縄文BASARA
| タイトル | 縄文BASARA |
|---|---|
| 画像 | JomonBASARA_promo.jpg |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 販促用に制作された土器型コントローラ同梱版のパッケージ |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリームオーブ |
| 開発元 | アスラメディア第七制作室 |
| 発売元 | アスラメディア |
| プロデューサー | 黒川 仁志 |
| ディレクター | 三枝 さやか |
| デザイナー | 榊原 鉄郎 |
| プログラマー | 高峰 恒一 |
| 音楽 | 前島 由紀夫 |
| シリーズ | BASARAシリーズ |
| 発売日 | 1998年11月21日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 国内推定68万本、全世界累計112万本 |
| その他 | 初回限定版には火打石型メモリーカードが付属 |
『縄文BASARA』(じょうもんばさら、英: Jomon BASARA、略称: JB)は、1998年に日本のから発売された用。縄文後期の列島を舞台としているシリーズの第1作目である。
概要[編集]
縄文BASARAは、が1998年に発売した用ソフトであり、縄文後期の列島を荒々しい英雄譚として描いた作品である。プレイヤーは土器武将を操作し、貝塚を拠点に各地の「火の柱」を巡って勢力を拡大していく。
本作は、後にシリーズの始祖・元祖と呼ばれることになったが、当初は社内でも「土偶の皮をかぶった高速シューティング」と評されていたという。通称は「ジョモバサ」で、発売直後にはファミ通系誌面で異例の特集が組まれ、早くも“発掘系アクション”として知られるようになった[1]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、移動と射撃が分離した二層式の操作体系が採用されている。プレイヤーは左手で石鏃の軌道を調整し、右手で「土盛りダッシュ」を行う構造で、当時の開発資料ではとの中間を目指したとされる。
また、敵を倒すたびに「縄文熱」が上昇し、一定値に達すると画面全体が赤銅色に変化する「焼成モード」が発動した。これは実質的な無敵状態であるが、同時に背景の貝塚から追加の敵が湧くため、初心者ほど自滅しやすい設計であった。
戦闘[編集]
戦闘はに近い距離感を持ちつつ、敵ごとに有効な石器が異なるのが特徴である。大型ボスとしては「巨椀クジラ」「黒曜の鹿王」「火種を呑む女神」などが登場し、いずれも弱点部位が“背中の縄文貼り”に集中していた。
なお、最終面のボス「赤彩大首長」は、プレイヤーが60秒以内に三度火起こしに成功しないと出現しない隠し条件を持つ。開発当時は「誰がそこまでやるのか」と議論されたが、結果的に攻略本の売り文句になった。
アイテム[編集]
アイテムは土偶片、磨製石斧、貝殻薬、黒曜石チップなどで構成される。特に「火打石の誓印」は、入手後にセーブデータを1回だけ古い集落へ「返納」できる特殊装備で、やり直しの効かないで重宝した。
一方で、回復アイテムの「発酵粥」は効果音が妙に長く、使用中に敵へ位置を特定されることから、上級者ほど“食べない”という逆転現象が起きていた。要出典。
対戦モード[編集]
対戦モードは2人対戦と4人の協力プレイに対応し、版では「貝塚の覇者」ランキングが実装された。対戦では土器砲の弾道が相手の風向きに左右されるため、実力差よりも天候差が勝敗を決めることが多かった。
このモードは発売後に学校の情報処理室で流行したとされるが、実際には接続ケーブルが6本必要で、机の上が考古学実習のようになったという逸話が残る。
オフラインモード[編集]
オフラインモードには「単独採火」「遺跡巡礼」「首長討伐」の三種があり、特に「遺跡巡礼」は実在の地名に似た架空の周辺を歩く形式で高く評価された。各ステージの終端には簡易な診断コーナーが挿入され、プレイヤーの縄文適性が“石器級”から“火焔級”まで判定された。
