シカカツサイホク
| コンビ名 | シカカツサイホク |
|---|---|
| 画像 | (架空)会議室マイクの二人 |
| キャプション | 「勝ち筋を数える」奇妙な仕草で人気を博した |
| メンバー | 鹿島(かしま)・勝浦(かつうら)・西北(せいほく) |
| 結成年 | 2013年11月 |
| 解散年 | なし(活動継続) |
| 事務所 | バッテン・オチウム |
| 活動時期 | 2013年 - 現在 |
| 芸種 | 漫才・コント |
| 受賞歴 | M-1グランプリ2016年 ファイナリストほか |
シカカツサイホク(英: Shikakatsu Saihoku)は、所属のお笑いコンビである。[[2013年]]結成。[[M-1グランプリ2016年]]のファイナリストに選出され、以後「四方八方に着地する漫才」で知られる[1]。
概要[編集]
シカカツサイホクは、北海道に縁があるとされる奇妙な語感の由来を売りにしつつ、漫才の構造を「手続き書」に見立てることで注目を集めているコンビである。特に、舞台上で二人が同時に「電卓を叩くのではなく、電卓を叩いた“音”を数える」所作を入れる点が特徴として知られている[1]。
語感の中心にある「シカカツサイホク」は、彼ら自身の解説によれば“鹿(シカ)・勝(カツ)・最北(サイホク)”の頭文字であるとしている。ただし初期の資料では「シカは刺さる/カツは勝つ/サイホクは最適の北向き補助線」のように複数の翻訳が並び、結果として観客の解釈が拡散する仕掛けになったとされる[2]。
メンバー[編集]
鹿島(かしま)はボケ担当であり、台詞の語尾を毎回「〜である、〜であった、〜であればよい」に三段階に分けて話す癖がある。勝浦(かつうら)はツッコミ担当で、訂正のツッコミを“監査”のように行うことで知られている。
一方、西北(せいほく)は名前としては三人目だが、本人たちの説明では「第三項(第3の“論点”)を演じる役割」であるとされる。実際の公演では西北は物理的に舞台へ出ることは少なく、代わりに紙の折り鶴(方位磁針付き)が置かれることが多い[3]。この「出ないのに存在する」構成は、当時の若手劇場で“奇跡の省スペース芸”として引用された。
彼らは自己紹介でしばしば「我々はコンビだが、内部構造は三層である」と述べ、二人以上の人数がいるように聞こえる言い回しを徹底している。
来歴/略歴/経歴[編集]
結成の経緯(起源譚)[編集]
結成はとされる。事務所側のプレスリリースでは、二人が札幌市の書店「北辰文庫」で出会い、棚替えの最中に「“最北の勝ち筋”を探す漫才を作ろう」と言い出したのが始まりと記述されている[4]。
ただし本人たちの“別バージョン”では、語源である「サイホク」が、天文学者のメモ帳に残った“方位補正の古略称”に由来するという。鹿島はテレビ番組で「漢字を減らすほど、笑いは増える」と語り、観客の理解を助けるふりをしつつ、理解を遅延させることに長けたとして評価された[5]。
なおこの起源譚は、古い地方紙のコラムに「未確認の行政文書に記された内輪の暗号」という記述があるとされるが、真偽は定かでないとされる[6](要出典)。
東京進出と初の転機[編集]
東京進出はの春とされる。具体的には東京都内のライブハウス「市民寄席ムーブ」にて、3日連続で同じネタを上演し、観客の拍手の“秒数”だけを記録する実験を行った。彼らはその結果として「平均拍手は1.92秒で、ブーイングは0.07秒であった」と語っており、細かさが話題になった[7]。
この数字は後に、バラエティ番組の企画でも再現されることになったが、後述のとおり統計の方法が不明であり、当時の編集者から「数字が先に来ている」と指摘されている[8]。
芸風(漫才/コント)[編集]
シカカツサイホクの漫才は、導入部で「前提」「例外」「手続き」「結論」を読み上げることで進行する“事務的な会話劇”として知られている。鹿島が前提を読み上げると、勝浦が例外を指摘し、最後に西北(紙の方位磁針)が置かれた方向へ結論が“ずれる”。このずれが笑いとして定着した[9]。
初期の代表ネタでは、宇宙に関する雑学を入れつつも、必ず最後は「北向きに謝る」という締めになる。観客は知識を得た気になるが、内容は会話の形式上の勝利条件を満たしていくように作られているとされる。
コントでは「飲食店の待ち時間を、待ち時間そのものではなく“店員の謝罪の改行数”で計測する」趣向が話題になった。実際に舞台上で“謝罪の改行”をカウントするため、毎回脚本が微調整されるという[10]。
エピソード[編集]
彼らのブレイクに直結したのはの地方予選で、台本を忘れた鹿島が「忘れたことを前提にする」と宣言し、勝浦が「前提の採用には稟議が必要」と言い切った事件である。結果として観客は大ウケしたが、後日、スタッフが「稟議の書式が細かすぎて、稟議番号まで印字されていた」と証言した[11]。
また、出番の直前に西北の折り鶴が破損するハプニングがあり、代替として“紙の方位磁針”を厚紙で作り直した。ところが新しい方位磁針はわずかに傾き、次の結論がほんの少しだけズレた。そのズレが観客のツボに合致し、以後その傾きを“正解”として扱うようになったという[12](やや怪しいが本人談)。
この話はSNSで拡散され、ファンが「傾きは0.8度であるべき」と称するようになった。実際に舞台写真から推定したという人も現れ、0.8度という数字だけが独り歩きしたとされる[13]。
出囃子[編集]
出囃子は、本人たちの希望で“電子レンジの終了音を擬似的に和楽器化する”方向で作られたとされる。正式にはの音響チームが東京藝術大学出身の編曲家に依頼し、太鼓のように聞こえる合成音をベースとしている[14]。
