ひかり(ポケモンのタイプ)
| タイトル | ひかり(ポケモンのタイプ) |
|---|---|
| 画像 | Hikari_Type_boxart.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北欧版パッケージイメージ |
| ジャンル | コンピュータRPG |
| 対応機種 | ゲートボーイアドバンス |
| 開発元 | セレスティック社 |
| 発売元 | セレスティック社 |
| プロデューサー | 早川 真澄 |
| ディレクター | 島袋 恒一 |
| 音楽 | 藤堂 里菜 |
| シリーズ | ルミナモンシリーズ |
| 発売日 | 2004年11月19日 |
| 対象年齢 | CERO A相当 |
| 売上本数 | 全世界累計286万本 |
| その他 | キャッチコピーは「暗闇を、タイプで照らせ。」 |
『ひかり(ポケモンのタイプ)』(英: Hikari Type)は、にのから発売された用。『』シリーズの第1作目にあたり、後に展開の核となった。
概要[編集]
『ひかり(ポケモンのタイプ)』は、が制作したであり、プレイヤーは光属性の生物を育成しながら、各地の「停電区画」を巡ることになる作品である。タイトルに含まれる「ポケモンのタイプ」は、作中世界で生物を分類する学術用語であり、のちに実在の研究者たちの間でも半ば冗談めいて引用されたという[1]。
本作の特徴として、従来の属性相性にが独立した戦闘軸として導入されている点が挙げられる。また、昼夜ではなく「照度」と「反射率」によって戦況が変化する設計が採られており、発売当時の子ども向けRPGとしてはやけに理屈っぽい作品として知られている。なお、初期出荷版では説明書の6ページ目だけ専門書のような注釈密度になっており、要出典とされるほどである[2]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、プレイヤーは「照度ゲージ」を管理しながらマップを進行する。建物内ではランタン型の補助端末を用いて視界を確保し、一定以上の明るさを保つことで隠し扉が出現する仕組みである。戦闘はターン制で進み、タイプの技は命中率が高い一方、影を使う敵には威力が上下する。
アイテムは「反射板」「曇り止め布」「残光のしずく」など、日用品の延長のような名称が並ぶ。とくに「残光のしずく」は、使うと次の3ターンだけ味方の命中判定が2段階上昇するため、対戦勢からは事実上の必須装備とされた。プレイヤーはこれらを駆使して、暗所での探索と戦闘を両立させることになる。
戦闘[編集]
戦闘では、タイプの攻撃が「遮蔽」「散乱」「増幅」の3要素で判定される点が独特である。たとえば「フラッシュビーム」は屋外では平凡だが、洞窟内では一転して主力技となり、対戦シーンでは天候変更型のパーティと組み合わせる構築が流行した。
また、一部のボス戦では画面の一部が意図的に暗転し、視覚ではなく音の反響で敵の位置を推測する特殊フェーズが存在する。これが当時の雑誌レビューでは「ロールプレイングゲームにおける半ば実験映像」とまで評された。なお、最終盤の敵はひかりタイプに対し異常なまでの耐性を持ち、発売後にパッチ未配布のまま攻略本だけが増刷されたことで知られている[3]。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、通信ケーブルを介して最大4人の協力プレイおよび対戦プレイが可能である。とくに「灯台ルール」では、ステージ中央の光源を奪い合う形式が採用され、短時間で決着がつくことから学校の休み時間に流行したという。
オンライン対応をうたう後期版では、対戦相手の選出が「全国の照度差」で決まる奇妙な仕様が追加された。開発資料によれば、これは本来は通信遅延の補正機能であったが、社内テスト中に「深夜の秋葉原と日中のでマッチング傾向が変わる」と判明し、そのまま残されたとされる。
ストーリー[編集]
物語は、の地下に広がる黒い回廊で、光が「税」のように徴収される事件から始まる。主人公は、失われた「第九照明塔」の継承者として旅立ち、各地の発電神殿を巡っての流通を取り戻していく。
中盤では、王国の行政区画ごとに照度基準が異なることが判明し、の条例を思わせる細かな規定が連続して提示される。そのため、子ども向け作品でありながらやたらと役所っぽい。終盤、主人公一行は光を独占していたと対決し、世界を「昼のまま凍結する」計画を阻止するが、この設定は続編でほぼ忘れられた。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は無名の見習い照明士で、プレイヤーの選択に応じて各地の照明制度を改正していく。顔グラフィックは3種類しかないが、帽子の角度だけで感情表現が変わるため、当時のファンアート界隈では「実質12人いる」と扱われた。
仲間[編集]
仲間には、発光植物学者の、元灯台守の、そして何故か常に懐中鏡を持っているがいる。特には、戦闘中に「光合成」に似た回復技を使うため、攻略本では「植物系ヒロイン」と誤記されたことがある。
敵[編集]
敵勢力はを中心とする。幹部のは、鎧の内側に鏡を貼り巡らせているという設定で、ひかりタイプの技を受けるたびに台詞が増える。最終ボスのは、プレイヤーのパーティ構成を参照して弱点を変えるとされ、当時の雑誌では「ゲーム機が人を見ている」と表現された。
用語・世界観[編集]
作中のタイプは、単なる属性ではなく「情報を運ぶ現象」として定義されている。これにより、技の一部は物理攻撃ではなく、記憶改竄や標識の読み替えとして扱われる。世界観上はの発光器官が神殿建築の発展に影響したとされ、街灯の配置まで宗教儀式に組み込まれている。
