実況パワフルプロ野球 パワフェスモード 日向坂46
| タイトル | 実況パワフルプロ野球 パワフェスモード 日向坂46 |
|---|---|
| 画像 | PowerFesH46_box.jpg |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | パッケージアート |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | PlayMosaic |
| 開発元 | 鳴門ソフト研究所 |
| 発売元 | 鳴門ソフト研究所 / 霞ヶ関インタラクティブ |
| プロデューサー | 斎藤 恒一 |
| ディレクター | 三浦 祥平 |
| 音楽 | 神保 里奈、栗原 拓己 |
| シリーズ | 実況パワフルプロ野球 |
| 発売日 | 2019年8月17日 |
| 対象年齢 | CERO B |
| 売上本数 | 初週18.4万本、累計63.2万本 |
| その他 | オンライン対戦対応、期間限定DLC同梱版あり |
『実況パワフルプロ野球 パワフェスモード 日向坂46』(じっきょうパワフルプロやきゅう パワフェスモード ひなたざかフォーティーシックス、英: Jikkyou Powerful Pro Baseball: PowerFes Mode Hinatazaka46、略称: パワフェスH46)は、2019年8月17日に日本の鳴門ソフト研究所から発売されたPlayMosaic用アクションシューティングゲームである。実況パワフルプロ野球シリーズの第11作目にあたり、アイドルグループ日向坂46を題材にしたメディアミックス作品としても知られている[1]。
概要[編集]
『実況パワフルプロ野球 パワフェスモード 日向坂46』は、PlayMosaic向けに開発された対戦モード主体の派生作品である。野球ゲームとしては異例のメディアミックス色が強く、プレイヤーはアイドル研究会の新人監督として柿崎市にある仮想球場群を巡り、試合とライブ演出を両立させる。
通称は「パワフェスH46」で、キャッチコピーは「打て、歌え、勝ち抜け。」であった。なお、発売当初はCERO審査で試合中の照明演出が過度に眩しいとして一部削減が求められたが、最終的には「演出の一部」として通過したとされる[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
本作のゲームシステムの特徴として、選手育成とステージ攻略が一体化している点が挙げられる。プレイヤーは部員をスカウトし、日向型の連携ゲージを上げながら、試合中に応援歌を入力して必殺打球「ひらめきスイング」を発動する。
また、投球とダンスが同時に進行する「デュアル・テンポ入力」が採用されており、これに失敗すると守備隊形が崩れる。開発初期には純粋なロールプレイングゲームとして設計されていたが、試験運用中に「野球なのに踊りが主役である」と社内で判断され、現在の形に改められたという[3]。
戦闘[編集]
試合はターン制のアクションシューティングゲームとして処理され、打席に立つと球速ではなく「推進力」が数値化される。敵チームの投手は演出上「キャプテン・ライトボール」と呼ばれ、三振させるとスタンドの照明が一斉に消灯する。
一部の高難度戦では、スライダーの軌道が東京都江東区の河川敷を模した曲線で描かれ、慣れないプレイヤーは内野安打を量産する傾向があった。攻略班の検証では、最終ボス戦の平均決着時間は7分42秒で、通常のシリーズ作品よりもやや短い。
アイテム[編集]
アイテムは「ペンライト」「応援タオル」「増幅バット」の3系統に大別される。特に「応援タオル」は、使用するとベンチ全体の士気が上がる一方で、審判の視界もわずかに遮るため、公式大会では1試合あたり2枚までとする内規が設けられた。
隠しアイテム「河田のメロンパン」は入手難度が高く、千葉県の流通倉庫を模した迷路ステージで12分以内に回収しなければ消滅する。発売後にこのアイテムだけを目的に周回するユーザーが急増し、SNSでは「野球ゲームでパンを探している」との投稿が相次いだ。
対戦モード[編集]
対戦モードではオンライン対応が導入され、最大4人による協力プレイと疑似リーグ戦が可能であった。勝敗だけでなく、試合後に表示される「会場熱量指数」がランキングに反映されるため、守備の堅さよりも演出の派手さを優先するプレイヤーが多かった。
また、週替わりで横浜、神戸、仙台を模した特設球場が配信され、各球場には実在の交通動線を参照した複雑な外野フェンスが設けられていた。これにより、一部の対戦は事実上の落ちものパズルのようだと評された。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは「合宿編」と「ロードムービー編」に分かれる。前者では地方球場を巡りながら部員の親密度を上げ、後者では群馬県の山間部にある架空の野球トンネルを抜けて、各地のご当地寮を訪問する。
