劇場版マジコップ
| 原案 | 神保令一・東京都警務文化課案 |
|---|---|
| 企画 | 東都フィルム、警視庁広報協力班 |
| 初出 | 1987年夏季治安啓発上映会 |
| 分類 | 劇場用特別編集・準長編シリーズ |
| 主題 | 魔法犯罪、反則手帳、光学手錠 |
| 上映時間 | 第1作 64分 / 第2作 71分 / 第3作 68分 |
| 舞台 | 東京都、横浜港湾地区、架空の霞浦特別区 |
| 興行記録 | 通算動員 92万4,000人(公称) |
| 特徴 | 観客参加型の呪文唱和と任意の拍手停止指示 |
劇場版マジコップ(げきじょうばんマジコップ、英: Magi Cop: Theatrical Edition)は、とを融合させたとされる日本の劇場用作品群の総称である。もとは末期の広報上映企画に由来し、のちにの上映委員会を中心として独自の「魔法的犯罪抑止」演出が体系化されたとされる[1]。
概要[編集]
劇場版マジコップは、の広報資料と的文法が混交して成立したとされる劇場版シリーズである。一般には児童向けの娯楽作品として扱われるが、制作史をたどると、当初はが推進した「夜間非行抑止啓発計画」の一部であったと説明されることが多い。
作品世界では、警察官が魔法免許を持つという設定が採用されているが、これは当時のとの共同提案によるもので、違法駐輪や深夜の騒音を「軽犯罪呪」として可視化する狙いがあったという。なお、初期試写では子どもが犯人役に肩入れしすぎたため、以後は毎回ラストに「正しい通報のしかた」解説が付くようになったとされる[2]。
成立の経緯[編集]
広報映画から劇場版へ[編集]
起源はにが制作した16ミリ広報映画『マナーは魔法だ』にさかのぼるとされる。この短編では、交差点での信号無視を「魔法陣の乱れ」と説明する大胆な演出が用いられ、配布先の児童館で想定外の人気を得た。これを見た企画担当の神保令一は、同年冬に「警察官が魔法で違反を未然に止める長編」を提案し、予算のところを、なぜか美術費がまで膨らんだという。
第1作『劇場版マジコップ』は、との二館先行で公開された。上映開始前に観客へ配られた「反則回避カード」は、退場時に出口のセンサーへ差し込むとスタンプが貯まる仕組みで、3回満了すると見学会に応募できたとされる。ただし実際には、カードの回収率が高すぎて再発行が追いつかず、翌週からは半券方式に変更された。
シリーズ化と制度化[編集]
の第2作以降、シリーズは単なる映画ではなく「劇場版マジコップ方式」として教育現場へ逆輸入された。都内の一部小学校では、学期末の防犯集会で主人公の変身ポーズを模した整列訓練が行われ、校門前の自転車整理まで舞台照明の比喩で指導されたという。これにより、作品は系の教材審査で長く注目対象となった。
一方で、シリーズの継続を支えたのは、撮影所ではなく地下の「装束乾燥室」であったとする資料がある。ここでは光沢のある制服、発光警棒、そして後述する「第3種呪文ホルスター」が一括保管され、毎回の撮影前に必ず2時間の安全祈念が行われたとされている[要出典]。
作品世界の特徴[編集]
劇中のマジコップは、一般的な刑事ものと異なり、逮捕状ではなく「封印札」を用いる。封印札はの倉庫街で起きた暴走事件を契機に導入されたという設定で、札の端を折る角度によって拘束時間が変わる。監修を務めたとされる黒瀬義昭警部補は、「角度7度ではほぼ無力、13度でようやく威圧効果が出る」とコメントしたと伝えられるが、後年この数値だけが一人歩きした。
また、観客参加型演出として、怪人が登場すると館内で一斉に「まじこっぷ!」と唱和する場面がある。第1作ではその音量が想定を超え、隣接するの商業施設の自動放送と同期してしまったため、以後は上映館ごとに周波数をずらすという奇妙な運用が採用された。
主要登場組織[編集]
都警魔法対策課[編集]
作中の中核組織であるは、正式名称を「東京都生活安全局 付属魔法的交通違反対策班」といい、通称は「マ対」である。人員は最盛期で18名、うち実働は7名とされ、残りは撮影用の被り物を管理する事務職で占められていた。
