野生戦隊ターザンジャー
| ジャンル | 特撮・児童向けアクション・環境広報 |
|---|---|
| 対象 | 主に小学校中学年(当初想定) |
| 運営 | 一般財団法人 樹上回路振興機構(仮) |
| 制作 | 東北映像制作社(仮) |
| 放送媒体 | 地上波+地域共通配信 |
| 放送期間 | 〜1999年とする資料が多い |
| スローガン | 「森は学び、獣は先生」 |
| 評価 | 後年、教材設計として再評価されたとされる |
野生戦隊ターザンジャーは、獣害対策と地域観光を同時に扱うことを目的として結成されたとされる型の特撮プロジェクトである。企画段階では児童向け教育番組の形式をとりつつ、のちにアクション監修や環境広報の技術体系に波及したとされる[1]。
概要[編集]
野生戦隊ターザンジャーは、ジャングルを舞台にした“空想の野生”を用いながら、実際の地域に起こる・・危険回避の知識を、戦隊の隊員配置になぞらえて提示する形式で編成されたとされる。特撮でありながら、教育工学の用語を脚本会議に持ち込み、撮影現場の安全手順をそのまま台詞に転用した点が特徴とされている[2]。
成立の経緯は、当時の子ども向け番組が「危険の啓発」を言葉で終わらせていたことへの反発に起因すると説明される。そこで企画側は、危険回避を“身体の動作”として記憶させる必要があるとして、ロープワークや段差判断を、役名の役割分担(索敵・遮断・誘導など)に落とし込んだとされる。一方で、現実の野外撮影の制約から、舞台は徐々に宮城県の山間ロケ地に寄せられ、以後「野生=どこでも同じ」を前提とする誤解も生んだと指摘されている[3]。
制作と設定[編集]
隊員構成と“教育設計”のこだわり[編集]
隊員は5色ではなく「5つの野生機能」で構成されたとされる。具体的には、(1)視覚索敵、(2)匂い識別、(3)音声誘導、(4)遮断ルーティン、(5)脱出判断である。企画書では、各機能に対応する台詞を平均1シーンにつき回入れる設計が採用されたとされる[4]。
また、視聴者が“覚えたつもり”になることを避ける目的で、エンディングの一問一答は毎回「森林の中でやってよいこと/だめなこと」ではなく、「森の中で“次に起きること”を予測する」形式に変更されたとされる。演出は日本テレビ系列の児童番組制作部に一度持ち込まれたが、テスト視聴の結果が良すぎたため、逆にスポンサー側が「理解が進みすぎると玩具販売が落ちる」と懸念し、放送尺をだけ削る編集が入ったとする証言もある[5]。
撮影・安全・ロープワークの“台詞化”[編集]
制作では、野外での事故を減らすために、ロープワークの手順書を“隊員の口調”に翻訳したとされる。例えば結び目の確認は「一・二・三」と数えるのではなく、隊員名の語呂に合わせて「ター・ザン・ジャー」と言わせることで、子どもが誤学習しにくいリズムにしたと説明される[6]。
この翻訳はの“現場安全”資料の文体を参考にしたとされ、脚本家の一人である渡辺精一郎が「安全は名詞ではなく動詞」として議事録に書き込んだことがきっかけになったとされる。もっとも、のちの関係者インタビューでは「実際の現場資料は持ち込んだが、文体は寄せていない」とも述べられており、証言の食い違いが“百科事典的整理”を難しくしているとされる[7]。
歴史[編集]
企画の発端—“野生”を商品化しないための策[編集]
企画の発端は、頃の一連のメディア報道が「野生動物の映像は怖いものとして消費される」と批判したことにあるとされる。そこで系の文化振興団体が主導し、子どもが“恐怖”ではなく“手順”を覚える番組にすれば、商業化への反発を減らせるのではないかという発想が持ち込まれたと説明される[8]。
当時の議事録には、企画名が一時的にの内部コードで「TARZ-OSR(野生行動模擬)」と記されていた。企画会議では「野生を再現しすぎると現実の動物に危険を与える」との懸念が強く、撮影用小道具は全部“観察に見える形”へ整形されたという。具体例として、獣よけの棒は角度をに固定し、子どもが真似できる握り位置をだけ高くしたとする記録が残る[9]。
放送後の波及—環境広報の“準戦隊化”[編集]
放送開始後は、単なる娯楽としてではなく、学校の安全指導の補助教材として利用されるケースが増えたとされる。特にや北海道の一部自治体では、登下校の注意喚起に合わせて短い“戦隊コール”を掲示する試みが行われ、これが後年「準戦隊的啓発」と呼ばれるようになったとされる[10]。
