高田純吉のオススメ街中華ブログ
| 名称 | 高田純吉のオススメ街中華ブログ |
|---|---|
| 運営者 | 高田純吉 |
| 分野 | 街中華・外食評論 |
| 開始 | 2007年 |
| 更新頻度 | 週3回前後 |
| 記事数 | 累計1,842本(2024年11月時点) |
| 主な取材地域 | 東京都・神奈川県・埼玉県南部 |
| 特徴 | 定食の米粒密度を独自指標で採点 |
| 関連団体 | 日本街中華記録協会 |
高田純吉のオススメ街中華ブログは、を中心にを巡る個人運営の食評記録として知られるブログである。特に、看板の端が折れている店、昼営業のみの店、そして「ラーメンより先に冷やしトマトが出る店」の採点に定評がある[1]。
概要[編集]
高田純吉のオススメ街中華ブログは、街中華を対象とした食べ歩き記録ブログであり、ごろにで始まったとされる。運営者のは、当初は個人的な昼食記録として投稿していたが、次第に「餃子の焼き目」「瓶ビールの冷え方」「卓上酢の曇り具合」を重視する独自の審査軸を打ち出し、同種のブログの中では異例の支持を集めた[1]。
このブログの特異性は、単なる店紹介にとどまらず、店主の返事の長さ、チャーハンの油膜の持続時間、そして厨房から聞こえるの音量まで記録対象にした点にある。のちにがまとめた調査では、2000年代後半の街中華ブームにおいて、同ブログの記事タイトルの約17%が「餃子」「半チャン」「昼の混雑」に関する語を含み、検索流入の増加に寄与したと推定されている[2]。
成立の経緯[編集]
高田は元々、の印刷関連会社に勤務していたとされるが、昼休みの外食先をメモしていた手帳が2006年末に湿気で膨らみ、読み返しにくくなったことがブログ化の直接の契機になったという。高田の初期投稿は、店名と定食名、そして「唐揚げの衣がやや震える」といった短文で構成されていたが、これは当時の個人ブログ文化における簡素な実用記録の流れを汲むものであった[3]。
一方で、2008年ごろからは「街中華は地理情報である」という持論を掲げ、沿線の各駅における油淋鶏の分布を独自に図表化しはじめた。これにより、単なる食レポではなく、都市の生活圏を中華定食で可視化する準学術的な様相を帯びるようになったとされる。なお、本人は後年のインタビューで「最初はただ腹が減っていただけ」と答えており、創始神話との整合は必ずしも取れていない。
特徴[編集]
採点方式[編集]
同ブログでは、料理そのものの味だけでなく、店内環境を含めた総合点が100点満点で採点される。特に「餃子の並びの直線性」「灰皿の残像」「水差しの重さ」など、一般的なレビューサイトでは扱われない要素が細かく記録され、読者の間では「高田基準」と呼ばれるようになった[4]。
文章表現[編集]
高田の文章は、極端に抑制された文体でありながら、ところどころで過剰に具体的である点に特徴がある。たとえば「炒飯は午前11時42分に到着し、箸を入れた瞬間に米粒が3方向へ分岐した」といった記述が見られ、これが事実と感想の境界を曖昧にしていると評されることがある。
写真運用[編集]
写真は原則として正面から撮影されるが、湯気が強い場合はあえてピントを外すという運用が徹底されている。これは、かつてで撮影された「餃子の皮が霧状に見える写真」が転載され、街中華界隈で半ば伝説化したことに由来するとされる。
歴史[編集]
2007年-2011年[編集]
開設初期は、との店舗を中心に更新され、1日2本投稿する日もあった。特に2009年の「半チャンラーメン観測月間」では、32店舗を連続で回った記録が残されており、連載形式の記事が読者の固定化に貢献したとみられる。
2012年-2017年[編集]
この時期には、店主の高齢化と相続問題に触れた記事が増え、街中華が単なる飲食店ではなく地域文化の継承装置であることが繰り返し論じられた。また、の地域情報番組が高田の投稿を参考にしたとされる回があり、以後ブログ側の更新が一時的に増加した。
2018年以降[編集]
2018年以降は、SNSで拡散された「町中華」表記との整合をめぐり、ブログ内で用語を「街中華」に固定する方針が明確化された。これに伴い、読者コメント欄では「街」と「町」の差異を巡る小論争が繰り返され、ある回ではコメント数が412件に達したが、その7割以上がメニュー名の表記揺れに関するものであった[5]。
社会的影響[編集]
同ブログは、都市部の小規模中華料理店を「安価な食堂」ではなく「生活史の保存庫」として読み替える視点を広めた点で評価されている。とりわけ、内の再開発区域で店舗閉鎖が続いた際には、高田の記事をきっかけに来店客が増え、結果として閉店予定が延期された店が少なくとも4軒あったとされる[6]。
また、2010年代後半には、自治体の商店街振興担当者がブログの地図を参考に夜間人口の偏りを把握する事例があったといい、これは本来の用途から逸脱した二次利用の典型例として引用されることがある。一方で、人気店の行列が長文化し、常連客が入店できなくなる現象も起こったため、支持と反発が同時に発生した。
批判と論争[編集]
批判としては、採点基準が厳密である一方、本人の体調と天候に左右されやすいとの指摘がある。特に雨の日の記事は総じて点が高くなる傾向があり、これは「濡れた看板がうまい店を証明する」という高田独自の経験則に由来すると説明されているが、要出典とされることが多い[7]。
また、ブログ内で「炒飯の最適温度は63度前後である」と断定した記事が引用され、以後、街中華界隈でスプーンで計測する者が現れた。これについては、店ごとの調理環境差を無視しているとの反論も強く、2016年のでは専用の分科会が設けられたという。
ただし最大の論争は、2019年に掲載された「餃子は6個より7個の方が記憶に残る」という仮説であった。これに対し複数の読者が統計的妥当性を求めたが、高田は「7個目はたいてい最後に食べられるからである」とだけ返信し、議論を終結させたとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 高橋修一『都市と中華食堂の記録文化』青磁書房, 2014.
- ^ M. Thornton, "Noodle Logics in Urban Japan", Journal of Food Media Studies, Vol. 12, No. 3, 2016, pp. 41-68.
- ^ 佐伯玲子『ブログ時代の外食批評』河岸出版, 2011.
- ^ 日本街中華記録協会編『街中華アーカイブ2010-2020』東都資料社, 2021.
- ^ K. Watanabe, "Spatial Distribution of Fried Rice in Tokyo", East Asian Culinary Review, Vol. 8, No. 2, 2019, pp. 115-139.
- ^ 田所真一『看板と湯気の社会学』港北新書, 2018.
- ^ 村井一成『食べログ以前の食卓圏』新潮社, 2013.
- ^ E. S. Collins, "The Semiotics of Dumplings", Gastronomy and Society Quarterly, Vol. 5, No. 1, 2012, pp. 9-27.
- ^ 高田純吉『半チャンの倫理』自費出版, 2020.
- ^ 小松原光『63度の壁』白鷺館, 2017.
外部リンク
- 日本街中華記録協会
- 街中華アーカイブ・データベース
- 都市食堂評論フォーラム
- 高田純吉ブログ保存委員会
- 半チャン研究室