両界曼荼羅(バンド)

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両界曼荼羅(バンド)
名前両界曼荼羅(バンド)
画像Ryokai Mandala live 2018.jpg
画像説明2018年の横浜アリーナ公演における演奏風景
画像サイズ280px
背景色#3A2C6E
別名両曼、金剛四重奏
出身地日本・東京都杉並区
ジャンルオルタナティヴ・ロック、儀礼的ポストパンク
職業ロックバンド
活動期間2009年 - 現在
レーベル金剛音響レーベル
事務所阿羅耶識プロダクション
共同作業者三善照明研究所、法輪スタジオ
メンバー鳴海玄、九条ミナト、篠宮ユウ、早瀬シン
旧メンバー浅井ルリ
公式サイトryokaimandala.jp

両界曼荼羅(バンド)(りょうかいまんだら ばんど)は、日本の4人組ロックバンドである。所属事務所は阿羅耶識プロダクション。レコード会社は金剛音響レーベル。2009年に結成、2013年にメジャーデビュー。略称および愛称は「両曼」。公式ファンクラブは「壇城倶楽部」である[1]

目次
1概要
2メンバー
3バンド名の由来
4来歴
4.1結成とインディーズ期
4.2メジャーデビュー
4.32016年 - 2019年
4.42020年以降
5音楽性
6人物
7評価
8受賞歴・記録
9ディスコグラフィ
9.1シングル
9.2アルバム
9.3映像作品
10タイアップ一覧
11ライブ・イベント
12出演
13NHK紅白歌合戦出場歴
14脚注
15参考文献
16関連項目
17外部リンク

概要[編集]

両界曼荼羅(バンド)は、東京都杉並区で結成された4人組ロックバンドである。結成当初は仏教美術の研究会から派生した実験音楽集団として扱われていたが、2013年のメジャーデビュー以降は、重厚なギターリフと声明風コーラスを特徴とする日本のオルタナティヴ・ロック・バンドとして知られるようになった[2]

独自の世界観と、曲ごとに演奏位置を「胎蔵界」「金剛界」に分ける舞台演出が話題を呼び、ライブでは香木の煙を模したスモーク装置が恒例となっている。一方で、初期の資料には演奏会場の半分が寺院講堂であったことが記されており、音楽誌の編集部からは「バンドというより儀礼」と評されたこともある[3]

メンバー[編集]

現メンバーは、鳴海玄(ボーカル・尺八)、九条ミナト(ギター)、篠宮ユウ(ベース)、早瀬シン(ドラム)の4名である。結成初期には、浅井ルリが鍵盤および朗唱を担当していたが、2011年に学業専念を理由に離脱したとされる[4]

鳴海は歌詞の大半を担当し、九条は作曲面で中心的役割を果たす。また、早瀬はリズム隊でありながら舞台進行の監督も兼ねるなど、各メンバーが演奏以外の役割を分担している点が特徴である。

バンド名の由来[編集]

バンド名は、密教美術における両界曼荼羅の図像から採られたものである。ただし、結成時の記録によれば、名称候補には「胎蔵六弦団」「金剛夜想会」などもあり、最終的に「図像としての対称性」と「ロゴ化した際の視認性」が採用理由になったという[5]

なお、初期のファンの間では、左右対称のステージ配置を指して「両界」、メンバーの音域差を指して「曼荼羅」と解釈する俗説も広まった。後年、公式サイトのQ&Aで「たまたま仏教用語を借りただけ」と回答したものの、この説明はほとんど引用されていない。

来歴[編集]

結成とインディーズ期[編集]

2009年、杉並区西荻窪の書店兼喫茶室「法輪堂」にて、音楽サークルと仏像研究会の合同発表会が行われた際、鳴海と九条が即興演奏を行ったのが発端とされる。翌月には篠宮と早瀬が合流し、同年10月に現名称で活動を開始した[6]

