札幌ソラヘタワー
| 名称 | 札幌ソラヘタワー |
|---|---|
| 種類 | 複合展望建造物 |
| 所在地 | 北海道札幌市中央区北四条西一丁目付近 |
| 設立 | 1997年 |
| 高さ | 187.4 m |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造、一部複層外皮 |
| 設計者 | 北海道都市計画研究会・佐伯隆一 |
| 運営 | 札幌ソラヘ管理財団 |
札幌ソラヘタワー(さっぽろそらへたわー、英: Sapporo Sorahe Tower)は、にあるである[1]。現在では、冬季の気流観測と都市眺望を兼ねる施設として知られている[1]。
概要[編集]
札幌ソラヘタワーは、都心の再開発計画「北街区空層構想」の中核として建設された建造物であり、展望、気象観測、催事、軽商業を複合した施設である。外装にはの偏西風を受け流すための曲面パネルが採用され、塔体全体がわずかに北東へねじれた形状を持つ。
一方で、建設当初から「塔の上部に積雪が溜まりすぎるのではないか」という懸念があり、毎年には地元の建築士会が目視で雪庇の角度を測る行事が続いている。現在では、の初冬を象徴する観光資源としても扱われている。
名称[編集]
「ソラヘ」の名は、創設時に提出された計画書に記された「空へ向かう都市の縦軸」という表現に由来する。これを編集した当時の道庁都市開発課職員、が、議事録上で誤って「空へ」を「ソラヘ」と転写したことが採用の契機になったとされる[要出典]。
なお、設計段階では仮称として「北四条塔」「札幌第二展望塔」「新雪見塔」などが併記されていたが、の住民説明会で配布された模型の台座に「Sorahe」と刻印されていたことから、現在の名称が定着した。名称の末尾に「タワー」が付くのは、当時の市民アンケートで「塔」よりも「タワー」の方が、観光案内の音声に収まりがよいとされたためである。
沿革[編集]
計画と着工[編集]
構想は、の冬季観光分散を目的として始まったとされる。起点は、周辺の混雑を避けつつ、札幌駅北側に新たな「滞留の縦方向」を作るという発想で、と民間再開発会社が共同研究を行ったことにある。
着工はで、地盤凍結期を避けるため、杭打ちはからに限って実施された。工事関係者の間では、深さ46mの支持杭に初雪が降ると工期が延びるという迷信が生まれ、実際にには吹雪の翌朝にクレーンの先端だけが白くなっていたことから、現場の安全標語が「塔より先に空を見るな」となった。
開業と試験運用[編集]
の秋に試験公開が行われ、当初は上層階の展望室のみが予約制で開放された。公開初日には、予定の3倍に当たる約6,400人が周辺に集まり、が急遽、臨時の折返し便を12本増発したと記録されている。
ただし、開業式のテープカット後に自動気圧弁が誤作動し、内部の換気音が「笛のように聞こえる」と話題になった。この音は逆に人気を呼び、からは毎月第一土曜に「空鳴り観測会」が開催されるようになった。
改修と現在[編集]
には外装パネルの一部が更新され、積雪荷重を平均18%軽減する「二重空皮膜工法」が導入された。これにより冬季の閉鎖日数は年間21日から9日へ減少したとされるが、同時に塔の上部が夕方になると橙色に見えるようになり、写真愛好家の間で評価が分かれた。
現在では、展望室のほか、気象データを一般公開する「空路ラボ」や、の菓子メーカーが季節限定店舗を出すイベント区画も設けられている。なお、塔の最上部に設置された風向計は、強風時に東西のどちらにも回らないことがあり、地元では「ソラヘの沈黙」と呼ばれている。
施設[編集]
札幌ソラヘタワーは、地下2階、地上39階、塔屋2層から成る。地下部分には雪氷処理設備と機材搬入口があり、1階から6階までは商業・展示空間、7階から29階までは企業フロア、30階から34階までは展望補助施設、35階以上が公開展望区域である。
展望回廊は円環状で、半径の異なる3層に分かれている。最外周の「風見回廊」は、冬季に外気を取り入れるため床面に細い吸気溝が刻まれており、靴底に小雪が挟まることから来館者の記憶に残りやすい構造とされる。また、33階には「雲札(くもふだ)」と呼ばれる小型の木札を吊す祈願所があり、塔内の気圧が急変すると鈴の音がわずかに変わる仕掛けがある。
最上部には、建設当初から備え付けられている回転式の観測ドームがある。これは一般には展望用と説明されるが、実際にはの気象研究班が、上空の霧粒密度を測るために試験的に使用していた名残である。年に一度、の「空上げ式」では、ドーム内の照明を一斉に落とし、塔体の外周だけを青く光らせる演出が行われる。
交通アクセス[編集]
最寄り駅はのとされ、東改札から徒歩7分、地下連絡通路を通れば降雪時でもほぼ傘を必要としない。地上からはおよび都心循環線の停留所が南側にあり、観光シーズンには塔専用の案内員が一時的に設置される。
