アプリゲーム: コンパス
| 名称 | アプリゲーム: コンパス |
|---|---|
| 別名 | Compass Protocol |
| ジャンル | 位置同期対戦ゲーム |
| 開発元 | 株式会社ノースレーン研究所 |
| 初版公開 | 2014年11月 |
| 対応機種 | iOS、Android |
| 運営開始 | 2015年3月 |
| 通信方式 | 四象限マッチング |
| 標準プレイ時間 | 1試合約184秒 |
| 通称 | コンパス |
アプリゲーム: コンパスは、東京都の渋谷区で試験運用された都市型位置同期娯楽装置を起源とする、スマートフォン向けの対戦型アプリゲームである。プレイヤーの移動経路を仮想の方位盤に変換する方式で知られ、後に技術の普及に大きな影響を与えたとされる[1]。
概要[編集]
アプリゲーム: コンパスは、と端末内の方位センサーを併用し、戦闘空間を実在の都市地図に重ねて進行する設計であると説明される。一般には短時間対戦型のゲームとして知られているが、初期仕様では「歩行速度が高い利用者ほど有利になる」という極端な設計が採用されていたため、通勤者のあいだで妙な人気を博したとされる。
配信当初は・池袋・の三都市のみを正式対応地域としていたが、実際にはその境界が曖昧であったため、駅構内でマッチングが成立した直後に電波が切れる現象が頻発した。これを受けて運営側は総務省の「屋内準公共戦闘抑制指針」に準拠する形で調整を行った、と後年の資料では述べられている[2]。
歴史[編集]
構想と試験配布[編集]
本作の構想は2011年、横浜市の倉庫街で行われた位置情報玩具の実証実験に遡るとされる。中心人物はとされ、彼はもともと物流最適化の研究者であったが、倉庫作業員が荷札の代わりに端末を振り回して遊び始めたことに着想を得たという。
2014年秋には、の外部協力名目で「方位盤アーキテクチャ」の試験版が約3,400台に配布された。なお、試験参加者の7割がゲーム目的ではなく、端末のバッテリー消費量を調べるために使用していたことが、のちの座談会記録で明らかになっている[3]。
正式公開と拡大[編集]
正式公開はとされるが、実際には一部の新宿区の端末で1週間早く稼働していたとする説が有力である。初期バージョンでは「東西南北の4勢力」が存在し、勝敗はユーザーの方角選択よりも、周囲にいる他プレイヤーの靴底の摩耗量で左右されたとされる。
にはの編集合戦を模した「多言語戦線アップデート」が行われ、各国のプレイヤーが自国語ではなく地図記号で意思疎通する文化が定着した。これにより、海外コミュニティでは「コンパス語」と呼ばれる簡略記号が発生し、特にベルリンとで研究対象になったという。
社会現象化[編集]
夏、東京メトロの一部駅で“終電前の3分決戦”が流行し、駅員が勝敗判定の通知音を聞き分けられるようになったと伝えられている。もっとも、実際には通知音が12種類もあり、駅員側が独自に「危険音」「盛り上がり音」「課金音」と分類していたことが、内部資料の漏えいで判明している。
この時期、の周辺では「短尺競技が都市の滞留時間を増加させる」という奇妙な研究が発表され、コンパスを利用した商店街の売上が平均14.8%上昇したとされる。ただし調査対象の11商店街のうち4つは、イベント期間中に看板をすべて青く塗り直していたため、因果関係には疑義がある。
ゲームシステム[編集]
本作の基本ルールは、制限時間184秒のあいだに「方位点」を確保し、仮想地図上の磁気ゲージを最大化することである。プレイヤーは通常、攻撃役・測距役・補正役の3役に分かれるが、実際には全員が同時にマップを見失う場面が多く、そこから偶発的な連携が生まれる設計になっている。
キャラクターは「カード」と呼ばれるが、これは元来向けの訓練札を流用した名残であるとされる。各カードには重力係数、反転半径、迷子耐性が設定されており、中でも迷子耐性の高い“灯台級”カードは、北海道のプレイヤーを中心に信仰的な扱いを受けた。
開発[編集]
制作体制[編集]
