金八DANCE MUSIC
| 名前 | 金八DANCE MUSIC |
|---|---|
| 画像 | KinpachiDanceMusic_live2009.jpg |
| 画像説明 | 2009年の神奈川県公演におけるKDM |
| 画像サイズ | 220px |
| 背景色 | #1F2A44 |
| 別名 | KDM、金八ダンス |
| 出身地 | 東京都杉並区 |
| ジャンル | ダンスロック、学園ポップ、ニュー・ミリタント・ファンク |
| 職業 | バンド |
| 担当楽器 | ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムス |
| 活動期間 | 1998年 - 2013年、2018年 - |
| レーベル | PULSE GRAVITY RECORDS |
| 事務所 | 東都旋律企画 |
| 共同作業者 | 真壁隆志、羽佐間ユウ |
| メンバー | 桐島一成、馬場リョウ、南雲ミナト、相沢朱里、北見タクト |
| 旧メンバー | 高瀬ヒロト |
| 公式サイト | kinpachidancemusic.jp |
金八DANCE MUSIC(きんぱちダンスミュージック)は、日本の5人組ダンスロックバンドである。所属事務所は。レコード会社は。1998年に結成、2004年にメジャーデビュー。略称および愛称は「KDM」。公式ファンクラブは「放課後ビート研究会」である[1]。
概要[編集]
金八DANCE MUSICは、東京都杉並区を拠点に活動する日本の5人組バンドである。学校放送の朗読調フレーズと、拍子をわざと1拍ずらす独特のリズム処理で知られ、2000年代前半の若者文化において「学級会グルーヴ」と呼ばれる潮流を生んだとされる[2]。
バンド名は、結成時の練習場所が旧・区立の視聴覚室であったことから名付けられたという説が通説であるが、メンバーの証言は毎年少しずつ異なっており、実際には近隣のダンス教室「八丁目スタジオ金星館」の略称が転訛したものとする異説もある。なお、公式ファンクラブ「放課後ビート研究会」の会員番号は学年制で発行される。
2004年のメジャーデビュー以後、で上位を記録したほか、学園祭ツアーと深夜ラジオ連動型のプロモーションで一躍注目を集めた。2013年に活動休止を発表したが、2018年に限定再結成し、以後は年数回の「特別補習ライブ」を中心に活動している[3]。
メンバー[編集]
現メンバーは以下の5名である。各人が担当するパートは固定されているが、ライブ終盤のみ全員が教室机を模した打楽器セットを演奏するのが定番とされる。
* 桐島一成(きりしま かずなり) - ボーカル、リーダー。学ラン姿で登場し、サビ前に黒板消しを鳴らす演出を担当する。 * 馬場リョウ(ばば りょう) - ギター。左利き用の「逆さ学習帳モデル」を愛用している。 * 南雲ミナト(なぐも みなと) - ベース。三連符のスラップを多用し、ファンからは「出席簿の人」と呼ばれる。 * 相沢朱里(あいざわ あかり) - キーボード、コーラス。授業開始のチャイム音をサンプリングする技法で知られる。 * 北見タクト(きたみ たくと) - ドラムス。演奏中に「起立、礼、着席」の掛け声を入れることで有名である。
旧メンバーの高瀬ヒロトは初代サックス担当であったが、2001年に「木管の拡張性の限界」を理由に脱退したとされる。脱退後は都内の中高一貫校向けに講演活動を行ったというが、確かな記録は少ない。
バンド名の由来[編集]
バンド名は、前述のようにの視聴覚室に由来するというのが最も広く知られている。もっとも、当時のメモ書きには「KINPACHI=Keyed Improvisation, Noise, Percussion, Analogue, Chorus, Harmony, Interlude」の略であるとも記されており、後年になってから意味づけが追加された可能性がある。
また、1999年に作成された初期のデモテープには「Dance Music for 8:30」という表記があり、これが「金八DANCE MUSIC」の表記へと収束したとする編集者もいる。なお、の社内資料では、当初は「金八DM」名義で売り出す予定だったが、略称が公務文書のようだとして見送られたとされる[4]。
来歴[編集]
結成 - インディーズ時代[編集]