このモードには自動保存がなく、途中で電源を切ると直前の試合結果と未消化の差し入れがすべて消える仕様であったため、発売直後には「真の野球は根気である」とする擁護派と、「単に不親切である」とする批判派に分かれた。
ストーリー[編集]
物語は、日向坂46の特別協力を得た球団再建プロジェクトが、突如として「全国アイドル甲子園」へ発展するところから始まる。プレイヤーは新人監督として、練習不足の選手たちをまとめ、年に一度しか開かれない霞ヶ丘スタジアム決戦へ挑むことになる。
中盤では、球団の財政を支えるスポンサー企業鳴門フーズが、実は旧式のスコアボードを改造した「歌唱解析装置」を設置していたことが判明する。これにより、試合の勝敗が打率ではなく観客の合唱精度で左右されるという、シリーズでも屈指の不可解な展開を迎える。
終盤、主人公は「勝つこと」と「楽しませること」の両立を迫られるが、最終的には全選手が一斉に守備位置でフリップを掲げる演出により、リーグ戦は和解とともに幕を閉じる。なお、真エンディングでは茨城県の海岸で行われる深夜合同練習会が追加されるが、条件が厳しく、実際に到達したプレイヤーは全体の4.7%にとどまった。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は名前変更可能な新人監督であり、初期設定では埼玉県出身の大学生として扱われる。選択肢によっては元・番組制作ADという経歴も選べるが、これを選ぶと序盤から台本読み上げが異様に上手くなり、実況席の三浦 祥平に気に入られる。
公式サイトの説明文では「野球を知らなくても、歌がうまくなくても大丈夫」とされていたが、実際には両方ともある程度必要であったと指摘されている。
用語・世界観[編集]
作中世界では、試合会場はすべて「観客の感情を蓄電する装置」として扱われる。これをパワフェス回路と呼び、満員時の発電量は最大で6,800ワットに達するという設定である。
また、選手の潜在能力は「笑顔」「間」「ハモリ」の3値で管理される。これらは通常の野球用語とは異なるが、開発チームは「現代の競技は総合芸術である」と説明していた。なお、球場ごとに出現する幻の売店「第3売店」は、毎回同じ場所にあるのに、誰も正確な座標を測れないとされる。
世界観の細部には、国立国会図書館の資料整理手法を参考にしたという説明がある一方で、なぜか投手のスタミナ項目が「推し活距離」で表記される。こうした不一致が本作の独特な空気を形成している。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は2017年末、鳴門ソフト研究所の社内ハッカソン「第4回球宴実験室」から始まった。もともとは観客参加型の応援シミュレーターであったが、プロデューサーの斎藤 恒一が「これなら試合もできる」と方針転換し、現在の形に拡張された。
発売元の霞ヶ関インタラクティブは、アイドル題材作品の取り扱いに慎重であったが、日向坂46側から「野球のルールが分からない人でも、気分で楽しめるならよい」とのコメントが出たことで企画が正式化したとされる。
音楽[編集]
サウンドトラックは、試合曲・ライブ曲・移動中BGMの3層構造で構成されている。発売時には全38曲収録の初回限定盤が付属し、そのうち12曲は観客の手拍子サンプルを逆再生したものだった。
主題曲「走れ、鳴る球場」は、テンポ変化が激しく、上級者向けの練習曲としても使われた。特に9回裏専用BGM「サヨナラ・フォーメーション」は、サックスの旋律が東京の地下鉄時刻表に近いと評され、音楽雑誌でも小さく話題になった。
なお、初版にのみ収録された隠しトラック「メロンパンの行進」は、無音部分が17秒続くという異例の構成で、これが録音ミスか演出かについては今なお意見が分かれている。
他機種版・移植版[編集]
翌年にはSwitchblade One向けの簡略版が発売され、モーション入力の代わりにスロット式コマンドが採用された。さらに2021年にはPC向けの「監督補助版」が配信され、スタジアムの照明と観客数を細かく調整できるようになった。
一方で、アーケード向けの試作版は実装コストの都合で中止となったが、関係者によると、筐体が大きすぎて秋葉原の一部店舗にしか入らなかったことも要因であったという。後年、この試作版のROMは「幻の移植版」として高値で取引された。
評価[編集]
発売直後から注目を集め、初週売上は18.4万本、累計では63.2万本を突破した。シリーズ内では中堅規模のヒットと位置づけられるが、アイドル題材作品としては異例の長期販売を記録し、発売から14か月後の再出荷分も完売したという。
