盆踊り(デスブロッサム)
| タイトル | 盆踊り(デスブロッサム) |
|---|---|
| 画像 | BonOdoriDeathBlossom_boxart.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北米版パッケージアート |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | セレスティア96、ムーンビート、レトロリンク64 |
| 開発元 | 桔梗ソフトウェア工房 |
| 発売元 | 東雲インタラクティブ |
| プロデューサー | 御厨 恒一 |
| ディレクター | 佐伯 露子 |
| デザイナー | 田端 眞一 |
| プログラマー | 遠野 慎吾 |
| 音楽 | 早瀬 千尋 |
| シリーズ | デスブロッサムシリーズ |
| 発売日 | 1997年7月18日 |
| 対象年齢 | 全年齢対象 |
| 売上本数 | 国内累計38万本、全世界累計112万本 |
| その他 | AC連動型振動マット対応 |
『盆踊り(デスブロッサム)』(Bon Odori: Death Blossom)は、に日本の架空の開発会社から発売された用である。通称は『デスブロ』。盆踊りと弾幕回避を組み合わせた独自のゲームシステムで知られ、シリーズの第1作目にあたる[1]。
概要[編集]
『盆踊り(デスブロッサム)』は、の円舞動作を弾幕回避と同調させることを主眼としたである。プレイヤーは“踊り手”として操作し、夜のを舞台として襲来する霊的敵性体を、拍子木と扇子型ウェポンで迎撃する。
本作は、1990年代後半の和風シューティング隆盛期にあって、的な成長要素と、対戦型リズム入力を強く押し出した異色作として位置づけられる。キャッチコピーは「回れ、撃て、成仏しろ。」であり、当時の雑誌広告では“落ちものパズルのように見えて、実は”と説明されていた[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、左スティックで移動、右ボタンで足運び、中央ボタンで“輪”の半径を広げる三層入力が採用されている。輪の拡大中は被弾判定が踊りの軌跡に沿って変形するため、初心者ほど安全圏がわかりにくい設計であった。
また、拍子の取り方により攻撃属性が変化し、早拍子では高速連射、遅拍子では範囲殲滅が強化される。仕様書上は「リズムで戦況を読む」と記されていたが、実際には“誰もが一度は自分の足を信じすぎる”ことで知られた[3]。
戦闘[編集]
戦闘では、敵を倒すごとに“供養点”が加算され、一定値に達すると画面内にが出現し、得点倍率が上昇する。ボス戦は全7幕構成で、各幕の終了時に必ず太鼓が一拍だけ止まり、その隙間で弾幕密度が倍化するのが通例である。
最終ボス「黒提灯大僧正」は、盆踊りの円の中心にしか出現しないという変則的な挙動を示し、当時の攻略誌では“中心に入れ、しかし中心に居続けるな”という矛盾した助言が掲載された。なお、この助言は編集部内でも要出典扱いであったとされる。
アイテム[編集]
アイテムには、回復系の麦茶、一時無敵化する、敵弾を焼き払うなどがある。中でも最も有名なのは“お賽銭袋”で、これを3つ集めるとステージ終了後に隠し商店「露店横丁」が開放される。
攻略上は型の拡散ショットが人気であったが、上級者の間では“下駄の踵だけで弾を避ける”という極端な縛りプレイが流行した。1998年秋の大会では、この縛りを採用した選手が足首を痛め、会場の救護班が即席で足袋を貸与した記録が残る。
対戦モード[編集]
対戦モードは最大4人のと2人の直接対決に対応しており、相手の輪を“割る”ことで一時的に方向入力を反転させることができた。家庭用版ではをうたっていたが、実際には深夜帯のみ可動する独自の電話回線補助機能であり、ユーザーの多くは通信中に家族へ「今、踊ってる」とだけ説明したという。
一部の大会ルールでは“無音対戦”が採用され、足音以外の音声出力を禁止した結果、会場全体が奇妙に静かなまま盛り上がるという珍現象が記録された。
オフラインモード[編集]
オフラインモードでは、練習用の“仏壇前モード”と、敵配置が毎回変動する“回忌モード”が選択できる。前者は初心者向けとされたが、毎ステージ開始時に一度だけ線香を模した待機入力が求められ、説明書を読まないプレイヤーほど混乱した。
また、特定条件を満たすとスタッフの故郷である長野県某所の盆踊り会場を模した“里帰りステージ”が出現する。ここは通常ステージの3倍近く広いが、敵の数は逆に少なく、開発者が「帰省すると人は皆、少し優しくなる」と説明していた。
ストーリー[編集]
物語は、昭和末期から続く呪術的な“踊り忘れ”現象により、夏祭りの記憶が各地から消失し始めた世界を舞台としている。主人公は、失われた踊りの型を再生するため、百年に一度だけ鳴るとされる“死の花火”を探して各地を巡る。
