アルマーニ (バンド)
| 名前 | アルマーニ |
|---|---|
| 画像 | Armani_live_2007.jpg |
| 画像説明 | 2007年の公演における演奏 |
| 画像サイズ | 250px |
| 背景色 | #c8d6e5 |
| 別名 | A-MANI |
| 出身地 | 日本・神奈川県横浜市 |
| ジャンル | オルタナティヴ・ロック、ポストパンク、電子音響ロック |
| 職業 | ロックバンド |
| 活動期間 | 1998年 - 2014年、2018年 - |
| レーベル | Navebird、Lattice Crown Records |
| 事務所 | ノース・ブリッジ・アソシエイツ |
| 共同作業者 | 佐伯トオル、久保田ミドリ |
| メンバー | 榊原聡、日向梨央、黒田要、三枝ユウ |
| 旧メンバー | 高瀬玲子、真鍋圭 |
| 公式サイト | armani-official.jp |
アルマーニは、日本の4人組ロックバンドである。所属事務所は東京の芸能企画会社。レコード会社はインディーズ流通を経てで、1998年に結成、にメジャーデビューした。略称および愛称は「A-MANI」。公式ファンクラブは「」である。
概要[編集]
アルマーニは、神奈川県横浜市で結成された日本の4人組ロックバンドである。初期はの実験色の強い編成で知られ、のちにで上位を記録する大衆性を獲得した。
幾何学的なギターリフと、日用品の音を電子的に処理したミュージックビデオで注目され、の都市型バンドとして語られることが多い。特に2004年の「白い階段の理論」は、深夜帯ドラマのにより、累計売上枚数42.6万枚を記録したとされる[1]。
メンバー[編集]
現在のメンバーは、榊原聡(ボーカル・ギター)、日向梨央(ベース・コーラス)、黒田要(ギター・プログラミング)、三枝ユウ(ドラムス)である。いずれも末の横浜近郊のライブハウスで活動していたが、当時は別々の高校に通っていたため、リハーサルの待ち合わせ場所が毎回の改札前であったと伝えられる。
旧メンバーとして高瀬玲子と真鍋圭が知られている。高瀬は初期の3年間のみ在籍し、卓上扇風機を使ってハイハットの位相を取る独特の方法で話題になったが、レコーディング現場で電源容量を超過させたため脱退したという説が有力である[2]。
バンド名の由来[編集]
バンド名は、イタリアのファッションブランド名に由来するというのが通説であるが、実際には榊原聡が古書店で見つけた航海図の余白に書かれていた単語をそのまま採用したものとされる。彼らは当初、衣服よりも「縫い目の見えない構造美」に関心を持っており、名義としてのアルマーニは「見えない縫製」の比喩として選ばれたとされる。
なお、結成直後の一部チラシでは「ARMANI」ではなく「AR-MANI」と表記されていた。これは、当時のドラムマシンのプリセット番号とを並べた符号がそのまま名称化したためであり、のちにファンの間で「アール・マニ説」と呼ばれたが、メンバーは一貫して否定している。
来歴[編集]
結成 - インディーズ期[編集]
1998年、横浜市内の倉庫を改装した練習室で結成された。結成時は榊原、日向、黒田の3人編成で、翌年に三枝が加入し、現在の基礎が固まった。初期は下北沢との小規模会場を中心に活動し、開演前に店内の冷蔵庫が壊れるほど強い低音を出すバンドとして知られた。
には自主制作盤『ポケットの中の鉄骨』を500枚頒布し、そのうち83枚がライブ会場でなく市内の文房具店で売れたという記録が残る。これは店主が「楽譜に見える包装紙だった」と勘違いしたためで、後年、アルマーニの初期流通史を語るうえで象徴的な逸話とされた。
メジャーデビューとブレイク[編集]
、Lattice Crown Recordsからシングル「ガラスの国道」でメジャーデビューした。発売当週の売上は6.8万枚で、地上波音楽番組での露出はわずか2回であったにもかかわらず、深夜通販番組のBGMとして頻繁に流れたことが拡散の契機になったとされる。
発表のアルバム『アーチの下で眠る』は、の客席を模した立体ジャケットと、再生すると紙片が飛び出す仕様により議論を呼んだ。また、収録曲「白い階段の理論」が系ドラマに起用され、社会現象となったと報じられた。
活動休止と再結成[編集]
2014年、制作方針の相違と、ツアー用トラックに積まれた照明装置の総重量が規定を超えたことを理由に活動休止を発表した。公式発表では「音を止めるのではなく、いったん輪郭を外側へ逃がす」と説明され、当時の音楽誌では文学的すぎる休止宣言として取り上げられた。
、横浜の小規模フェスで再結成を果たした。再結成公演では、かつてのヒット曲をほぼ原曲通りに演奏した一方、アンコールで倉庫時代のノイズ実験を12分間再現し、古参ファンと新規ファンの双方を困惑させた。
音楽性[編集]
音楽性は、を基調に、の切迫感と電子音響の冷たさを併せ持つと評される。とりわけ黒田要が担当するプログラミングは、工事現場の警報音、駅の自動改札、業務用冷蔵庫の起動音をサンプリングしたものが多い。
一方で、榊原の歌詞は都市の観察記録のような硬質さを持ちながら、終盤で急に私小説的になる傾向がある。評論家の中には「東京の街路樹を主題にした最も湿度の高いロック」と評する者もおり、長年にわたる活動と功績がゆえにと称されることもある。
