当初の仮題は『森に降る赤い狩人』であったが、配給の判断により戦隊要素が追加され、最終的に現在の長大な題名となった。タイトル末尾の feat. 表記は、映画ポスターの発注時に音楽広告のレイアウトを流用した名残である。
制作過程[編集]
制作は2月から5月まで行われた。森のシーンは全長42メートルのミニチュアセットで撮影され、トトロの足跡には炭酸カルシウムを混ぜた特殊土が用いられた。プレデターの光学迷彩は、当時普及し始めたプリズムシートと手描きセルを併用して表現されている。
一方で、戦隊ロボの合体場面は毎回7分以上かけて撮影され、1日2カットしか進まないことも珍しくなかった。これにより、編集段階で「変身の直前にやけに静かな間がある」独特のテンポが生まれた。
美術・CG・彩色・撮影[編集]
美術は、郊外の造成地と原生林が滑らかにつながるよう、グラデーション背景が多用された。彩色班は緑を18種類、茶を11種類に細分化し、木霊の粒状表現には当時まだ珍しかった粒子合成が使われた。
CGはほぼ未使用であるが、プレデターの肩装甲反射のみ、製ワークステーションで試験的に処理されたとされる。なお、夜間の森で戦隊が整列する場面では、照明が強すぎて全員の影が同じ方向を向かない問題があり、後のDVD色調問題の遠因になったと指摘されている。
音楽・主題歌・着想の源[編集]
音楽は有馬研介が担当し、、シンセサイザー、戦隊マーチを一つの拍に重ねる「三層拍法」が試みられた。主題歌「森の向こうで戦う人」はが歌唱し、発売初週で4万8000枚を売り上げた。
着想の源について、霧島は後年のインタビューで「森の倫理と、宇宙の礼儀と、玩具売場の圧力を一度に処理する必要があった」と語ったとされる。また、脚本会議では『プレデターが猫バスの定期券を持っていたら面白い』という案が真顔で検討されたが、最終稿では一応削除された。
興行[編集]
宣伝[編集]
宣伝では、「子供も見られる狩猟活劇」として売り出された。実際には一部の予告編にだけプレデターの鳴き声が低く加工されすぎており、音響検査で「森の妖怪にしか聞こえない」と問題になった。
上映館には等身大のトトロ型立て看板と、戦隊変身ベルトの巨大試着台が置かれ、来場者特典として「木霊ホイッスル」が配布された。これが公園で吹くとカラスが集まると話題になり、販促効果を高めた。
封切り・再上映[編集]
7月22日に全国184館で封切られ、初週観客動員は約39万2000人を記録した。夏休み後半には上映館数が231館まで拡大し、同年のとしては異例のロングランとなった。
、でリバイバル上映が行われ、以後は毎年のようにミッドナイト上映が設定された。なお、2012年の再上映版では、プレデターのマスクの目線がわずかに修正され、熱心なファンの間で賛否が分かれた。
テレビ放送・ホームメディア・海外での公開[編集]
テレビ放送ではの系で初放送され、平均視聴率17.8%を記録した。特に終盤の無音に近い停戦場面は、翌日の学校給食の話題をほぼ独占したという。
映像ソフト化はVHS、LD、DVD、Blu-rayの順に行われたが、DVD版では彩度が不自然に高くなる「森の蛍光色問題」が起きた。海外ではに英語吹替版がとで先行公開され、題名が長すぎるためポスターから feat. の部分が外されている。
反響[編集]
批評[編集]
批評家からは、自然保護映画として見れば異端、怪獣映画として見れば内省的、戦隊映画として見れば湿度が高すぎると評された。『月刊フィルム・スコープ』は「一見すると子供向けだが、実際には都市化への不安を三体の生物に分散して示した奇妙な傑作」と記した。
一方で、作中のプレデターが一度も正式な自己紹介をしないこと、トトロがほぼ終始受け身であることについては、構成上の弱点として指摘された。もっとも、こうした不均衡こそが作品の魅力であるという支持も根強い。
受賞・ノミネート[編集]
本作は第13回の作品賞、造形賞、群像調整賞を受賞した。またから特別推薦を受け、にもノミネートされた。
なお、の相当の席では、プレデター役の声優がマスクを脱がずに登壇したため、授賞式の進行が2分ほど止まったという逸話が残る。
売上記録[編集]
興行収入48億円は、公開当時の夏季アニメ映画としては最大級であり、配給収入22億3000万円は同社の記録を2年更新した。玩具売上も好調で、変身ベルトと猫バス連結玩具の合算で約61万個を出荷したとされる。
ただし、公式統計のうち「木霊ホイッスル」の売上だけは集計方法が曖昧で、実数は15万本から23万本の間とみられている[要出典]。
テレビ放送[編集]
の初回放送以後、本作は夏の特番枠で断続的に放送されている。視聴率は深夜再放送でも6%前後を維持し、特にでは天気予報より高い数値を記録した回もある。
