『ポケットモンスター 罪・罰』
| タイトル | ポケットモンスター 罪・罰 |
|---|---|
| 画像 | (架空)罪環紋章のジャケットアート |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 罪環(つみわ)と罰鏡(ばつきょう)をモチーフにしたロゴ |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(探索・絆戦術) |
| 対応機種 | アストラ・ハンドヘルド |
| 開発元 | グリッドリンク研究所 |
| 発売元 | 星窓ゲームス |
| プロデューサー | 渡辺 精一郎(わたなべ せいいちろう) |
| ディレクター | マルコ・サンティーニ |
| 音楽 | 深町ミナト、ALBA RECORD |
| シリーズ | ポケットモンスター |
| 発売日 | 2013年9月21日 |
| 対象年齢 | CERO-B相当(架空) |
| 売上本数 | 全世界累計 1,180万本 |
| その他 | 日本ゲーム大賞(架空)受賞、バッテリ通信で連動 |
『ポケットモンスター 罪・罰』(英: *Pocket Monsters: Sin & Punishment*、略称: SPB)は、にのから発売された用。通称はで、シリーズの第10作目である[1]。
概要[編集]
『ポケットモンスター 罪・罰』は、用のとして提供され、プレイヤーはの見習いとして操作する形式を採用している。舞台は、町の中心に「鏡塔(きょうとう)」がそびえるとされ、プレイヤーの行動がに反映される設計で知られている[1]。
本作がシリーズ内で異色とされたのは、「勝つ」だけでは進行できず、「何に対して責任を持ったか」が探索ルートを分岐させる点である。キャッチコピーは「見つけた“善”が、次の“罰”になる」であり、発売前の広告では“告白端末”という架空デバイスが実機配布されたとされる[2]。ただし、告白端末は実在せず、後に公式が「投影用の試作品」と説明したことが、当時の編集会議で揉めたとされる[3]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、移動中に画面下へ表示される「足跡メーター」を用いた“罪跡(つみあと)推定”が挙げられる。プレイヤーがに成功すると、成功率は上がるが、同時に対象モンスターの「過去記録」も蓄積され、一定閾値を超えると行動選択が変化するとされる[4]。
また、戦闘はターン制のである。各モンスターは「罪符(ざいふ)」と「罰符(ばつふ)」の2種のステータスを持ち、技は“罪符が強いほど相手に説明的に効く”一方で、“罰符が強いほど反動で自分の行動コストが増える”仕組みになっていると説明された。開発資料では「敵を倒す快楽より、説明しきれない痛みを優先する」と記されていたとされる[5]。
アイテム面では、落としものパズルとして「罪箱(つみばこ)」が実装されている。特定の床パネルから出現する箱は開錠せずとも回収できるが、回収時に発生する“温度”が後続イベントの台詞精度を変える。例えば、回収温度が 19.3℃に達した場合は「怒り」ではなく「困惑」の選択肢が増えるとされ、検証動画が大量に投稿されたという[6]。なお、この19.3℃は後に攻略サイトが「小数点の遊び」と誤って推定し、誤情報として修正されている[7]。
戦闘・対戦モード・通信[編集]
戦闘では「告白タイミング」を任意に設けることで、モンスター同士の“誤解”を解消できる。告白はHPを直接回復しないが、戦闘後に絆値が上昇し、次のルートが出現しやすくなるとされる[8]。
対戦モードとして「罰点トーナメント」が用意されている。ここでは勝敗ではなく、相手に与えた“罰点”と“未解決の約束数”で順位が決まる。実装上は対戦時の約束データが最終ラウンドまでロックされるため、プレイヤーは「勝つために相手の記憶を奪う」のか「負けを受け入れて解決を増やす」のかを選ぶことになるとされた[9]。
オンライン対応では、協力プレイ用の「鏡塔ミッション」が配信される。鏡塔ミッションは、特定都市の公共アナログ時計に合わせて“同期”する必要があるとされ、当時はの一部施設で“無人の鏡時計”が目撃されたという。もっとも、のちに時計は配布広報の一部であり、参加者の「偶然の一致」を誘う設計だったと推測する声も出ている[10]。
オフラインモード[編集]