演奏は毎回同じ長さではなく、勝浦が「今日の稟議は7回改行できるか」でテンポを変える。観客は気づきにくいが、録音を聞き比べると冒頭の“カチッ”が若干ずれていると指摘されている[15]。
なお、音源の公開は少ないため、ファンの間では「レンジ終了音ではなく、北行きの改札メロディを加工した」とする説もある。
賞レース成績・受賞歴[編集]
M-1グランプリでは、ファイナリストに選出され、準決勝で「最北の謝罪」を披露したと報じられた[16]。彼らは会見で「謝罪は角度ではなく手続きで決まる」と述べ、評価が分かれた。
また、キングオブコント系の場では「改行カウント芸」で注目され、一次審査を通過したが、決勝では観客が“手続き”に慣れすぎて笑いが減ったとして、翌年に構成を変更したとされる[17]。
地方の舞台では、北海道の若手祭「北灯寄席」で特別賞を受けたとされる。受賞理由として「笑いが北へ逃げないこと」と記された出典があり、まるで地理の論文のような決まり文句になったと語られる[18]。
出演[編集]
テレビ・ネット[編集]
テレビ番組では日本テレビ系の深夜枠で冠コーナー「稟議で笑う」が組まれ、彼らの形式芸が広く紹介された。初回放送では、鹿島が“前提”を1行目に、勝浦が“例外”を2行目に置き、西北の紙の方位磁針が3行目の位置で読み手を迷わせたとされる[19]。
配信番組ではの企画「数字だけが残る夜」に出演し、拍手の平均秒数を巡って討論した。放送後、平均の算出方法が不明であるとして一部から疑念が上がったが、当の二人は「算出は観客の心に委ねた」と回答した[20]。
ラジオ・舞台[編集]
ラジオでは枠にて、リスナーから届く“謝罪の文章”を改行単位で分類するコーナーに参加した。勝浦は「改行は魂の切れ目」と語り、鹿島は「魂の切れ目は北向き」と続けたため、番組スタッフが台本の整合性を翌週まで確認したという[21]。
舞台では、札幌市の劇場「北辰シアター」で行われた単独ライブ『方位磁針のない約束』が高評価を得た。西北は最後まで舞台中央へ姿を見せず、代わりに客席へ向けて折り鶴を投げる演出が話題になったとされる[22]。
作品・単独ライブ・書籍[編集]
CD/DVDとしては『稟議で笑う第一巻』(2018年)および『改行の統計学』(2020年)が発売された。前者は漫才を中心に収録され、後者はコントの脚本が“読み上げ用”として印刷されている点が特徴とされる[23]。
単独ライブは毎年1回ペースで行われ、特に『最北の謝罪は三段階である』(2021年)が“最後の結論が毎回違う”ことで知られた。観客がアンケートに回答する形式が導入され、回答結果に応じて台本の末尾が分岐したという[24]。
書籍では勝浦の名義で『監査口調のボケ大全』(2022年)が刊行された。鹿島は解説文で「ボケは罪ではなく、手続きの練習である」と記し、読者が社内研修のような気分になると評された[25]。
批判と論争[編集]
批判としては、彼らの数字や稟議用語が“説明過多”になり、笑いの瞬発力が削がれるという指摘がある。特に「拍手は平均1.92秒」といった細かい数字が、実測の条件を欠いたまま語られる点について、評論家の間で「笑いを科学のふりで覆っている」との声が上がった[26]。
一方で擁護側は、形式芸は情報の欠落を“間”に変換する技術であり、彼らのやり方はエンタメとして成立していると述べている。なお、一次資料として示されたはずの“稟議番号付き台本”が、後にコピー品ではないかと疑われたこともあり[27]、事務所は「台本は現場で更新される」と説明した。
もっとも、この論争自体がネタとして消費され、翌ライブで鹿島が「論争は第三項である」と言い切って終えたため、論争は論争として終わらなかったとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 山本レイ『稟議口調の漫才史—改行は笑いの境界である』北辰出版, 2019.
- ^ 鹿島重人『サイホクは北ではなく“手続き”である』バッテン・オチウム出版局, 2020.
- ^ 勝浦謙太『監査口調ツッコミの実務:二人芸の三層構造』Vol.2, 稟議芸術社, 2021.
- ^ 高橋ミナト「拍手秒数の代理推定と笑いの条件」『日本コメディ学会誌』第12巻第3号, pp.55-73, 2017.
- ^ Margaret A. Thornton, “Procedure-Like Humor in Japanese Duo Acts,” Vol.4 No.1, pp.101-119, International Journal of Laughter Studies, 2018.
- ^ 佐藤イオ「電子レンジ終了音の擬似和楽器化に関する一考察」『音響演芸研究』第7巻第1号, pp.22-40, 2016.
- ^ 北辰文庫編集部『札幌の書店が産んだ若手芸人—未確認略称の系譜』北辰文庫, 2015.
- ^ 編集部(編)『M-1グランプリ2016年公式記録と舞台の余白』スポーツ報知出版, 2017.
- ^ シカカツサイホク「最北の謝罪は三段階である」『若手寄席紀要』第3巻第9号, pp.9-15, 2021.
- ^ 井上ユウマ『数字だけが残る夜の舞台裏:計算できない笑いの設計』pp.141-169, ABEMA文庫, 2023.
外部リンク
- バッテン・オチウム 公式アーカイブ
- 北辰シアター 週刊ログ
- 稟議で笑う 制作メモ置き場
- 改行の統計学 付録サイト(閲覧制限あり)
- 市民寄席ムーブ 過去映像アーカイヴ