課長の霧島善造は、的な厳格さと妙に洒落た呪文詠唱を両立する人物として描かれ、説教の前に必ず茶柱の有無を確認する癖があった。これが視聴者の間で「茶柱チェック法」と呼ばれ、後に会議室の空調管理マニュアルへ転用されたという。
反則連盟[編集]
敵対組織は「反則連盟」と呼ばれ、路上喫煙、無断横断、深夜のイヤホン音漏れなどを魔術化して都市機能を混乱させる存在として設定された。連盟の本部は某所の地下3階にあるとされたが、ロケ地は実際には都内の廃営業所を3日で改装しただけだった。
第2作で登場した幹部「グレン・サイン」は、元は字幕検討委員会の外部協力者であり、禁止事項を逆手に取った長台詞を読むことで知られた。なお、彼の名刺には肩書きが7行も印字されており、撮影時に毎回どこか1行がはみ出したことがファンの間で語り草となっている。
市民協力隊と観客[編集]
シリーズでは一般市民も「協力隊員」として位置づけられ、作品内外の境界が極めて曖昧である。とくにの夏のキャンペーンでは、内の6館で来場者が一斉に簡易バッジを着用し、街頭でマナー違反を指摘するとポイントが付与された。
この施策は一部で好評だったが、バッジを見せびらかすこと自体が通行の妨げとなり、結果として「注意する側の横断歩道占拠」が社会問題化したとされる。シリーズ側は翌年、注意喚起の文言を「正義は静かに」で統一した。
製作[編集]
製作はを中心に、広報協力班、、そしてなぜかの協賛で進められた。水道局が参加した理由については、変身シーンの蒸気演出に再利用水を用いたためとする説と、単に会議室が広かったためとする説がある。
撮影は主に周辺の貸しセットで行われたが、シリーズ最大の見せ場である「反則霧の発生」は、実際には大型加湿器17台と洗濯糊を混ぜた半実験的手法で再現された。これにより、現場スタッフの制服がすべて少しだけ硬くなったという。
キャストと特殊演技[編集]
主演の白石迅は、アクション俳優ではなく当初はの広報映像ナレーターだったとされる。彼がマジコップ役に選ばれた理由は、変身後の台詞を読む際に一切息継ぎが見えなかったからで、演出側は「法令を読み上げるような抑制」が作品の格になると判断した。
敵役の多くは舞台俳優が兼任し、1人平均3役を担当した。とくに第3作では、同一人物が「窓の外の影」「市役所の案内係」「封印失敗後の怪人」を連続して演じ、観客アンケートで出演者欄がほぼ空欄になったことがある。
音楽[編集]
主題歌『マジに守れよ、東京を』は版だけでを売り上げたとされるが、実際には学校行事の伴奏用に一斉貸し出しされた分が大きい。作曲した渡会真澄は、サビの最後に4拍分の沈黙を入れることで「違反を反省する間」を作ったと語ったという。
劇伴では、サックスと電子オルゴールが交互に鳴る「警告コード」が特徴で、違反検知時にはトロンボーン3本が同時に半音ずつ下降する。これは聴覚的に“きびしいが少しやさしい”印象を与えるためであったとされ、後年の交通安全啓発CMにも流用された。
公開と興行[編集]
第1作は7月18日に公開され、初週成績は劇場数こそ12館であったが、1館あたり平均入場者数がを超えたとされる。興行面での成功は、子ども連れだけでなく、当時の行政職員が団体鑑賞として大量に入ったことが大きい。
第2作以降はなど郊外都市へ上映網が広がり、最盛期には関東一円で巡回バス付きの特別上映が実施された。バスの外装には「違反は変身で止める」という意味不明な標語が書かれ、地域住民からは「妙にまじめで妙に派手」と評された。
批判と論争[編集]
もっとも大きな論争は、作品が「防犯啓発」の名目でありながら、実際には変身ポーズの模倣を促進したことである。とくにの夏、都内の児童公園で子どもたちが「封印札ごっこ」を始め、紙片を投げ合って遊具を止める事案が相次いだ。これに対し制作委員会は、危険性を下げるため封印札を丸角化し、さらに“人に向けて唱えない”という文言を追加した。
一方で、批評家の中には本シリーズを「日本の都市行政と幻想文学の不幸な結婚」と呼ぶ者もいた。だが、の文化番組が一度これを特集した直後、問い合わせ電話が1日でに達したため、結果として社会的影響は否定しがたいものとなった。