オフラインモードでは、通信要素を極力排しつつも“罪跡の履歴”だけはローカル保存される仕様が採用された。内部的には、セーブデータに含まれる「罪跡ハッシュ」が表示されない形で分岐に影響し、同じ戦いでも台詞が変わりうるとしている[11]。
特にサブクエストの「贖(あがな)い家計簿」は、プレイヤーが購入した消耗品の累計額に基づいて結末が変化する。例えば、序盤から第3章までに「回復薬」を 412個以上買っていた場合、終盤の商人が突然“監査官”を名乗る。関係者は「412は語呂の偶然」と語ったが、当時の社内資料では「412=“みなし更生率”」として扱われていたとされる[12]。
ストーリー[編集]
物語は、の中心都市で幕を開ける。プレイヤーは主人公として、鏡塔の最下層で「罪環」を授けられるが、罪環は単なる装飾ではなく、出会ったモンスターの“過去の選択”を時系列で読み取る装置と説明される[13]。
第1章では、盗難事件が発端として提示される。犯人は不明のまま、被害者だけが「罰だけが残る」と語る。ここで重要なのは、犯人を追うよりも、プレイヤーが“誤解した理由”を言語化することで道が開ける点である。実際、攻略本では「犯人当ては二次で、言葉の精度が一次」と強調された[14]。
第2章以降、プレイヤーは「罰の連鎖」を体験する。ある街で親切にしたはずが、別の街ではその善意が損害の原因として回収される。開発側はこの矛盾を“罪・罰は循環する”と表現し、プレイヤーに選択の重さを押し付ける設計だと解釈されている[15]。
終盤では、が“罰”を制度として運用していたことが明らかになる。主人公が最後に対峙するのは、敵組織ではなく「説明の失敗」そのものとして描かれ、勝利条件はHPを削り切るより、最後の告白文を一定文字数で提示することだとされる。なお、必要文字数 87 は、社内で「多すぎると詩的になり過ぎる」と議論された結果だと伝えられている[16]。
登場キャラクター[編集]
主人公は無名の見習いとして設定されるが、序盤でという観測員と出会う。イソラは“罰の正確さは計測できる”と信じ、鏡塔の改修履歴を持ち出す。彼女の口調はやや硬く、プレイヤーの絆値に応じて「人ではなく、記録として話す」モードへ切り替わるとされる[17]。
仲間にはがいる。グラフトは元々、モンスター進化の研究者だったとされるが、罪・罰のシステム実装にあたり「進化とは“免罪符の獲得”である」と語ったと報じられている[18]。彼の助手として登場するは、実は終盤まで“台詞の作者”として扱われ、プレイヤーの告白文に誤字があると戦闘中に小さく咳払いを入れる演出が話題になった[19]。
敵としてはの査察官たちが挙げられる。監査局はの別働隊であるとされ、罰点の帳簿で市民を管理する。とくに査察官は“過去の行為は訂正できない”を信条にしており、プレイヤーが善行を重ねるほど“訂正不能の痛み”が増える戦術を使うと説明された[20]。
用語・世界観[編集]
本作の中心概念は、モンスターや人間の行動が蓄積される「絆値」と、それを裏打ちする「罪符・罰符」である。絆値は数値としては 0〜1000 の範囲で管理され、一定値を超えると「過去記録の閲覧権」が解放されるとされる[21]。
また、世界観上で重要なモチーフとしてがある。鏡塔は物理施設であると同時に、物語のナラティブ装置として描かれる。鏡塔の反射面に触れると、プレイヤーの告白文が“別の誰かの文章”へ変換される演出があり、これが後に批判の的になる(「視聴者の意思を乗っ取る」)とも指摘された[22]。
モンスターの分類としては、通常のタイプとは別に「責任種(せきにんしゅ)」という軸が存在する。責任種は“何を隠しているか”ではなく、“何を守ろうとして誤ったか”で決まるとされ、例えばは守ろうとした相手が誤認されやすいという設定で知られている[23]。なお、責任種という用語は発売前に商標出願がなされたと噂され、実際には社内の仮称がそのまま採用されたという裏話がある[24]。
用語の一部には、実在の制度語に似せたものがある。例えば「免罪保険」「贖罪ポイント」などは監査局の制度として登場するが、実在する保険制度ではなく、あくまでゲーム内の“罪の通貨”であるとされる[25]。ただし、広告会社が“制度っぽく見える文章”を大量に投入した結果、制度の誤認がネット上で起きたと記録されている[26]。
開発・制作[編集]
開発はが担当したとされ、プロデューサーは、ディレクターはマルコ・サンティーニである。制作経緯として、本作は「勝利条件を倫理に接続するRPG」を目標に据えたと説明されている[27]。
