ロスガルの尻尾
| タイトル | ロスガルの尻尾 |
|---|---|
| 画像 | RhosgalTail_poster.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 北方版パッケージイラスト |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドラケンVX、ミラージュポケット、サイレンス64 |
| 開発元 | ノクティル・アーカイブ |
| 発売元 | ノクティル・アーカイブ |
| プロデューサー | アドリアン・ヴェルヌ |
| ディレクター | 小宮山 透 |
| デザイナー | L.ハーディング |
| プログラマー | 真鍋 恒一 |
| 音楽 | サラ・エンベール |
| シリーズ | ヴォルグリッドシリーズ |
| 発売日 | 2004年11月18日 |
| 対象年齢 | 13歳以上 |
| 売上本数 | 全世界累計184万本 |
| その他 | 北方条約圏では『Rhosgal Tail: Long Gauge Edition』として再発売 |
『ロスガルの尻尾』(ろすがるのしっぽ、英: Rhosgal Tail)は、にから発売された用。同社の『』に続くシリーズの第2作目であり、プレイヤーは巨大獣人の尾部制御ユニットを操作して迷宮都市を脱出する[1]。
概要[編集]
『ロスガルの尻尾』は、を舞台とした横スクロール型のである。プレイヤーは、伝承上の巨獣人種の尾に搭載された推進器と索敵器を切り替えながら、迷宮化した下層街区を突破する。
通称は「しっぽゲー」とも呼ばれるが、開発資料では一貫して「尾部駆動型行動制御試作」と記されていたとされる。シリーズの一作目にあたる『』が空中戦を主軸としたのに対し、本作は地表滑走と壁面反跳の比重が高く、の審査講評では「尻尾の存在理由をここまでシステム化した例は稀である」と評された[1]。
また、当初は専用タイトルとして企画されたが、のちに版が発売されたことで携帯機市場でも注目を集めた。結果としてを突破し、ローカルな怪作でありながらを記録した珍しい作品として知られている[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、通常の移動入力に加えて尻尾専用の「振幅」「巻き付き」「静止保持」の三系統コマンドが存在する。プレイヤーはを直接操作するのではなく、尻尾の挙動を先に決め、その結果として本体が追従する構造である。
この仕様により、壁際で尻尾を誤って跳ね返すと本体が逆方向に加速するなど、直感に反した動作が多発した。攻略誌『』は、これを「操作ではなく姿勢のゲームである」と要約しているが、実際には姿勢判定の一部がとされるほど複雑で、発売初期には店頭デモ機の前で十数分間まったく進めない来店客が続出したという。
戦闘[編集]
戦闘はの形式を採りつつ、攻撃手段の八割が尾部に集約されている。尻尾先端の「尾針弾」、中間節の「鞭撃」、付け根の「回転衝角」を状況に応じて使い分ける設計で、敵との距離感がそのまま勝敗に直結する。
なお、ボス戦では巨大な結晶柱に尾を巻き付け、一定時間ごとに振動を伝達して内部機構を破壊する必要がある。最終ボスのは、プレイヤーの入力遅延を学習して尾先を先読みするAIを搭載しているとされ、発売後に「家庭用ゲーム機で最も性格の悪い門番」と呼ばれた[3]。
アイテム[編集]
アイテムは「尾先回復剤」「関節潤滑油」「反応遅延キャンセラー」など、尾部制御を前提としたものが多い。とくには、説明書に「五秒以内に使用しないと精神に影響しない」と書かれていたが、これは印刷ミスではなく、制作陣が本気でそう考えていたとされる。
隠しアイテム「獣王の房飾り」は、特定の条件下でのみ出現するが、実は見た目の違いしかない。だが発売初期の相当の掲示板では、これを装備すると「尻尾の先に小さな都市が見える」との報告が相次ぎ、都市伝説化した。
対戦モード[編集]
対戦モードは最大4人のと2人の直接対戦に対応していた。勝敗は相手本体の撃破ではなく、先に尻尾の可動域を失った側が敗北するという、きわめて局所的なルールである。
この方式は一見地味だが、実際にはリング状の障害物を使って相手の尾を絡め取る戦術が流行し、全国のゲーム大会で「紐締め戦法」が問題になった。なお、当時の公式大会では観客が尾の動きを見誤って歓声を上げることが多く、主催者であるは「競技としては成立しているが、応援の仕方だけが異常」とコメントした。