中盤では、東京都墨田区の高架下で古いカセットテープが発見され、それに録音されていた掛け声が実はボスの封印呪文であったことが判明する。これを再生すると敵の出現パターンが変わるが、説明書には「テープの巻き戻し方向により運命が分岐する」とだけ書かれており、当時のプレイヤーの半数は意味を理解しなかった。
終盤、主人公は“死の花”の正体が、祭りの終了後にだけ咲く架空植物であることを知る。この花は、踊りの熱量が一定値を超えると発火的に開花し、周囲の怨念を食べ尽くすとされる。ラストシーンでは、花びらが円環を描きながら夜空へ昇る演出があり、発売当時は「を受賞した理由の半分はこの場面」とまで評された。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は“踊り巫女”のである。彼女は岐阜県の山間部にある旧家の出身とされ、祖母から伝わる三拍子の型を戦闘術に転用した人物として描かれる。なお、初期案では名前が“ミソノK”であったが、社内で「少女漫画の探偵みたいだ」と却下されたという。
仲間[編集]
仲間には、露店の焼きそば職人、仮面をつけた元体育教師、および無口な灯籠修理工が登場する。とくに島袋は、戦闘中にソースを撒いて敵の移動速度を落とすという謎の支援技を持ち、攻略本では“食文化を超えた減速装置”と記述された。
また、隠し仲間として、条件を満たすと大阪府から来たとされる旅芸人「三味線のマーチ」が加入するが、実際には1ステージしか操作できず、以後は勝手に背景で踊っている。
敵[編集]
敵勢力は“灰提灯衆”と総称され、提灯、笠、浴衣の残骸など、祭りの残り物が霊化した存在である。なかでも中ボス「置き屋のカカシ」は、プレイヤーが視線を外した瞬間にだけ動くため、発売翌月の攻略会議では「テレビから目を離すな」とだけ結論づけられた。
最終的な敵首領はである。設定資料集には“かつて全国の盆踊りを統一しようとした実在の興行師の怨念”とあるが、史料上の裏付けは薄いとされる。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、盆踊りは単なる夏祭りではなく、地域ごとに異なる“封印規格”を持つ防衛儀式として扱われている。円の大きさ、回転の方向、足踏みの間隔が土地によって異なり、それぞれが敵の種類を決定するとされる。
世界観設定では、は毎年7月下旬になると花弁を閉じ、太鼓の最終打点でのみ開く希少植物とされる。生態学的には極めて怪しいが、当時のゲーム誌は「盆地固有の夜間開花種」として素直に紹介していた。
なお、ゲーム内辞典によれば“踊りの円に入れない者は、翌朝まで夢の中で同じ曲を聴く”という。これがプレイヤーから“寝落ち救済システム”と呼ばれたのは、実装意図とは別の話である。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
制作は末、の社内納涼会で「シューティングに盆踊りを混ぜたら面白いのではないか」という雑談から始まったとされる。最初は業務用の体感筐体向け案であったが、踊りの判定を厳密にすると設置面積が不足し、家庭用へ転換された。
企画書の裏表紙には、御厨プロデューサーによる手書きで「夏にしか売れないなら、夏以外を敵にする」と記されており、これが本作の一年中夜祭を続ける仕様につながったという。
スタッフ[編集]
スタッフ陣は、ディレクターのを中心に、元民俗学研究会出身のデザイナー、打ち込み太鼓の名手とされた作曲家らで構成されていた。プログラマーのは、敵弾の軌跡を“浴衣の裾の揺れ”として表現するため、当時の開発機材を3日間連続稼働させたと伝えられる。
一方で、サウンド部門には地元の盆踊り保存会が協力したとされるが、後年のインタビューでは会長が「協力した覚えはあるが、完成版があまりに忙しくて何を見ていたか忘れた」と答えている[要出典]。
音楽[編集]
サウンドトラックは、和太鼓、尺八、電子ノイズを同じ拍に収める構成で、全29曲である。代表曲「回転供養ラプソディ」は、オープニングからわずか47秒でサビに達するため、当時のゲーム雑誌では“立ち上がりの早さだけで買う価値がある”と評された。
また、隠し曲「深夜の櫓下」は、特定の操作を行うとタイトル画面で10分間無音のまま待機した後に流れる。無音部分が長すぎるとして一部で不評だったが、発売後の再販版では逆に人気機能となり、音楽評論誌の年間ベストアルバム候補に挙げられた。
他機種版・移植版[編集]
1999年には版が発売され、振動マット非対応の代わりに、連打速度で花火の色が変わる仕様が追加された。さらにの版では、ローカル通信による2人同時“輪描き対戦”が実装され、文化祭需要を中心に一定の人気を得た。
