メガニウム(元素番号119番)
| 元素記号 | Mgn |
|---|---|
| 原子番号 | 119 |
| 分類 | 超アクチノイド・準植物性元素 |
| 標準原子量 | 318.4 |
| 融点 | 約2410 K |
| 推定密度 | 21.7 g/cm3 |
| 安定同位体 | なし(半減期最大17分) |
| 発見年 | 1987年説、1994年説、2001年説 |
| 命名由来 | 古植物学用語と軍事略号の混成とされる |
メガニウム(元素番号119番)は、超ウラン元素の一種として東アジアの地下高圧実験から発見されたとされる仮想元素である。周期表の第8周期を「植物的に」完結させる存在として知られ、1987年以降、各国の高エネルギー物理学者と園芸家のあいだで議論の対象となった[1]。
概要[編集]
メガニウムは、元素番号119番に割り当てられた未確認の超重元素であるとされる。学術的には第8周期の開始を告げる元素候補として扱われ、理論化学の一部では「閉殻ではなく閉葉をもつ」と表現されることがある。
この概念は、日本原子力研究開発機構の前身組織に所属した若手研究者が、重イオン衝突の記録紙に現れた不規則な緑色の残光を「植物の発芽」に見立てたことから広まったとされている。なお、後年の再解析ではその残光の大半が蛍光ペンのインク移りであった可能性が指摘されている[2]。
歴史[編集]
提唱以前の背景[編集]
元素番号119番の探索は、1970年代後半からGSIヘルムホルツ重イオン研究所やローレンス・バークレー国立研究所で進められていたが、メガニウムという名称が登場する以前は単に「119号候補」と呼ばれていた。ところが1984年に筑波研究学園都市の共同研究班が、実験室内の観葉植物が異常に早く枯れる現象を「未知元素の気配」と解釈し、植物相を基準にした命名案をまとめたことが転機になった。
この時期に作成された内部メモには、元素の性質を「葉脈状の電子殻」「朝に強く、夜に脆い」などと記した箇所があり、物理学者の間では長く半ば冗談として扱われた。しかし同メモは後に日本化学会系の小冊子に転載され、学外へも拡散した。
1987年の「発見」[編集]
一般にメガニウムの初観測は1987年の茨城県東海村での高エネルギー重イオン実験に求められる。実験責任者の渡辺精一郎らは、加速器の停止直後に検出器の端部へ現れた119本の細い放射痕を「周期表の未完成部分が自ら補われた痕跡」と記録した。
この報告はPhysical Review Letters風の体裁で配布されたが、図版の注釈に園芸雑誌由来のフォントが混ざっていたため、査読段階で一度差し戻されたとされる。それでも、残された実験ノートに「鉢土様の沈殿物」「葉緑体に近い共鳴」などの表現が見えることから、後世の擁護者は「科学と園芸の境界領域」であったと主張している。
命名と国際的な混乱[編集]
名称の「メガニウム」は、当初はMega-niumのような軍事技術用語に由来すると説明されていたが、実際には昭和末期の植物図鑑『巨大葉序概論』に登場する仮称「メガニア草」に引っ張られた可能性が高いとされる。国際純正・応用化学連合IUPACの準備会合では、英語圏の委員がこれを「Meghanium」と誤読し、しばらくのあいだ報告書の脚注に綴り揺れが残った。
さらに1991年のジュネーヴ会議では、命名に反対した委員が「119番は元素ではなく温室効果の誤差である」と発言し、会場が一時騒然となったという。会議録にはその後の休憩中に配られたミント菓子の包みに「Mgn」の略号が書かれていたとされ、この偶然が命名確定を後押ししたとする説もある。
性質[編集]
メガニウムは、理論上は金属光沢を示すが、表面に薄い緑青ではなく「葉脈状の干渉縞」が現れると説明される。熱力学的には極端に不安定である一方、密閉容器内では短時間だけ香草に似た匂いを放つとされ、これをもって一部の研究者は「元素が自らを防御している」と解釈した。
また、メガニウムの電子配置は[Og]の次に続くと想定されているが、実験データの多くは1回ごとの崩壊が極端に偏るため、同位体の議論は長らくまとまらなかった。特に推定同位体Mgn-315は半減期が17分程度とされるが、試料交換の手順書が9分で終わるよう設計されていたため、実測に成功した班は少ない。
なお、1990年代後半には、メガニウムの化学的挙動が鉄よりもマグネシウムよりも「庭木の剪定直後」に近いという、比較の軸が破綻した論文が出され、批判と称賛を同時に受けた。
発見をめぐる論争[編集]
メガニウムの実在性については、現在でも確定していない。否定派は、1987年の検出信号が放射線ではなく、冷却水系に混入した苔の胞子、あるいは実験ノートの余白に貼られたシールの反射にすぎないと主張している。一方で支持派は、信号がちょうど119回周期で減衰した点を挙げ、「自然界が番号を選んだ」と反論する。
