スーパードンキーコング4
| タイトル | スーパードンキーコング4 |
|---|---|
| 画像 | Super Donkey Kong 4 title screen.png |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 北極圏の氷河で猿たちが重機を奪う場面 |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | Super Marmoset System |
| 開発元 | North Wind Interactive |
| 発売元 | Mango Harbor Co., Ltd. |
| プロデューサー | ローレンス・K・ホール |
| ディレクター | 三橋 透介 |
| 音楽 | エレイン・ヴォス |
| シリーズ | スーパードンキーコング |
| 発売日 | 1996年11月14日 |
| 対象年齢 | 全年齢対象 |
| 売上本数 | 全世界累計412万本 |
| その他 | 拡張カートリッジ『氷霧メモリ』同梱版あり |
『スーパードンキーコング4』(英: Super Donkey Kong 4)は、にカナダのから発売された用。『』シリーズの第4作目にあたるとされる[1]。
概要[編集]
『スーパードンキーコング4』は、向けに開発されたである。プレイヤーは一族の末裔とされる青年を操作し、の浮氷列島を舞台として、奪われた「重力バナナ核」を回収することを目的とする。
シリーズの第4作目として紹介されることが多いが、実際には前作と直接つながらない独立した構成であり、発売当時の広告では「シリーズ一作目にあたる精神的な後継作」とも記載されていた。なお、販促資料の一部ではとの表記も見られるが、これは開発途中に戦闘システムを横スクロールに戻した名残であるとされる[2]。
キャッチコピーは「うしろに、氷がある。」で、これは後年東京都のゲーム保存会が収蔵した試遊台の背面に実際に貼られていた紙片から判明したとされる。もっとも、同時期の試遊版には「前に進むほど寒くなる」という別コピーも存在し、編集者間で真偽が割れている。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
本作のゲームシステムの特徴として、通常の横スクロールアクションに加え、氷上での慣性制御と、敵機械を踏み台にして砲弾を撃ち返す的要素が融合している点が挙げられる。プレイヤーはコークのほか、同伴するやを切り替えながら進行し、最大6方向に射撃できる「バナナ・スプレッド」を使用する。
また、全32面のうち11面には疑似3Dの滑走区間が存在し、当時の雑誌では「の緊張感を持つ」と評された。もっとも、実際に狩られるのは海鳥ではなく、半自動で飛来する貨物ドローンであるため、ジャンル表記としてはかなり強引である。
戦闘[編集]
戦闘は基本的に前方視点の弾幕回避と近接打撃の往復で構成されている。ボス戦ではに近い形式が採用され、巨大な装甲アザラシや、時計仕掛けのジャングル塔と1対1で戦うことになる。
一部の敵はプレイヤーの攻撃に反応して氷層を割り、ステージそのものを変形させる。このため、攻略班の間では「実質的にのない協力パズル」と呼ばれることもあったが、当然ながら通信機能は搭載されていない。
アイテム[編集]
アイテムは全48種で、バナナ、発煙花火、氷霧缶、再生ボルトなどが存在する。特に「逆さバナナ」は、取得すると重力方向が12秒間だけ反転する仕様で、発売初週に3万2,000件の問い合わせが寄せられたという[要出典]。
なお、隠しアイテムの「白い樽」は、実在しないが攻略本には堂々と掲載されており、当時の子どもたちは港町の倉庫にあると信じて探索したとされる。
オフラインモード[編集]
本作は完全なオフライン専用であるが、メニュー画面に「通信準備中」という項目が残されている。これは、が後に開発した通信型周辺機器との互換実験の痕跡と説明されることが多い。
また、二人協力プレイでは画面分割ではなく「同一軌道交代制」が採用され、片方が氷床を押し、もう片方が上部の滑走路を走るという独特の形式であった。これが発売後、家庭内の兄弟喧嘩を27%増加させたとの報告もある。
ストーリー[編集]
物語は、の諸島国家において、王家の記念祭に供されるはずだった「重力バナナ核」が何者かに強奪されるところから始まる。犯人は海底研究機関の元技師で、彼は氷を「果実の保存媒体」として再定義し、世界中の果樹園を冬眠させようとしていた。
コークは、沈没船から回収したロケット樽に乗って各地を巡り、氷河都市、珊瑚でできた鉄道橋、廃棄されたバナナ蒸留所などを踏破する。中盤では、仲間のメモが実は研究所の記録係であったことが判明し、物語は単純な救出劇から、果実流通をめぐる国際条約の話へと急に広がる。
終盤、ハインリヒは「第四の月が昇るとき、猿は木に帰るべきではない」と宣言し、月面氷床を模した最終面で巨大砲台を展開する。これに対しコークは、氷を溶かすのではなく「温度の記憶」を消す特殊弾を用いて対抗するが、結末は3種類あり、うち1つはバナナが国連公用語になるという異様なものだった。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は、シリーズの主人公とされる若い類人猿で、身長は1.72バナナ分、体重は97樽分と設定されている。腕力よりも推進剤の扱いに長けており、走るというより「滑る」ことに特化した人物として描かれる。
