プリズム・バター
| コンビ名 | プリズム・バター |
|---|---|
| 画像 | |
| キャプション | 楽屋裏で撮影されたとされる宣材写真 |
| メンバー | 鏡谷レイ、黄瀬マーガリン |
| 結成年 | 2014年 |
| 解散年 | 未解散 |
| 事務所 | アークライト芸能開発 |
| 活動時期 | 2014年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 鏡谷レイ |
| 出身 | 東京養成演芸学院 |
| 出会い | 学内の照明研究会 |
| 旧コンビ名 | バター・スペクトラム |
| 別名 | プリバタ |
| 同期 | 第12期生 |
| 影響 | 色彩漫才、反射小道具芸 |
| 現在の代表番組 | 虹色温度計 |
| 過去の代表番組 | 深夜の白熱板 |
| 現在の活動状況 | 舞台・配信を中心に活動 |
| 受賞歴 | 光都お笑い新人賞2017準優勝、湾岸コメディ大賞2021優秀賞 |
| 公式サイト | アークライト芸能開発 公式ページ |
プリズム・バターは、東京都中央区の小劇場文化から派生した日本の架空のお笑いコンビ。2014年結成。細密な観察コントと、光学機器を用いた小道具芸で知られる[1]。
概要[編集]
プリズム・バターは、東京都を拠点に活動する架空のお笑いコンビである。コンビ名は、舞台照明のと、舞台袖で使われる合成バター色の補助灯具に由来するとされている[2]。
もともとはのによる実験演芸ユニットとして結成され、のちにへ所属した。いわゆる正統派の漫才と、光の屈折を利用した装置を併用する芸風で注目を集めた[3]。
メンバー[編集]
鏡谷レイ[編集]
鏡谷レイ(かがみや・れい)は、主にであり、ネタ作成も担当している。舞台上では、透明アクリル板越しに客席へ話しかける手法を得意とし、その「反射で笑わせる」技術は、同学院の光学ゼミで鍛えられたとされる[4]。
出身は神奈川県川崎市とされるが、本人はたびたび「実際は工業団地の影で育った」と述べており、要出典のまま放置されている。身長は172cm、血液型はO型である。
黄瀬マーガリン[編集]
黄瀬マーガリン(きせ・マーガリン)は、。小柄な体格を生かした間の取り方に定評があり、特に小道具の誤作動をそのまま笑いに転化する芸で知られる[5]。
旧姓は黄瀬で、芸名の「マーガリン」は、学生時代に朝食のパンにバターではなく廉価なマーガリンを塗っていたことに由来するという。本人によれば「バターの方が高級だが、プリズムに塗ると焦げやすい」とのことで、意味はよく分からないが、ファンの間では象徴的な発言として引用されている。
来歴[編集]
結成まで[編集]
2014年、の学内企画「光るだけじゃだめですか」において、鏡谷と黄瀬が偶然同じ班になったことが結成のきっかけとされる。当初は三人組の実験班であったが、最後の一人が舞台上でカーテンレールに引っかかり脱退し、2人組として再編された[6]。
このとき使用された道具は、文京区の老舗照明店で処分予定だった回転式フィルター盤を改造したもので、のちにコンビの代名詞となる「回るとだいたい面白く見える台」の原型になった。
芸風[編集]
芸種は漫才との中間に位置づけられ、本人たちは「折りたたみ式の漫才」と称している。冒頭で通常の掛け合いを行い、途中から鏡面板を持ち出して視界を二重化し、最後にバター状の発泡素材を客席へ見せることでオチを付ける構成が多い[8]。
また、ネタの大半が「色の名前を間違える」「反射しているのに見えていない」「マーガリンなのに発光する」といった認知ズレを扱うため、大学の認知心理学ゼミで教材扱いされたこともある。なお、2019年の単独ライブでは、客席後方の非常灯を使った即興ネタが長すぎて、上演時間が予定の48分から91分に延びたという。
エピソード[編集]
2020年、港区のイベントホールで行われた記者会見において、黄瀬が「バターは塗るものではなく、光を受け止める面積である」と発言し、翌日の新聞で見出しが独り歩きした。これを受け、コンビは一時期「食べ物を扱う芸人なのか、照明を扱う芸人なのか」で論争になったが、本人たちは「両方である」とのみ回答している[9]。
また、地方営業で使用した移動式反射板が強風で倒れ、仙台市の商店街アーケードに虹色の斑点を3日間残した事件は、ファンの間で「プリバタ事件」と呼ばれている。被害額は約2万8,400円とされるが、当事者同士の示談により詳細は曖昧である。
出囃子[編集]
出囃子は、架空の電子音楽家・久遠ミツルが作曲した『Luminous Spread』である。2021年から使用されており、イントロの最後にバターを切るような短いノイズが入ることから、ファンの間では「入場前から食欲が少し削れる曲」として知られている[10]。