1998年、杉並区内のライブハウス兼レンタルスタジオ「下高井戸リズム工房」で、桐島一成と馬場リョウを中心に結成された。結成当初はであったが、同年末に南雲ミナトが「譜面の余白が足りない」として加入し、以後の土台が整えられた。
1999年から2002年にかけては、通学路で配布された手書きのCD-R作品『1限前のリップスティック』や『給食後の逆走』などが局地的に話題となった。特に『給食後の逆走』は、収録曲「チャイムが鳴る前に走れ」が東京都内の一部高校で実質的な下校時刻テーマ曲のように扱われたとされる[5]。
2004年 - メジャーデビュー[編集]
2004年、シングル『制服のままで踊れ』でからメジャーデビューを果たした。同曲はNHKの教育系番組のエンディング候補に挙がったものの、歌詞中の「放課後三分前」という語が局内で議論を呼び、最終的には別案となった。
同年発売の1stアルバム『呼出しのベルが鳴るまで』は、初週売上7.8万枚を記録し、インディーズ時代の総売上を一週間で上回ったとされる。発売日当日のでは、ファンが制服風の衣装で列を作り、近隣店舗が臨時でジャージ販売を始めたという逸話が残る。
2007年 - 2013年[編集]
2007年には『二学期のディスコ』が週間1位を獲得し、バンドとしての知名度を決定づけた。これにより、テレビ番組やへの起用が増加し、当時の音楽誌は彼らを「国民的ホームルーム・ロック」と評した。
一方で、2011年頃からは制作方針を巡る対立が表面化し、桐島は「楽曲は40分以内に収めるべき」と主張したのに対し、相沢は「チャイムの余韻が消えるまでが曲である」と反論したとされる。2013年、バンドは活動休止を発表し、解散ではなく「長期補講期間」と説明された。
2018年 - 再結成以降[編集]
2018年、デビュー15周年企画として限定再結成を発表し、を皮切りに復帰公演を行った。この公演では、観客全員に模擬出席簿が配布され、アンコール時に一斉点呼を行う演出が話題になった。
2021年以降は大型ツアーよりも配信限定ライブに重心を移し、2023年にはストリーミング累計4.2億回再生を突破したと発表された。もっとも、この数字は「再生」より「読み込み完了」を含むのではないかとの指摘もあり、要出典とされている。
音楽性[編集]
金八DANCE MUSICの音楽性は、、、を折衷したものと説明されることが多い。特に、裏拍の強調とコール&レスポンスの構造を用いながら、歌詞に時間割、購買、職員室、体育館などの学校語彙を大量に導入する点が特徴である。
また、作曲面ではが提唱した「三段階チャイム法」が有名である。これは、Aメロを遅刻、Bメロを授業、サビを下校に対応させるという理論で、当時の音楽評論家からは「説明されると分かるが、普通はやらない」と評された。
ライブではテンポを意図的に2〜3BPMずつ上げる「反省加速」も行われる。これにより、終盤で観客が半ば走るように踊る現象が発生し、バンド側はこれを「体育の補助的効果」と説明している。
人物[編集]
メンバーは全体として寡黙であるが、MCになると急に校務員のように饒舌になることで知られる。桐島一成はインタビューで「ヒット曲は作るものではなく、提出期限に追われた結果として自然に生まれる」と語ったとされる。
南雲ミナトは楽屋で必ず都内の文房具店のレジ袋を逆さに畳む習慣があり、これがジャケット撮影の際の美意識につながったという。北見タクトは幼少期、太鼓の代わりに机を叩いていたことで近所から苦情を受けたが、後にその騒音がデビュー曲のイントロに採用された。
なお、相沢朱里はの新人育成講座で講師を務めることがあり、受講生に対して「音の前に行動予定を立てなさい」と指導することで有名である。
評価[編集]
音楽評論では、金八DANCE MUSICは「大衆性と編集主義が異様な均衡を保った稀有なバンド」と位置付けられている。とりわけ、学校生活の記憶をダンスミュージックに変換した点が評価され、地方FM局の深夜番組では繰り返し特集が組まれた。
一方で、歌詞中の専門用語がやや過剰であることから、同世代の聴取者に「試験範囲のようだ」と敬遠されることもあった。また、一部の教育関係者からは「学習意欲を不必要に高揚させる」として半ば警戒され、地域によっては文化祭の出演時間が5分短縮された例もある[6]。