初期案では老練な探検家だったが、の提案により「やや頼りない青年」に変更された。これにより、プレイヤーの失敗がすべて「若さゆえ」と解釈できるようになったという。
仲間[編集]
は記録係兼通信士であり、ゲーム中では進行状況をメモ帳のようなUIで可視化する役を担う。彼女の名前は、企画書段階では単なる仮記号だったが、正式名称として採用された珍しい例である。
は腕の長い機械類人猿で、頭頂部のハンマーキャップを回転させることで、氷壁を粉砕できる。プレイヤーからの人気は高かったが、ぬいぐるみ化の際に手足の本数が合わず、量産が止まったという。
敵[編集]
敵勢力はの自律作業体と、氷に適応した海賊風の小型機械群で構成される。特に有名なのは、帽子をかぶったペンギン型砲台「ペンコロ」、水上から現れる回転ドリル船「アイス・ケバブ」、そして最終ボスの装甲アザラシである。
マルセル・Xは、撃破時に正面装甲が外れ、中から別の顔が現れることで知られる。これがシリーズの「敵もまたシリーズを背負っている」という哲学を象徴するとする評論もある。
用語・世界観[編集]
本作の舞台は、バナナ交易で繁栄した架空の海洋圏であり、島々は氷河移動によって毎年位置が変わる。地図は紙ではなく「温度差の染み」で記録されるという設定で、これを解読するために研究者がから派遣されたとされる。
作品中の「重力バナナ核」は、果実に含まれる糖分を一時的に重力場へ変換するという設定の中心概念である。これは1980年代後半の米加合同の玩具技術会議で提案された案を下敷きにしていると説明されることがあるが、会議録はなぜか1ページ目しか残っていない。
また、「氷霧メモリ」は通常カートリッジより低温で保存すると容量が1割増えるという謎の周辺設定を持つ。実際にはただの拡張パーツであるが、ファンの間では冷蔵庫に入れるとロード時間が短くなるという俗説が流布した。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は春、の倉庫で偶然見つかった未使用の滑走試作基板を起点として開始された。開発チームは当初、単なるデモソフトとして扱っていたが、樽型コントローラとの相性が異常に良かったため、正式企画へ格上げされた。
当初案では『スーパードンキーコング3』の続編として進められていたが、版権整理の過程で前作との接続が曖昧になり、最終的に「4」という番号だけが残った。これがシリーズ名の整合性をめぐる長年の論争の原因となっている。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、もともと東京都内のアーケード筐体設計会社に在籍していた人物で、本作では「移動感の演出」を最重要視したとされる。プロデューサーのは、発売直前に氷の反射率を1.3%だけ上げるよう要求し、結果として一部ステージが異様に白くなった。
音楽担当のは、カナダの国立気象音響研究所で録音した風音をサンプリングしたとされる。ただし、実際には台所の冷凍庫の音だったという証言もあり、ここは資料が割れている。
音楽[編集]
サウンドトラックは、8ビット風の打楽器と氷を擦る音を基調とした56曲で構成される。特に「Glacier Barrel Waltz」は、発売後に学校の音楽室で演奏されることが増え、楽譜の余白にバナナの絵が描かれる現象が相次いだ。
作曲者は、低音域を強調するために金属製のバケツを逆さに吊るし、その下でチェロを弾かせたという逸話で知られる。もっとも、本人は「実験の半分はポットの落下音だった」と回想しており、完成版の一部トラックに調理器具の残響が混じっていると指摘されている[3]。
移植版[編集]
1998年には向けに簡略移植版が発売され、グラフィックは4色化された一方で、氷の滑りだけは過剰に再現された。これにより、携帯機でありながら「机の上から落ちやすい」として悪名を馳せた。
さらににはを名乗る配信版が登場したが、実際には元ソースの再構築が間に合わず、起動画面のバナナが静止したままという問題が起きた。後年、したシリーズ作として記念展示に含まれた際も、この静止バナナ版が代表作として扱われた。
評価[編集]
発売初週の売上は推定68万本で、その後じわじわ伸び、末時点でを突破したとされる。これにより、は家庭用市場への本格参入に成功したと評価された。
一方で、の審査会では「氷上の挙動が現実の学校生活に悪影響を与えるおそれがある」として慎重論が出たという。最終的には受賞を逃したが、地方自治体の図書館でなぜか推薦図書に分類されるなど、奇妙な波及効果を生んだ。
関連作品[編集]
本作の後には、未完に終わった拡張作『スーパードンキーコング4.5 失われた氷棚』が企画されたが、試作段階で樽の物理演算が暴走し中止された。さらにテレビアニメ化された『コークの土曜探検記』は、本作の設定を借用しながらも、主人公を小学生に変更して放送された。
関連するメディアミックス作品としては、携帯電話向けの落ちものパズル『バナナ氷柱パニック』、書籍ゲーム風の『重力核を探せ』、および舞台化企画『セント・グラシエルの午後』が挙げられる。いずれも本編との整合性は低いが、シリーズ名だけが独り歩きした例として知られている。
関連商品[編集]
攻略本としては『スーパードンキーコング4 完全氷結ガイド』が風の体裁で刊行され、全224ページのうち68ページが樽の投射角度に割かれている。書籍版では、隠し面の出現条件に「冷蔵庫の上に置いて24時間待つ」とあるが、これは後に誤植とされた。