オフラインモード[編集]
オフラインモードには、尻尾の動きを学習させる「留守番訓練」が収録されていた。これは本体を操作しない状態でも尻尾だけが数分間うごめき、プレイヤーの入力履歴を再演する機能である。
一部のユーザーは、就寝中に本体を放置しておくと朝にスコアが増えていると報告したが、開発元は「仕様上ありえない」と否定している。ただし、同機種の拡張メモリに記録されたログから、深夜2時台に尾の耐久値だけが不自然に回復している例が複数確認されており、今もなお議論が続いている。
ストーリー[編集]
物語は、の地下迷宮で眠っていたロスガルの若体「第七尾」が、自治機構の誤作動により目覚めるところから始まる。プレイヤーは都市封鎖下で分断された本体の半身を操作し、失われた尾の記憶を取り戻しながら、氷層の下に封印された古代信号炉を目指す。
中盤では、尻尾がかつての海底実験所に搬送されていた記録が明らかになる。そこで行われた「尾部適応試験」は、寒冷地での移動効率を上げるために、都市そのものを尾に合わせて再設計するという本末転倒な計画であった。これにより迷宮都市が形成されたとされるが、設計図の一部が食堂のメニュー裏に描かれていたため、歴史研究者のあいだでは真偽が割れている。
終盤では、ロスガルの尻尾が単なる器官ではなく、都市全体の電力網を制御する「感情の配電盤」であることが判明する。エンディングは複数あり、尻尾を切り離して独立させる結末が最も知られているが、実はそれを選ぶとスタッフロール後に小さな尻尾がもう一度起動し、次回作への布石めいたメッセージを残す。
登場人物[編集]
主人公[編集]
主人公は、尾部保守班の研修生である。年齢は17歳とされるが、設定資料集では「尻尾に巻かれていたため実年齢不詳」とも記されている。
彼女は本体よりも尻尾の感覚器に適性があり、開発初期の社内テストでは「前を向かせると弱いが、後ろに進ませると無敵」と評された。これがのちのゲームデザインに大きく影響したとされる。
仲間[編集]
仲間キャラクターとしては、測量士の、整備技師の、そして尾部通訳機を抱えた謎の老婦人が登場する。とくにヴェルダ婆は、尻尾の震えだけで街区の危険度を当てることで知られ、発売当時のファンのあいだでは「歩く地震計」と呼ばれた。
なお、オルド・ケインは本来なら敵側の人物だったが、第二版のシナリオ修正で味方に転向した。これにより一部の台詞が前後で食い違っており、プレイヤーからは「味方なのに自己紹介だけ悪役」として親しまれている。
敵[編集]
敵勢力は、都市保安局の外郭組織と、その上位存在とされるで構成される。尾限局の兵士は全員が尻尾の先を金属化しており、撃破時に小さな警告音を発するのが特徴である。
また、隠し敵として「礼儀正しい寄生虫」が存在する。これは戦闘中に必ず一礼してから接触してくるため、海外版では検閲の対象にならず、むしろ「最も上品な敵」として好評を博した。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、ロスガルは「尾を失うと文明の記憶も失う種族」と定義されている。尻尾は感覚器であると同時に記録媒体でもあり、古い世代ほど尾先に都市法や気象データが蓄積されているという設定である。
舞台となるは、氷床の上に建てられた多層構造都市で、地下三十八層までが公認行政区、四十層以降が非公式の尻尾保管区とされる。地図上には存在しないが、発売後に攻略本でだけ地形名が明かされ、に問い合わせが殺到したという逸話がある。
また、作品内で重要な「尾暦(びれき)」は、尻尾の成長節を基準に年数を数える暦法である。公式では「一年は尾の関節が三回伸縮する期間」と定義されているが、実際のゲーム内では季節の進行と連動しているため、プレイヤーの多くは途中で換算を諦めた。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は春、の雪害で社屋の裏口が塞がれた際、デザイナーのが「ならば尻尾で出口を探せばよい」と発言したことから始まったとされる。これを受け、プロデューサーのが尾部操作を中心に据えた新規企画として承認した。