なお、データが消えた際に表示されるメッセージが「集落はまたつくれる」であったため、ユーザーサポートへの問い合わせが増加したとされる。
ストーリー[編集]
物語は、青森県南部の架空集落・火ノ岬で、若き火守り「麻良(あさら)」が封印された巨大土器《サバラの甕》を発掘する場面から始まる。甕の内部には、列島の覇権を握るとされる七つの火種が眠っており、各勢力がそれを巡って抗争を繰り広げる。
麻良は、貝塚祭司の、石刃の名手、そして漂着した青銅器商人らと旅をし、から九州までを横断することになる。中盤で明らかになるのは、火種が実は発火装置ではなく“集落の合併証書”であったという点で、以後の展開は半ば行政手続きとの戦いになる。
終盤では、封印を解くたびに古地磁気が乱れ、列島全体が一晩で秋田式土器の形状に変わるという大事件が起きる。最終決戦後、麻良はサバラの甕を海へ還し、火を独占しない文明のあり方を選ぶが、エンディング後に“まだ第2章がある”ことを示す謎の巻物が見つかる。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
麻良は本作の主人公で、火起こしと弓術を同時にこなす稀有な存在である。設定上は17歳であるが、公式ガイドブックでは「貝殻の磨耗具合から見て実年齢は不詳」と記されている。
仲間[編集]
神代は戦闘支援と回復を担当する祭司で、口癖は「焚き火は政治である」。鷹取は移動速度が極端に高い斥候で、シリーズ随一の人気を誇るが、開発途中では足音が速すぎて効果音班が三度倒れたという。ルイ・アルドは交易と罠解除を担い、なぜかフランス語風の古語を話す。
敵[編集]
敵勢力は「黒曜同盟」「海霧衆」「粘土院」の三派に大別される。特に黒曜同盟の総帥・火間守は、毎回の登場演出に7秒の沈黙を要するため、プレイヤーからは“間の悪いラスボス”として親しまれた。
用語・世界観[編集]
作中世界では、文明の進展は火力ではなく「焼成段階」によって記述される。石器時代ではなく“粘土期”“縄紋期”“焼成後期”という独自の区分が採用され、教科書的な歴史観をわずかにずらしている。
また、主要な儀礼用語として「土器政」「貝印」「炉辺評議」が登場する。これらはいずれも実際の考古学用語を連想させるが、作中では選挙、外交、軍事を兼ねる行政制度として機能しており、作品の世界観を支える重要な概念とされる。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は、に兵庫県西宮市の仮設スタジオで始まった。もともとは教育ソフトとして企画されたが、試作版の「火起こし連打」が社内大会で異常に盛り上がり、が家庭用ゲームとしての発売を決定したとされる。
ディレクターの三枝さやかは、考古学番組を見ていた際に「遺跡はもっと走れるはず」と発言したことで企画が加速したという。もっとも、当時の稟議書には「縄文時代を題材にした高速撃ち合いゲーム」としか書かれておらず、上層部は2週間ほど内容を理解していなかった。
スタッフ[編集]
スタッフには実在の美術大学出身者が多く、土器の質感表現のために本物の窯でテクスチャを焼いたという逸話がある。プログラマーの高峰 恒一は、敵AIに「逃げるふりをして囲む」行動を実装し、これが後の対戦格闘系タイトルにも影響を与えたとされる。
なお、音楽担当の前島 由紀夫は、収録のために京都府の山寺で一晩だけ実地録音を行ったが、実際には鹿の鳴き声が多すぎて、完成版ではすべて笛に差し替えられた。
音楽[編集]
サウンドトラックは、縄文太鼓、篳篥風シンセ、土笛サンプラーを組み合わせた前衛的な編成である。主題歌「火の輪を越えて」は、発売当時からテレビゲーム音楽の定番として扱われ、後にの特別演奏枠で再現されたこともある。
BGMの中でも「貝のリフレイン」は、ゲーム中で3分以上同じ場所に立ち止まるとテンポが速くなる仕様があり、結果として攻略より先にリズム感を鍛えられるプレイヤーが続出した。サントラ盤は初回出荷3万枚の予定が、予約だけで4万8,300枚に達したとされる。
移植版[編集]
発売後、本作はの普及に合わせて1999年に強化版『縄文BASARA 甕増し版』が発売された。こちらはをうたう再配信版の原型として扱われ、後年の編集版ではセーブ機能が「火皿セーブ」に変更された。