なお、彼らの代表曲の多くは変拍子であるが、ライブでは観客の手拍子が拍子を上書きしてしまうため、公式スコアと実演が一致しないことで知られている。
人物[編集]
榊原聡は寡黙な作曲家として知られるが、実際には機材ケースのラベルを几帳面に貼り替える几帳面さでも有名である。日向梨央はインタビューでの語り口が穏やかで、メンバーの中では最も現実的な判断を下す人物とされる。
黒田要は、機材の自作と配線改造を好み、ライブハウス側から「持ち込むものが楽器なのか小型工場なのか判別しづらい」と言われたことがある。三枝ユウはドラマーでありながら演奏前に必ず会場の非常口を確認する習慣があり、その慎重さがバンドの長期活動を支えたとされる。
メンバー間の関係は比較的安定しているが、榊原と黒田のあいだでは「曲の終わりをどこで切るか」をめぐる口論が年に2〜3回発生すると報じられている。もっとも、そのうち1回はリハーサル時間を延ばすための演技であったという証言もある[3]。
評価[編集]
批評家からは、都市生活の無機質さをポップソングに変換した点が評価された。特に『Riff Corridor』は、彼らを「平成末期の集合住宅が生んだ最良のメロディメーカー」と形容した。
また、海外ではやのインディーズ・シーンに影響を与えたとされる。2010年代後半には、若手バンドの間で「アルマーニっぽい空白を入れる」という作曲上の模倣が流行し、これはサビ前に1小節だけ完全無音を置く手法を指すが、ライブではほぼ確実に咳払いが入るため実用性に欠けると批判された。
受賞歴・記録[編集]
、『アーチの下で眠る』でに相当する架空のを受賞した。選考委員会は「録音と設計が同じ重さで成立している」と評したとされる。
には、シングル「夜のサンプルコード」が週間1位を獲得した。さらに、配信限定曲「窓辺の通信障害」がストリーミング2.4億回再生を突破し、当時のロックバンドとしては異例の数字として報じられた。
一方で、には「最も歌詞カードが読みにくいバンド」として地方紙の文化欄に掲載され、受賞ではないが記録としてファンの間で珍重されている。
ディスコグラフィ[編集]
シングル[編集]
「ガラスの国道」(2002年) 「夜のサンプルコード」(2007年) 「白い階段の理論」(2004年) 「セントラル・アンダーパス」(2009年) 「窓辺の通信障害」(2012年)
いずれもタイトルに都市インフラを思わせる語が多く、CD盤面の印刷が毎回微妙にずれることでコレクター人気が高い。特に「セントラル・アンダーパス」は、印刷ミスで曲順表が裏返しになった初回盤が二次流通で高騰した。
アルバム[編集]
『ポケットの中の鉄骨』(2001年) 『アーチの下で眠る』(2004年) 『冬の配電盤』(2008年) 『可変式の夜』(2013年) 『Bay Frame Sessions』(2019年)
『冬の配電盤』は、全12曲中7曲が夜間の変電設備を題材にしているため、購入特典として耳栓が封入された。『Bay Frame Sessions』は再結成後に制作されたが、半分は旧録音の再編集であり、メンバー自身も収録日時を完全には把握していない。
映像作品[編集]
『Live at Shibuya Quartz 2006』 『A-MANI in Warehouse 2011』 『Reunion at Bay Frame 2018』
『A-MANI in Warehouse 2011』は、照明が暗すぎてメンバーの顔よりスピーカーの輪郭のほうが鮮明に映っているとして伝説的である。ファンの間では「最も見えない映像作品」と呼ばれている。
ストリーミング認定[編集]
時点で、主要配信サービス上の総再生回数は累計9.1億回を超えたとされる。とりわけ「白い階段の理論」は、プレイリストへの収録を契機に再浮上し、単曲で3.3億回再生を記録したという。
なお、同曲は通勤時間帯に最も再生される一方、深夜2時台には逆に停止率が高まる傾向があると分析されており、これはサビ前の無音部分で多くの利用者が再生機器を確認してしまうためと説明されている。
タイアップ一覧[編集]
「ガラスの国道」は東映配給の映画『終電はまだある』の主題歌、「白い階段の理論」は系ドラマ『階段室の人々』の主題歌に起用された。
また、「夜のサンプルコード」はNTTドコモの通信障害対策キャンペーンに採用され、「窓辺の通信障害」はJR東日本の駅構内放送再整備PRのイメージソングとなった。バンド側は「いずれも意図せず現場の空気と一致した」と説明しているが、関係者の間ではややできすぎたタイアップとして知られている。
ライブ・コンサートツアー[編集]
アルマーニは、毎回会場構造に合わせて編成を変えるライブで知られる。2005年の『鉄骨の余白』ツアーでは、全18公演中14公演でアンプ配置を変更し、音響スタッフが図面を作り直したという。
2012年の『可変式の夜』ツアーでは、サポートメンバーとして3名の打楽器奏者と1名のノイズ担当が参加した。最終公演はで行われ、終演後に観客席から「アンコールの長さが建築基準法級」と書かれた感想がSNS上に拡散した。
再結成後の『Bay Frame Sessions Tour』では、各地で地元の古い工場跡地を会場として使うことが多く、あまりに空調が効きすぎてメンバーがマフラーを着けたまま演奏した回があった。
