Sega Dreamcast 2
| タイトル | Sega Dreamcast 2 |
|---|---|
| 画像 | DD2_box_art.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 『Sega Dreamcast 2』公式パッケージ(架空) |
| ジャンル | アクションRPG(滑空ハンティング) |
| 対応機種 | ドリームキャスト2 |
| 開発元 | 夢邸電脳開発社 |
| 発売元 | 東鳴(とうめい)インタラクティブ |
| プロデューサー | 小笠原 鷹人 |
| ディレクター | 滝口 芳樹 |
『Sega Dreamcast 2』(略: DD2)は、[[1999年]][[9月18日]]に[[日本]]の[[夢邸電脳開発社]]から発売された[[ドリームキャスト2]]用[[コンピュータRPG]]。[[Eclipse街道]]の第2作目である[1]。
概要[編集]
『Sega Dreamcast 2』は、東鳴(とうめい)インタラクティブが展開していた[[Eclipse街道]]シリーズの第2作目に当たる作品である[1]。本作は、プレイヤーが[[滑空ハンター]]として操作し、雲海状のダンジョンで[[影獣]]を追跡する設計思想を採っている。
企画の発端は、渋谷の小型オフィスで実施された「“2段ジャンプで地図が書ける”」という実験にあるとされる[2]。このとき用いられた試作ソフトが、のちに本作の地形生成アルゴリズム「二層地図法」に発展したと記述されている[3]。
ゲーム内容[編集]
プレイヤーは[[城門区]]の廃局舎を起点に、毎回の探索で微妙に変わる[[Eclipse街道]]沿線を移動する。移動は通常の走行に加え、制限された高度からの滑空を組み合わせる必要があり、落下ダメージが存在する点が特徴として挙げられる。
ゲームシステムの特徴として、戦闘は「接触→糸縛り→解析」までを一連の流れとして扱う設計になっている。敵に接触すると、武器が自動で[[追尾糸]]を展開し、その糸が地面の反射率を読み取って弱点を推定する。この弱点推定は成功率が「57%」と明記されており、さらに天候(霧/晴/星雨)で補正されると説明された[4]。
また、アイテムは所持数の上限ではなく「重量ではなく“縫合回数”で管理される」方式が採用されている。攻略本の表紙で大げさに「縫うほど強くなる」とされ、プレイヤーにとっては意味があるようでないような不思議な納得感を生んだ[5]。
ストーリー[編集]
本作では、前作で封印された[[月光通信塔]]が再稼働し、街道全域に“失われた航路”の幻が発生する状況が描かれる。主人公の[[滑空ハンター]]は、通信塔の復元に必要な「二層封印片」を回収する使命を帯びる。
物語は一見すると王道の奪還譚に見えるが、実際には“拾われなかった手紙”の回収が主軸となる章が多いとされる。とくに[[第7章 余白の郵便室]]では、登場人物が手紙の宛名を読み上げるたびに地図が更新される演出が採用され、結果として探索ルートが物語進行に影響されるよう設計されている[6]。
終盤、[[月光通信塔]]は「2」とだけ表示された制御端末を残し、そこに記録されていたログが“次の現実”へと分岐する手がかりになる。エンディングでは、プレイヤーが塔の前で選択肢を選ぶと同時に、エリア内の[[影獣]]の鳴き声がBGMから逆再生される演出が入る点が評された[7]。
登場キャラクター[編集]
主人公側の中心人物として、滑空ハンターの[[綾小路 ユイノ]]が挙げられる。彼女は幼少期に[[二層地図法]]の観測装置を触った経験があり、地形の変化を“身体感覚”として読むとされる[1]。
仲間としては、通信塔の保守員である[[篠原 トキワ]]が登場する。トキワは口数が少ない一方、解析時の「およそ3.1秒遅れ」が口癖であり、戦闘のテンポを左右する配置であると説明された[2]。
敵側では、雨天時にだけ姿を見せる[[影獣オブシディアン]]が代表例とされる。オブシディアンは、糸縛りの成功率を下げる“影の蒸留”という行動をとり、開発チーム内では「理屈より不快さが勝った敵」と冗談めいて評されたという[8]。
用語・世界観[編集]
本作の舞台である[[Eclipse街道]]は、かつて旅人が星図を読みながら移動したとされる回廊である。星図は文字ではなく“明暗の層”で記録され、二層封印片はこの層を復元する鍵として扱われる。
地形生成の技術としては「二層地図法」が知られている。二層地図法は、探索ごとに層A(高密度の霧)と層B(低密度の晴れ)を分け、プレイヤーの滑空軌道に従って合成する方式とされる[3]。なお、開発資料ではこの合成に「加算でなく“縫合”を使う」と記述されており、システム上の重量管理(縫合回数)へと接続されている。
通信塔に保存される概念として[[月光ログ]]があり、そこには“回収されなかった手紙”の時刻が記録されている。ログはゲームの進行に応じて現実の暦日と同期し、理論上は「発売日からちょうど1412日目」に特定の台詞が復元されるとされた[9]。この記述は後にファン検証で「当時の季節ずれが原因で、実際には±3日程度だった」と指摘された[10]。
開発/制作[編集]
制作経緯として、夢邸電脳開発社は「次世代のRPGは移動で迷わせるべき」と主張したとされる[1]。その結果、迷わせる要素がダンジョンの複雑さではなく、滑空の失敗や雨天補正に寄せられた。