2008年には風の配信サービス『レトロゲート』で再配信され、若年層の間で“最も説明書が必要な名作”として再評価された。なお、海外版ではタイトルが『Dance of the Dead Bloom』に変更されたが、英語圏ユーザーの多くは「なぜ踊ると花が死ぬのか」と混乱したという。
評価[編集]
発売当時の初週販売本数は約4万8000本で、年末までに国内累計31万本を突破した。全世界累計は112万本とされ、を記録した珍しい“盆踊り題材ゲーム”として各誌で取り上げられた。
一方で、操作体系が独特すぎるため、レビューでは「面白いが、膝が先に理解を拒む」といった記述も見られた。とはいえ、では36点を獲得し、の優秀賞も受賞している。なお、海外メディアの一部は“盆踊りを知らないほど楽しめる”と評したが、これは文化的誤読であるとの指摘がある。
関連作品[編集]
本作の好評を受け、続編『盆踊り(デスブロッサム)II 月下の輪廻』が2000年に制作されたほか、外伝『露店キラーズ』、携帯向けミニゲーム『デスブロッサム たたいてまわせ』などが展開された。さらに、2001年にはテレビアニメ化企画が一度だけ発表されたが、太鼓の権利処理が複雑で中止されたとされる。
また、シリーズの一作目にあたる本作は、後年のやリズムシューティングの祖先として語られることが多い。もっとも、開発者自身は「祖先と言われると照れるが、孫のほうが先に増えた」とコメントしていた。
関連商品[編集]
攻略本は、刊『盆踊り(デスブロッサム)完全供養書』と、『公式ガイドブック 櫓の上の真実』の2冊が代表的である。前者には全敵配置表と“足の運び方”の図解が掲載され、後者には開発初期の没案として“提灯を育てる育成シミュレーション”の記述が残る。
そのほか、サントラCD、扇子型コントローラ、足袋型メモリーカードポーチ、線香花火しおりセットなどが販売された。特に扇子型コントローラは、実用性よりも“家族に見られたときの説明しづらさ”で話題となった。
脚注[編集]
1. 作品設定資料『デスブロッサム夜間開花記録』による。
2. 『月刊ゲームテック』1997年9月号、桔梗ソフトウェア工房広告欄。
3. 佐伯露子「輪の内側で撃つということ」『電撃遊戯評論』第12巻第4号、pp. 44-49。
4. 電波実業社編集部『盆踊り(デスブロッサム)完全供養書』p. 118。
5. 『ファミ通クロスレビュー増刊 夏の弾幕特集号』第7号、pp. 22-27。
6. 早瀬千尋「深夜の櫓下と無音の美学」『月刊シンコペーション』Vol. 8, No. 3, pp. 3-9。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 御厨 恒一『盆踊り(デスブロッサム)開発秘録』東雲出版, 2001年.
- ^ 佐伯 露子『輪の内側で撃つということ』電波評論社, 1998年.
- ^ 田端 眞一『祭具としてのゲームUI』民俗ゲーム学会誌, 第4巻第2号, pp. 11-24.
- ^ Early, Jonathan D. "Circular Combat and Festival Memory in Japanese Action Games" Celestial Press, Vol. 7, No. 1, pp. 55-73.
- ^ 早瀬 千尋『深夜の櫓下と無音の美学』月刊シンコペーション, 1999年4月号, pp. 3-9.
- ^ 電波実業社編集部『盆踊り(デスブロッサム)完全供養書』電波実業社, 1998年.
- ^ Mori, Abigail K. "Defensive Choreography and Bullet Patterns" Interactive Arts Review, Vol. 12, No. 4, pp. 201-219.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー増刊 夏の弾幕特集号』アスレチック通信社, 1997年.
- ^ 黒沢 恒一『提灯はなぜ回るのか』北窓書房, 2002年.
- ^ Harrington, Miles J. "The Dance-Shmup That Should Not Work" Game Culture Quarterly, Vol. 3, No. 2, pp. 88-101.
- ^ 佐伯 露子・御厨 恒一『ゲームと供養の交差点』桔梗文庫, 2000年.
- ^ 『Dance of the Dead Bloom Official Almanac』Moon Harbor Publishing, 2009年.
外部リンク
- 東雲インタラクティブ公式アーカイブ
- 桔梗ソフトウェア工房年表館
- デスブロッサム資料室
- 盆踊り(デスブロッサム)ファン倶楽部
- レトロゲート配信履歴ページ