それでも長年にわたる活動と功績がゆえに、平成末期のバンド再評価ブームでは「最も説明しづらいのに残っているバンド」の代表格として扱われた。
受賞歴・記録[編集]
2005年、『制服のままで踊れ』で日本レコード大賞優秀作品賞を受賞した。2007年には『二学期のディスコ』で週間1位を獲得し、同曲のミュージックビデオは都内の3つの高校で教材映像として再利用されたという。
2010年には「最も早口で出席確認を行う歌詞」としての特別部門にノミネートされた。また、2022年にはストリーミング累計4億回再生突破を記念して、新宿の大型ビジョンに42分間だけ「遅刻厳禁」の表示が出たことが記録されている。
なお、2019年の音楽誌読者投票では「最も青春を誤読させるバンド」部門で1位となった。
ディスコグラフィ[編集]
シングル[編集]
1. 制服のままで踊れ(2004年) - メジャーデビュー作。発売初週で7.8万枚を売り上げた。 2. 二学期のディスコ(2007年) - 週間1位を獲得。 3. 廊下は走るためにある(2008年) - 学内放送風のSEが長く、放送事故と誤解された。 4. 放課後グラビティ(2010年) - サビ前の無音3秒が話題となった。
アルバム[編集]
1. 呼出しのベルが鳴るまで(2004年) - 1stアルバム。 2. 朝礼台に立つ理由(2006年) - 音数を削った実験作。 3. 二度目のチャイム(2008年) - ファンク色を強めた作品。 4. 13時40分の反抗(2011年) - 活動休止前の集大成とされる。 5. 再出席(2019年) - 再結成後初のフルアルバム。
映像作品[編集]
1. KDM LIVE at 代々木補習校(2005年) 2. 学期末大演奏会 2007(2008年) 3. 補講のない夜に(2012年) 4. RE-ATTENDANCE TOUR 2018(2019年)
いずれも、アンコール時に観客へ配られた「反省用メモ」が特典として収録されている。
ストリーミング認定[編集]
2023年、主要配信サービスの合算で累計4.2億回再生を突破したとされる。もっとも、バンド側は「同一ユーザーが通学中に繰り返し再生した結果」と説明しており、実際の聴取者数はそれよりかなり少ないとの見方がある。
配信開始当初は、楽曲の頭に30秒の無音が入っていたため、アルゴリズム上の不利が指摘された。しかし、無音部分を「朝礼前の静けさ」として再評価する動きが起こり、結果的にKDMの代名詞の一つとなった。
タイアップ一覧[編集]
『制服のままで踊れ』は文部科学省の青少年向け啓発映像に使用されたとされるほか、『放課後グラビティ』はの車内広告キャンペーンに起用された。『二学期のディスコ』は携帯音楽プレーヤーのCMで流れ、当時の学生層に広く浸透した。
一方で、『廊下は走るためにある』は安全標語との親和性が高すぎたため、最終的に採用を見送られたという逸話がある。また、2011年の企業タイアップでは、商品の箱に「出席扱い」と印字され、社内で回収騒ぎとなった。
ライブ・イベント[編集]
KDMのライブは、観客参加型の「点呼」演出で知られる。2006年から始まった全国ツアー『補習は突然に』では、各会場で開演前に出席番号を配布し、最後列から順に盛り上がりを確認するという独自方式が採られた。
2018年の再結成公演では、で紙飛行機のみ使用可というルールが敷かれ、最終的に約1万7,400機が投げ込まれたと記録されている。2022年の配信限定イベント『深夜の再試験』では、チャット欄に「起立」が2万件以上投稿され、運営が途中でコメント速度を制限した。
出演[編集]
テレビではNHK『MUSIC ACADEMY』、民放の音楽番組『夜更けの旋律倶楽部』などに出演した。ラジオでは系の深夜番組『金八DANCE MUSICの放課後通信』が長寿番組として知られ、放送開始から2年でリスナー投稿が月平均900通を超えたという。
映画出演は少ないが、2010年公開の学園群像劇『チャイムが遠い』では本人役に近い形で登場した。CMでは文具、靴下、炭酸飲料などに起用されたが、いずれも「踊りながら整列する」という意味不明な演出で統一されていた。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
2007年 - 『二学期のディスコ』 2018年 - 『再出席』 2020年 - 『放課後グラビティ』
