キングボンビー
| タイトル | キングボンビー |
|---|---|
| 画像 | KingBonbee_boxart.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北斗山電子版のパッケージイメージ |
| ジャンル | コンピュータRPG、ボード風戦略ゲーム |
| 対応機種 | SFC-2、LumiDeck、CS-32 |
| 開発元 | 北斗山電子 第2制作部 |
| 発売元 | 北斗山電子 |
| プロデューサー | 白石 恒一 |
| ディレクター | 三輪 章太郎 |
| デザイナー | 久世 まどか |
| プログラマー | 遠峰 俊介 |
| 音楽 | 古賀 玲奈 |
| シリーズ | ボンボン鉄道シリーズ |
| 発売日 | 1994年11月18日 |
| 対象年齢 | 全年齢(ただし資産消失の描写あり) |
| 売上本数 | 国内累計182万本 |
| その他 | 通称は「赤冠」 |
『キングボンビー』(英: King Bonbee)は、にから発売された用コンピュータRPG『』シリーズの第3作目に登場する架空のゲーム作品、ならびに同作の中核システムを指す通称である。プレイヤーは資産を増やすとして操作するが、同時に“王冠をかぶった厄災”の暴走を管理することを目的とする[1]。
概要[編集]
『キングボンビー』は、がに発売したであり、の第3作目にあたる作品である。プレイヤーは路線拡張と資産運用を行う一方、一定条件下で発生する“災厄王”の制御を試みる。
作品の通称は「赤冠」であり、発売当時の広告では「勝ちも負けも、最後は王に振り回される」と煽情的に宣伝された。のちに向けの移植版が発売され、版では対戦モードが追加されたことから、の特別部門に推薦されたとされる[2]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム[編集]
本作のゲームシステムの特徴として、プレイヤーはサイコロで進む通常の的進行に加え、盤面上に発生する「破産圏」を回避しつつ行動する必要がある。キングボンビーが出現すると、路線の一部が凍結され、以後3ターンのあいだ収益が半減する。
また、プレイヤーは各駅に設置された「税務札」「災厄札」「再起札」を回収することで行動を補正できる。札の出現率は内部資料では27.4%とされるが、攻略本では31.2%と記されており、要出典のまま放置されている。
戦闘[編集]
戦闘はに近い即時判定式で、キャラクターが投げる「減便札」や「逆算ダイス」により、敵対企業の買収を進める形式である。キングボンビー戦では直接攻撃がほぼ通用せず、プレイヤーは“王冠の影”を先に破壊しなければならない。
なお、二人同時プレイ時のみ発動する「連帯保証フィニッシュ」は非常に強力で、開発者インタビューでは「家庭内の会話が10分減る程度の威力」と説明された。
アイテム[編集]
アイテムは全47種が確認されている。代表的なものに、一定範囲の収益を即座に確保する「配当印」、相手の所持金を“1円単位で”減らす「端数刈り」、キングボンビーを1ターンだけ無害化する「王冠磨き布」などがある。
とりわけ「札束の霧吹き」は、使うと一見意味がないが、実際には盤面の湿度を上げてサイコロの出目を0.3だけ改善する仕様で、当時の小学生からは「見た目が地味すぎる最強アイテム」と呼ばれた。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、最大4人が同時にの疑似ネットワークを介して、会社の経営権を奪い合う。試合開始時にプレイヤーのうち1人が自動的に“補助監査役”に任命されるが、これはほぼ敗者復活の役割である。
特定の条件を満たすと、キングボンビーが勝敗に介入し、順位表を強制的に入れ替える。これにより、3位が1位になった翌ターンに破産する事例が多発し、「順位の意味が崩壊している」と当時の雑誌で批判された。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは、店舗展示用に用意された専用の練習機能を基礎としている。CPUは極端に保守的な行動を取り、現金を貯めるだけで経済を停滞させる傾向がある。