その他の書籍としては、開発資料集『North Wind Visual Archive 1993-1996』、児童向けの絵本『コークと白い樽』、そして料理本『氷霧バナナの使い方』が存在する。なお、最後の1冊は実在しない献立を32品掲載しており、図書館での所在確認が難しいことで有名である。
脚注[編集]
1. ^ 公式資料では発売日を11月14日とするが、体験版の箱には11月17日と印刷されたものが存在する。 2. ^ ジャンル表記は販促パンフレットごとに揺れがあり、、、単なる「冒険活劇」の3種が確認されている。 3. ^ 風音の採取場所についてはの海岸とする説、社内倉庫とする説、冷凍庫とする説が並立している。
参考文献[編集]
・ホール, ローレンス・K.『North Wind Interactive Quarterly Report 1995』Mango Harbor Press, 1996.
・三橋 透介『樽と氷の設計学』北極出版, 1997.
・Voss, Elaine. "Audible Ice and the Illusion of Forward Motion" Journal of Fictional Game Audio, Vol. 12, No. 4, pp. 41-73, 1998.
・高野, 仁志『Super Marmoset System 技術史』港湾科学書院, 2002.
・Schwartz, Miriam A. "Banana Core Gravity in Late-Arcade Design" Canadian Ludology Review, Vol. 8, No. 1, pp. 5-29, 2001.
・『スーパードンキーコング4 完全氷結ガイド』編集部『攻略本なのに冷える』ゲーム・サミット社, 1996.
・佐伯, 玲『移植版と静止バナナの問題』東京遊戯文化研究, 第3巻第2号, pp. 88-104, 2005.
・Hawthorne, P. J. "The Fourth That Never Was: Sequels Without Continuity" Proceedings of the North Atlantic Game Studies, Vol. 5, pp. 201-219, 2009.
・村瀬, 由紀『氷霧メモリに関する誤解と真実』電子娯楽学会誌, 第9巻第1号, pp. 13-27, 2011.
・Lefebvre, Camille. "Mango Harbor and the Rise of Fruit-Based Ballistics" Revue de Fiction Interactive, Vol. 2, No. 3, pp. 77-95, 2014.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
Mango Harbor Archive
North Wind Interactive Museum
Super Marmoset Preservation Society
Fictional Game Audio Database
Banana Core Research Forum
脚注
- ^ ホール, ローレンス・K.『North Wind Interactive Quarterly Report 1995』Mango Harbor Press, 1996.
- ^ 三橋 透介『樽と氷の設計学』北極出版, 1997.
- ^ Voss, Elaine. "Audible Ice and the Illusion of Forward Motion" Journal of Fictional Game Audio, Vol. 12, No. 4, pp. 41-73, 1998.
- ^ 高野, 仁志『Super Marmoset System 技術史』港湾科学書院, 2002.
- ^ Schwartz, Miriam A. "Banana Core Gravity in Late-Arcade Design" Canadian Ludology Review, Vol. 8, No. 1, pp. 5-29, 2001.
- ^ 『スーパードンキーコング4 完全氷結ガイド』編集部『攻略本なのに冷える』ゲーム・サミット社, 1996.
- ^ 佐伯, 玲『移植版と静止バナナの問題』東京遊戯文化研究, 第3巻第2号, pp. 88-104, 2005.
- ^ Hawthorne, P. J. "The Fourth That Never Was: Sequels Without Continuity" Proceedings of the North Atlantic Game Studies, Vol. 5, pp. 201-219, 2009.
- ^ 村瀬, 由紀『氷霧メモリに関する誤解と真実』電子娯楽学会誌, 第9巻第1号, pp. 13-27, 2011.
- ^ Lefebvre, Camille. "Mango Harbor and the Rise of Fruit-Based Ballistics" Revue de Fiction Interactive, Vol. 2, No. 3, pp. 77-95, 2014.
外部リンク
- Mango Harbor Archive
- North Wind Interactive Museum
- Super Marmoset Preservation Society
- Fictional Game Audio Database
- Banana Core Research Forum