なお、本作では「影」は単なる暗所ではなく、行政上の未承認地区を指す語として使われる。この用法が後年、関連書籍『光学自治論』の引用元になったとされるが、編集部の誤植で広まったという説もある。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作経緯としては、が携帯機向けに「教育番組のようなRPG」を作ろうとしたのが発端とされる。企画書の原題は『明るさを数えるゲーム』で、当初は算数ソフトとして申請されていたが、途中でモンスター収集要素が増え、最終的にへ変更された。
ディレクターのは、都内の地下通路を歩いている最中に「暗闇は敵ではなく未表示のUIである」と発言したとされ、これが本作の基本理念になった。もっとも、同席したスタッフは全員曖昧にうなずいたという証言しか残っていない。
スタッフ[編集]
スタッフは少人数ながら分業が細かく、照度監修、反射率監修、鏡面演出監修の3部門が存在した。音楽担当のは、実在の鐘の録音を大量に加工してBGMを作成し、発売後には「学校のチャイムが聞こえると戦闘を思い出す」という報告が相次いだ。
また、初期ROMには「ひかりの定義文」が内部テキストとして残されており、そこではが「見えるものを増やす代わりに、見えないものを隠す力」と説明されていた。文言の一部は開発終盤に削除されたが、解析勢の間ではいまだに引用されている。
音楽[編集]
サウンドトラックは、電子音と鐘の残響を組み合わせた独特のものである。フィールド曲は3拍子と5拍子が頻繁に入れ替わるため、歩行音と同期しない不安定さがあり、これが「迷っている感じ」を演出していると評価された。
代表曲「第九照明塔」は、発売翌年にで特別編曲され、約11分のオーケストラ版として演奏された。なお、同曲の冒頭に入る微かなノイズは「開発室の蛍光灯のうなり」とされるが、実際には本体の発熱音を収録したものだったともいわれている。
他機種版[編集]
翌には版が発売され、画面の輝度に応じて敵の色相が変わる仕様が追加された。さらににはへ移植され、据え置き機ならではの「部屋の明るさ連動モード」が実装されたが、これを使うと夜間プレイで全イベントがやけに静かになる欠点があった。
後年の相当サービスにも配信され、ここで初めて説明書の誤植が修正された。もっとも、修正箇所の一つである「照度単位ルクス」を「ロックス」と直してしまい、別の意味で話題を呼んだ。
評価[編集]
発売当初の評価は賛否両論であった。雑誌各誌では「発想は鋭いが、メニュー画面がまぶしすぎる」と評され、平均レビューは8.4点前後で推移した。とはいえ、教育的配慮と競技性の両立が評価され、の佳作に相当する賞を受賞したとされる。
売上は末までに国内98万本、全世界累計286万本を突破し、シリーズ初のを記録した。特に北欧圏では「冬季の実感に近いゲーム」として受け入れられ、輸入版のパッケージが9回も再印刷されたという。
関連作品[編集]
本作の成功を受けて、続編『ひかり2 反照の塔』、外伝『ひかりモール 夕方の部』、携帯向け移植『ひかり・ミニ』が展開された。いずれもタイプの定義を少しずつ変えており、シリーズが進むごとに「光とは何か」を問う哲学寄りの内容になっていった。
また、テレビアニメ化された『ルミナモン・クロニクル』では、主人公の相棒が毎話異なる角度で光るため、作画班が最も苦戦した回として第17話が伝説化している。関連商品としては、光を当てると隠し文字が浮かぶ攻略本や、暗所でのみ読める児童書などが発売された。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 早川真澄『ひかりタイプ設計史』セレスティック出版, 2005, pp. 14-39.
- ^ 島袋 恒一「携帯機RPGにおける照度演算」『月刊ゲーム工学』Vol. 18, No. 4, 2004, pp. 22-31.
- ^ 藤堂里菜『残響と発光――ゲーム音楽の新しい地平』東雲書房, 2006, pp. 88-117.
- ^ M. H. R. Bennett,
- ^ M. H. R. Bennett, "Luminosity as a Combat Variable in Handheld RPGs" in Proceedings of the 12th International Symposium on Play Systems, 2007, pp. 201-214.
- ^ 佐伯美緒「『ひかり』概念の民俗学的転用」『フィクショナル文化研究』第7巻第2号, 2008, pp. 55-73.
- ^ 田辺修一『暗い部屋のためのゲームデザイン』北街社, 2009, pp. 101-149.
- ^ Clara V. Houghton, "Mirror-Based Enemy AI and Player Perception"『Journal of Imaginary Software Studies』Vol. 9, No. 1, 2010, pp. 3-18.
- ^ 高梨玲子『攻略本と誤植の社会史』南風館, 2011, pp. 72-95.
- ^ Daisuke Aramaki, "The Hikari Type Incident: An Annotated Retrospective"『International Review of Fictional Game History』Vol. 3, No. 2, 2012, pp. 44-66.
外部リンク
- セレスティック社 公式アーカイブ
- ルミナモンシリーズ資料室
- 照度ゲーム保存協会
- 架空ゲーム年鑑データベース
- ひかりタイプ研究会