また、塔の地下1階には「北口雪待ち広場」と呼ばれる待合区画があり、吹雪の日にはここで入場整理が行われる。開業以来、徒歩で到達する観光客の比率は約62%、公共交通利用が31%、残り7%が「近くまで来たが見失った」とする来訪者であると館内調査に記されている。なお、冬季は塔影が道路を横切るため、歩行者が思わず方角を見失うことがある。
文化財[編集]
札幌ソラヘタワーは、にに相当する扱いを受け、外装と展望回廊の一部が保存対象となっている。また、塔の建設初期に用いられた図面群は「北街区空層計画図」として、館内資料室で一般公開されている。
さらに、展望室の東側に設置された「初雪計」は、塔の竣工年から現在までの初雪観測日を来館者が書き込める装置で、文化財的価値は低いが、地域史資料としてはむしろ重要視されている。毎年には、市民団体による「塔の外周を歩く会」が行われ、建築物と冬季生活文化の関係を再確認する行事として定着している。
一方で、最上部の回転式ドームについては、耐候性の観点から交換の必要性が議論されており、保存か更新かをめぐってに小さな論争があった。保存派は「音まで含めて構造物である」と主張したが、更新派は「音は設備であり、文化財ではない」として対立したとされる。
脚注[編集]
[1] 札幌ソラヘ管理財団 編『札幌ソラヘタワー年報 1997-2019』。 [2] 北海道都市景観研究所「北街区空層構想における塔状建築の役割」『都市と雪』第12巻第3号、pp. 44-61。 [3] 佐伯隆一「ねじれ外皮と積雪処理」『建築気象学会誌』Vol. 8, No. 2, pp. 13-29。 [4] 札幌市文化財保全課『景観重要構造物候補一覧』2014年版。 [5] Margaret A. Thornton, “Wind-Deflecting Towers in Cold Cities,” Journal of Urban Climatology, Vol. 14, No. 1, pp. 77-95. [6] 高橋昌彦『空へ/ソラヘ転写史』北都出版、2001年。 [7] 北海道大学気象研究班「上空霧粒観測における回転式観測ドームの応用」『北方科学レビュー』第19巻第4号、pp. 201-219。 [8] 札幌観光文化協会『冬季観光資源としての高層塔』2018年。 [9] Louis B. Grant, “The Aesthetic of Snowload in Japanese Towers,” Architecture & Climate Studies, Vol. 6, pp. 101-116。 [10] 札幌ソラヘタワー資料室『雲札と空鳴りの民俗誌』2022年。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 札幌ソラヘ管理財団 編『札幌ソラヘタワー年報 1997-2019』札幌ソラヘ管理財団, 2020年.
- ^ 北海道都市景観研究所「北街区空層構想における塔状建築の役割」『都市と雪』第12巻第3号, pp. 44-61, 2002年.
- ^ 佐伯隆一「ねじれ外皮と積雪処理」『建築気象学会誌』Vol. 8, No. 2, pp. 13-29, 1998年.
- ^ 札幌市文化財保全課『景観重要構造物候補一覧』2014年版, 2014年.
- ^ 高橋昌彦『空へ/ソラヘ転写史』北都出版, 2001年.
- ^ 北海道大学気象研究班「上空霧粒観測における回転式観測ドームの応用」『北方科学レビュー』第19巻第4号, pp. 201-219, 2011年.
- ^ Margaret A. Thornton, “Wind-Deflecting Towers in Cold Cities,” Journal of Urban Climatology, Vol. 14, No. 1, pp. 77-95, 2007.
- ^ 札幌観光文化協会『冬季観光資源としての高層塔』札幌観光文化協会, 2018年.
- ^ Louis B. Grant, “The Aesthetic of Snowload in Japanese Towers,” Architecture & Climate Studies, Vol. 6, pp. 101-116, 2009.
- ^ 札幌ソラヘタワー資料室『雲札と空鳴りの民俗誌』札幌ソラヘ管理財団, 2022年.
- ^ 北都建設史編纂室『札幌再開発と塔の記憶』第2巻, pp. 88-104, 2015年.
外部リンク
- 札幌ソラヘタワー公式資料室
- 北街区空層アーカイブ
- 札幌都市建築年表データベース
- 空鳴り観測会実行委員会
- 北海道塔文化研究会