デジモン
| タイトル | 『デジモン』 |
|---|---|
| 画像 | (架空パッケージ画像) |
| 画像サイズ | 260x390px |
| caption | 初期ロット版『デジモン:創世パック』の外箱デザイン |
| ジャンル | ハンティングRPG(通称:パートナー・モンスターRPG) |
| 対応機種 | 携帯型ポータブルデバイス『ポケットドットX』 |
| 開発元 | 株式会社デジタル・オーケストラ(初期開発:第三実験室) |
| 発売元 | デジタル・オーケストラ販売局 |
| プロデューサー | リバーズエコ小川(本名:小立遼太) |
| 音楽 | 光速サウンド工房(山根和弥、ほか) |
『デジモン』(英: DejiMon、略称: DM)は、[[1997年]][[8月23日]]に[[日本]]の[[株式会社デジタル・オーケストラ]]から発売された[[携帯型ポータブルデバイス]]用[[コンピュータRPG]]。[[デジモン]]の第1作目である[1]。
概要[編集]
『デジモン』(通称:DM)は、[[携帯型ポータブルデバイス]]上でプレイヤーがパートナーと共に行動し、見つけた「データ生物」を育成・交換することを中心とした[[コンピュータRPG]]である[1]。シリーズ化にあたり、開発チームは「デジタル上の野生生態」を模した“野営型システム”を採用し、従来のRPGにあった「町→戦闘」の往復を、なるべく減らす設計が志向された[2]。
本作は[[1997年]][[8月23日]]に発売され、発売当日に地方拠点のバックアップサーバが一斉同期に失敗したことから、初週だけで「同名別個体」が街中の掲示板に増殖し、結果としてデータ生物への関心が加速したとされる[3]。のちにこの“個体ズレ事件”は、メディアが「デジモンは最初からバグと共に生まれた」と半ば冗談めいて扱う題材にもなった[4]。
ゲーム内容[編集]
プレイヤーは“ハンター見習い”として、携帯型ポータブルデバイスのセンサー画面に現れる行動痕跡を読み取り、フィールドに潜むデータ生物を追跡する[5]。戦闘はターン制に近いが、システム的には「追跡フェーズ→遭遇フェーズ→捕獲/交渉フェーズ→育成反映」と段階が分かれており、単なる殴り合いではないと説明されることが多い[6]。
ゲームシステムの特徴として、捕獲は「弱らせる」よりも「状態を揃える」ことが重視される。具体的には、遭遇後に表示される“反応帯”を3回連続で一致させると成功確率が上がり、失敗時は“逃走ではなく学習”として次回の行動が変化する仕様である[7]。また、アイテム欄には通常の回復薬のほか、街中で拾う微量データ(通称:糸くずパケット)が素材として組み込まれ、「合成レシピがプレイ日ごとに微調整される」といった説明がなされた[8]。
対戦モードは“同期喧嘩(Sync Brawl)”と呼ばれ、オンライン対応がない時代にあえて時間差同期を用いることで、対面していない相手とも条件が合うように設計されたとされる[9]。オフライン運用でも、保存された対戦ログが翌日の個体の性格パラメータに影響するとされ、プレイヤーは「対戦は勝ち負けより、育成の風向き確認だ」と語ることが多かった[10]。
ストーリー[編集]
ストーリーは、架空都市[[秋葉原区]]の地下に張り巡らされた“回線回廊”が、ある日「生態系」として目覚めるところから始まる。主人公は回廊の保全局員ではなく、あくまで民間の“観測係”として入り、データ生物を捕獲するのではなく、観測して“共存条件”を見つけることが目的とされる[11]。
中盤では、主人公の行動を支える「ガイド端末」が、開発時に実装された学習モデルの癖をそのまま語り出す。具体的には、ガイド端末がプレイヤーの移動速度から「疲労係数」を推定し、その数値に応じて次の洞窟の鍵(ID)を“勝手に変える”演出があり、物語はゲームと同じく不確実性で進行するように描かれたとされる[12]。
終盤では、[[株式会社デジタル・オーケストラ]]の第三実験室が残した「報告書断章」が複数の個体に断片として分散され、プレイヤーは戦闘ではなく、収集した断章を“語順辞書”でつなぎ直すことで真相に近づく。なお、この語順辞書は発売後に攻略組織が独自に解読し、当時のファンフォーラムで“22通りの正解”が議論された[13]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は無名の観測係として扱われることが多く、名前欄に入力した文字列が個体の育成表に影響する仕様があると説明される[14]。このため、当時のプレイヤーの間では「本名より“ログイン名”の方が強い」といった迷信めいた主張が生まれた[15]。
仲間(パートナー)側は、捕獲されるデータ生物が役割を持つ形で設計された。たとえば、追跡担当の[[スピン・アーカイブ]]、交渉担当の[[コマンド・モス]]、防衛担当の[[リトル・パケット]]など、種族ごとに“場の意味”が違うとされる[16]。敵側には、回線回廊を汚染するという設定の[[ノイズ牧場]]群が登場し、遭遇時の反応帯を故意に攪乱する能力を持つと説明された[17]。
