マジコップ2
| 作品名 | マジコップ2 |
|---|---|
| 原題 | Majicop 2 |
| 画像 | Majicop2_poster.jpg |
| 画像サイズ | 220px |
| 画像解説 | 公開時に配布された決戦版ポスター |
| 監督 | 白石丈一郎 |
| 脚本 | 三条みづき |
| 原作 | 霧島ハルオ |
| 製作 | 北条一樹 |
| 製作会社 | スタジオ・ブリキノ |
| 配給 | 東和シネマ・ライン |
| 公開 | 1998年7月18日 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| 製作費 | 約6億4,000万円 |
| 興行収入 | 41.8億円 |
| 配給収入 | 23.1億円 |
| 上映時間 | 118分 |
| 前作 | マジコップ |
| 次作 | マジコップ2.5 |
『マジコップ2』(まじこっぷ2)は、1998年に公開された日本のアニメーション映画である。監督は白石丈一郎、脚本は三条みづき、原作・総合演出は霧島ハルオ。前作『マジコップ』の空前の興行を受け、興行収入は41.8億円を記録し、星雲児賞を受賞した[1]。
概要[編集]
『マジコップ2』は、1998年に東京都千代田区の試写館を皮切りに公開されたスタジオ・ブリキノ制作のアニメーション映画である。前作『マジコップ』で確立された“超常捜査と生活保安の両立”という独特の世界観を拡張し、警視庁の内部に存在するとされる極秘部署第九生活対策課を舞台とした[1]。
企画当初は深夜帯のテレビ映画として想定されていたが、1997年の夏に行われた池袋での先行上映テストで異常なまでの拍手率を記録したため、劇場用に格上げされたとされる。公開後は小学生から定年退職者まで幅広い層を取り込み、特に“鍋の蓋を盾にする警官”の場面が社会現象化した[2]。
あらすじ[編集]
前作の事件から一年後、東京湾沿岸で「真夜中に白線が増える」現象が頻発し、マジコップ本部は市民生活への影響を懸念する。主人公の相沢ユウは、日常の取り締まりを担当するはずが、白線の増殖が古い防災計画に埋め込まれた“予告型呪符”であることを知り、品川埠頭から多摩ニュータウンまでを縦断する追跡を開始する。
物語の中盤では、ユウの同期である長谷川レンが敵側に寝返ったように見えるが、実際には都庁地下で保管されていた「反射する免許証」を用いた潜入捜査であったことが明かされる。終盤、巨大な交番型要塞K-11号が上野上空に展開し、マジコップ隊は市民の記憶から“怒られた経験”のみを消去することで暴走を止める[3]。
登場人物[編集]
声の出演[編集]
相沢ユウを橘蒼真、長谷川レンを藤堂まりな、霧島カオルを大河内志津、黒田シゲルを城戸剛がそれぞれ務めた。いずれも当時のアニメ映画では珍しく、収録前に埼玉県所沢市の旧消防訓練場で実地発声テストが行われたとされる。
また、交通管制AIミニ・マジの声は音響監督・荒木宙太が自ら変調加工を施して録音した。関係者によれば、あまりに機械的であったため、試写の際に観客が「本当に録音か」とざわついたという。
スタッフ[編集]
製作[編集]
企画[編集]
企画の起点は1995年秋、神保町の喫茶店で原作の霧島ハルオが「警察はもっと魔法っぽくてもよい」と発言したことにあるとされる。その場に居合わせた編集者木村隼人がメモした“魔法=マジ、警察=コップ”という走り書きが、そのままシリーズ名の由来になった。
第2作では、前作以上に“都市の保守機能”をテーマにすることが決まり、道路標識、避難経路、庁舎照明などが物語装置として扱われた。企画書には「子どもは怪獣を、大人は決裁印を観に来る」と記されていたという。
制作過程[編集]
制作期間は16か月で、実動スタッフは延べ214人、外部協力は37社に及んだ。とくに第3幕の新宿上空シークエンスは、雲の層を8段階に分けた作業であり、1枚の背景に平均4時間12分を要したとされる。
また、敵の基地内部にある回転式掲示板は、実際に横浜の倉庫に3.2メートルのミニチュアが組まれ、撮影時には担当美術スタッフが毎回手で回していた。ここで生じた摩擦音が偶然よく、最終音響に残された。
興行[編集]
宣伝・封切り[編集]
宣伝は“見てから通報”を標語に、渋谷池袋吉祥寺の3都市で先行パトロール型ポスターが掲出された。封切り当日には新宿の一部劇場で観客整理券が不足し、係員が手書きで番号を足したため、後年「幻の赤鉛筆版」と呼ばれている。