社内では、初期案が“純粋な裁判アクション”として存在したが、当時のデザイン会議で「裁判はやり直しがきかない、ゲームはやり直せる」という反論が出て、告白システムと絆値へ落とし込まれたという[28]。また、罰符の反動計算はプロトタイプで幾度も暴走し、開発チームが「自分たちの罪跡が画面に出ている気がする」と冗談を言い合ったとされる[29]。
スタッフの細かな事情として、音楽は深町ミナトが“反省のための拍”を設計し、ALBA RECORDがそれをメトロノーム素材として再編集したとされる。結果として、終盤の告白戦で鳴るBGMは、プレイヤーの入力テンポに追従して 0.7秒ずれる“仕様”として残された(初期はバグとされたが、後に「罪の遅延」として定義し直された)[30]。
なお、シリーズの既存ファン向けには過度な暗さを避ける必要があったため、明るい色調のマップが多用されたとされる。ただし、広告ポスターでは全てのモンスターがうっすら暗号を持っているように見せられており、当時の雑誌編集者は「マーケティングがいちばん罰が強い」とコメントしたという[31]。
音楽[編集]
『ポケットモンスター 罪・罰』のサウンドトラックは『罪環交響記(ざいわんこうきょうき)』として発売された。収録曲は全 38 曲で、うち 12 曲が“告白用インタールード”と命名されている[32]。
深町ミナトは音作りについて「高音を減らすのではなく、救いの解像度を下げる」と語ったとされる。実際、鏡塔フィールドの曲は周波数帯が途中から 1/12オクターブ単位でずれ、プレイヤーの耳に“わずかな不整合”を与えるよう設計されたと説明された[33]。
批評では、合唱のサンプルが“教会堂の残響”を模したとされるが、実際は録音スタジオの空調ノイズを素材化したという。音響エンジニアの名義は“匿名の天才”として紹介され、後に深町が実名を伏せたまま許可を得ていたと判明したとされる[34]。
他機種版・移植版[編集]
発売から約2年後に、携帯型の簡易版として『罪・罰 罪環リマスター』が向けに配信された。移植作業では、絆値の演算を軽量化し、背景テクスチャを 42% 圧縮したとされる[35]。
さらに翌年には、開発者向け勉強会で作られた“家庭用疑似移植”が一部店舗で上映された。公式はこれを「展示用の手触り」と位置づけたが、ファンの間では実質的な次世代版のプロトタイプとして拡散された[36]。
ただし、移植版では告白戦の文字入力が“音声読み取り”に置き換えられたため、オリジナルのような「87文字の熱量」を再現しきれなかったと指摘されている。なお、再現度 61% とする分析がネットで流行したが、出典不明として後に削除された[37]。
評価[編集]
販売面ではミリオンセラーを記録し、全世界累計で 1,180万本を突破したとされる[38]。日本では発売初週に 236万本を売り上げたと報じられ、これは当時の携帯RPGの平均初週売上の約 2.4 倍と計算された[39]。
受賞面では、日本ゲーム大賞の前身である「社会とゲーム研究奨励」部門において最優秀“反省設計賞”を受賞したとされる[40]。もっとも、審査委員の一部は「罰のメタファーが強すぎる」として満点を入れなかったとも報じられた[41]。
一方で批評では、ロード時間が長いとされ、プレイヤーが“告白のために待たされる”構造が皮肉だと評された。あるレビューは、待ち時間表示が 3分12秒で固定されることに触れ「待たせることで罪を増やしている」とした[42]。
関連作品[編集]
メディアミックスとして、テレビアニメ『罪・罰の鏡(きょうのかがみ)』が制作され、全 52 話で放送されたとされる。アニメでは告白が“口上”として描かれ、台詞回しがゲームの入力精度に引きずられる描写があったという[43]。
また、ゲームブック『贖罪手帖:罪跡の計算方法』は、鏡塔ミッションの作法を学ぶ体裁をとりつつ、実際には“絆値の数式”をページごとに擬似表示した作品として人気を博した。出版社は学校教材寄りのレイアウトを採用しており、読者が学習教材と誤認してノートに書き写す現象も起きたとされる[44]。
さらに、短編漫画『罰点の裏側』では、監査局側の事情が描かれ、視聴者が“敵にも事情がある”と理解するよう誘導される構成になっていた。もっとも、公式側は「視聴者の免責感を利用するものではない」とコメントしたとされる[45]。
関連商品[編集]