当初は教育用ソフトの一種として申請されていたが、試作版の評価会で参加者が全員、尻尾の慣性に気を取られてアンケートを書けなかったため、急遽アクションゲームに転向したという。なお、制作資料の一部にはの印影があるが、これは正式な許認可ではなく、担当者が押印練習をした際の副産物であると説明されている。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、前作『ヴォルグリッド』で背景美術を担当した人物で、本作では「尾の個性が世界観を決める」としてレベル設計まで一人で監修した。プログラマーのは、尻尾の節数を可変にするアルゴリズムを実装し、発売後も数回のパッチで節が増減する珍しい仕様を残した。
音楽はが担当し、チェロと金属板を同時に擦る録音手法で知られる。彼女は作中のボス曲を作る際、「尻尾はまず遅れて鳴るべきだ」という独自理論を提示したとされるが、本人は後年「たぶん言っていない」と述べている。
音楽[編集]
サウンドトラックは、発売と同時に『Rhosgal Tail Original Sound Chronicle』として単独発売された。全41曲収録で、うち17曲は尻尾の関節音を実録した素材を基にしている。
代表曲「Frozen Tail Canticle」は、の小劇場で試演された際に、観客の半数が「途中から自分の後ろを気にし始めた」と報告して話題となった。ほかに、街区移動時のBGM「Underbarrow Drift」はゲーム内で最も再生時間が長く、実際には3分14秒しかないのに体感では15分ある曲としてプレイヤーの間で恐れられた。
また、海外版限定の初回特典には「尻尾の鳴るブックレット」が付属したが、これはページ端に特殊加工が施され、指で弾くと低音が出るものであった。メーカーは「資料性と演奏性を両立した」と説明している。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、画面サイズの制約に合わせて尻尾の長さが自動で2割短縮された。その結果、難易度が上昇し、携帯機ユーザーのあいだでは「本体より尻尾のほうが忙しい」と評された。
には向けに再構成版が移植され、振動機能を利用した「尾感覚モード」が追加された。さらにの配信版では相当のサービスに対応し、発売当時は不可能だったオンラインスコア送信が実装された。
一方で、北方圏限定のは、画面が縦に3センチだけ引き伸ばされるという不可思議な補正があり、公式には「尾の長さに忠実な表現」と説明された。これに関しては当時のユーザーからも「たぶん誰も止められなかった」と述懐されている。
評価[編集]
発売当初の評価は賛否が大きく分かれた。専門誌『』は9点を与え、「操作の不親切さが世界観の説得力に直結している」と評した一方、別誌『』は「尻尾だけでここまで押し切る執念は尊いが、普通に疲れる」とした。
売上は初週で、累計でを記録し、シリーズ内では最大のヒット作となった。とくにとでの伸びが大きく、現地のゲームショップでは「尾先だけ触って購入を決めた」という購入者が多かったとされる。日本ゲーム大賞では審査員特別賞を受賞し、キャッチコピーは「後ろから世界が変わる」であった。
ただし、発売後数年にわたり「尾の向きと人格形成に相関がある」とする謎の論文が二本現れ、学術誌とファンサイトの区別がつかなくなった時期がある。これは本作の社会的影響としてしばしば引用されるが、出典の多くはのまま残されている。
関連作品[編集]
続編として『』がに発売され、前作よりも政治色の強いストーリーが展開された。派生作には落ちものパズル『』、携帯向けの育成ゲーム『』があり、いずれも本編よりも「尻尾の扱い方」だけが妙に詳しい。
また、はされていないものの、ドラマCD『』と漫画版『』が制作され、結果としてメディアミックス作品群が形成された。特にドラマCDでは全員が尻尾のことしか話さないため、原作未プレイの聴取者には内容が一切伝わらなかったという。
なお、企画段階には実写映画化も検討されたが、衣装費が本体より尻尾で高騰したため頓挫した。制作メモには「尾の代役が見つからない」とだけ書かれており、業界関係者のあいだで半ば伝説となっている。
関連商品[編集]
攻略本は『』としてから刊行され、全312ページ中、操作解説が112ページ、尻尾の挙動図が94ページを占めた。付録として折りたたみ式の「尾の地図」が付属し、開くとA3サイズに達したため、書店で棚からはみ出す事故が相次いだ。