出演[編集]
テレビではNHK『SONGS』風の特番『音の図面』、系『CDTV』型番組、深夜の文化情報番組などに出演した。ラジオではの特別番組『A-MANI NIGHT FILE』が知られる。
映画では、ドキュメンタリー『配電盤の向こう側』で本人役として出演し、CMではサントリー風の炭酸飲料、風の機材クリーナー、架空の住宅設備企業の広告に起用された。なお、彼らのCM出演は商品よりも「背後で鳴る無音」が話題になった。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
に初出場し、「白い階段の理論」を披露した。演出上、ステージ中央に実物大の階段模型が設置されたが、搬入時に段数が1段多いことが判明し、急遽スタッフが削ったという逸話が残る。
その後、にも出場し、「夜のサンプルコード」を演奏した。なお、メンバーは本番前に「年末の音は少しだけ明るい」とコメントしており、これは紅白制作陣の間で妙に引用された。
脚注[編集]
1. ^ 配信初期の集計方式によって異同がある。 2. ^ 高瀬脱退の直接原因は別にあったとする証言もある。 3. ^ メンバー本人は「半分は本気、半分は演出」と述べている。
参考文献[編集]
山内晶子『都市配線とロックの変奏』青弓社, 2011年.
Peter H. Walton, “Suburban Geometry in Japanese Alternative Rock”, Journal of Popular Sound Studies, Vol. 14, No. 2, 2015, pp. 88-113.
佐伯トオル『無音の使い方: A-MANI制作記』リズム・プレス, 2014年.
Mika Hoshino, “The Warehouse Aesthetic and Its Afterlives”, East Asian Music Quarterly, Vol. 9, No. 4, 2018, pp. 201-229.
黒川実『可変式の夜とその周辺』音楽出版社, 2009年.
Elena V. Morris, “Reunion Tours as Civic Rituals”, The Review of Fictional Ethnomusicology, Vol. 3, No. 1, 2020, pp. 15-41.
高橋義彦『配電盤のロマン: 2000年代バンド文化史』白水社, 2019年.
J. C. Arden, “On the Silence Before the Chorus”, Modern Performance Studies, Vol. 21, No. 3, 2022, pp. 304-318.
久保田ミドリ『裏表紙のない楽譜』講談社, 2007年.
加納レイ『階段室の人々と音響の政治学』新潮社, 2016年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
アルマーニ公式サイト
A-MANI Archive
Lattice Crown Records Artist Page
横浜インディーズ年表データベース
裏表紙のない楽譜 ファンクラブ
脚注
- ^ 山内晶子『都市配線とロックの変奏』青弓社, 2011年.
- ^ Peter H. Walton, “Suburban Geometry in Japanese Alternative Rock”, Journal of Popular Sound Studies, Vol. 14, No. 2, 2015, pp. 88-113.
- ^ 佐伯トオル『無音の使い方: A-MANI制作記』リズム・プレス, 2014年.
- ^ Mika Hoshino, “The Warehouse Aesthetic and Its Afterlives”, East Asian Music Quarterly, Vol. 9, No. 4, 2018, pp. 201-229.
- ^ 黒川実『可変式の夜とその周辺』音楽出版社, 2009年.
- ^ Elena V. Morris, “Reunion Tours as Civic Rituals”, The Review of Fictional Ethnomusicology, Vol. 3, No. 1, 2020, pp. 15-41.
- ^ 高橋義彦『配電盤のロマン: 2000年代バンド文化史』白水社, 2019年.
- ^ J. C. Arden, “On the Silence Before the Chorus”, Modern Performance Studies, Vol. 21, No. 3, 2022, pp. 304-318.
- ^ 久保田ミドリ『裏表紙のない楽譜』講談社, 2007年.
- ^ 加納レイ『階段室の人々と音響の政治学』新潮社, 2016年.
外部リンク
- アルマーニ公式サイト
- A-MANI Archive
- Lattice Crown Records Artist Page
- 横浜インディーズ年表データベース
- 裏表紙のない楽譜 ファンクラブ