塩化ビニル
| コンビ名 | 塩化ビニル |
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| 画像 | |
| キャプション | |
| メンバー | 塩村圭吾・樋口ビニ |
| 結成年 | 1998年 |
| 解散年 | |
| 事務所 | 新宿企画芸能社 |
| 活動時期 | 1998年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 塩村圭吾 |
| 出身 | 東京養成演芸学院 |
| 出会い | 学内の即興劇ワークショップ |
| 旧コンビ名 | 塩ビ管ズ |
| 別名 | シオビニ |
| 同期 | 鉄骨レモン、深夜三十分 |
| 影響 | 1990年代後半の理科系漫才 |
| 現在の代表番組 | 週末パイプライン |
| 過去の代表番組 | 笑いの絶縁体 |
| 現在の活動状況 | ライブを中心に活動 |
| 受賞歴 | 都市演芸大賞新人賞(2002年) |
| 公式サイト | 新宿企画芸能社 公式プロフィール |
塩化ビニル(しおかびにる、英: Vinyl Chloride)は、東京都の小劇場文化から派生した。1998年に渋谷区で結成され、ネタ作成は主にボケ担当の塩村が担うとされる[1]。
メンバー[編集]
塩村圭吾(しおむら けいご)はボケ担当で、メンバー中ただ一人、板橋区の工場地帯で育った経験を売りにしている。ネタ作成も担当し、工具の名称をそのまま比喩に転用する癖があることで知られる。
樋口ビニ(ひぐち ビニ)はツッコミ担当で、元はの照明講習コースに在籍していた。小道具の扱いに異様に長けており、舞台上で誤ってホースを巻き上げる動きが、そのまま代表的なツッコミ動作になったとされる[2]。
来歴[編集]
結成まで[編集]
1998年、渋谷区の地下稽古場「B1ギャラリー」で行われた即興劇の合同発表会において、両者が偶然同じテーマ「配管」を選んだことが出会いのきっかけである。翌週には塩村が持ち込んだ可塑性樹脂のサンプル箱を樋口が見て笑い出し、その場でコンビ結成が決まったという。
当初の旧コンビ名は「塩ビ管ズ」であったが、字面がやや工事現場寄りであるとして、養成所の講師であった三浦寛一が「化学式みたいで覚えやすい」と助言したことから現在の名称に改められた。なお、この命名には新宿区の深夜ラジオ番組で紹介されたことも影響したとされる。
東京進出[編集]
2000年頃から活動拠点を下北沢に移し、劇場出演を増やした。新宿企画芸能社への所属は2001年で、当初は「理科実験の説明がうまい芸人」として営業先の学校行事に回されることが多かった。
2002年の都市演芸大賞新人賞受賞を機に、大阪市の深夜番組への出演が増え、東京のインディーシーンと関西の小劇場文化を横断する珍しい立ち位置を得た。これにより、コンビの芸風は次第に「説明が長いのに結論だけ妙に雑」という方向へ洗練された。
近年[編集]
2010年代以降は劇場出演と配信番組を中心に活動している。2021年にはのイベントホールで開催された単独ライブ『熱可塑の夜』が、客席200席に対し立見を含めて247人を動員したと報じられた[3]。
一方で、2023年のインタビューでは塩村が「本当は漫才よりも換気の話が好き」と語っており、メディア側がそれを“芸人の危機発言”として取り上げたため、翌週のライブで急遽「換気芸」を披露したことが話題となった。
芸風[編集]
主に漫才を中心とするが、コントでは工業製品の説明書をそのまま笑いに変換する手法で知られる。塩村が専門用語を真顔で言い続け、樋口がそれを「今の、漫才としては硬化が早すぎる」と受け止める流れが定番である。
また、2人とも理科教材の映像演出に詳しく、風の無機質なナレーションを用いたパロディは高く評価されている。出典不明ながら、都内の専門学校では彼らのネタを“実験導入の失敗例”として参照したという証言もある[4]。
エピソード[編集]
塩村はデビュー直後、営業先の園芸祭で「塩化ビニルの雨樋」を「お笑いの最終形態」と説明してしまい、主催者側が困惑したという逸話が残る。これがきっかけで、以後は舞台装置に必ず白いパイプを1本置くようになった。
樋口は、コンビ名を聞かれた際に毎回「塩っぽい方が塩村で、ビニールっぽい方が僕です」と答えるが、2020年以降は“ビニ”だけが先行して独立芸名のように扱われることもある。なお、ファンの間では2人の出囃子に合わせて手拍子の拍数が7拍目で乱れる現象があり、これは一部の会場音響担当から「塩ビの反響」と呼ばれている。
出囃子[編集]
出囃子は作曲の『パイプライン・ブギー』であるとされる。元は神奈川県の産業PR用ジングルとして制作されたものを、2人が勝手に8秒に切り詰めて使用したのが始まりで、現在もライブ冒頭では低音のうねりが鳴るたびに客席が少しだけ前傾する。
この曲は一部で「入場するだけで換気が良くなる」と評され、劇場によっては本編よりも出囃子を長めに流すことがある。
賞レース成績・受賞歴[編集]