2003年には東京大学の有志とフランス国立科学研究センターの共同班が再現実験を試みたが、結果は「元素らしきものは生成されず、代わりに実験台の上で発芽しかけた謎の苔が確認された」と報告された。この報告は注目を集めたものの、別班が同じ装置でミニトマトを栽培し始めたため、以後の議論は半ば園芸学会の領域に移ったとされる。
なお、要出典とだけ記された脚注が複数の版に残っており、これが逆に「編集合戦の痕跡」として研究史資料に価値を持つという、奇妙な評価もある。
応用と文化的影響[編集]
核科学への影響[編集]
メガニウム概念は、超重元素の探索を「到達不可能な領域への探検」から「育成可能な系への接種」へと言い換えた点で注目された。これにより、一部の研究所では低温実験区を「温室」、標的薄膜を「培地」と呼ぶ慣習が生まれた。
この俗語は研究効率を上げた一方、予算説明の場で誤解を招き、文部科学省の会議資料に「園芸資材費」という項目が紛れ込んだ逸話が残る。
大衆文化[編集]
1990年代には、メガニウムを題材にした深夜ラジオ番組『119番の葉脈』がNHK-FM系の一部地域で試験放送され、リスナーから「科学なのに眠くならない」と好評を得たとされる。また、学園祭では「周期表の8周期を植える」という展示が流行し、子ども向け科学館でも緑色の模型が定番となった。
ただし、模型の多くは本来の元素模型ではなく、園芸用の支柱にラベルを貼っただけのものであった。それでも観客の満足度は高く、展示担当者は「本物らしさより、育ちそうな気配が重要である」と述べたという。
各国の研究拠点[編集]
メガニウム研究は、日本のみならずドイツ、ロシア、米国へと広がった。特にダルムシュタットでは、極短寿命核を扱う研究班が「葉の反応時間」という独自の測定単位を導入し、検出器の周囲に観葉植物を配置したことで知られている。
モスクワの班は、メガニウムが低温で安定化するという仮説を支持し、液体窒素槽にハーブを浮かべるという異例の方法を採用した。結果としてデータの再現性は低かったが、研究棟全体が薄くミント臭になったため、来訪者の記憶には強く残ったという。
2009年以降は国際純粋・応用物理連合よりも国際植物分類学会の年次会合で話題になることが多くなり、学際研究の代表例として扱われている。
脚注[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎『119番元素の葉脈仮説』日本重元素学会誌 第12巻第3号, 1988, pp. 14-39.
- ^ Margaret A. Thornton, “Green Residues in Heavy-Ion Transfer Experiments,” Journal of Applied Nuclear Curiosities, Vol. 7, No. 2, 1992, pp. 88-104.
- ^ 佐伯修一『超重元素と温室効果の相関』化学と実験 第41巻第6号, 1995, pp. 201-219.
- ^ Heinrich Vogel, “On the Floral Naming of Element 119,” Zeitschrift für Anorganische Sonderstoffe, Vol. 19, Issue 1, 1993, pp. 1-22.
- ^ 高橋園子『メガニウム命名会議録』東京国際出版会, 1994, pp. 55-73.
- ^ Jean-Luc Moreau, “Plants in the Beam Line: A Reproducibility Study,” Revue de Physique Horticole, Vol. 3, No. 4, 2004, pp. 310-327.
- ^ 鈴木美和『第8周期の成立とその周辺』科学史叢書, 2001, pp. 77-115.
- ^ A. K. Petrov, “Half-Life Measurement of Mgn-315 in a Closed Green Chamber,” Transactions of the Moscow Institute for Exotic Elements, Vol. 15, No. 8, 2008, pp. 412-430.
- ^ 田所一樹『元素記号Mgnの表記揺れについて』日本化学会速報 第28巻第9号, 1997, pp. 9-16.
- ^ Catherine R. Bell, “The 119th Number and the 119th Leaf,” Proceedings of the International Symposium on Synthetic Periodicity, Vol. 11, No. 1, 2011, pp. 3-29.
外部リンク
- 国際メガニウム研究センター
- 東海村高圧元素アーカイブ
- 周期表園芸学会
- 第8周期観測委員会
- 葉脈核化学データベース