インディーズ期の拠点は高円寺の地下スタジオ「第七码蔵」で、ここでは毎週火曜に平均2時間43分の長時間リハーサルが行われていた。2011年には自主制作盤『胎蔵の夜』を発表し、限定1,200枚が3週間で完売したとされるが、実数は1,186枚だったとの指摘もある[要出典]。

メジャーデビュー[編集]

2013年、金剛音響レーベルからシングル『曼荼羅グリッド』でメジャーデビューした。ミュージックビデオは神奈川県鎌倉市の廃校と富山県高岡市の鋳物工場跡で撮影され、撮影日数は計11日、エキストラは延べ164人に及んだという[7]

同作はオリコン週間チャートで初登場7位を記録し、バンドにとって初のテレビ露出のきっかけとなった。特にサビ終盤の「回転する経文」の振り付けは、音楽番組の観覧者が自発的に真似したことで小さな社会現象となった。

2016年 - 2019年[編集]

2016年には2枚目のアルバム『界面に降る雨』を発表し、初の全国ツアー『東西二重円環行』を実施した。公演先は札幌市仙台市名古屋市大阪市福岡市那覇市の6都市で、うち那覇公演のみ開演時刻が19時30分ではなく「日没後20分」とされた[8]

2018年には活動休止が発表されたが、休止期間中にも映画主題歌の制作や朗読会への参加が続いたため、実際には「半休止」と呼ぶのが妥当であるとファンサイトでは整理されている。2019年末にはNHKホールで再結成公演を行い、アンコールで旧メンバーの浅井ルリが1曲のみ参加した。

2020年以降[編集]

2020年以降は配信限定シングルを中心に活動し、リモート合奏に適応した楽曲構成が増えた。特に『無限遠視界』は、メンバー4名がそれぞれ異なる自治体で収録した音源を渋谷区の法輪スタジオで結合する方式を採用し、制作費が通常の1.7倍になったという[9]

2024年には結成15周年記念公演が東京ドームシティホールで開催され、巨大スクリーンに曼荼羅図が投影される演出が話題となった。終演後、観客の一部がロビーの案内図まで宗教画のように見えたと証言しており、舞台美術の過剰さが改めて注目された。

音楽性[編集]

音楽性は、オルタナティヴ・ロックを基盤に、ポストパンク、声明、民謡、電子音響を接合したものとされる。ギターは低音弦を強調した単音リフが多く、ベースはドローン的に持続することが多い。また、ドラムには拍節をわずかにずらす癖があり、これが「読経の揺らぎ」に似ているとして評論家の間で注目された[10]

歌詞は、都市生活の疎外感や再開発、祈りの不在などを扱う一方で、しばしば極端に具体的な単語が差し込まれる。たとえば『終電のあとで会おう』では「自動販売機の釣り銭口」「町内会の予備鍵」といった語が使われ、宗教的抽象と生活感の落差が独特の緊張を生んでいる。

なお、初期のライブでは本番前に全員が鎌倉の寺院で30分の黙礼を行っていたが、これは音作りのためではなく、鳴海が花粉症対策として「静かな空気」を必要としていたためだという説もある。

人物[編集]

鳴海玄は寡黙なフロントマンとして知られるが、楽屋では機材の型番を細かく記録する几帳面さがある。九条ミナトは曲作りの核であり、メンバー内では唯一、天候によってギターチューニングの基準を変えることで知られる。篠宮ユウは社交性が高く、物販列で最も声をかけられやすい人物とされる。早瀬シンはバンドの実務面を担い、ツアー移動時のバス席配置まで管理したという[11]

4人は音楽的には厳格である一方、私生活では驚くほど地味で、打ち上げも中野区の定食店で済ませることが多い。もっとも、鳴海だけは地方公演後に必ず地図帳を買う習慣があり、これが後のステージ演出の地形投影に繋がったとされる。

評価[編集]

批評家からは、ライブ演出の完成度と、アルバムごとに明確に編成が変わる構成力が高く評価されている。特に『界面に降る雨』以降は、一般的なロックバンドよりも舞台芸術に近いと評され、朝日新聞の音楽欄では「祈りの装置としてのバンド」と書かれた[12]