2002年 都市演芸大賞 新人賞 2005年 みなと漫才グランプリ 準決勝進出 2008年 キングオブコント東京予選 ブロック1位通過 2011年 関東漫才協会 年間話題賞 2020年 配信ネタアワード 特別審査員推奨
ただし、2008年の予選については「審査員が舞台袖のパイプに気を取られていたためではないか」との指摘があり、コンビ側はこれを否定している。もっとも、否定コメント自体が当日使ったネタのオチと同じだったため、真偽は今も曖昧である。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
『笑いの絶縁体』、『週末パイプライン』、『深夜実験室バラエティ』などに出演した。特に『笑いの絶縁体』では、毎回最後に塩村が「通電はしないが笑いは流れる」と締める構成が定番であった。
ラジオ・配信[編集]
系の深夜番組『樋口ビニのむき出しチューブ』、およびYouTube配信の『塩村圭吾の0.3秒トーク』で知られる。配信番組では、コメント欄の質問に答えるより先にパイプの規格を読み上げるため、視聴者の半数が途中で離脱する一方、固定ファンの熱量は高い。
特番・映画・CM[編集]
ほかに、環境啓発番組『リサイクルの先で』、映画『プラスチック通りの午後』、およびのCM「その水圧、だれのせい?」に出演した。CMでは2人が無言でホースを持つだけの演技をしたが、15秒版の放送後に問い合わせが17件寄せられたという。
作品[編集]
CD『熱可塑の夜』(2012年)、DVD『塩化ビニル 単独ライブ傑作選』(2015年)、配信限定ネタ集『ビニる前に笑え』(2020年)がある。いずれもジャケットには白い配管が写り込んでおり、制作側は「ブランド統一のため」と説明している。
また、書き下ろし台本集『漫才は硬化する前に』(新宿企画芸能社出版部、2018年)は、芸人の著書としては珍しく章ごとに推奨保管温度が記されている。
単独ライブ[編集]
単独ライブは『塩ビの夜会』(2006年)、『可塑性の行方』(2011年)、『熱可塑の夜』(2021年)などがある。特に『可塑性の行方』では、幕間映像として品川区の工場街を延々と映す演出が行われ、観客の一部が「ライブなのに見学会のようだ」と記した。
会場物販では毎回、塩ビ管型のペンライトと、長さ30cmの“折れないうちわ”が販売され、完売率は平均87%とされる。
書籍[編集]
『塩村圭吾のネタはなぜ流れるのか』(、2016年) 『樋口ビニのツッコミ配管図鑑』(、2019年) 『漫才と樹脂のあいだ』(共同監修、2022年)
なお、2024年に刊行された『塩化ビニルの社会学』は、タイトルだけ見ると学術書だが、本文の3分の1が営業先のホテル宴会場での失敗談で占められている。
脚注[編集]
[1] ただし、結成年については本人たちの証言が番組ごとに異なる。 [2] 2020年の配信回では「実は最初は照明班だった」とも発言している。 [3] 当日券の重複集計を含む可能性がある。 [4] 出典は確認されていないが、複数の専門学校関係者が同様の証言を行っている。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 三浦寛一『即興劇と配管比喩の実践』新宿演芸研究所, 2003, pp. 41-58.
- ^ 佐伯みどり『東京小劇場と1990年代後半の漫才再編』芸能評論社, 2007, Vol.12, No.3, pp. 88-104.
- ^ 塩村圭吾・樋口ビニ『漫才は硬化する前に』新宿企画芸能社出版部, 2018, pp. 5-19.
- ^ Katherine M. Rowe, "Plastic Humor and the Japanese Duo Form," Journal of Performance Materials, Vol. 8, No. 2, 2011, pp. 112-129.
- ^ 田口真一『配管と笑いの都市史』【朝日演芸出版】, 2016, pp. 201-233.
- ^ Hiroshi Tanabe, "The Rise of Thermoplastic Timing in Late Night Comedy," Comedy Studies Review, Vol. 5, No. 4, 2014, pp. 55-73.
- ^ 大場雪子『下北沢深夜劇場の成立』【東京芸能大学出版会】, 2009, pp. 77-91.
- ^ Marcus L. Green, "Audience Response to PVC-Related Punchlines," International Journal of Joke Engineering, Vol. 2, No. 1, 2020, pp. 1-18.
- ^ 高瀬奈緒『樋口ビニのツッコミ配管図鑑』東京演芸新書, 2019, pp. 14-29.
- ^ 『塩化ビニルの社会学』編集委員会『塩化ビニルの社会学』【東都文庫】, 2024, pp. 9-66.
外部リンク
- 新宿企画芸能社 公式プロフィール
- 週末パイプライン 番組公式
- 都市演芸大賞 アーカイブ
- 下北沢演芸資料館 デジタル展示
- 樋口ビニ 配信アーカイブ