また、開発背景と絡めて語られる人物として、プロデューサーの[[リバーズエコ小川]]が“創世の語り部”としてクレジットに登場する。ファンサイトでは、彼のペンネームと本名の差分がストーリー上の“正誤表”に反映されたという読みが広がった[18]。なお、一部ではこの演出が週刊誌の記事により暴露された経緯を踏まえるべきだとの指摘もあり、編集者の間で出典の扱いが分かれたとされる[19]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観の中心概念は“データ生態”であり、データ生物は電気的な生理ではなく、情報の混線・整列・誤差の蓄積によって成長すると設定された[20]。“野営”が重要なのは、プレイヤーがその場で学習ログを保存し、翌日の反応帯に反映させる必要があるためである[21]。
個体識別には“識別子(ID)”が用いられるが、IDは固定ではなく、捕獲失敗を挟むと最大で7桁のうち2桁が入れ替わるとされる[22]。この仕様は初期には説明不足だったため、プレイヤーは攻略サイトに頼り、[[秋葉原区]]内の掲示板では「IDシャッフルは運ではない」とする報告が相次いだ[23]。
さらに、アイテムの“糸くずパケット”は、回線回廊の壁面に滞留する微量の誤同期片として扱われる。合成レシピは、プレイ時間帯ごとに微調整され、たとえば午前3時〜4時に限って“耐ノイズ”属性が付きやすいという噂が立った[24]。もっとも、検証では再現性が揺れるとされ、やり込み勢の間で「運用試験に近い」と笑われた[25]。
開発/制作[編集]
企画は、回線回廊の“観測装置”をRPG的に翻訳することから始められたとされる。[[株式会社デジタル・オーケストラ]]の第三実験室では、当時の社内試作として「追跡フェーズ」のプロトタイプが先行開発され、のちにターン制の戦闘へ統合された経緯がある[26]。ディレクターは[[西村ユウキ]]、デザイナーは[[矢島フウ]]で、二人は“反応帯の可視化が先、育成は後”という方針を強調したと記録される[27]。
プロデューサーとしてクレジットされる[[リバーズエコ小川]]は、本名を[[小立遼太]]とする人物として社内資料に記載されていたとされる[28]。また、彼が採用したペンネーム運用が、のちに週刊誌の報道により“別の人物像”として広まった結果、外部メディアは開発の動機をめぐって複数の解釈を投げかけたとされる[29]。この点については、内部では「ストーリーへの反映は純粋な創作意図である」とする立場があった一方で[30]、外部からは「作劇の元ネタは実体験である」との推測が相次いだと記される[31]。
制作上のエピソードとして、初期版ではセンサー画面の表示が“1秒につきフレームを3回落とす”ように設計されていたが、社内検証で体感が崩れるとして取り消された経緯がある。結果として、発売版では“1秒あたり2回の更新”に調整されたと説明される[32]。この変更は地味だが、のちのプレイヤー評価で「反応帯が嘘みたいに見える」と称賛される伏線になったとされる[33]。
音楽[編集]
音楽は[[光速サウンド工房]]が担当し、山根和弥による“観測時の鼓動”を模した電子音が特徴とされた[34]。サウンドトラックは“フレーズ単位で差し替え可能”として設計され、捕獲成功時だけ短いメロディが上書きされる仕様があったとされる[35]。
当時のレビューでは、フィールドの静寂が過剰にリアルである点が好意的に言及され、「BGMが止まっても不安にならない」ことが評価された[36]。もっとも、後年の検証では、特定の個体が出現する条件でだけ音量が0.8%下がる設定が残っていたと指摘されており、制作者が意図した“演出の精度”と偶然の残りが混ざったのではないかとする説もある[37]。
なお、サウンドトラックの最長曲は“回線回廊第九断面”で、総再生時間が14分11秒とされる[38]。この曲が流れるのは、語順辞書の完成条件が満たされた時のみであり、達成者は画面に表示される小さなアイコン(直径2mmの円)を見落とさないよう注意された[39]。
他機種版/移植版[編集]
初期の携帯型ポータブルデバイス向けに始まったが、翌年にはアーケード級の筐体“回線スタンド”へ展開されたと説明される[40]。この移植では、捕獲成功時の演出が“壁面プロジェクション”として大型化し、視覚的な圧が増したとされる[41]。
さらに2001年には、家庭用に近い据え置き機へ“デジモンHDリマスター”が出たとされる。ここでは、IDシャッフルの説明が明確化され、誤同期片の名称も“糸くず”から“糸状誤差データ”へ変わったとされる[42]。ただし移植の過程で、午前3時〜4時属性の噂に関連する乱数シードが別物になり、旧来ユーザーから「同じ魔法が使えない」と批判が出たと記録される[43]。
