ミストロゴロントニア
| コンビ名 | ミストロゴロントニア |
|---|---|
| 画像 | なし |
| キャプション | 第7回ミストロ杯での舞台袖写真とされる |
| メンバー | 霧島 譲治、黒峰 トニオ |
| 結成年 | 1989年 |
| 解散年 | 活動中 |
| 事務所 | 北風企画 |
| 活動時期 | 1989年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 両者共同 |
| 出身 | 東京都杉並区周辺 |
| 出会い | 都立多摩川演芸研究会 |
| 旧コンビ名 | ミスト |
| 別名 | ロゴロン |
| 同期 | 霜降り電柱、赤坂メタル |
| 影響 | 実験漫才の定着に寄与 |
| 現在の代表番組 | 『深夜の反復横跳び』 |
| 過去の代表番組 | 『笑点外延』 |
| 現在の活動状況 | テレビ・劇場を中心に活動 |
| 受賞歴 | 第12回ミストロ杯大賞、第3回東京即興大賞 |
| 公式サイト | 北風企画 公式プロフィール |
ミストロゴロントニア(Mistrogorontonia)は、架空の芸能事務所「」所属のお笑いコンビ。1989年結成。東京の下北沢を拠点に、緻密な伏線回収と異様に長い前説で知られる[1]。
メンバー[編集]
霧島 譲治(きりしま じょうじ)はツッコミ担当で、ネタの骨格設計と間の調整を担う人物である。学生時代は立川市の演劇部で音響を担当していたとされ、相方の暴走を止めるための「3秒遅れのツッコミ」を独自に磨いたことで知られる。
黒峰 トニオ(くろみね とにお)はボケ担当で、語感の強い造語を大量に投下することで有名である。本人によれば、最初に発した決めぜりふ「ミストロゴロントニア」は、の喫茶店で隣席のアナウンス原稿を聞き違えたことから生まれたという[2]。
両者ともの創設期に所属しており、事務所内では「机上の空論係」と呼ばれていた。なお、霧島は事務所の会計補助も兼務していたが、黒峰が領収書を小道具としてコントに流用したため、経費精算が一時期だけ異様に遅れたという。
来歴[編集]
結成まで[編集]
2人は、の新入生歓迎公演で初めて共演したとされる。当初は即興劇の補助要員であったが、霧島が台本の端に書かれた「ミス・トロゴ」と「ロントニア」を別々の作品名だと誤解し、会場でそのまま読み上げたことが受けたため、翌年に正式結成された。
結成当時の仮称は「ミスト」であったが、10月に出演したの小劇場イベントで、黒峰が舞台上の照明トラブルを「ロゴの問題ではなくトニアの設計不良」と言い換えたことから、現在の名称に改められた。以後、事務所関係者の間では名称が長すぎるとして「ミスロン」と略されることが多い。
東京進出[編集]
に活動拠点をからに移したとされる。理由は、当時の地方営業で使っていた可搬式スクリーンが新幹線車内で折れ、以後「映像より現場の空気の方が強い」と判断したためである。
東京進出後はのライブハウス「サンセット会議室」やの小劇場「銀河スパナ」で修業を重ね、長尺の前説と細部にこだわるコントで注目された。特にの深夜番組『笑点外延』への準レギュラー起用が転機となり、一般層にも「説明が長いのに最後だけ急に雑になるコンビ」として知られるようになった。
芸風[編集]
ミストロゴロントニアの芸風は、情報過多の導入部から急速に脱線し、最後に一点だけ妙に正確な豆知識が残る構造に特徴がある。漫才では霧島が制度や統計を語り、黒峰がそれを一度ぜんぶ壊してから再構成する形式が多い。
コントでは、役所、会議、学会発表、町内防災訓練などを題材にすることが多く、書類の記入欄をめぐる押し問答が定番である。とりわけ「役所の窓口で、申請書のふりをした折りたたみ地図が本人確認になるか」というネタは、観客アンケートで賛否が真っ二つに割れたことで有名である[3]。
また、2人の漫才は「3回同じ話をしてから4回目で本題に入る」と評されることがある。これは創作上の癖というより、黒峰が話のたびに新しい比喩を足し、霧島がそれを必死に帳尻合わせするためであり、編集者によっては「現代版の連句」と位置づけられている。
エピソード[編集]
、の劇場で行われた単独ライブ『逆流する見出し』では、前説が予定の12分を大幅に超え、結果として本編が48分、アンコールが7分、退場案内が19分という異例の構成になった。主催者は後日「時間管理は破綻したが、観客の満足度は高かった」とコメントした[4]。
には、の教育番組を模したコントで、黒峰が巨大な定規を振り回しながら「全国の誤差をそろえる」と叫ぶ場面が話題となった。この回は一部で「教育的すぎて笑いが遅れて来る」と評され、翌週の視聴率が0.4ポイントだけ上昇したとされる。
さらに、霧島がの営業先で「ミストロゴロントニアの“ロゴ”はロジックの略ではない」と説明したところ、客席の中学生が翌日から演劇部で用語研究を始めたという逸話が残る。本人たちは「そんな影響はない」と否定しているが、地元紙の文化欄では小さく取り上げられた。
出囃子[編集]
出囃子は、作とされる架空の行進曲「Misto No.7」である。実際には事務所の常備音源を黒峰が勝手に編集し、冒頭にカスタネット音を9回足したものが原型とされる。
に一度だけ別曲へ変更されたことがあるが、霧島が「入場の瞬間に客が身構えない」と反対し、翌月には元に戻された。以後、開演前にこの曲が流れると、客席の一部が無意識にメモ帳を開く現象が確認されているという。
賞レース成績・受賞歴[編集]
のような実在大会に似た形式の『』では、に第2回準決勝へ進出し、審査員から「完成度が高いが、途中で説明責任が勝ちすぎる」と講評された。これは記録上、ほぼ唯一の“褒めているのか怒っているのか分からないコメント”として保存されている。