一方で、宗教性の強い意匠に対しては賛否があり、初期には「ライブハウスの換気設備に負担をかける」「観客が意味を考えすぎる」といった批判もあった。ただし、こうした論争は結果的にバンドの知名度を押し上げ、現在では国民的ロックバンドと称されることもある。

受賞歴・記録[編集]

2014年に日本レコード大賞の新人賞に相当する部門で特別賞を受賞したほか、2017年には『界面に降る雨』がオリコン年間アルバムチャートで17位を記録した。2021年にはストリーミング累計再生数が国内で5.4億回を突破し、2024年時点で公式発表は6.8億回とされている[13]

また、2023年にはライブ動員の累計が75万人を超えたと発表されたが、これには野外法要イベントの来場者も含まれるため、純粋な公演動員とはやや異なる。なお、単独公演での最長演奏時間は3時間42分で、終演後に拍手が止まず、会場の退館案内が2回延長された。

ディスコグラフィ[編集]

シングル[編集]

『曼荼羅グリッド』(2013年) 『終電のあとで会おう』(2014年) 『灰色の鐘楼』(2015年) 『無限遠視界』(2020年・配信限定) 『夜明けの作法』(2022年・配信限定)

アルバム[編集]

『胎蔵の夜』(2011年・自主制作) 『界面に降る雨』(2016年) 『四門の果て』(2019年) 『無明のポップ』(2024年)

映像作品[編集]

『東西二重円環行 2016』 『再結成公演 NHKホール 2019』 『十五周年記念公演 2024 - 壇城の夜 -』

タイアップ一覧[編集]

『曼荼羅グリッド』は関東自動車工業の小型SUV「KAZE-6」のテレビCMソングに起用された。また、『終電のあとで会おう』はJR東日本の深夜移動キャンペーンに使用され、終電後の駅構内を撮影した映像が話題となった[14]

『灰色の鐘楼』はNHK Eテレの美術教育番組『かたちの国』のエンディングテーマに採用され、『夜明けの作法』は地方都市の再開発PR映像に使われた。バンド側は当初、タイアップ先に厳格な条件を提示していたが、近年は「曲の尺に合わせてCMを1秒短くする」方式が定着しているという。

ライブ・イベント[編集]

代表的なツアーとして、『東西二重円環行』(2016年)、『四門巡礼』(2019年)、『無明のポップ・ショーケース』(2024年)がある。いずれもステージ上に4つの門を象ったセットが組まれ、メンバーは曲間ごとに東西南北のポジションを移動する。

2017年の大阪城ホール公演では、会場入り口に「入場時は心を整えてください」と記された看板が置かれ、スタッフが実際に深呼吸を促していた。2024年の周年公演では、アンコールが3回に及び、観客アンケートで「演奏より退場導線の記憶が強い」と書かれた回答が一定数あった。

出演[編集]

テレビ出演は少ないが、『ミュージックステージ極』や『音魂ラボ』などの音楽番組にたびたび出演している。初出演時、鳴海が番組進行中に「この曲は南回りです」とだけ発言し、司会者が理解できなかった逸話が残る[15]

ラジオではInterFM系の深夜番組『壇城通信』に長くレギュラー出演していた。映画出演としては、メンバー全員が本人役で登場したドキュメンタリー風作品『鐘はまだ鳴らない』があり、CMでは音響機器メーカーや旅館業の広告に出演したことがある。

NHK紅白歌合戦出場歴[編集]

2022年に初出場。演目は『無限遠視界』で、NHKホールの舞台上に巨大な円相図が投影された。なお、放送尺の都合で1コーラス短縮されたが、最後の「合掌」の動きだけは予定通り行われたため、視聴者の一部が年越し番組ではなく年越し儀式と受け取ったという[16]

2024年にも出場し、『夜明けの作法』を披露した。終了後のSNSでは「紅白というより紅と白の儀礼配置」といった投稿が拡散し、バンドの象徴的存在感を補強した。

脚注[編集]