一方で、深夜帯にのみ発生する「無人駅モード」では、誰もいない駅にキングボンビーが現れて勝手に徴税を始める。これは当初バグとみなされたが、後年の解析で“孤独な暴政の再現”として正式仕様に格上げされた。
ストーリー[編集]
舞台はの鉄道網が拡張しきった昭和末期の架空都市圏である。主人公は、地方支社に左遷された若手社員として、失われた路線を再建しながら、社内に巣食う王権的な怨念の正体を追う。
物語中盤で、キングボンビーは単なる敵役ではなく、かつて都市計画に失敗した元運輸官僚の意識が、巨大な赤い王冠に封じられた存在であることが示される。彼は「赤字とは人が作る祈りである」と語り、プレイヤーに増税ではなく“浪費の哲学”を説く。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は基本的に無名のとして扱われるが、説明書では「支社配属二年目の資産管理係」と記されている。プレイヤーの選択によって性格値が変動し、節約型・拡張型・投機型の3系統に分岐する。
また、特定の操作を繰り返すと、主人公の肩書が自動的に「臨時監査責任者」に昇格するが、これは実質的にキングボンビーの記録係である。
仲間[編集]
仲間キャラクターとしては、駅舎修理を得意とする、減便率を下げる交渉術を持つ、そしてサイコロの角度を読む天才児が登場する。
特にみずきは、会話イベント中に路線図を折り紙のように畳んでしまう癖があり、そのたびに次の目的地が1マスずれる。これがファンの間で“地図芸”として知られた。
敵[編集]
敵の中核はキングボンビーであるが、実際にはその配下として「赤札商会」「連帯債務団」「夜間監査課」などの半官半民組織が存在する。これらは一見すると現実味のある部署名だが、作中では全員が同じ王冠を共有している。
最終局面ではキングボンビーが巨大な鉄橋の上で4段階に変身し、最後は“地方税の雲”に溶けて消滅する。ここで流れる台詞「王は退くのではない、滞るのだ」が名言として引用されることが多い。
用語・世界観[編集]
作中世界では、経済活動そのものが「鉄道神話」と結びついており、路線の延伸は都市の繁栄ではなく神意の増幅として扱われる。キングボンビーはその神意が破綻した際に現れる災厄の象徴であり、富を吸い上げる代わりに“期待値”を供給する存在とされる。
世界観設定では、東京都の地下に「第九会計層」が存在し、そこに封印された王冠が年に一度だけ地上に昇るという。なお、設定資料集によれば王冠の重さは正確に3.6kgで、湿度が60%を超えると鳴動する[3]。
開発[編集]
制作経緯[編集]
企画は1992年、の社内勉強会で「破産を楽しく描くゲームが必要だ」という若手社員の提案から始まった。初期案では駅ではなく郵便局を舞台にする予定だったが、路線の方がサイコロとの相性が良いとして変更された。
原案者のは、当時のインタビューで「幸福は増えると退屈だが、赤字は増えると物語になる」と述べたとされる。もっとも、この発言は後年の同人誌で再構成された可能性が高い。
スタッフ[編集]
スタッフは総勢24名で、うち8名が社内の経理部からの兼務であった。特にドット絵担当のは、キングボンビーの王冠を3回描き直しており、最終稿では“怒ると右肩が5mmだけ上がる”という癖まで設定に反映された。
プログラマーのは、処理落ちを「恐怖演出」として利用する独自の手法で知られ、後に講演で「遅いほうが王は重く見える」と説明した。
音楽[編集]
音楽はが担当し、サウンドトラックは全31曲で構成される。キングボンビー出現時のテーマ「冠税交響曲」は、ゲーム音楽としては珍しく拍子が7/8と5/4の間を行き来し、演奏難度が異常に高い。
サウンドトラック盤は限定2万枚で発売され、後にを記録した本編よりも先に中古市場で高騰した。収録曲「無人駅のワルツ」は、実際には駅員の咳払いを編集して作られたとされる。
移植版[編集]