初週観客動員は78万3,000人で、前作の同週成績を18%上回った。公開2週目には大阪と名古屋で親子連れが集中し、映画館外の売店で警官帽型の紙コップが品切れになった。
反響[編集]
批評[編集]
批評家からは、前作よりも社会制度の隙間を描いた点が評価される一方で、「交番の中で世界観を説明しすぎる」との指摘もあった。特に月刊アニメーション批評誌では、ユウが3回連続で敬礼する場面について「倫理とギャグの境界を越えた」と評された。
一方で、日本映画研究会の報告書は、都市のインフラを怪異として再解釈する姿勢を「90年代末の公共意識を映す寓話」と位置づけている[5]。
受賞・ノミネート[編集]
本作は星雲児賞最優秀アニメーション映画賞、東洋映像芸術祭脚本賞、東京こども映画大賞特別表彰を受けた。さらに1999年にはアジア・ファンタジー映画祭で審査員特別賞にノミネートされた。
また、主題歌「MAGIC ROUTE」は日本レコード連盟の年末調査で“映像と同時に記憶されやすい楽曲”部門1位となったが、この部門は同年を最後に廃止された。
テレビ放送[編集]
2001年から2012年にかけて、東京臨海放送、地方文化ネット、衛星アニメ劇場で計14回放送された。うち2008年の年末放送では、編成の都合で後半15分が翌日早朝にずれ込み、視聴者から“分割勤務版”と呼ばれた。
最も高い視聴率を記録したのは2005年の初回地上波放送で、12.8%を記録した。放送後に全国の交番から「不審な白線に関する問い合わせ」が増えたというが、これが本作の社会的影響を示す最たる例として引用されることが多い。
関連商品[編集]
作品本編に関するもの[編集]
公開時にはB2ポスター、録音台本、防犯ブザー型キーホルダー、マジコップ認定腕章などが販売された。中でも腕章は、劇場窓口でのみ入手できた“通行許可風デザイン”が人気を集めた。
また、1999年発売のサントラ盤は全32曲収録で、うち7曲が「未使用都市音」として現場の足音だけを延々収めたものだった。これは後に環境音コレクターの間で高値で取引された。
派生作品[編集]
派生作品として、短編OVA『マジコップ2 外伝・夜の標識』、小説版『マジコップ2 白線の彼方』、そして児童向け図鑑『マジコップとまちのルール』が刊行されている。なお、図鑑版にはなぜか第九生活対策課の電話番号が記されていたが、実際には架空番号である。
さらに、2004年には舞台版『マジコップ2 the stage』が池袋の小劇場で上演され、交番を布製テントで再現したことで話題になった。
脚注[編集]
== 注釈 == [1] 興行収入は東和シネマ・ライン社内集計に基づく。 [2] 星雲児賞の受賞理由には、都市インフラを怪異化した点が挙げられた。 [3] この消去演出は、一部の観客に強い既視感を与えたとされる。
== 出典 == [4] 佐伯光一『都市と白線の映画史』青潮社、2006年、pp. 114-131. [5] 日本映画研究会編『九〇年代後半アニメ映画の制度的想像力』中央評論出版、2001年、Vol. 12, No. 3, pp. 44-58.
脚注
- ^ 佐伯光一『都市と白線の映画史』青潮社, 2006.
- ^ 日本映画研究会編『九〇年代後半アニメ映画の制度的想像力』中央評論出版, 2001.
- ^ 三浦玲子『架空の交番とその美学』海鳴社, 2003.
- ^ H. Kuroda, "Reflective Policing in Late-90s Japanese Animation," Journal of East Asian Screen Studies, Vol. 8, No. 2, 2002, pp. 77-96.
- ^ 白石丈一郎監修『マジコップ2 制作報告書』スタジオ・ブリキノ資料室, 1999.
- ^ 東和シネマ・ライン宣伝部『公開週報 マジコップ2』社内刊行物, 1998.
- ^ M. Thornton, "Line Anxiety and Civic Fantasy in Majicop 2," Pacific Film Quarterly, Vol. 14, No. 1, 2004, pp. 19-33.
- ^ 霧島ハルオ『都市保安幻想論 付録・マジコップ覚書』北窓書房, 1997.
- ^ 藤堂まりな『音のない敬礼』燈火出版, 2010.
- ^ 北条一樹『製作委員会の時代とその周縁』新都社, 2008.
外部リンク
- スタジオ・ブリキノ公式資料館
- マジコップアーカイブス
- 東和シネマ・ライン年表室
- 東京臨海放送 番組保存庫
- 日本架空映画学会 データベース