開発はが主導したが、実務の大半は神奈川県の郊外にあった旧天文測候所を改装したオフィスで進められた。ディレクターののほか、UI設計を担当した、通信最適化を担当したらが知られている。
同社の社内記録によれば、初期開発チームはわずか18人であったにもかかわらず、毎週月曜日に「方位がずれている」という理由だけで仕様書が全面改稿されたという。これが後の“コンパス式アジャイル”として一部のIT企業に誤って輸入された。
音響と演出[編集]
音楽はが担当し、駅の発車メロディと遠雷の中間にあるような不安定な和音が特徴である。効果音は実際のの測量機器音を採取したものを加工したとされるが、終盤の勝利音だけはなぜかのエレベーターと酷似しており、これが一部ファンの考察対象になった。
また、キャラクター同士の会話は当初すべて方角コードで収録されていたが、収録後に音声班が「さすがに意味が分からない」と判断し、半数を再録したという逸話がある。
受容と影響[編集]
ユーザー層は当初、前半の学生と通勤者が中心であったが、やがてや商店街の防災訓練にも利用されるようになった。特に名古屋市では、避難誘導訓練に本作の地図UIを応用した結果、参加者が本来の避難所ではなく“レア拠点”に殺到する事案が起きたとされる。
文化的影響としては、都市のランドマークに対する認識を変えた点が大きい。プレイヤーは建物を「高さ」ではなく「補給半径」で見るようになり、やよりも、なぜか駐輪場やガード下に強い愛着を持つ傾向が確認された。なお、この傾向は以降の位置情報サービス全般に波及したとされる。
批判と論争[編集]
批判の多くは、歩行速度と通信品質が勝敗に直結する点に集中した。特に雨天時には傘が方位センサーを誤作動させるとの指摘があり、一部の利用者からは「都市型ゲームというより気象訓練である」との声が上がった。
また、課金要素として導入された“真北補正パック”は物議を醸した。これは端末の現在地を0.7度だけ正確に補正する機能であるが、価格が月額1,280円であったため、編集者の一部からは「北が高すぎる」と揶揄された。なお、この表現は当時の公式フォーラムでも半ば公認されていた。
脚注[編集]
脚注
- ^ 北条 恒一『都市方位娯楽の理論と実装』ノースレーン出版, 2017年, pp. 41-88.
- ^ 清水 玲子「位置同期UIにおける誤差の美学」『情報文化研究』Vol. 12, No. 3, 2018, pp. 15-29.
- ^ R. Thornton, “Compass-Based Matchmaking and Urban Drift,” Journal of Mobile Ludology, Vol. 7, No. 2, 2019, pp. 201-236.
- ^ 佐倉 真琴『発車メロディと対戦音響』港北音響社, 2020年, pp. 9-57.
- ^ 宮本 俊介「商店街回遊率に対する短尺対戦の影響」『都市経済季報』第18巻第1号, 2021, pp. 73-91.
- ^ 北条 恒一・清水 玲子『真北補正の社会史』測量情報出版, 2022年, pp. 112-164.
- ^ Margaret A. Thornton, “The North Is Always Loading,” Proceedings of the East Asian Interface Symposium, 2021, pp. 44-63.
- ^ 白井 文彦『駅構内における仮想拠点の分布』交通文化研究所, 2019年, pp. 5-26.
- ^ 小野寺 透「雨天時における方位センサーの民俗学的変容」『季刊レーダーと生活』第4巻第2号, 2018, pp. 101-119.
- ^ 『アプリゲーム: コンパス運営年表 2014-2023』株式会社ノースレーン研究所広報室, 2024年, pp. 1-203.
外部リンク
- ノースレーン研究所アーカイブ
- 都市方位ゲーム保存会
- コンパス研究資料室
- 仮想地図文化センター
- 駅前ゲーム史年報