さらに、には携帯機向けの『縄文BASARA 旅立ちの土偶版』がに移植されたが、画面が小さすぎてボスの肩書きしか読めないという問題が発生した。なお、欧州版では宗教色の都合から火起こし演出が湯沸かしに差し替えられた。
評価[編集]
本作は発売初週で21万本を販売し、年末商戦ではを記録したとされる。累計売上は国内68万本、全世界累計112万本と発表されたが、火打石型メモリーカードの同梱分を含むかどうかで資料ごとに数字が微妙に異なる。
批評面では、独特の世界観と異様に本格的な土器描写が高く評価された一方、難易度曲線が急すぎることから「保育園児の火起こし教育ではない」との感想も寄せられた。とはいえ佳作を受賞し、では殿堂入り一歩手前の34点を獲得した。
関連作品[編集]
続編として『縄文BASARA2 火柱の乱』、『縄文BASARA外伝 貝塚無双』が制作され、いずれもシリーズ一作目にあたる本作の設定を拡張した。派生作には『BASARA土器連鎖』や、教育番組タイアップの『BASARAで学ぶ縄文の暮らし』も存在する。
また、企画が一度だけ進行したが、火器表現が過激すぎるとして第3話の絵コンテ段階で中止された。その代わりに、深夜帯の情報番組で“遺跡の歩き方”コーナーが半年間放送され、事実上のメディアミックスとなった。
関連商品[編集]
攻略本は『完全攻略 縄文BASARA 火起こし指南』がより刊行され、全412ページ中126ページが土器断面図に費やされている。書籍版は予約特典として乾燥貝のしおりが付属し、集めるとゲーム内で隠し村が出現するキャンペーンが行われた。
その他の書籍としては、開発秘話をまとめた『土器の向こうの制作室』、企画書をそのまま複写した『縄文BASARA 機密草案集』が知られる。後者は一部に黒塗りが多すぎて、読者からは事実上の現代美術として扱われた。
脚注[編集]
1. 初回版の発売日は資料により1998年11月20日とするものもあるが、これは店頭デモ版の出荷日であるとされる。
2. 開発会社名については、社史では「アスラメディア第二研究部」と記される場合もある。
3. 売上本数には同梱版・廉価版・試遊台の回収分が含まれるとの指摘がある。
外部リンク[編集]
アスラメディア公式アーカイブ
縄文BASARA資料館
火打石サウンド研究所
ドリームオーブ保存会
BASARAシリーズ年表室
脚注
- ^ 黒川仁志『縄文BASARA企画書総覧』アスラ出版, 1999, pp. 14-67.
- ^ 三枝さやか「焼成モードのUI設計」『ゲームデザイン研究』Vol. 12, No. 3, 2000, pp. 88-104.
- ^ 榊原鉄郎『土器と弾幕のあいだ』星雲新書, 2001, pp. 21-59.
- ^ 前島由紀夫「篳篥風シンセの実装について」『電子音響学会誌』第18巻第2号, 1999, pp. 3-19.
- ^ H. Thornton, “Archaeology as Action Shooting: A Case Study of Jomon BASARA,” Journal of Retro Game Studies, Vol. 4, No. 1, 2002, pp. 45-73.
- ^ 渡辺精一郎『列島火種論』北海文化社, 2003, pp. 101-138.
- ^ C. Bellamy, “The Pottery Controller and the Rise of Competitive Hearth Systems,” Interactive Media Quarterly, Vol. 9, No. 4, 2004, pp. 201-229.
- ^ アスラメディア社史編纂室『アスラメディア二十年史』アスラメディア, 2008, pp. 310-322.
- ^ 神代拓海『貝塚経済圏の形成』港湾出版, 2005, pp. 77-96.
- ^ 小林火輪『ゲームボーイのない縄文』山吹書房, 2006, pp. 5-41.
外部リンク
- アスラメディア公式アーカイブ
- BASARAシリーズ資料館
- 縄文BASARA年表委員会
- 火打石サウンド研究所
- ドリームオーブ博物館