書籍としては、設定集『』、開発者インタビュー集『』、そしてなぜか料理本『』がある。最後の一冊は本編とほぼ無関係だが、表紙に本作のロゴが使われていたため、誤って購入した読者が少なくなかった。
その他の関連商品には、尾先に装着する香り付きストラップ、尻尾の振幅を測るUSBアダプタ、そして触ると震えるメモ帳が存在した。とくにメモ帳は「会議中に使うと議事録が尾の形になる」として一部の企業で流行した。
脚注[編集]
1. ^ 開発資料『Rhosgal Tail Design Log Vol.3』に基づくとされる。 2. ^ 売上は発売元の月報と流通各社の集計を総合した推定値である。 3. ^ ボスAIの学習アルゴリズムについては後年の解析報告書『Tail Predation Model Review』がある。
参考文献[編集]
・アドリアン・ヴェルヌ『Rhosgal Tail Official Chronicle』Noctil Archive Press, 2005. ・小宮山透『尾部駆動ゲームの設計』ゲーム研究社, 2006年. ・Sarah Ember『The Audible Tail: Music and Motion in Rhosgal Tail』Vol. 12, Issue 4, pp. 88-104. ・真鍋 恒一「可変節尻尾における慣性補正」『デジタル遊戯学研究』第7巻第2号, pp. 19-31. ・M. Leclair, “Tail-First Interaction in Late-Period Action Shooters,” Journal of Imaginary Game Studies, Vol. 9, No. 1, pp. 1-22. ・長谷川 仁『ミラージュポケット移植史』北洋メディア出版, 2009年. ・『ロスガルの尻尾 完全尾訳書』メトロン出版, 2004年. ・E. Thornbury, “A Catalogue of Impossible Appendages,” Proceedings of the 3rd Northern Ludology Conference, pp. 77-90. ・「尻尾会議とその周辺」『月刊プラズマ遊戯』第18巻第11号, pp. 44-49. ・『ロスガルの尻尾 II: 冬尾戦線 公式設定資料集』ノクティル・アーカイブ, 2007年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
ノクティル・アーカイブ公式アーカイヴ
Rhosgal Tail Museum
尾部ゲーム保存協会
北洋電子娯楽協会 年報
月刊プラズマ遊戯 デジタル版
脚注
- ^ アドリアン・ヴェルヌ『Rhosgal Tail Official Chronicle』Noctil Archive Press, 2005.
- ^ 小宮山透『尾部駆動ゲームの設計』ゲーム研究社, 2006年.
- ^ Sarah Ember『The Audible Tail: Music and Motion in Rhosgal Tail』Vol. 12, Issue 4, pp. 88-104.
- ^ 真鍋 恒一「可変節尻尾における慣性補正」『デジタル遊戯学研究』第7巻第2号, pp. 19-31.
- ^ M. Leclair, “Tail-First Interaction in Late-Period Action Shooters,” Journal of Imaginary Game Studies, Vol. 9, No. 1, pp. 1-22.
- ^ 長谷川 仁『ミラージュポケット移植史』北洋メディア出版, 2009年.
- ^ 『ロスガルの尻尾 完全尾訳書』メトロン出版, 2004年.
- ^ E. Thornbury, “A Catalogue of Impossible Appendages,” Proceedings of the 3rd Northern Ludology Conference, pp. 77-90.
- ^ 「尻尾会議とその周辺」『月刊プラズマ遊戯』第18巻第11号, pp. 44-49.
- ^ 『ロスガルの尻尾 II: 冬尾戦線 公式設定資料集』ノクティル・アーカイブ, 2007年.
外部リンク
- ノクティル・アーカイブ公式アーカイヴ
- Rhosgal Tail Museum
- 尾部ゲーム保存協会
- 北洋電子娯楽協会 年報
- 月刊プラズマ遊戯 デジタル版