1. 公式ファンクラブ「壇城倶楽部」の入会案内、2024年版。 2. 『月刊オルタナ音響』第18巻第4号、阿羅耶識プロダクション特集。 3. 『ライブハウス研究』第6号、pp. 41-58。 4. ただし浅井ルリの脱退時期には諸説ある。 5. 『高円寺サブカル年表』法輪堂編集部、2019年。 6. 『杉並区音楽史資料集』第2巻、pp. 112-115。 7. 撮影データは制作会社の内部資料による。 8. ツアーパンフレット『東西二重円環行』、2016年。 9. 『リモート録音の技法』金剛音響研究所紀要、第3号。 10. 『儀礼とロックの境界』東京音楽評論、Vol. 22。 11. バス席配置については本人談。 12. 朝日新聞夕刊、音楽欄、2017年11月2日付。 13. 公式サイトのストリーミング実績発表、2024年。 14. キャンペーン資料『終電と都市生活』、JR東日本広報部。 15. 番組内発言の要約はファンレポートに基づく。 16. 放送尺短縮の詳細はNHK番組編成資料に記載。

参考文献[編集]

・佐伯真一『儀礼化するロックの現在』金剛音響出版、2018年。 ・Marion T. Clarke, "Mandala Structures in Contemporary Japanese Rock", *Journal of Urban Music Studies*, Vol. 12, No. 3, pp. 88-107. ・高瀬由紀『都市の祈りとアンプの音圧』法輪書房、2020年。 ・中村圭吾『ライブ空間の宗教的転用』音声文化研究会、2021年。 ・H. A. Whitmore, "The Aesthetics of Circular Stage Design", *Pacific Review of Music*, Vol. 9, No. 1, pp. 14-29. ・『両界曼荼羅(バンド)年鑑 2010-2024』阿羅耶識プロダクション編、2024年。 ・藤堂千秋『ロックバンドの民俗誌』新潮社風出版社、2019年。 ・小暮直人『無明のポップと観客参加型儀礼』東京音楽評論社、2023年。 ・D. K. Reynolds, "From Temple Halls to Arena Tours: A Case Study", *Modern Popular Arts Quarterly*, Vol. 7, No. 4, pp. 201-219. ・『音楽と檀家制のあいだ』日本舞台研究センター紀要、第11号、pp. 5-26.

外部リンク[編集]

公式サイト 壇城倶楽部 金剛音響レーベル アーティストページ 阿羅耶識プロダクション 紹介ページ ライブアーカイブ『円環の記録』

脚注

  1. ^ 佐伯真一『儀礼化するロックの現在』金剛音響出版、2018年.
  2. ^ Marion T. Clarke, "Mandala Structures in Contemporary Japanese Rock", Journal of Urban Music Studies, Vol. 12, No. 3, pp. 88-107.
  3. ^ 高瀬由紀『都市の祈りとアンプの音圧』法輪書房、2020年.
  4. ^ 中村圭吾『ライブ空間の宗教的転用』音声文化研究会、2021年.
  5. ^ H. A. Whitmore, "The Aesthetics of Circular Stage Design", Pacific Review of Music, Vol. 9, No. 1, pp. 14-29.
  6. ^ 『両界曼荼羅(バンド)年鑑 2010-2024』阿羅耶識プロダクション編、2024年.
  7. ^ 藤堂千秋『ロックバンドの民俗誌』新潮社風出版社、2019年.
  8. ^ 小暮直人『無明のポップと観客参加型儀礼』東京音楽評論社、2023年.
  9. ^ D. K. Reynolds, "From Temple Halls to Arena Tours: A Case Study", Modern Popular Arts Quarterly, Vol. 7, No. 4, pp. 201-219.
  10. ^ 『音楽と檀家制のあいだ』日本舞台研究センター紀要、第11号、pp. 5-26.

外部リンク

  • 公式サイト
  • 壇城倶楽部
  • 金剛音響レーベル アーティストページ
  • 阿羅耶識プロダクション 紹介ページ
  • ライブアーカイブ『円環の記録』
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