には、制作現場の証言を交えた特別編集版『となりのトトロVSプレデター 製作ノート付き放送』が放送された。これには、霧島監督が合成素材に向かって「もう少し森に謝ってください」と指示する未公開音声が含まれていた。
関連商品[編集]
作品本編に関するもの[編集]
関連商品としては、変身ベルト、トトロ型対狩猟センサー、プレデターの肩装甲を模したリュックサックが発売された。特に「木霊ホイッスルDX」は、鳴らすと3種類の返答音が切り替わる仕様で、学校のチャイム代用品として購入する者もいた。
また、劇中の森の地図を再現したボードゲーム『高松台サバイバル地形図』は、子供向けにしては難解すぎるとして話題になった。
派生作品[編集]
派生作品としては、ラジオドラマ版、児童向けノベライズ、そして実写舞台版『トトロVSプレデター in 武道館』が存在する。舞台版ではプレデターの熱源表示が客席の反射で見えなくなり、結果として狩猟場面がほぼダンスナンバーになった。
さらに、には短編スピンオフ『猫バス対宇宙船 12分間の待機』が制作され、本作の「輸送機能の倫理」を掘り下げたとして一部の大学で教材扱いされた。
脚注[編集]
参考文献[編集]
霧島鉄也『郊外生態戦記――森は何を返すか』山吹書房, 1990年.
花岡みづき『特撮とアニメのあいだ』東和出版, 1991年.
佐伯俊介「『となりのトトロVSプレデター feat.スーパー戦隊』における緑の政治学」『映像文化研究』Vol.12, No.3, pp.44-67, 1994年.
M. Thornton, "Negotiating the Forest: Hybrid Kaiju Cinema in Late Shōwa Japan," Journal of East Asian Screen Studies, Vol.8, No.2, pp.101-129, 2001.
黒田一真『平成初期の映画商品化戦略』関東映画資料社, 1997年.
「特撮合成における光学迷彩の簡易化」『日本映像工学会誌』第23巻第4号, pp.210-223, 1990年.
H. K. Wilcox, "Sentai Grammar and Interstellar Hunting Rituals," Cinema and Myth, Vol.5, No.1, pp.9-38, 2003.
南条さとみ『背景美術の嘘と実在』西武園アートプレス, 1992年.
『映画年鑑 1989年版』東洋映画新聞社, 1989年.
有馬研介『三層拍法入門』音響新書, 1990年.
加藤栄子「DVD色調問題の発生とその伝播」『映像保存学報』第7巻第2号, pp.88-95, 2006年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
東映クリーチャー・アニメ研究所 作品資料室
高松台フィルムアーカイブ
日本特撮アニメ融合賞 公式記録庫
郊外生態戦記研究会
木霊ホイッスル保存同好会
脚注
- ^ 霧島鉄也『郊外生態戦記――森は何を返すか』山吹書房, 1990年.
- ^ 花岡みづき『特撮とアニメのあいだ』東和出版, 1991年.
- ^ 佐伯俊介「『となりのトトロVSプレデター feat.スーパー戦隊』における緑の政治学」『映像文化研究』Vol.12, No.3, pp.44-67, 1994年.
- ^ M. Thornton, "Negotiating the Forest: Hybrid Kaiju Cinema in Late Shōwa Japan," Journal of East Asian Screen Studies, Vol.8, No.2, pp.101-129, 2001.
- ^ 黒田一真『平成初期の映画商品化戦略』関東映画資料社, 1997年.
- ^ 「特撮合成における光学迷彩の簡易化」『日本映像工学会誌』第23巻第4号, pp.210-223, 1990年.
- ^ H. K. Wilcox, "Sentai Grammar and Interstellar Hunting Rituals," Cinema and Myth, Vol.5, No.1, pp.9-38, 2003.
- ^ 南条さとみ『背景美術の嘘と実在』西武園アートプレス, 1992年.
- ^ 『映画年鑑 1989年版』東洋映画新聞社, 1989年.
- ^ 有馬研介『三層拍法入門』音響新書, 1990年.
- ^ 加藤栄子「DVD色調問題の発生とその伝播」『映像保存学報』第7巻第2号, pp.88-95, 2006年.
外部リンク
- 東映クリーチャー・アニメ研究所 作品資料室
- 高松台フィルムアーカイブ
- 日本特撮アニメ融合賞 公式記録庫
- 郊外生態戦記研究会
- 木霊ホイッスル保存同好会