一方、2010年代には“携帯端末連携”として、別端末で保存した育成ログを同期して再現する試みもあったとされるが、仕様は地域差があり、[[東京都]]の一部量販店でだけイベント配布が行われたとも報じられた[44]。
評価(売上)[編集]
発売直後から話題となり、初週の出荷は約38万本で、月末までに累計79万本を突破したとされる[45]。当時の業界紙では「携帯RPGなのに対戦が熱い」と取り上げられ[46]、のちに“ハンティングRPG”という分類が広く使われるようになったと説明された[47]。
また、日本ゲーム大賞に関連する受賞については、特別審査枠で評価されたとされ、受賞年は[[1998年]]と記録されることが多い[48]。一方で、別の資料では受賞条件が「累計100万本」の達成ではなく「語順辞書の解析コミュニティ規模」となっていた可能性があるとし、やや異なる見解が併記されている[49]。
海外展開の数値としては、世界累計が約116万本とする説があるが、地域別の内訳は資料によって異なる。特に北米向けは“個体ズレ事件”が誤って現地の規制文脈と結び付けられたと指摘され、販促のトーンが調整されたとされる[50]。
関連作品[編集]
メディアミックスとして、デジタル生態を題材にしたテレビアニメが企画され、主人公の観測記録が時系列で再構成される形式が採用された[51]。アニメ版では、語順辞書の演出が“ナレーションによる辞書朗読”として表現され、ファンからは「音の辞書でゲームより先に理解できる」と評価された[52]。
漫画版は、パートナー育成の葛藤を中心に描かれたとされる。特に、プロデューサー[[リバーズエコ小川]]のペンネーム運用が外部報道で露見した経緯を踏まえ、作中でも“正誤表が差し替えられる”描写が話題になったとされる[53]。なお、この部分は後年、出典が曖昧であるとして編集会議で「要注意の記述」とされることがあった[54]。
また、派生ゲームとして“糸状誤差データの格闘技”を扱うスピンオフが出たとされるが、当時の資料では短期間の配信のみで、詳細は確認が難しいとされている[55]。
関連商品[編集]
攻略本としては、『デジモン語順辞書の完成手引き』(通称:辞書本)が発売され、語順辞書の解読手順が図解された[56]。同書では「正解の語順は22通り」とする章立てがあり、読者は実際のプレイ記録と照合できるようになっていたと説明される[57]。
ほかにも、携帯端末で遊ぶ人向けの『糸くずパケット合成大全』があり、素材のカテゴリをABCの3段階で整理したとされる[58]。一方、映像ソフトとしては“回線回廊第九断面”のBGM全集が収録された『観測時の鼓動(完全版)』が販売された[59]。
さらに、専門書として『データ生態工学入門』が出版され、ゲーム内の概念(反応帯、IDシャッフル、同期喧嘩)が研究用語に似ている点が面白いとして参照されたとされる。ただし、内容の一部が実測ではないとして、大学図書館では購入基準が揺れたと記録される[60]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 第三実験室『『デジモン』開発報告書(初期草案)』株式会社デジタル・オーケストラ, 1997年.
- ^ 西村ユウキ『反応帯の可視化と探索RPGの設計思想』ファミ通出版局, 1998年.
- ^ 山根和弥『観測時の鼓動:DMサウンド解析』光速サウンド工房出版部, 1999年.
- ^ Angela Mercer『Narrative Compression in Handheld RPGs: The DM Case』Vol.12 No.3, Journal of Play Studies, 2000年.
- ^ 堀田楓『IDシャッフル現象の統計的検討(架空データ)』第8回インタラクティブゲーム学会論文集, pp.41-58, 2001年.
- ^ 矢島フウ『データ生態のキャラクターデザイン論』デザイン評論社, 2002年.
- ^ Kensuke Tanaka『Sync Brawl and the Rise of Asynchronous PvP』Vol.4 Issue2, International Review of Game Mechanics, pp.77-96, 2003年.
- ^ 小立遼太『プロデューサー交替劇:ペンネーム運用の是非』回線出版社, 2004年.
- ^ 編集部『日本ゲーム大賞の選考基準(特別審査の変遷)』ゲーム法制研究所, 2005年.
- ^ Rivers Eco Ogawa『Notes on Partner Ecology』pp.1-212, Pocket Dot Press, 2006年.
外部リンク
- デジモン解析ラボ
- 回線回廊アーカイブ
- 語順辞書研究会
- 糸状誤差データ同好会
- ポケットドットX保存庫