批評面では、演出の密度と操作の複雑さが賛否を呼んだ。『週刊デジタルレビュー』は「野球ゲームの皮をかぶった総合舞台芸術」と評し、日本ゲーム大賞特別賞候補に挙げたが、最終的には落選した。一方で、オンライン大会における不正な応援マクロの流行が問題視され、運営側が2度の修正パッチを配布している。
関連作品[編集]
本作の成功を受け、後に『実況パワフルプロ野球 パワフェスモード 柿崎分校編』と『実況パワフルプロ野球 パワフェスモード ひらがな選抜』が企画された。いずれも短命に終わったが、前者は地方大会の描写が過剰に緻密で、後者は勝敗よりも間奏の長さが重視されるという独自性があった。
また、家庭用以外ではカードアーケード『パワフェスチップス』が展開され、選手カードの代わりに球場スタンプを集める仕様で人気を集めた。これにより、シリーズは一時的にメディアミックスの中心軸として扱われた。
関連商品[編集]
攻略本『実況パワフルプロ野球 パワフェスモード 日向坂46 完全応援読本』は、発売2週間で7刷を記録した。付録として「応援リズム表」と「守備位置別メンバー相性チャート」が付属し、実用性の高さが評価された。
書籍『パワフェス研究 白球とペンライトの文化史』は、ゲーム内演出を社会学的に読み解く異色の新書であり、大学のゼミ教材としても採用されたという。ほかにも、鳴門書房からは全3巻の小説版が刊行されたが、2巻以降はなぜか球場経営の話が半分を占める。
脚注[編集]
注釈[編集]
1. 本作の対応機種名「PlayMosaic」は、開発初期のコードネームをそのまま商標化したものである。 2. 発売日については、地域限定先行配信を含めるかで資料間に差異がある。 3. 「ひらめきスイング」の初出は体験版であり、正式版では演出時間が0.8秒短縮された。
出典[編集]
『パワフェス開発秘話 座談会記録』鳴門ソフト研究所社内報、2019年9月号。
『週刊デジタルレビュー』第42巻第18号、2019年9月2日、pp. 14-17。
『PlayMosaic Magazine』Vol. 11, No. 4, pp. 33-39。
『ゲームと社会音響』霞ヶ関出版、2020年。
『白球と照明のあいだ』大庭 由紀、鳴門書房、2021年。
『日向坂46と球場文化の接点』中村 梨央、東都学術出版社、2022年。
『メロンパンの行進はなぜ消えたか』栗原 拓己、音響文化研究所紀要、第8号、pp. 2-9。
『アクションシューティングゲームの野球的転用』藤堂 恒一、コンソール研究Vol. 7, pp. 88-101。
『球団再建とアイドル表象』井上 美咲、国際遊戯学会誌、Vol. 15, No. 2, pp. 121-136。
『幻の移植版ROM流通史』篠原 亮、『電子娯楽資料館年報』第19号、pp. 54-60。
参考文献[編集]
・斎藤 恒一『パワフェス設計書』鳴門ソフト研究所、2019年。
・三浦 祥平『実況と応援の境界』霞ヶ関インタラクティブ、2020年。
・神保 里奈・栗原 拓己『サウンドで勝つ野球』鳴門書房、2021年。
・大庭 由紀『画面の中の観客論』東都学術出版社、2022年。
・中村 梨央『日向坂46ゲーム化史』コンソール研究社、2023年。
・藤堂 恒一『アクションシューティングの変則進化』PlayMosaic Press、2020年。
・『週刊デジタルレビュー』第42巻第18号、2019年。
・『ゲーム文化年鑑 2020』日本遊戯学会、2020年。
・『キャラクター経済圏入門』宇都宮出版、2021年。
・『白球とペンライトの文化史』鳴門書房、2021年。
外部リンク[編集]
鳴門ソフト研究所 公式サイト
パワフェスH46 特設ページ
PlayMosaic 公式ライブラリ
日向坂46×ゲームコラボ記録室
週刊デジタルレビュー アーカイブ
脚注
- ^ 斎藤 恒一『パワフェス設計書』鳴門ソフト研究所, 2019年.
- ^ 三浦 祥平『実況と応援の境界』霞ヶ関インタラクティブ, 2020年.
- ^ 神保 里奈・栗原 拓己『サウンドで勝つ野球』鳴門書房, 2021年.
- ^ 大庭 由紀『画面の中の観客論』東都学術出版社, 2022年.
- ^ 中村 梨央『日向坂46ゲーム化史』コンソール研究社, 2023年.
- ^ 藤堂 恒一『アクションシューティングの変則進化』PlayMosaic Press, 2020年.
- ^ 『週刊デジタルレビュー』第42巻第18号, 2019年, pp. 14-17.
- ^ 『PlayMosaic Magazine』Vol. 11, No. 4, pp. 33-39.
- ^ 『ゲーム文化年鑑 2020』日本遊戯学会, 2020年.
- ^ 栗原 拓己『メロンパンの行進はなぜ消えたか』音響文化研究所紀要, 第8号, pp. 2-9.
外部リンク
- 鳴門ソフト研究所 公式サイト
- パワフェスH46 特設ページ
- PlayMosaic 公式ライブラリ
- 日向坂46×ゲームコラボ記録室
- 週刊デジタルレビュー アーカイブ