スタッフ面では、企画段階の仕様書に「弱点推定の成功率は“語呂”で決める」という項目が残っていたとされる。これにより、成功率57%が採用された経緯があると記録される[4]。もっとも、この数値は後のインタビューで「たまたま印刷ミスで57になった」とも語られ、編集者の間で“正史と異端”が分かれたという[11]。
音声収録は[[千葉県]][[習志野市]]にある仮設スタジオで行われた。理由はエコーを一定にするためであり、「霧の残響が録れた」とされる説明が付けられている[12]。
音楽[編集]
サウンドトラックは、[[月光ログ]]の処理に合わせてBPMが段階的に変化する構造で知られる。作曲は[[藍澤 ルイ]]で、テーマ曲「二層の呼気」は“上昇しているのに着地が遅れる”感覚を狙ったと述べられた[13]。
さらに、オブシディアン戦では鳴き声のサンプルが楽器として再利用される。開発会議では「獣の声を音階に落とすな、怒りが残る」との方針が採用されたとされる[8]。結果として、逆再生演出は終盤のみに制限され、演出の希少性が体験価値として機能したと評価された[7]。
他機種版/移植版[編集]
当初はドリームキャスト2専用として発売されたが、その後「高解像度の二層地図法」を搭載した移植版が企画された。移植版では滑空の軌道計算が「10倍精度」で動作すると謳われたものの、実際には音声同期が0.8秒ずれる問題が一時的に報告されたとされる[14]。
架空の派生として、携帯型端末向けに“影獣図鑑”モードだけを抽出した廉価版が出たという記述もある。ただし当時の流通資料では該当型番が確認できないため、ファンの間では「同梱物の別呼称ではないか」との指摘がある[15]。
評価(売上)[編集]
発売初週での販売本数は国内で約68万本、全世界累計では約112万本を記録したとされる[16]。さらに、累計の内訳として北米が約41%、欧州が約27%、アジアが約32%と推定され、地域ごとに天候パラメータの好みが異なると説明された[17]。
日本ゲーム大賞の選考では「二層地図法の体験設計」が評価対象になり、[[日本ゲーム大賞]]の“創造的迷い”部門を受賞したと記載されている[18]。一方で、成功率57%のような“運ゲー”の要素が強すぎるという批判もあり、当時の掲示板では「弱点が当たるまで祈るRPG」と揶揄された[19]。
関連作品[編集]
関連作品として、[[Eclipse街道]]シリーズでは第3作目の[[Sega Dreamcast 2: 星雨帰還]]が挙げられる。星雨帰還では本作の月光ログが“過去の季節”として逆流する設定が導入され、世界観の接続が強められた。
また、メディアミックスとして[[テレビアニメ]]『二層通信の旅人たち』が制作された。アニメではオブシディアンが“泣くのではなく測る獣”として描写され、ゲームとは逆の解釈が提示されたとされる[20]。
関連商品[編集]
攻略本として、[[ファミ通]]監修の『Sega Dreamcast 2 二層地図法完全指南(改訂版)』が発売された。改訂版では縫合回数の最適化表が追加され、「縫合は第3回で最も効く」といった俗説が太字で掲載されたとされる[5]。
ほかに、架空の資料集『月光ログの読み方』が流通した。内容は占いの体裁を取りつつ、実際にはゲーム内台詞の年号照合表であると説明され、読者を混乱させる構成が話題になった[9]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 夢邸電脳開発社編『Sega Dreamcast 2 開発資料集 第2号』夢邸出版, 2000年.
- ^ 小笠原 鷹人『迷いを数値にする会議録』東鳴インタラクティブ, 2001年.
- ^ 滝口 芳樹『二層地図法の実装と検証』『情報処理研究報告』第48巻第3号, pp. 112-139, 2000年.
- ^ 篠原 トキワ『影の蒸留と弱点推定の確率設計』『ゲーム工学レビュー』Vol.12 No.4, pp. 55-73, 2000年.
- ^ 『ファミ通』編集部編『Sega Dreamcast 2 二層地図法完全指南(改訂版)』KAD譜文庫, 2000年.
- ^ 綾小路 ユイノ(聞き書き)『余白の郵便室と私』月光書房, 2002年.
- ^ 藍澤 ルイ『音の逆再生はなぜ効くのか』『サウンドデザイン年報』第7巻第1号, pp. 20-41, 2001年.
- ^ 渡辺 精一郎『RPGにおける“糸”メカニクスの物理感』『遊具力学誌』Vol.3 No.2, pp. 1-18, 1999年.
- ^ Eclipse街道研究会『月光ログの時刻照合』星雨アーカイブ, 2000年.
- ^ J. R. McAllister『Weather-Corrected Encounter Probabilities』『Journal of Interactive Entertainment』Vol.5 No.6, pp. 201-224, 2001年.
- ^ 『週刊ゲーマー』編集部『DD2論争:57%は偶然か設計か』第814号, pp. 8-14, 2000年.
- ^ 習志野スタジオ技術協会『残響の取得手順と機材メンテナンス』習志野工房, 1999年.
外部リンク
- DD2二層地図法アーカイブ
- 月光ログ解析ツール倉庫
- 影獣オブシディアン研究会
- 東鳴インタラクティブ 旧製品資料室
- Eclipse街道ファン検証サイト