この曲はBPM128である一方、終盤のシンバルだけが不自然に遅く、舞台監督からは「芸人の登場速度より照明転換が先に終わる」と苦情が寄せられた。
賞レース成績・受賞歴[編集]
プリズム・バターは、2021年ので優秀賞を受賞したほか、2023年にはで審査員特別賞を獲得している。いずれも大規模全国区の賞ではないが、業界内では「小劇場発のコンビとしては異例の数字」と評された[11]。
一方で、M-1グランプリやの予選では、毎年のように「説明が長すぎる」「光学機材の搬入が遅い」といった理由で足止めを食らっており、2022年には予選会場の廊下で小道具のプリズムが30枚回収された記録がある。
出演[編集]
テレビでは、深夜枠のトーク番組『』にレギュラー出演し、視聴率0.8%前後を安定して維持している。2024年には系の特番『笑いの屈折率』にゲスト出演し、スタジオの照明を半分だけ落とした状態で漫才を行った。
ラジオではの『夜更けのバター皿』に月1回出演し、リスナーから送られた「台所の反射で笑える話」を紹介している。ほかに配信番組『プリズム研究会』、舞台『三角形の夜』、CM『東都ガラス工業 反射板篇』などがあり、活動範囲は妙に広い。
作品[編集]
2018年に自主制作DVD『』を発表し、特典映像で「鏡谷が本番3分前に台本を忘れたため、黄瀬が即席で光を反射した回」が収録された。2022年には配信限定の短編映像集『Butter Needs Prism』を公開し、英語圏の視聴者からは「なぜ笑っているのか分からないが、構図は美しい」と評された[12]。
また、ライブ会場でのみ販売されたCD『反射と塗布』は、収録曲よりも盤面の塗装が評判を呼び、現在は中古市場で高値が付くことがある。
単独ライブ[編集]
単独ライブは、2018年『』、2020年『』、2024年『』などを開催している。いずれも新宿の小劇場で行われ、チケットは即日完売ではないが、なぜか当日券が毎回7枚だけ残ることで知られる[13]。
2024年公演では、終盤に客席の一部だけが虹色に見える演出が話題となり、後日、照明機材ではなく空調フィルターの交換忘れが原因だったことが判明した。だが、本人たちは「結果的に一番よかった」と述べている。
書籍[編集]
2023年に初の書籍『プリズム・バターの屈折しない笑い方』がから刊行された。内容はネタの解説、舞台装置の図面、そして「バターを常温に戻す時間と笑いの間には相関がある」とする独自理論で構成されている[14]。
巻末対談では、舞台照明技師の佐伯千尋が「この2人は光を当てると少しだけ理解しやすくなる」と評しており、引用の真偽はともかく、帯文としては非常に強い。
脚注[編集]
脚注
- ^ 佐伯千尋『反射板と笑いの相関』青潮社, 2023年, pp. 41-68.
- ^ 高橋悠人『小劇場芸人論: 2010年代東京の新潮流』芸能文化研究会, 2021年, pp. 112-139.
- ^ Margaret L. Harlow, “Comedic Refraction in Post-Urban Tokyo,” Journal of Performance Studies, Vol. 18, No. 2, 2022, pp. 77-95.
- ^ 山本澄子『照明装置としての漫才台本』南風出版, 2020年, pp. 9-31.
- ^ D. K. Feldman, “Butter as Visual Cue in Contemporary Manzai,” The Quarterly Review of Popular Arts, Vol. 7, No. 4, 2021, pp. 201-219.
- ^ 小田切一馬『虹色の客席—反射と観客心理—』北辰社, 2019年, pp. 55-88.
- ^ 市川遥『コンビ結成の偶然性と養成所内力学』日本演芸学会誌, 第14巻第1号, 2018年, pp. 3-25.
- ^ Leonie Baum, “Stage Light and Snack Culture,” European Journal of Comedy, Vol. 5, No. 1, 2020, pp. 14-29.
- ^ 久遠ミツル『Luminous Spread 完全解析』月虹レコード出版部, 2024年, pp. 1-17.
- ^ 『プリズム・バターの屈折しない笑い方』書評特集, 『週刊演芸時報』第52巻第8号, 2023年, pp. 6-11.
外部リンク
- アークライト芸能開発 公式サイト
- プリズム・バター オフィシャルブログ
- 東京養成演芸学院 卒業生名鑑
- 夜更けのバター皿 番組ページ
- 小劇場資料室 ライブアーカイブ