ただし、人気が出るほど誤用も増えた。例えば「遮断ルーティン」を“動きを止める合図”だと誤解して、実際の遭遇時に逃げ遅れる事故が一件報告されたとする資料があり、これを受けて脚本は翌期から「走る前に周囲確認」を必ず入れる構成に改められたとされる。なお、その事故報告がどの自治体の何年の件かは、複数の版で記載が異なり、出典の表記にも揺れがあるとされる[11]。
終盤と遺産—“先生は野生”から“知識は行動”へ[編集]
1999年頃には、原則として“現実の自然から学ぶ”方向へテーマが収束したと説明される。番組内では、ジャングルの舞台装置を減らし、実在の自然環境(植生や地形)に近いセットを採用したとされる。制作チームは、セットの土の粒径を〜に揃えることで足跡の再現性を上げたと記録し、教育面では「予測の正解率が上がった」と主張した[12]。
こうした流れは、戦隊という形式を“教育の器”として継承する文化を残したとされる。一方で、野生と人の距離を近づけすぎた表現が、のちの自然保護団体からは警戒されることになり、番組名は教材の引用枠から外される場合もあったとされる。とはいえ、現在もイベントで衣装が再現されることがあるとされ、関連玩具の復刻もたびたび報じられている[13]。
批判と論争[編集]
批判としては、まず「野生の擬人化」が挙げられている。脚本では、動物を“先生”のように扱う台詞が多く、その結果として野生動物への過度な親近感を生むのではないかと指摘されたとされる[14]。また、ロープワークを学習させる意図があったにもかかわらず、放送外の場所で子どもが真似するリスクがあり、制作側が安全指針を十分に周知できなかったのではないかという論点も立ったと説明される。
さらに、自治体への波及が進んだことで、内容が局地的な獣害対策と結びつきすぎたという批判もある。特定地域の問題(例えば狭い河川敷での出没パターン)を“全国の正解”として語る字幕が混ざった回があり、当該字幕の正確性が問題視されたとされる[15]。ただし、制作側は「字幕は脚本の“比喩”であり、実地判断ではない」と釈明したとされる。なお、この釈明文の公開日が版によってずれるなど、周辺資料の整合性には疑問が残るともいわれている[16]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 樹上回路振興機構『野生戦隊ターザンジャー 放送台本資料集(復刻版)』樹上回路振興機構, 2001.
- ^ 渡辺精一郎『安全は名詞ではなく動詞:児童向け脚本翻訳の試み』教育工学研究会, 2000.
- ^ 佐伯真澄「野生行動模擬(TARZ-OSR)と児童の理解定着」『映像教材研究』Vol.12 No.4, pp.45-63, 1998.
- ^ Margaret A. Thornton「Ritualized Instruction in Children’s Action Media: A Field Study」『Journal of Applied Narrative Learning』Vol.7 No.2, pp.101-119, 2002.
- ^ 東北映像制作社『ロケ現場安全手順の台詞化:ターザンジャー技術メモ』東北映像制作社, 1999.
- ^ 佐野礼二「字幕は比喩か指針か—地域啓発番組の解釈問題」『公共情報学会誌』第8巻第1号, pp.12-29, 2003.
- ^ 高橋映太『戦隊の形式が学習行動に与える影響』新星図書, 1997.
- ^ Theodor Klemens「Animals as Teachers: Anthropomorphism Effects in Broadcast Content」『Media & Wildlife Review』Vol.3 No.1, pp.77-92, 2001.
- ^ 【要出典風】小山田アカリ『森は学び、獣は先生:関係者証言の整理』講談館, 2004.
- ^ 井上市太郎「準戦隊的啓発の萌芽とその限界」『地域防災教育論叢』Vol.5 No.3, pp.210-233, 2005.
外部リンク
- 樹上回路振興機構アーカイブ
- 東北映像制作社 研究資料室
- 地域学習教材データベース(仮)
- 児童安全演出マニュアル倉庫
- 映像教材研究者会議ログ