には『』で優勝し、黒峰が優勝コメントの最中に審査用紙の裏面を読み上げてしまったことがニュースになった。なお、の『』形式の外部審査会ではファイナリスト入りしたとされるが、当該年の大会名が主催者内部で二転三転したため、資料によって表記が一致しない[5]。
受賞歴としては第12回ミストロ杯大賞、第3回東京即興大賞、特別功労章などがある。特に功労章は「舞台袖の消耗品管理を改善した」ことが理由で授与された珍しい例である。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
レギュラー番組としては、系の『深夜の反復横跳び』、特番『会議室の哲学』、のローカル企画『笑点外延』などがある。とくに『深夜の反復横跳び』では、2人が毎回ひとつの制度を持ち込み、最終的に制度そのものを漫才化する形式が採られた。
現在も年数回の特番出演があり、の大型バラエティで「原稿のない説明役」として呼ばれることが多い。なお、出演時間が短い割に準備資料が分厚いことで、制作側からは半ば学術委員のように扱われている。
ラジオ・ネット配信[編集]
ラジオではの深夜枠『ミストロ電波会議』が知られる。リスナーからの投稿に対し、霧島が真面目に分類し、黒峰が勝手に新しいカテゴリを作るため、3か月目にはコーナー数が開始時の2倍になった。
配信ではの『北風企画 公式チャンネル』で月1回の公開稽古が行われている。とりわけ2020年以降は、コントの冒頭で手指消毒の導線を小ネタにするなど、時流への適応が妙に早かったことで注目された。
作品[編集]
CDとしては、発売の『説明のための説明』、DVDとしては『ミストロゴロントニア LIVE 2001-2015』がある。前者は実質的に漫才の再編集盤であり、ジャケット写真が会議資料に見えると話題になった。
また、の配信限定作『トニア式逆接法』は、1本のコントを8分、14分、26分の3版で収録した変則的な構成である。ファンの間では「最初に短い版を見てから長い版を見ると、意味が増えるのではなく増殖する」と評されている。
単独ライブ[編集]
単独ライブは年1回から2回の頻度で開催されている。代表作には『逆流する見出し』『台本のない脚注』『ロゴが先に来る』などがあり、いずれもタイトルだけで観客を少し不安にさせることで知られる。
の『台本のない脚注』では、終演後に配られたアンケート用紙の欄外までネタとして扱ったため、感想欄が事実上の追加公演になった。制作スタッフは後に「紙面の余白が一番おもしろかった」と述懐している。
書籍[編集]
著書に『ミストロゴロントニアの間違えない間違い方』(、)がある。ネタの作り方、会議での沈黙の使い方、漫才での「説明しすぎない説明」の技術を解説した体裁で、実際には半分以上が2人の失敗談で占められている。
ほかに、霧島による単著『ツッコミは遅れて完成する』、黒峰のエッセイ『造語の置き場所』があり、いずれも演芸誌ではなく文化批評誌に寄稿された。なお、黒峰の書籍では「カンマを使いすぎると観客が笑う前に呼吸を整える」という独自理論が展開されている。
脚注[編集]
1. ^ 北風企画編『第1次所属芸人名鑑 1989年度版』による。 2. ^ 霧島譲治「聞き違いの美学」『月刊演芸研究』第14巻第3号, pp. 41-46. 3. ^ 『港区舞台芸術観客動向調査 2013』では、理解度と満足度が一致しない例として記録されている。 4. ^ 下北沢銀河スパナ運営委員会『単独ライブ記録集 2001-2005』, pp. 88-91. 5. ^ 大会名の揺れについては『東京即興大賞 公式年報 2012』と『関東即興連盟 通信』で表記が異なる。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
北風企画 公式プロフィール
下北沢演芸連盟アーカイブ
ミストロゴロントニア年表資料室
東京即興大賞 公式記録庫
脚注
- ^ 霧島譲治『聞き違いの美学』月刊演芸研究 第14巻第3号, pp. 41-46.
- ^ 黒峰トニオ『造語と沈黙の相関』芸能思想 Vol. 8, No. 2, pp. 12-29.
- ^ 北風企画編『第1次所属芸人名鑑 1989年度版』北風企画出版局, 1989.
- ^ 下北沢銀河スパナ運営委員会『単独ライブ記録集 2001-2005』銀河堂, 2006, pp. 88-91.
- ^ 田所真一『東京即興芸の系譜』新潮芸術社, 2011, pp. 203-217.
- ^ 佐伯みのり『深夜番組と前説の文化史』文化放送出版, 2014, pp. 55-73.
- ^ 藤堂圭介『説明過剰の笑い学』日本笑芸協会叢書, 2019, pp. 9-34.
- ^ Theodore M. Lane, 'Extended Set-Up in Modern Japanese Manzai', Journal of Performance Studies Vol. 22, No. 4, pp. 201-219.
- ^ Margaret H. Sloane, 'The Geometry of Punchlines', Comedy & Media Review Vol. 11, No. 1, pp. 77-95.
- ^ 『港区役所における芸能申請の実態』港区文化振興課報告書, 2013, pp. 14-18.
- ^ 木下彩子『ミストロゴロントニア史 1989-2020』青磁新書, 2020, pp. 1-188.
- ^ Albert N. Kessler, 'Mistro and the Administrative Joke', Annals of Urban Entertainment Vol. 6, No. 3, pp. 44-60.
外部リンク
- 北風企画 公式サイト
- 下北沢演芸連盟 アーカイブ
- 東京即興大賞 公式記録
- ミストロゴロントニア非公式年表
- 月刊演芸研究 デジタル版