紅白ではいずれも学校机を模したセットで登場し、観客に「立っているのに礼をさせる」という演出が物議を醸した。2020年の出演時には、曲中に画面左上へ「遅刻者は後方へ」と表示され、SNS上で瞬く間に話題となった。
脚注[編集]
1. ^ 公式プロフィール。会員向け会報第12号に記載。 2. ^ 『現代学園音楽の実験』では、KDMを「制度疲労を踊りに変換した稀有な例」と評している。 3. ^ 再結成の発表日は、会場配布プリントと公式サイトで1日ずれている。 4. ^ レーベル内会議録は一部非公開であり、記述の正確性には限界がある。 5. ^ 学校配布物に記載されたというが、現物は確認されていない。 6. ^ 一部の記述は関係者談に基づくため、検証可能性に課題がある。
参考文献[編集]
・真壁隆志『放課後グルーヴ論』東都音響出版, 2006年. ・羽佐間ユウ『チャイムとベースライン』PULSE GRAVITY Books, 2008年. ・小林早苗『学園ポップの系譜』潮流社, 2011年. ・M. Thornton, "Attendance and Beat: A Sociological Study of KDM", Journal of East Asian Pop Studies, Vol. 14, No. 2, 2014, pp. 33-58. ・佐伯健一『ダンスロック入門・改訂版』青鐘社, 2015年. ・A. McRae, "The Classroom in 4/4 Time", Music & Society Quarterly, Vol. 22, Issue 1, 2016, pp. 101-129. ・西園寺あやめ『出席簿のリズム学』都心文化研究所, 2018年. ・倉田直樹『金八DANCE MUSIC 史料集 1998-2020』下高井戸アーカイブ刊行会, 2021年. ・H. K. Leonard, "Gravitational Pop and Institutional Dance", Pop Archive Review, Vol. 9, No. 4, 2022, pp. 7-19. ・『謎の学園音楽年鑑 2023』未来音楽資料室, 2023年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
・金八DANCE MUSIC公式サイト ・東都旋律企画 アーティストページ ・PULSE GRAVITY RECORDS ディスコグラフィ ・放課後ビート研究会 会員ポータル ・KDMアーカイブ・プロジェクト
脚注
- ^ 真壁隆志『放課後グルーヴ論』東都音響出版, 2006年.
- ^ 羽佐間ユウ『チャイムとベースライン』PULSE GRAVITY Books, 2008年.
- ^ 小林早苗『学園ポップの系譜』潮流社, 2011年.
- ^ M. Thornton, "Attendance and Beat: A Sociological Study of KDM", Journal of East Asian Pop Studies, Vol. 14, No. 2, 2014, pp. 33-58.
- ^ 佐伯健一『ダンスロック入門・改訂版』青鐘社, 2015年.
- ^ A. McRae, "The Classroom in 4/4 Time", Music & Society Quarterly, Vol. 22, Issue 1, 2016, pp. 101-129.
- ^ 西園寺あやめ『出席簿のリズム学』都心文化研究所, 2018年.
- ^ 倉田直樹『金八DANCE MUSIC 史料集 1998-2020』下高井戸アーカイブ刊行会, 2021年.
- ^ H. K. Leonard, "Gravitational Pop and Institutional Dance", Pop Archive Review, Vol. 9, No. 4, 2022, pp. 7-19.
- ^ 『謎の学園音楽年鑑 2023』未来音楽資料室, 2023年.
外部リンク
- 金八DANCE MUSIC公式サイト
- 東都旋律企画 アーティストページ
- PULSE GRAVITY RECORDS ディスコグラフィ
- 放課後ビート研究会 会員ポータル
- KDMアーカイブ・プロジェクト