攻略本として『罪・罰 完全贖罪ガイド(全3巻)』が発売され、第1巻は「足跡メーターの読み方」、第2巻は「告白文テンプレート」、第3巻は「罰符最適化数表」を扱うとされる[46]。
書籍以外の関連商品として、携帯端末用の「罪環カバー」(ケース内にマイクロパターンを刻むことで反射を増やすという触れ込み)が販売された。これは鏡塔の雰囲気を再現するためのもので、実際には反射率の差はわずかだが、購入者の自己納得度が高かったと報告されている[47]。
サウンド面では、オーケストラアレンジ盤『罰の解像度』が発売され、指揮者名義が“匿名の監査官”として記載された。ファンは「監査官が本当にいるのでは」と騒いだが、結局は契約上の都合によるペンネームと説明された[48]。
批判と論争[編集]
批判としては、倫理的メタファーがゲームプレイの自由度を奪うという指摘が多い。特に、告白タイミングを逃すと次の街のNPCが別人格として話し始める仕様が、「罪の再生産」として受け止められた[49]。
また、誤字の扱いに関する論争がある。ゲーム内では“告白文の文字”がログとして参照されるため、誤字入力が一定確率で「不誠実」扱いになり、戦闘後の反応が冷たくなるとされる。これが教育目的に不向きだとして、地方の一部図書館で子ども向け貸出が制限されたという話が広まった[50]。ただし、公式は「誤字は演出の一部」とし、貸出制限は“別作品の誤解”と説明したとされる[51]。
さらに、広告の文言と実装のズレが問題化した。「最初の告白は必ず救いになる」という宣伝があったにもかかわらず、絆値が条件を満たさない場合、救いではなく“罰の前振り”として展開される。編集者はこの矛盾を「読者の期待を罪として回収する」と評したが、結果として返金請求の相談が増えたという記録が残っている[52]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「罪・罰RPGの“行動倫理”設計—足跡メーターの実装概要」『ゲーム行動学研究』第12巻第3号, 日本行動学会, 2014年, pp. 55-73.
- ^ マルコ・サンティーニ「絆戦術における罪符・罰符モデルの確率推定」『Proceedings of Synthetic Morality in Games』Vol.8 No.1, International Game Logic Association, 2015年, pp. 101-129.
- ^ 深町ミナト「反省のための拍—テンポ追従型インタールードの音響設計」『サウンド&ナラティブ季報』第6巻第2号, ALBA音響編集部, 2014年, pp. 12-34.
- ^ 山根トモアキ「監査局の帳簿がプレイヤー行動を変える—心理ゲーミフィケーションの一事例」『社会とゲームの実験』第21巻第4号, 社会計算研究会, 2016年, pp. 201-219.
- ^ K. Heltz「Punishment as a User Interface: The Confession Window in Handheld RPGs」『Journal of Interface Morality』Vol.3 Issue.2, 2015年, pp. 44-62.
- ^ Lidia Voss「Sin & Punishment Merchandising and the Mirror-Clock Urban Legend」『Modern Retail Folklore』第9号, 研究社, 2017年, pp. 77-96.
- ^ 匿名(監査官ペンネーム)「罪跡ハッシュの非表示設計と分岐挙動」『コンソール保存技術報告』第2巻第1号, ハンドヘルド研究機構, 2014年, pp. 1-15.
- ^ 星窓ゲームス編『ポケットモンスター 罪・罰 開発資料集(初期案縮刷版)』星窓ゲームス出版, 2013年, pp. 3-98.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー』編集部「罪・罰の“反省設計”を測る—端数ロード時間評価」『ファミ通クロスレビュー』第18号, KAD出版, 2014年, pp. 210-225.
- ^ (タイトルが微妙におかしい)『鏡州都市史:罪環伝承の経済学』鏡州文化局, 2009年, pp. 65-88.
外部リンク
- 罪環交響記 公式サイト
- 鏡塔ミッション配信アーカイブ
- 罰点トーナメント統計閲覧窓口
- 贖罪手帖 出版社特設ページ
- グリッドリンク研究所 開発だより