に版が発売され、対戦モードとネットワークランキングが追加された。さらに1998年の版では、キングボンビーの出現演出がCG化され、王冠の反射光だけで7分を消費する過剰仕様が話題となった。
には携帯型のへ移植され、画面が小さすぎてキングボンビーが常時画面外にいるという事態が発生したが、これを「不在の圧力」として逆に評価する声もあった。
評価[編集]
発売初週の売上は18.4万本で、その後3か月で国内累計182万本を突破したとされる。雑誌『ゲーム月報』では、資産管理の中毒性が高いとして満点評価を与えた一方、別紙の匿名座談会では「王が強すぎて家族会議が必要になる」として賛否が分かれた。
の特別奨励部門に推挙されたほか、学校教材として“市場の恐怖を学ぶ副読本”に採用された事例がある。なお、海外版は2か国で発売されたが、翻訳者がキングボンビーを「King Bono-Bee」と誤記したため、現地では蜂の王として流通した。
関連作品[編集]
続編として『』がに企画されたが、盤面が複雑すぎるとして発売中止になった。代わりに外伝『』が1999年に刊行され、シリーズの世界観を解説する設定資料集として扱われている。
また、テレビアニメ化された『』第11話にキングボンビーがゲスト出演したとされるが、映像が現存しないため、ファンの間では半ば都市伝説となっている。
関連商品[編集]
攻略本『』はから刊行され、通常版のほかに封印シール付きの限定版が存在した。書籍は売上9万部を記録し、巻末の「あなたが破産した理由チェック表」が保護者向けに好評だった。
ほかにも、王冠を模した目覚まし時計、路線図型トランプ、そして実物大の“無害化札”などが販売された。とくに目覚まし時計は、アラーム音がキングボンビーの笑い声に似すぎていたため、使用者の寝起きが著しく悪化したという。
脚注[編集]
1. ^ 記述は社内資料『ボンボン鉄道 企画書集成』に基づくとされる。 2. ^ 移植版の売上は機種別集計で差があり、版のみ別計上の可能性がある。 3. ^ 王冠の重量データは開発室の湿度ログと一致するとされるが、測定機器の型番は不明である。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
北斗山電子アーカイブ
ボンボン鉄道資料館
赤冠研究会
ゲーム史研究所 企画書庫
脚注
- ^ 白石 恒一『ボンボン鉄道と資産破壊の倫理』翔雲出版, 1995年.
- ^ 三輪 章太郎「赤冠演出における処理落ちの美学」『月刊ゲーム設計』Vol. 12, No. 4, pp. 41-58, 1996.
- ^ 古賀 玲奈『7/8拍子の王権音楽論』北斗文庫, 1997年.
- ^ 山本 透「キングボンビーの初期AIと破産圏生成」『情報遊戯学会誌』第8巻第2号, pp. 113-129, 1998年.
- ^ Margaret A. Thornton, "Crowned Disaster and Turn-Based Panic," Journal of Imaginary Game Studies, Vol. 3, Issue 1, pp. 9-27, 1999.
- ^ 久世 まどか『赤い王冠のピクセル史』翔雲出版, 2001年.
- ^ 遠峰 俊介「ネットワークランキング実装メモ」『LumiDeck開発季報』第15号, pp. 2-19, 2002年.
- ^ 佐伯 仁『移植版における王の不在』明鏡社, 2005年.
- ^ A. R. Kline, "The Economics of Fictional Ruin," Retro Systems Review, Vol. 7, No. 2, pp. 77-90, 2008.
- ^ 北斗山電子監修『キングボンビー完全監査読本』翔雲出版, 1994年.
- ^ 田所 由美子「無人駅モードの成立過程」『架空文化研究』第21巻第3号, pp. 88-101, 2011年.
外部リンク
- 北斗山電子公式資料室
- ボンボン鉄道シリーズ年表
- 架空ゲーム博物館 デジタル収蔵庫
- 赤冠研究会 年報アーカイブ
- 翔雲出版 攻略本目録